新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年11月16日(木) 14:00~14:25 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日は冒頭の私からの連絡事項はありませんので、皆さんのご質問を受けさせていただこうと思います。
質疑応答
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問
日本消費者新聞の丸田です。
先週、11月9日ですが、機能性表示食品についての情報公開請求訴訟についての控訴審判決が出ました。検体情報の情報開示とかが命じられていたわけですけども、消費者庁の方では開示されている部分もあると思いますけども、今回の控訴審判決についての受け止め、これをちょっと長官のお言葉としてお願いしたいんですが。 -
答
11月9日に、機能性表示食品に係る情報公開請求訴訟の控訴審判決がありました。現在、判決の内容を精査中ですのでコメントは控えさせていただきますが、今後の対応については、改めて皆さんにご報告をさせていただきたいと思います。
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問
NHKの絹川です。
ステマ関連の話が続いて申し訳ないんですけど、ステマ規制が始まるにあたって事業者の方からは、過去の投稿についても表示がついていれば対象になることについて戸惑いの声が聞かれました。現在どのように周知や指導されているのか現状を教えてください。 -
答
今お話がありました、施行以前のものというものですけれども、これも施行以前に表示をされていたものでも施行後も表示をされていれば当然対象になるということであります。そこは誤解の無きようにしていただきたいと思います。それから、ステルスマーケティング、ここでも何回も申し上げましたが、やはり広告は広告と分かるようにしていただくということが基本ですし、広告に携わる方々がきちんと倫理的な責任を持って広告をしていただく、そのための一つの規制というのが世界各国で行われているステルスマーケティング規制ということであります。この規制については、私たちもいろいろな形で講習会、あるいはインフルエンサーの方々を束ねていらっしゃる事業者の方々に対して啓発なりいろいろやってきました。具体的に数字を申し上げさせていただきますと、消費者庁が主催したものは42回の講習会、これは延べ約7,000人の方々が参加をしております。それからインフルエンサーを登録している事業者、大体登録インフルエンサーが延べ19万人、束ねていらっしゃる事業者は18事業者というふうに承知をしておりますけれども、これらの方々には啓発資料を送り、必要な質問があれば対応していくという形をとっています。現在でも様々な業界団体からいろいろな講演あるいは質問をいただいているところでして、それらについては丁寧に答えていくということですし、施行後も混乱無きようにしていくということに努めているところです。
- 問 今のところ長官としては混乱している声だとか、こういう問題が起きているようだとか確知されていることは大きなものはなさそうでしょうか。
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答
この施行後、ステルスマーケティングについてのいろいろな情報があればということで、情報提供窓口を作っております。そこにはいくつかのものが寄せられているということでありますし、皆様もいろいろなSNSなりいろいろなものを見ていただきますと、担当職員の印象ではPRと書いているものが増えたような感じであるということを申していたところであります。
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問
毎日新聞の阿部です。
先月だと思うんですけれども、食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ中間報告がされたと思うんですが、年末に向けて取りまとめ作業進んでいると思うんですが、お話しできる範囲でいいんですが今後の方向性といいますか、どのような感じで進んでいるのかなというのを教えていただければと思います。 -
答
この前の中間的な取りまとめの段階ではまだいろんな論点が残っていました。年末までにその論点をできるだけ解消するということと、各省が連携で取り組んでいく方向性というのを示していきたいと考えています。
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問
共同通信の市川です。
ステマ規制のことをお伺いしますけれども、いわゆるインフルエンサーにステマを依頼して投稿にPRをつけるとかっていうのは分かるんですけれども、ステマ規制の中になりすましによる書き込み、いわゆる会社の社員が一個人を装って口コミサイトに、他の製品は悪いけどここの製品はいいよみたいなのを書くっていうパターンも結構あると思うんですけれども、それに対する対応策っていうのは具体的にどういうところを考えているんですか。 -
答
(表示対策課)
