文字サイズ
標準
メニュー

新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年7月27日(木) 14:00~14:19 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭、私から機能性表示食品に関して二点お話をさせていただきたいと思います。
まず一点目でございます。機能性表示食品に対する景品表示法に基づく措置命令を踏まえた食品表示法の対応について、ということであります。6月30日に不当景品類及び不当表示防止法に基づきまして、さくらフォレスト株式会社が供給をする「きなり匠」及び「きなり極」と称する機能性表示食品に係る表示について措置命令を行った旨公表いたしました。措置命令の対象となった当該2商品については、すでに機能性表示食品としての届出は撤回されております。他方、措置命令の対象となった当該2商品と同一の機能性関与成分であって、科学的根拠が同一であるという他の届出88件について、7月3日から、科学的根拠として疑義がある点を指摘し、届出者から合理的な回答があるかどうかの確認を開始いたしました。届出者には2週間以内に回答するよう求めていたところ、現時点での回答結果を消費者庁のウェブサイトで情報提供いたしましたのでお知らせをいたします。同時に皆さんのお手元にも一部を配布させていただいております。配布資料の中身を見ていただきますとわかりますけれども、確認対象となった88件すべてから回答がありました。そのうち15件が届出の撤回を申し出ております。繰り返しここでも申し上げておりますが、機能性表示食品は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性の表示ができるという制度であります。消費者庁に届出された情報は消費者庁のウェブサイトに従来から公表しているということでございます。今回撤回を申し出ていない73件につきましては、当然ながら、商品の安全性で問題があるというものではありません。これは皆さんに改めてお話をしたいと思います。しかしながら、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択に資するよう、既に消費者庁ホームページで公表されているデータの中から今回の73件についてのデータを皆さんに改めて抜出して情報を提供しようということでございます。このウェブサイトの中にはそれぞれの商品の届出された表示、それから、それぞれについてお客様相談窓口も記載されております。したがいまして、消費者の方が気になる場合にはお客様相談室に問い合わせていただきたいと思います。
それから二点目でございます。7月25日から8月7日まで、「機能性表示食品の届出等に係るガイドライン」の改正のパブリックコメントを開始しております。これにつきましては、7月6日だと思いますけれどもこの記者会見でガイドラインを見直すというお話をさせていただきました。この機能性表示食品の届出等に係るガイドラインは、制度創設時に本制度の適切な運用を図るということを目的に指針として策定したものであります。今回の改正のポイントを簡単にご説明いたしますと、システマティックレビュー報告のための国際指針であるPRISMA声明(2009年)からPRISMA声明(2020年)に更新をされたということに伴いまして、機能性表示食品の科学的根拠の一つであるシステマティックレビューの作成をPRISMA声明(2020年)に準拠することを原則とし、そのためのチェックリスト等を改正すること、それから、届出の内容、とりわけ科学的根拠の挙証責任を届出事業者全体で負っていることを確認するため、チェックリストに届出者の代表者の確認欄を追加すること、などを改正ということにしております。ここでも繰り返しますけれども、機能性表示食品は、事業者の方々の責任に基づいて成り立っている制度ということであります。それから加えまして、この分野というのは非常に科学的な進歩、それからイノベーションが著しい分野ということでありますので、たゆまぬ努力をしてその制度の信頼性を支えていくということが必要だと考えております。パブリックコメントを経て寄せられた意見を踏まえて改正を行っていきたいと考えています。私からは以上です。

質疑応答

フリーの木村です。
まず88件のほうなんですけれども、88件のうち現時点で撤回が15件しかなくて残り73が科学的根拠があると主張しているんですけど、その数字に対する受け止めからお聞かせください。

数字に対する受け止めということは特にございません。いずれにいたしましても、7月3日に業界団体の方々にお示しした紙、それから、以前からの機能性表示食品のガイドラインでもお話をしておりますけれども、科学的な根拠があるということに基づいて表示をするというのがこの制度ですので、今回、科学的根拠があると主張する事案等については当然ながら関係法令に基づいて適切に対処していくということであります。

