新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年11月30日(木) 14:00~14:23 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
まず、第一点目、令和5年度地方消費者行政の現況調査の結果でございます。毎年実施をしております地方消費者行政の現況調査を本日公表いたします。お手元には1枚ということで概要配布させていただいております。消費生活センター設置自治体数、消費生活相談員の人数及び平均報酬額については、総じて改善を示す方向と考えております。センターの設置数は14の増加、消費生活相談員数が3,313名から3,332名ということで19名増えているところでございます。それから、相談員の平均報酬額も1,841円から1,868円ということで27円増えています。会計年度任用職員制度導入前、平成31年に比べますと、約300円の増加ということでございます。それから自治体職員、消費生活相談員の研修の参加についても、前年度は、新型コロナウィルス感染症の影響があったということでございますけれども、それが和らぎましたことから増加ということでございます。こうした結果は、地方自治体の皆様のご努力だというふうに認識しておりまして、消費者庁としてもこれから引き続き地方消費者行政の充実・強化に向けて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。詳細は、この会見の後15時から地方協力課長からご説明をさせていただきます。その地方協力課長が説明する中で私がいくつか今回の調査で改善したということを申し上げさせていただきますと、この調査の中で、実際に相談から事案の解決に向けて斡旋をしたかどうかという調査を行っておりますけど、この斡旋率が全自治体で、この間で初めて10%を超えまして、10.1%ということでございます。こういう形で相談を受けただけではなくて、解決に向けて取り組んでいただける市町村が増えてきたということが非常に重要なことでございますし、これからのデジタル化の中で簡単に皆様お分かりになるものは、知恵袋のようなホームページを見ていただくということによりまして、より深刻な問題の解決に向けて取り組んでいただけるような状況を作っていきたいということでございます。それから相談員の方々、平均給与にいたしますと、1,868円ということで27円増えておりますが、上位の市町村で見ますと、賞与を含めてですが、三千数百円を超えるような市町村も出てきておりますので、引き続き各市町村に努力していただくよう私たちも意を用いてまいりたいと考えております。
二点目です。製品安全誓約に基づく出品削除要請への対応状況についてです。日本版「製品安全誓約」、今年の6月にオンラインマーケットプレイス事業者7社とともに始めたものでございますけれども、これら事業者の現在までの出品削除要請の対応状況というのを公表したいと思います。11月29日水曜日に、10月1日から同月31日までの製品安全誓約の第3項目の規定に基づきまして、規制当局から出品削除要請を受け、オンラインマーケットプレイス事業者が、リコール製品や安全ではない製品として特定し対応した件数について取りまとめた内容を、重要業績評価指標、いわゆるKPIの速報という形で公表いたしました。公表内容としては、オンラインマーケットプレイス事業者が規制当局から出品削除要請を受け、リコール製品や安全ではない製品として特定した件数が29件ありまして、いずれも2営業日までに29件全てが出品削除されているところでございます。主な出品削除製品は、乳幼児用のベッド、それから、乗車用ヘルメット(バイク用)、リチウムイオン蓄電池です。今回の発表は、マーケットプレイス事業者と規制当局が協働して取り組む日本版「製品安全誓約」の実効性や有効性に関する状況をタイムリーに公表しようということでありますので、今後も月次で公表していく予定であります。
三点目です。食品表示の年末一斉取締りについてです。消費者庁は、食品の流通量が増加し、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末におきまして、毎年、食品表示の適正化に向けた取組を実施しております。今年度も、12月1日から12月31日までの間、全国157の地方自治体と連携をいたしまして、食品表示の取り締まりの強化を全国一斉に実施いたします。具体的には、食品表示基準に基づくアレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に加えまして、今年度の年末一斉取締りについては、新たに特定原材料として追加された「くるみ」につきまして、令和7年3月31日までの経過措置期間はあるものの、周知・徹底を図りましてできるだけ可能な限り表示を促していくこと、それから、令和6年4月からの運用開始が迫っております「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」についての周知徹底、それから、外食・中食における食物アレルギーに関する啓発資料を活用して事業者等への普及啓発を図るということを試みているところでございます。全国の自治体と協同いたしまして、適切な監督指導及び啓発活動を実施していきたいと考えています。
