新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年5月9日(木) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日、お手元にありますとおり、寄附の不当勧誘に係る情報の受理・処理等件数について、公表させていただきます。令和5年度上半期分につきましては昨年公表いたしましたが、これも含めまして今回は下半期分、すなわち、令和5年10月1日から本年3月31日までのものについて公表を行います。お手元の資料の1枚目です。下半期についてお話をいたしますと、下半期における情報の受付件数は合計892件、そのうち、調査対象として認められ、受理の手続を行ったものは、上半期からの繰越し27件を含め、54件ということであります。調査した結果、どのように処理されたかですが、順番にお話をさせていただきますと、不当寄附勧誘防止法に基づき勧告又は命令を実施したもの、それから、勧告又は命令を実施する法令上の要件を満たさないもの、いずれも0件であります。それから、寄附の不当勧誘の事実が認められないものは12件、匿名又は連絡不通等により、調査が不能なもの19件、法施行日前の事案と認められるもの等は11件であります。なお、引き続き調査中のものは、12件ということであります。当庁としては、引き続き、不当寄附勧誘防止法の厳正な運用に努めるとともに、法の趣旨の周知啓発を着実に取り組んでまいりたいと考えております。
質疑応答
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問
NHKの絹川です。
3月末から続いている機能性表示食品の問題に絡んでなんですけど、先日、閣議後会見で大臣から「健康被害の用語の使い方も詳しく検討していく」という趣旨の発言があったかと思うんですが、それに関連して具体的にどんな検討が進んでいるのかをまず教えてください。 -
答
4月23日の自見大臣の会見で「健康被害の用語の使い方も検討していく」という旨の発言がございました。現在のガイドラインでは健康被害の情報収集体制を届け出ることとなっておりますし、厚生労働省も「健康被害」というものを省令等で用いているということでございます。この健康被害の情報というものが消費者それから事業者に分かりやすいものなのか、法令のいろんな用語も精査をした上で適切な用語を選定していきたいと考えています。
- 問 基本的なところかもしれないんですけど、この「健康被害」っていうのはある程度因果関係が定められたものっていうふうな使い方をされているのでしょうか。
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答
そこはなかなか難しいことであります。私どもが求めている健康被害の情報収集体制というものは、いろんな方々からやはりお問い合わせなり情報など頂いたものをまず広く網をかけるという意味での健康情報ということになっていると思います。しかしながら、この「健康被害」という単語はどういう形での健康被害、どの程度の健康被害、それからどのような因果関係というもの、いろいろな側面から精査をする必要があるというものでありますし、今回も検討会でご議論いただいておりますけれども、因果関係まで含めてということになりますと、これまた結構時間がかかるといった難点もございます。この辺を含めて用語、それから実際に健康被害をどういう形で皆さんに報告していただくかということを総合的に検討していく必要があると考えております。
- 問 ではこの議論は引き続き検討会で進めていくって形なんでしょうか。何か今後の動きなどあれば。
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答
この用語自体を検討するということではなくて、いわゆる体制について全体を構築した上でそれを指し示す用語として何がふさわしいかということで、お話があったように、併せて検討していくということだと思います。
- 問 ありがとうございます。もう一点なんですけども、検討会の第1回のタイミングではかなり幅広い論点が提示されたかと思うんですが、今の5月末に向けてはかなり論点が絞られているように見えるんですけれども、例えば機能性の根拠ですとか食薬区分の話とか、そういう検討会の論点から外れたものについては今後どのように議論していくお考えでしょうか。
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答
今の検討会の論点から外れたというお話がありますが、検討会自体は昨日も行っておりますし今週金曜日も行うということで、何ら方向性をまとめたということでありませんので、論点を外れた、あるいは論点を外したというのは現時点ではないというふうに理解をしていただければと思います。
- 問 では今後、仮に5月末までの議論の中で十分に審議されなかったものという聞き方にするといかがでしょうか。
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答
十分どこまで審議をするのかというその審議の深さというのはありますけれども、それも含めて今月末までにどのような形で取りまとめていくのかということで皆さんにお示しをしたいと考えています。
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問
読売新聞の糸井です。
配布された不当寄附勧誘防止法について伺います。下半期で調査対象情報件数が54件ということですけど、この数については評価というものがあるのかというのと、なかなか言いにくいのかもしれないですが、どういった情報が寄せられているのか言える範囲のものがあれば教えていただければと思います。 -
答