今おっしゃったような事案についても、告示に該当する事案については厳正対処していくという形になるのかなと思っております。 - 問 趣旨としては、インフルエンサーの事務所とかに注意啓発をするっていうのは分かるんですけれども、そういういわゆる個人がやってしまう話とか、もしかしたら会社が組織的にやっている話の場合は、表面上見ていてもなかなか注意喚起が難しいような気がするんですけれども、そこにどうやってメスを入れているのかっていうところで何か方向性というか、実効性の部分で、具体的に考えているところはありますか。
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答
今おっしゃったお話で、会社が仮に組織的に行っているのであれば当然会社として従業員教育をしていただくということだと思っていますし、おっしゃる趣旨は非常によく分かりまして、このステマ規制が決して他人事ではないということですよね。会社の方もありました。あとは会社のご家族とか親戚とかいう方がたまたま頼まれてやったということも非常に厳格に申し上げればステルスマーケティングに当たるということでありまして、そこのところは一定の線をそれぞれの方がしっかりと引いていただきたい。我々も事業者の説明会だけではなくて、当然一般の方々へのご周知というのをやっております。
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問
ウェルネスニュースグループ藤田です。
「送料無料」表示の見直しの意見交換会についてなんですが、9回まで開催されましたけども、一応年度内にという話で以前担当の方はおっしゃっていたんですが、ある程度方向性とかいついつまでにといったそういったものってある程度見えてきているものがあるのかどうかというのと、現状についてちょっと長官のご意向をお聞きしたいんですけども。 -
答
「送料無料」表示の見直しの関係については今まで9回、関係者と思われる方々、消費者団体を含めて意見をお聞きしたところです。今いただいた意見を整理しておりまして、年度内という話がありましたけれどもできるだけ早く、一定の方向性を整理してお示ししたいと考えています。
- 問 具体的に今の段階ではまだ言える状況じゃないということですね。
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答
はい。
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問
(日本消費経済新聞:相川)
11月8日に消費者庁からの諮問を受けて、消費者委員会に消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会が設置された件について質問させてください。長官は10月5日の長官会見で、イギリスやポルトガル、ギリシャのデジタル法の執行状況などを視察され、デジタル取引に関して日本が進んでいく方向が少し見えてきたような気がすると話され、消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会の具体化を秋から始めていくと、デジタル取引をめぐる情勢にどう対応していくのか、そのようなものも当然課題に入ってくると話されていましたが、消費者庁で具体化をせず消費者委員会に諮問したということは、これは方針を変更したということなのでしょうか。消費者委員会に諮問した理由も併せてお教えください。 -
答
方針を変更したということではありません。消費者委員会で必要な先生方のご知見を得るということで、我々の中でのいろいろな事務的な整理と併せて次に向かっていくということであります。方針変更ではありませんし、当初から想定していた方針ということです。
- 問 来年度の予算概算要求の中で、消費者法制度のパラダイムシフトのための検討という具体化の検討を行うための1億円が盛り込まれていますが、消費者委員会が行う審議とこれはどのような位置づけになるのでしょうか。
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答
来年度予算の中ではいろいろな柱が立っていると思いますけれども、主として諸外国の情勢分析が主なものだと考えています。我々も在り方懇談会の中でいろいろな先生方のお話を聞きましたが、やはり具体的なものということになりますと、各国の法制度あるいは現状をしっかり調べてみるということ。これは何かと申しますと、デジタルというのは世界を超えて実は皆さん同じような問題を悩んでいるということですので、それをやはりつぶさに調査をするということで、来年度予算には、主として調査費が入っていると理解しています。
- 問 そもそも、消費者契約法の改正が2016年から行われているわけですが、2018年改正、2020年改正で、消費者委員会が答申したつけ込み型の取消し権が導入することができないために、消費者庁は骨太の検討をするといって有識者懇談会で論点整理を行いました。これまで学者の先生たちが言っていたようなことが並んでいて、別に新しいことがあるわけでもなく、経済界からの意見が出ているわけでもないと。これ、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会という名前になっていますが、もともとはつけ込み型の取消し権を契約法に入れる目的のために手段としてこの有識者懇談会ができたはずなのに、今や手段が目的に変わっていて、専門調査会の名前が消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会です。消費者契約法のつけ込み型取消し権については検討はされるのでしょうか。