最後ですけれども、情報公開請求訴訟への対応についてです。11月9日に、東京高裁におきまして、平成27年度「機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業報告書」に係る情報公開請求訴訟について、第一審判決において、当庁における不開示処分が維持されていた部分の一部について、第一審判決が取り消され、該当部分の新たな開示を命じる判決が下されたところです。本判決におきましては、本件検証事業は、国の機関が行う事務又は事業として、情報公開法第5条第6号柱書及び同号イの監査、検査に係る事務に関するものであると認められ、その考察内容等の情報については、第一審判決と同様に不開示相当と判断され、当庁による一部不開示決定の大部分が支持されました。一方で、検体の特定に関する情報、検体の入手方法、入手ルート及び検体数等の情報の開示を新たに命じられたところであります。今回の判決では、検体に関する情報は、対象試料の入手経過に関する情報に過ぎず、開示によって事業者が検証を免れることを容易にさせるおそれがあると認めることはできないとされるとともに、第一審判決で開示を命じられた機能性関与成分及び機能性表示食品の名称と同様に、「公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」情報に該当しないとされました。消費者庁としては、本判決の趣旨を真摯に受け止め、関係行政機関とも協議の上、上告しないことといたしました。なお、控訴人側の対応につきましては現在情報を持ち合わせておりませんので、本日の発言はここに留めさせていただきたいと思います。以上です。
質疑応答
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問
朝日新聞の大村です。
出品削除要請の発表に関してなんですけれども、ここで主な出品削除製品群の名称ということで3つ明示されておりますけれども、これで全部なのか、「主な」ということはこれ以外にもあるのかということと、それぞれがどれくらいであったかという数値的なところが公開予定あれば教えていただきたいと思います。 -
答
(消費者安全課)
最初のご質問ですけれども、ここに記載しております製品は「主な」ということでございまして、出品削除要請を行った製品、そして削除をいただいた製品のうちの主だったものを記載しているというところでございます。あわせまして、その内数につきましては、相当数がこの3製品に属するということでございまして、件数については記載していないというところとなっております。 -
問
日本経済新聞の前田です。
送料無料表示の見直しについてなんですけれども、これまで9回意見交換会が行われましたが、その後の具体策の検討状況と、あと時期の目処などあれば教えてください。 -
答
送料無料表示につきましては、ここでも随時お話をさせていただいておりますけれども、いろいろな関係者と意見交換をしてまいりました。今それぞれの関係者の方々の意見、それから全体として関係閣僚会議で示された方向性ということで年内には示したいと考えております。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
地方消費者行政の現況調査についてお教えください。相談員が19人増えたということでちょっと安心したということはあるのですが、2019年と2020年に100人減って、21年に11人増えたものの、22年には22人減っていて、2019年以降111人減っています。相談員がいない自治体は昨年694自治体にのぼっていましたが、この数字は減ったのでしょうか。 -
答
後ほど地方協力課の会見の時にお答えをさせていただこうと思います。
- 問 減ってはいないけれども回復しているにはほど遠い状況があると思っています。今やはり随時募集をしている自治体が多く、相談員資格がなくても企業の経験があればいいという方を募集しているところが23区の中にも出てきています。大変心配しているのですが、消費者庁は地方自治体の消費生活相談員を増やすために、2017年度までに新たに配置した相談員の人件費を、原則7年間、最長11年間、国の交付金で措置する政策を取ってきました。2023年度にこの交付金を活用している自治体が何自治体あって、交付金額はいくらあるのでしょうか。また、これが2027年に全ての自治体が活用期限を終えるということになるのですが、2024年、2025年、2026年、2027年に一体何自治体がその交付金が使える期限を終えることになるのでしょうか。またその交付金額も教えてください。
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答
今のお話は、地方消費者行政強化交付金の推進事業のお尋ねだと理解をいたします。その前提といたしまして、相談員の人数、それから人件費の負担の状況についてお話をさせていただこうと思います。後ほど、15時から担当課長が説明する資料の中に入っておりますけれども、確かにお話がありましたとおり、相談員の方々の人数は若干の上下をしています。今回19名増えたことをもって喜んではいけないということはあると思います。地方公共団体の職員全体が相当数減っているという中におきましては、やはりそれぞれの自治体が非常に頑張っていただいていると理解をしております。全体としては、会計年度任用職員という中で位置づけられている方が多いと理解をしておりますけれども、その中の俸給におきましても、自治体のアンケートによりますと、97%の市町村がその平均以上の額を俸給表として相談員の方に割り当てているという実態もございます。それから、相談員の人件費全体で見ますと、令和2年度は67.7億円でございましたが、令和5年度当初は72億円ということで総額としては増えているという状況です。また、自主財源の率もそれぞれのご尽力によりまして、令和5年度は、交付金の割合が10%程度であり、残りは自主財源で担っていただいているという状況も聞いたところでございます。今の強化交付金の推進事業はまさにそれに上乗せする形、基本的には地方交付税で措置をされているということでございますが、新たに配置等をしたところに関しまして、一定の期間、まさに最初のスタートを支えるという形で組んできたものでございます。お尋ねのものについてちょっと細かいですけれどもお話をさせていただきますと、推進事業における人件費について、年度ごとの活用期限を迎える団体数と、それに伴い減少する金額ということでみますと、令和5年度末は約70自治体で終了し、約1.3億円減少、令和6年度末は約100自治体で終了し、約2.5億円減少、令和7年度末は約220自治体で終了し、約4.6億円が減少、令和8年度末は約10自治体で終了し大体1000万円が減少という見込みになっているということであります。
- 問 400自治体ぐらいが今から相談員の人件費の活用期限が切れていくということなのだと思うのですが、今後地方への財政支援について、長官はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