私どもに課されたものは不当寄附勧誘防止法をしっかり執行するということであります。この資料にも付けておりますけれども、情報の収集体制、2ページにありますけれども、法テラスが行っております霊感商法等対応ダイヤル、それから、消費生活センター、消費者庁にいつでも書き込めるようなウェブサイト、ということで、この情報収集体制が非常に広く窓口を開けていると理解をしております。そういう中、寄せられた件数は1年間で大体1,700件程度ということであります。この中には寄附という今回の法律の射程の外、金銭トラブルですとか行政へのご意見、いろんなものが含まれているということで、結果的に寄附に関係するものということになりますと、70件と27件を足し合わせたものということになっていると思います。この数について多い少ないということはコメントする立場ではないと理解をしておりますし、私どもはできるだけ幅広い情報を皆さんからお教えいただく、それをやはりしっかりと調査をして結果を出していくということが全てだと理解をしております。
- 問 処理件数の中で匿名または連絡不通等により調査不能なもの、結構な割合であると思うんですけれども、下半期も19件。ここについて情報を寄せる方に何か伝えたいこととかがあればお願いできればと思います。
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答
消費者庁の情報提供フォームには必ず連絡がつくもの、電話番号でもメールアドレスでも結構ですし、書いていただくということをお願いしているところであります。しかしながらそこが空いているというものがあるということでございます。やはり調査をするためには必ず本人に当たらなければいけないということですので、何らかの連絡先を必ず書いていただきたい。そうすることが情報をお寄せいただいた方々の悩みの解消につながるということになると思います。
- 問 紅麹の関係で確認です。今日の朝日新聞の報道なんですが、サプリメント形状の機能性表示食品については、GMPに基づく製造工程の管理を内閣府令の遵守事項、食品表示だと思いますけど、遵守事項にするという記載がありました。ただ、有識者検討会ではGMPの議論って、確か次回の議論になっていてまだ話し合われてなかったと思います。専門家の先生の議論が始まる前に、こういう形で対応方針を決めるということがあり得るのでしょうか。
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答
何ら方針を決めたということはございません。今、検討会ではそれぞれ論点を区切りながら議論いただいているということですし、全体として整合性のある制度を作っていかなければいけないと思っておりますので、ここの論点を詰めた後にまたもう1回全体に戻っていただく時間というのも必要だと考えています。
- 問 分かりました。この間、トクホについての言及もあったんですけど、トクホについての議論もこれまでの2回では焦点を当てて結論に至るような議論はなかったと思うんですけど、そこに関しては今のところでは何ら方向性が決まったものがないということでしょうか。
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答
はい、そのとおりです。
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問
フリーの木村です。
同じく「機能性表示食品を巡る検討会」についてなんですけども、今、論点として明確に挙がってるのは、健康被害情報の報告、あとGMPあたりかなと理解していたんですけども、ほかにこの後検討する予定というか、その可能性が高いものって何かあるのでしょうか。 -
答
検討する項目、議事要旨をそれぞれの会議、前回のものもそれぞれ項目に即して整理しておりますので、それを見ていただくのが分かりやすいと思います。今週の水曜日は、資料の中の1番目と書いてあります健康情報のところにフォーカスした議論、それから金曜日、明日は生産管理および品質管理にフォーカスした議論ということでやっております。その後、この議事録の整理を見ていただきますと、2-2の機能性関与成分、それから3の消費者等への情報伝達のあり方、それからあとその他全体ということになりますので、基本的にはこの議事録の括りに従って進めていくと理解していただければと思います。
- 問 糸井さんの質問とちょっとだぶってしまうんですけども、例えば次、今後の議論で構成員のほうからトクホについても整合性を合わせなければいけないとか、そういう意見が出た時に、この今の「機能性表示食品を巡る検討会」の中でそれを議論される可能性があるという理解でいいですか。
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答
どういうものを議論していくのかっていうのは、座長の仕切りだと考えています。
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問
朝日新聞の井上です。
寄附の不当勧誘に関する件で、この調査中の案件っていうのは違反が疑われるから調査しているって考えていいんですかね。 -
答
この調査中の案件は一定の期間を区切っておりますので、その中、3月31日の時点では調査中で、そのうちおそらく結果が出る、そういう意味で引き継ぎの件数と思っていただければと思います。
- 問 その引き継ぎの件数っていうのは、繰り返しになりますけど、違反がない場合は調査していないって考えていいのでしょうか。違反が疑われないケースはっていうのはどういうものでしょうか。
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答
調査中の案件は、不当性が疑われ受理した寄附に関係する情報だったということになります。その受理した中で結果が出たものが3の処理件数であり、調査をしているので次の期におそらく結果が出るものというのが4の調査中件数です。そういう数字の処理になります。ですからこの下半期の処理中件数12件が次の期以降どこかに分類されて入ってくると、そういう見方です。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