6月30日の措置命令の話では科学的根拠がないから措置命令になったということで、その科学的根拠がないと景品表示法上で認定された同じ科学的根拠を用いたものについて、科学的根拠があると主張しているという、そこなんですけれども、それぞれ3つの成分についてどのような主な主張があるのか教えてください。

まずご質問の内容について制度の話をまずさせていただきたいと思います。景品表示法はその事業者に調査をした上で必要な弁明の機会を設けてその事業者がそれを覆す弁明をしなかったということに基づいて措置命令をしているということでございます。その案件が全てに該当するというわけではありません。基本的にはですね。ということですので今回のものについても、この科学的な同一であるという他の88件についても実は科学的根拠があるということが立証されれば、という可能性は残っているということでございます。

2つ目の質問で、3つの成分についてそれぞれ主なもので結構なのでどのように主張されているのか教えていただければと思います。

それぞれの主張についてはここでは公表する立場にないと思っています。それぞれの主張について今申し上げた関係法令に基づいて適切にこれから対処をしていくということ、つまり、それぞれごとに問題を解決していくということです。

あとこれから先のスケジュール感的なことなんですけれども、残りの73件主張している件についてはいつまでどうするというような何かそういうやりとりはあるのでしょうか。

時間的な区切りというのはありません。今申し上げたように1件1件関係法令に基づいて対処をしていき、然るべき公表する案件があれば公表していくということです。

朝日新聞の大村です。
この88件についてお伺いしたいんですけれども、この88件はイコール単体としての商品88個ということでよろしいでしょうか。関与成分が2つ入っているような商品というのは、特に最初の「きなり」はそういうものであったわけですけれども、実数として商品が88個という理解でよろしいでしょうか。

それは今回プレスリリースした中のおそらく別紙2を見ていただければ分かるということになります。今日お配りしておりませんが、同時にホームページに載せております。これが製品の全てでありまして、92のうち、重複しているものが4つあって88個ということになります。この公表を見ていただければそれぞれの商品がどういうふうに重複しているかというのはすべて見ていただけます。

関与成分が2つあるのがどれかというのは。

分かります。

フリーの木村です。
度々すみません。届出ガイドラインのパブコメのほうについてなんですけれども、PRISMA声明(2020年)への準拠の新規届出の猶予期間が2025年4月までとかなり長く設定されているんですけれども、ここまで長く猶予期間が必要な理由について教えてください。

それについてもいろいろなご意見があると思っています。パブリックコメントの意見を踏まえて考えていきたいと思います。

あと既存のすでに公表済みの届出については随時更新して報告するようにということなんですけれども、期限が決まっていなくておそらく事業者の中にはそのまま放置しているようなところも出てくると思うんですけれども、そこに対する対策というのはお考えですか。

今後のことなので良いほうにも悪いほうにも予見可能性を持つというのはなかなか難しいんですが、冒頭申し上げましたように、たゆまぬ努力をしてアップトゥデートしていただく、この分野でイノベーションしていただくというのが制度の趣旨ですので、古いままで放置するというのはこの制度の趣旨に合わないと思います。そういう時に消費者がどういう形で選択できるのか、区別できるとか区分できるとか、そういうものも必要ではないか。あるいは古いものをそのまま置いておくような事業者が増えるということであれば一定の期限が来たら更新するようなそういうものにしていく、少なくともレビューしていくというものにしたらどうか、いろいろな考え方があると思います。この制度も始まってからだいぶ定着をし、このコロナ禍におきましては商品も非常に増えているということで、やはり消費者の支持が強い分野だと思っています。今回、景品表示法に基づく措置命令ということで相次いでいろいろな策を打ち出させていただいたのも、やはり信頼に足りる制度にするためにはどうすればいいのかということで届出という制度の枠内でどこまで信頼性を高められるかということをやってきたつもりです。またいろいろこの制度についてはご意見もありますので、全体的に見直すべきことがあるのかないのかといったレビューをしてみなければいけないなと、そういう時期になっているのではないかと考えています。