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答
この推進事業の活用期限というのがまだございますので、財政支援を今後どうしていくのかということはまだ考える時間があると思っています。しかしながら、先ほど申し上げましたように、消費者庁設立時から地方公共団体におけます地方交付税交付措置の拡充は相当程度図ってきているということでございます。したがいまして、それと合わせてやっていくということですので、今後どのように新しい制度を作るか作らないかということは現在お話しする段階ではないと考えています。
- 問 交付税算定措置では地方消費者行政の方になかなか回らないという現実がずっとこれは何年も積年の課題であるということは紛れもない事実でして、そんなに悠長なことを言ってはいられなく、強化交付金もいつまで続くか分からないという状況の中で、もうそろそろ検討を始めていただいた方がいいのではないかと。それも公の場所でいろんな方たちが参画できるような検討会で検討していただけないかと思うのですがいかがでしょうか。
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答
今、検討するともしないともお答えできない状況であります。これにつきましては、今年の夏からいろんな形で相談員の方の処遇改善という話をしてまいりました。総合的な処遇改善の中で検討すべき事項かと考えています。
- 問 ではよろしくお願いいたします。それから処遇もそうなんですけれども、雇い止めというのは、募集して再任用される方たちは確かに多いのですけれども、現実的に再公募をされて試験のようなものを受けるというようなことが続いていますし、平均的な会計年度任用職員よりは確かに上に位置付けられているのかもしれませんけれども、6割の人は昇給はありませんし、1年採用ということには変わりがありませんし、いろんな問題がある。2級に位置付けられているところもあれば低いところに位置付けられていて、なおかつ5年更新の時には、また、報酬が下がってしまうというような自治体もありますので、もっと細かく見て現実をきちっと捉えていただいて改善策を取っていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。それについてはいかがお考えでしょうか。
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答
今回は悉皆調査でやっておりますので、先ほど平均単価報酬の一応ざっとランキングなども作ってみました。それからそれぞれの自治体の雇い止め自体は制度で残っているのは1市町村というふうに聞いておりますけれども、これは他の会計任用職員制度とのバランスというのも、質問するとあるように聞いております。いずれにいたしましても個々の市町村、直営でやられているところ、それから委託型でやっていられるところ、あと全体としての調査を見ますと、小さい市町村では広域連携が進んでいるというような状況も見えております。全体として国民の方々にしっかりサービスが継続的にできるようにということで、いろんな視点から検討していくということだと考えています。
- 問 全く検討は進んでいないと私は思っていますので、きちんと検討をして皆さんが納得できるようなドラスティックな改革をしてくださると河野大臣は言ったままなので、それについてもきちんと対応していただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
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答
一言申し上げさせていただきますと、地方の行政の中での職員の方であり、位置づけであるということでございます。そういう中で国がどこまでドラスティックなのか、国が一定の方向性あるいは優良事例というのを示すことができると思いますけれども、俸給表なども見ますと各市町村ごとにいろいろばらつきがあります。それはいろいろな事情を踏まえているということだと思います。これは相談員だけではなく、例えば、先ほど栄養士とか保育士の方のいろいろな俸給表も私いくつか見させていただきましたが、これもいろいろやはり各市町村でだいぶ事情が違うということを理解しました。それぞれの市町村の状況というのをしっかり踏まえていきたいと考えています。
- 問 実を言うとアドバイザリー会合がどうなったか、今後のアドバイザリー会合がデジタル化のどうなるかということと、あと、広域連携とか相談員の処遇に関しての検討会というようなものもゆくゆく立ち上げてくださるというふうに私は理解をしているのですが、その辺はどうなっていますでしょうか。
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答
アドバイザリー会合、これはこの会見でも既に申し上げたかと思いますけれども、デジタルについては、26年9月に今のシステムの保守が終了するという大きな課題があります。したがいましてどういう手順でいつまで何をしていくのかということで、前回非公開で行いましたアドバイザリー会議について、いくつかの公共団体の方にもご参加いただくという形のものを12月上中旬に開催したいと思っております。それから並行いたしまして、業務や処遇、体制面の検討会というのも開催したいと考えています。
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問
ウェルネスニュースグループの藤田です。
先ほどの質問に対する答えをちょっと1件聞き漏らしたので、もう一度確認なんですけど、送料無料表示の見直しの件なんですけど、何らかの方向性を年内にとしたんですか、年度内ですか。 -
答
年内です。
- 問 要するに明日から12月ですけど、12月中にはってことですか。
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答
そういうことです。