「機能性表示食品を巡る検討会」の5月8日の検討内容について、機能性表示食品全てを対象に、医師の診断を受け、因果関係がある、あるいは疑いがある健康被害情報は非重篤も含め法律で報告義務を課すことで合意したと受け止めました。やはり一応こういう検討会の合意事項は消費者庁も尊重して検討していくことになるんだと思うんですが。医師の診断を受けていない場合でも診断が必要とされる場合は収集する必要性が指摘され、事務局のほうで検討するように座長から指示がされたと。これを受けて、食品表示法、法律で改正を求めているということですので、食品表示法を今国会で改正される考えがあるのか。あと具体的にその期日についても、食品衛生法のおおむね15日以内、おおむね30日以内に合わせる方向でほとんど合意されたというふうに受け止めましたが、この辺についてどのような検討をされているのかお教えください。 -
答
今の検討会のお話、私も聞いている限りにおいてそのようなことが合意されているという事実はないと認識をしております。3回目に提示をいたしました議事録の要旨でも、法制的な着地点としては、内閣府令で定められる機能性表示食品制度について、上記論点に関する現行の運用通知の内容を必要に応じ見直した上で、法令(内閣府令又は告示)上で定めることを想定する、ということで整理をされておりますし、それも含めて最終的に今の検討会で何らかが決まったという事実はないということでございますので、正確にご理解いただきたいと思います。
- 問 ずっとそれ聞いていたらそう受け止めざるを得ないような、最後の座長のまとめはそのように受け止めましたが、またそれは今後の報告書を待ちたいと思います。それから本日、食品の寄附等に関する官民協議会が立ち上がって、険分科会とDX分科会の設置、モデル事業の成果などを踏まえて本年度末までにガイドラインを作成するという方針が示されています。期限表示の見直しについては別途検討会を立ち上げるということですが、この立ち上げ時期と結論を得る時期についてお教えください。
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答
期限表示につきましては別途の検討会、今月中には立ち上がります。その中で皆さんに検討項目を整理した上で検討の最終的な着地点を見出していただくということであります。
- 問 検討の期限は、やはり年度末までに結論を得るということでしょうか。
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答
今回のパッケージの中で多くのものが年度末までに一定の成果を得るということが大きな方向性でありますので、それに沿ってこの問題の解決をしていくということであります。
- 問 検討課題に、賞味期限の安全係数見直しによる賞味期限期間の延長と、箱や袋から小分けした場合の表示の見直しが挙げられていましたが、この2つに絞った検討になるという認識でよろしいのでしょうか。
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答
それも検討会の委員の方々とお話をするということでありますが、今回の食品ロスのパッケージからいただいた案件等の項目というのはその2つと理解をしております。
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問
共同通信の益子です。
細かいところで恐縮なんですけど、配布された「寄附の不当勧誘に係る情報の受理・処理等件数表」中で、下半期892件、前回からの調査中が27件あるじゃないですか。これは892には含まれないということでよろしいでしょうか。 -
答
前回からの繰り越しは入っていません。
- 問 そうすると今回の892件のうち、調査対象になったのは27件。
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答
そのとおりです。
- 問 件数について評価する立場にないということでしたけれども、やっぱり複数の窓口、広く窓口を開いていてという点で言うと、ちょっとでも困ったら相談してほしいとか、その辺りも一度注意喚起とか呼びかけをいただければと思います。
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答
この資料にも付けておりますけれども、情報提供のルートは3つあります。法テラスの窓口への電話、それから消費生活センターへの電話、消費者庁のウェブ上の情報提供フォームは24時間365日受付けており、どなたでも書き込める形式になっております。それから周知・啓発ということでポスターがございますが、1000を超える大学に直接配布をしております。大学生がターゲットになることが多いということを踏まえてそういう形にしています。地下鉄などの車内広告あるいはローソン等でもやっておりますし、説明会もやっているところでございます。最後のページになりますけれども、いろいろな場面でよく分からないとか、正体が分からないような勧誘活動が行われるということです。VR教材では、どのような場でそういう危ない勧誘が行われるのかということも実例も踏まえて紹介をしております。その上で西田先生の、どういう断り方をしたらいいかといったお話もいただいております。ぜひこれらも参考にしていただいて、まず消費者の方が危ないと思って気づいて断っていただくということ、何か問題があったら気軽にそれぞれの窓口にお話しいただきたいと思っています。今回、法人等向けの説明会も行っていますが、事業者の方々も非常に意識高く説明会に来ていただいておりまして、全体で3か所ありましたけど、五百数十人の方が聞いてくださいました。この中には宗教法人、学校法人、公益法人、NPO法人等ありますので、事業者の方々も法に則った勧誘に心がけてくださっていると思っております。今後とも、法の趣旨をしっかり踏まえて運用していきたいと考えています。
- 問 最後に一点だけ。個別の団体名、旧統一教会が今回の件で含まれているか含まれてないというところも含めて、そこは教えていただけないということでよろしいでしょうか。
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答
この法律上、しかるべき措置をする時には公表するという規定がありますので、その時になりましたらそれは当然公表するということになります。