毎日新聞の阿部です。
すみません、冒頭とはちょっと別件になってくるんですけれども、中古車販売業者のビッグモーターの問題でですね、国民生活センターがビッグモーターとは言及していませんが売却トラブル、強引な勧誘などキャンセル等注意喚起しております。消費者庁の長官としてですね、今回のビッグモーターの件どういうふうにお考えなのかお聞かせください。

国民生活センターは一般的に中古車販売について注意喚起をしておりますし、その分野について一定の相談が来ているということも事実であります。この問題は消費者問題ということとですね、消費者庁の関係でもう一つの側面がございます。それは、ビッグモーターの特別調査委員会の報告書におきましては、内部公益通報対応体制が構築されていないという指摘があったというふうに聞いております。消費者庁は、公益通報者保護法の所管をしておりまして、常時使用する労働者が300人を超える事業者は内部公益通報対応体制の構築が義務付けられているということでありまして、今回、この会社におきましてその体制の整備それから実際の運用が適切であったかということは消費者庁として非常に大きな関心を持っておりまして、事実関係について確認をしているところでございます。

事実関係について確認をしているところというのは何かしらの聞き取り調査等を行う予定があるということでしょうか。

事実関係について事業者と連絡を取って確認をしているところです。

朝日新聞の大村です。
すみません。今のご質問に関連してですけれども、連絡を取って確認しているところの問題なんですけれども、先におっしゃった内部通報の体制が構築されていなかったという点とともに消費者問題の側面ということもそうなんでしょうか。

消費者問題の側面で事業者とお話をするということが必要なのか必要でないのかというのはあると思います。

そうすると消費者問題についての契約、消費者契約法に基づく対処ですとか、そうした消費者の経済被害の問題についての対応というのは何かお考えになっているでしょうか。

消費者契約法は私法、私人間の話なので、消費者庁が調査をする権限はそういうものは持っておりませんが、私どもが調査権限を持っている法令の関係で相当する事案があったのかないのかということは確認する必要があると思います。

日本消費者新聞の丸田です。
今の質問のご回答に関連してなんですけれども、ビッグモーターの件については、消費者問題としては公益通報の観点もあるということでした。もう一つあるのは、消費者志向経営、消費者志向自主宣言の中に、ビッグモーターではないんですけれども、そこに出向していた損害保険会社これが知っていながらなっていたとかですね、報道があったわけですけれども、そこが自主宣言していたわけなんですがこういうものについては何か対応ありますでしょうか。

まだ事実関係について詳細な分析なり行われていないと承知をしております。今お話があった消費者志向経営については、以前にも消費者志向自主宣言を撤回するという企業がありました。それは消費者指向経営の運営の要領に基づいてということでしたので、その要領に照らして自主宣言を撤回していただくというケースもあるかもしれません。

ヘルスビジネスメディアの小長谷です。
機能性表示食品の話にまたちょっと戻ってしまうんですが、7月3日付で機能性表示食品に係る届出資料の再検証等について依頼というのがあるんですけど、これは法的な拘束力は一切ない感じなんですか。依頼って書いてあるんですけど、この河野大臣も機能性表示食品の科学的根拠のあれですべての機能性表示食品に指示を出しましたみたいなことを言ったんですけど、それに関してはいつまでにとかそういうのがなかったんですけど、7月3日付の文書でも機能性表示食品に係る届出資料の再検証等についてという文書が出てるんですけど、これについてあくまで依頼であって再検証しなさいみたいな法的拘束力というかそういったものがあるのかどうかという。

はい、また繰り返しになりますが、これは事業者の方が責任を持って科学的な根拠があった場合にこう表示をしますということで出していただいて、それについて届出を受けるという立場にありますので、法的な意味での拘束力ということであるとそれはないと思います。しかしながら、そういう制度であるということを前提に制度の信頼性を維持・向上するために事業者が常にアップトゥデートしていただくこと。科学的な根拠がない場合にはその表示は景表法等に基づく虚偽誇大表示や食品表示法に基づく食品表示基準の違反になるという制度だということです。