新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年2月8日(木) 14:00~14:07 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭2点私からお話をさせていただきます。
1点目は適格消費者団体の認定についてであります。今週火曜日の2月6日、全国で26番目となります適格消費者団体が内閣総理大臣から認定を受けました。認定を受けたのは奈良県に所在する「特定非営利活動法人なら消費者ねっと」であります。この認定によりまして適格消費者団体は26団体となりました。適格消費者団体は社会のインフラの一つでありまして、消費者団体訴訟制度の重要な担い手であります。消費者被害の発生・拡大の防止等のために重要な役割を担っているということでございます。これまでも、令和4年5月25日に成立した改正消費者契約法、令和5年5月10日に成立した改正景品表示法といった所要の法改正によりまして、適格消費者団体の活動の場は更に広がっているということでございます。今後もますますの活動を期待しております。適格消費者団体は、最初の団体が認定をされましたのが平成19年の8月でございます。それから令和6年1月末までの現在の差止請求・被害回復の実績のお話をさせていただきますと、差止請求件数は、約1000事業者、このうち訴訟件数は約90事業者、被害回復裁判件数は9事業者ということで、地元に密着した案件あるいは全国的な案件いろいろ規模はありますけれども、それぞれ活動していただいているということでございまして、今後もますますの活動を期待するところでございます。
それから2点目であります。能登半島地震関連の相談についてです。まず相談の件数について今日の12時時点で整理をいたしますと、PIO-NETに登録された相談件数は432件、そのうち、「能登半島地震関連消費者ホットライン」を通じて寄せられたものは32件ということです。先週の会見におきまして、1か月をめどに相談の分析をしたいというお話をいたしました。現在作業を進めておりまして、国民生活センター、それから、消費者庁でそれぞれ相談者の地域・属性あるいは内容、具体的な事例等について公表させていただく予定です。分析中ということですのでまだ全体件数とかそういうことはお話はできませんが、一部の状況をお話をいたしますと、ブルーシートの取り付け工事に関するもの、住まいに関するものが多いということです。このブルーシートの取付工事契約については、特商法に違反する疑いがあるとして事業者が逮捕されたという報道にも接しているところでございます。また、被災地以外の地域では住まい以外の相談が多く寄せられておりまして、義援金を求める、不用品を買い取るとの電話を受けたといった詐欺が疑われる相談も寄せられているという印象でございます。前回もお話をいたしましたとおり、相談の大まかな内訳としては新しいものが増えているという状況ではないということでございます。しかしながらこれから被災地それから全国でいろいろな相談、いろいろな悪質商法に関連する案件というのはまだまだ続くというふうに思われますので、皆さまには一人で悩まずに消費者ホットラインへ連絡をしていただきたいと思っております。これにつきましては、被災地を中心に、政府広報が発出されますので、その中で地震保険とかローンの救済とかいろんな他の皆さまのお困り事と一緒に現地で広報させていただくという予定にしております。
質疑応答
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問
(日本消費経済新聞:相川)
適格消費者団体間の連携について少し長官の考えをお聞かせください。適格消費者団体を取材していて、最近、悪質な定期購入を行っている事業者に対する改善申入れをかなり精力的に行ってくださっているのですが、実は、全国的にそういう被害が出ていて、ある団体が申入れや訴訟を起こそうとして調査しているところを別の団体も調査をしていて、それが改善要請をしたことしか分からないので同じような調査を2つの団体とかいくつかの団体がやってしまっていて、本当にみんなボランティアで弁護士さんとか相談員さんとかが関わって事例検討をしている中で、ちょっと無駄なことになってしまうというような話が出ていました。もうちょっと早い段階で、それぞれ守秘義務がかかっている団体ですので難しい面もあるのではないかと思うのですが、この辺を何とか改善するような仕組みを工夫できることができないでしょうか。 -
答
非常に重要な指摘だと思います。おっしゃるとおりそれぞれ皆さん守秘義務がかかっているということでございますし、独立して訴訟を起こすことができる立場にあるということであります。この適格消費者団体は定期的に意見交換会、情報交流会をやっておりまして、そういうような皆様のお悩み事をお話しする機会を、私も出席して、設けております。それから、先日、消費者団体訴訟等支援法人を認定いたしましたので、支援法人の活動の中で守秘義務を守った範囲での情報の交換というのはできないかどうなのかということは検討してみる必要があると考えています。
- 問 例えば、その支援法人の役割としては重要なものではないかと思うんですが、支援法人自体が守秘義務との関係で、どこまで関わっていけるのかなというところもちょっと疑問があるところで、その辺についてぜひご配慮をいただき、うまく機能できるように仕組みを整えていただけるとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。