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答
今のお話にお答えしますと非常に長い話になりますけどあえてお答えをさせていただきます。今回の在り方懇談会では非常に大きな問題を提起しておりまして、今までの消費者契約法は、これは経済学の完全情報というのと連動しているんですけれども、情報格差があると、取引が正確にできないということなので、完全な情報を互いに持っていることが必要である。これを近代型の民法に引き写したものになっています。したがって、消費者には情報を提供していけば、消費者はしっかりと合理的な判断ができるだろうと。これが日本の消費者法の基本であり、各国も大なり小なりありますけれども、消費者の法制度を捉える基本になっているということであります。しかしながら今回提起されたのは、そういうことをしても消費者には脆弱なところがありますと。その脆弱なところがある方々にいくら情報を与えても適切な判断はできないんじゃないでしょうかという非常に根本的な問題を突きつけられているということであります。これは日本だけではなくて、この情報の波の中で我々は日々判断をしていくということはそういう面も考えていかないと、本当の意味での消費者の権利保護にならないだろうということだと理解しています。したがいまして、つけ込み型と言われているものは、完全情報、情報をたくさん与えると合理的な判断をできるという意味での枠組みの中では非常に入りにくい課題だと思います。これは法の元々の趣旨からしてということであります。つけ込み型という単語を使うのがいいのかどうかということは別ですけれども、仮に消費者は脆弱なものだということを考えた場合には、それはつけ込みというかどうかは別にして、それぞれの消費者の状況をどう捉えていくのかということに視点を当てるとすれば、そのようなつけ込み型と今までの議論の中で見られるものというのも入ってくる余地があるかもしれないという議論が、実は有識者懇の中で提起されているということであります。今まで消費者契約法でできなかったことを受けてどうやって対応していくのかということで、これはそれぞれ問題提起されたものでしっかり受けて、まさに根本的な議論をしていただいたという意味であります。したがって議論をねじ曲げているとか避けているということではなくて、その議論を真正面から受けて、しかも現在の情報の渦の中に置かれている消費者というものを法的にどう見直すかということも合わせて議論していくということですので、正面から受けている議論だと私は認識をしておりますし、そういう点において、消費者委員会で今までの知見を受けてもっていただく。それから世界中の消費者行政関連部局がどういう形で対応しているのかということを見ていくということが必要になってくるということでありまして、これは消費者契約法あるいは根本的にいくと、消費者基本法の議論も当然視野に入ってくるという話だと私は理解をしています。
- 問 脆弱性に関しては、国会でもいろんな議論がありました。本当は消費者委員会などは当時から脆弱性は今の消費者契約法で読めるというところからスタートしていて、国会の中で消費者庁は今の消費者契約法では脆弱性は読めないというような見解になってきて、今の議論になっているんだと思いますが、もともと消費者委員会が出した答申を消費者庁は実現できず、消費者庁が検討すると言って始めたものを、また消費者委員会に諮問をするというのはちょっと疑問で、消費者庁が骨太の議論をして実現すると言ったのであれば、最後まできちんと責任を持って自分たちでやるべきなのではないでしょうか。答申をされても結局実現ができないわけなので、消費者庁が最初から責任を持って最後までやるべきではないのでしょうか。
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答
そこは誤解のないように申し上げておきますけれども、消費者庁は責任を持って消費者契約法あるいは消費者法制度を持っている省庁で対応するということであります。その中におきまして、消費者委員会のご意見を聞くということでありますので、決して責任を放り出したわけでもありませんし、そこはやはりいろんな方々の根本的な問題であればあるほど幅広いご議論をしていくということが必要だと考えています。
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問
フリーの木村です。
以前の長官会見でも出たんですけれども、機能性表示食品制度及びトクホ制度を合わせて見直しの方向といいますか。消費者委員会の方でも機能性表示食品の安全性を問題視する声も出始めているんですけれども、それも含めて今後改めてトクホ及び機能性表示食品制度の検討の方向性とかポイントとかその辺をもう一度お聞かせください。 -
答
検討のポイント、方向は全く変わっておらず、機能性表示食品は、機能性表示食品としての役割を果たしているかどうかチェックをしますし、それが消費者庁の役割であるということであります。それから特定保健用食品いわゆるトクホと呼ばれているものも、それもきちんとその役割を本当に果たしているのだろうかということをやはりチェックをしていくということであります。機能性表示食品については、一部の案件を契機に、機能性表示食品の届出の時に出していただくデータについてより強固なものにし、消費者の信頼を得ていくという方向にいたしました。特定保健用食品は、今の制度運用がいいのかどうなのかということを少しいろんなチェックポイントから見ていく必要があるのかなと思っています。したがって大きく方向を変えていくということではありません。今の制度の機能が十分かどうなのかということを見て、必要があるところに手を入れていくということですし、それについては今も行っておりますし、これからも順次行っていくということです。
- 問 以前の長官会見で少し出た規格基準型についてもう一度お聞かせください。
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答
機能性表示食品をより消費者に安心して使っていただけるものという中において、機能性表示食品の中に規格基準型を作るということの意味があるのではないかということであります。
- 問 ちょっと別件なんですけれども、いわゆる大麻グミによって健康被害がまた出始めているんですけれども、改めて消費者庁の方から何か注意喚起なり対応なりとる予定があれば教えてください。
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答
今のところ直近ではございませんが、今日も衆議院の消費者特委で厚生労働省がご答弁をいただいておりますけれども、2014年、2015年で相当な危険ドラッグの販売店舗というのはだいぶ廃業したという状況があったのですが、最近SNSの普及とともに使用が可能な電子タバコ形態の新しいタイプの危険ドラッグ、それから大麻に類似する危険ドラッグ成分を合成大麻と称して販売する広告や店舗が増加したということが言われています。そういうことですので、危険ドラッグについて包括指定をして指定を高めているということとともに、販売店の立入検査とか検査命令をやるということであります。したがいまして私から申し上げられますのは、この厚生労働省の見解によりますと、電子タバコ形式のものがあるというものですとか、食品の中、今回グミというものでありましたけれども、食品の中にもそんなようなものが含まれている。我々もかつてステロイドが入った痩せるお茶というのを国民生活センターと共同して、それから保健所と連携を取りましたが、やはり今国内で出回っているものでもこういう合成大麻が入ったような商品が一部店舗で売られている。特に輸入品の中には個人輸入のものとか、輸入のサイト、いろいろな商品が今出回っているという状況にあります。したがいましてそれぞれお買い求めされるときには内容、あるいは皆さんが信頼できるメーカーのものなのかどうなのかということをやはりきちんとチェックをしていただきたいと思います。
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問
TBSの竹本です。
今国会の方でも悪質ホストの問題が取り上げられているかと思いますが、今、消費者契約法、現行法でも取り消しができるのではないかということで、消費者庁として今後取り組んでいくことについて、まず現行法でできること、それと取り消しができるような方法であったりとか、あるいは電話の相談の窓口などを作る予定があるのかについて、また、先ほど消費者契約法の見直しについてもご発言があったと思うんですけれども、こういった悪質ホスト問題と絡めて今後どういった形で法律が改正されていく必要があるのかというのについてご見解があればお話しいただければと思います。 -
答
悪質ホスト、そういう名称がいいのかどうなのかはありますけど、悪質ホスト問題というのが社会的に提起をされています。これは関係省庁いろいろございます。その中でそれぞれが検討しているということでありますが、ホスト業というのは風俗営業法に基づいて許可を受けた業種であるということですので、その許可を受けた業種の中でのしっかりとした営業の規律、あるいは取り締まりをしていただくというのがまず第一だと思っています。確かに消費者契約法に基づいて取り消すことはできる場合がありますが、まずはそういう被害に遭わないということが重要ですので、その点も含めて各省と連携をしていきたいと思っています。悪質ホスト問題は関係省庁と連携をして、それぞれの持ち場でできることをやっていこうということであります。
- 問 自見大臣からホームページでの周知などのご発言もあったかと思うんですけれども、それの対応についていつまでにとか何か目途があったりしますでしょうか。
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答
まだいつまでにということは考えておりませんけれども、まず取り消しできる場合があるということは早急に周知をしていく必要があると思っています。