新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年7月13日(木) 14:00~14:17 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室/オンライン開催)
発言要旨
今日は冒頭の発言はありませんので皆様からの質問をお受けしたいと思います。
質疑応答
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問
日本消費者新聞の丸田です。
今各地で線状降水帯が発生し、大きな災害、被災を受けていらっしゃる地域があります。これについてPIO-NETの相談業務であるとか、あるいは各地の消費生活センターで相談自体が滞っているとかそういう報告は今のところあるでしょうか。 -
答
線状降水帯まだ各地で発生しています。したがって、いつの時点でということでまとめてはおりませんけれども、先週から今週にかけて関係しているそれぞれの地域に確認をいたしましたところ、滞っているような状況はないということでございます。いずれにいたしましても線状降水帯の関係で申しますと、この記者会見でもお話をいたしましたが、その後、被災した後に屋根が壊れているとか、風水害にあって私が直して差し上げましょう、というような形で各地を訪問する事業者が最近相次いでいると聞いておりまして、それにつきましては、その場で契約を結ばない、それから保険に入っている場合には保険の事業者に直ちに連絡をするといった形で対応していただきたいということで、これを改めて周知をしたいと思います。
- 問 付随してですけれども、去年だったと思います。国民生活センターが過去5年間に被災を受けた消費生活センターを対象としたアンケート調査をされていて、その時に、災害救助法であるとか、同等の被害を受けた地域ですね、地域の消費生活センターはたしか700以上あるんですけれども、そのうちの3割ぐらいが被災したと、そのうちの1割強が相談業務自体が短期間ですけれども滞ったということ。それで、必要なものは何かと聞いたときに、平常時にいろいろと他機関との連携を密にしていくとか、自治体内外との連携は必要だということでした。一番課題としては消費生活相談というものは入ってくるわけで、そういう初期相談というのがあるんだけれども、課題として挙げられたのは継続相談というもので、要するに消費者トラブル自体は1回で解決するわけではないので、各地の消費生活センターで継続的にやっているわけですね。それが被災によって滞ってしまうということで、平常時それをどうするか等は考えておくべきだということが各地の消費生活センターから提案としてありました。それで、今回もそうなんでしょうけど、これは毎年続くような気候変動でということだと、いよいよ私自身は消費者安全確保地域協議会とかの設置であるとか活動の推進であるとかというものがやはり必要になってくるんじゃないかと思うんですね。平時こそ平常時の準備。ということもあって長官としてはキャラバンで各地に行ったりされていますけれども、こういう災害が多発するような、頻度が高まってきているような状況、環境に対してどんな対応をお考えであるのかお聞きしたいなと思いました。
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答
災害といっても災害の規模、地域によっていろいろな対応があると思っております。まさに災害のときのBCP、消費生活センターも県あるいは地方自治体の組織の一部ということですので、それぞれの自治体がどういう形でBCPを組んでいるのかというのがまず前提にあると思います。その場合に私も地方自治体にいた経験から申し上げますと、一部の業務をより優先する他の業務に振り向けざるを得ないということも当然発生いたします。職員を避難所の支援でありますとか、応急のいろいろな緊急の措置の方に振り向けなければいけないということは当然想定をされます。いずれにいたしましても災害に備えてどういうBCPを作っていくのかということは、地方自治体内での責務だとも思います。それから消費者庁としてどういう形でやっていくかということを申し上げますと、今少しずつ進んでおりますけれども消費生活センターの広域の連携をしていく、ここで受けられないものは他で受けるといったものが一つのセーフティーネットになっていくと思っていますので、その辺の調整をうまくやっていくということです。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
7月6日に公表された消費生活相談員と行政職員のアンケート調査結果について質問させてください。行政職給料表の1級に位置付けられている相談員が7割を占めていたというような報告が出ているのですが、一般の人にはこの1級が何かというのはとても分かりにくい。相談員さん自身、何級何号に位置付けられているか分からないという方も多く、質問の回答が千人ちょっとぐらいに留まっていたというようなこともあるのではないかと思うのですが、一般の人にも分かるような資料とか説明を合わせて公表していただくことはできないでしょうか。 -
答
アンケート調査全体を踏まえまして、先週河野大臣から、この消費生活相談のサービス向上に向けた体制を再構築していくということで、三つのステップで進んでいくようにというお話をいただきました。一つはアクションプランに基づいてデジタル化をできるところから進めていくということ。それからシステム構築とか業務基盤の予算要求をしていく、それからデジタル化あるいは国との役割を踏まえて見直していくというお話をいただいたところです。アンケート調査、おっしゃるとおり千数百人の回答ということではございますが、多くの質問に皆さんしっかり答えていただきましたので、これからの議論の一つの基礎になるのではないかと考えています。さらに詳細な分析はこれからの議論の中でやっていくということだと思っておりますが、まずはこの中で、やはり皆さんの、実際に行っている方々の意見を聞いていくということが必要だと考えておりますので、来週の18日と19日、地方自治体の皆様方に向けた説明会、これはウェブで双方向ということでやっていきたいと思います。その中でできるだけ分かりやすい資料というお話もいただきましたので、できる限りの分析を加えた資料も皆さんに提供することによって、今後を考える重要なデータとして使っていきたいと考えています。現在、来週の18日と19日の説明会には、すでに200を超える県あるいは自治体の方が参加をしていただいておりまして、この中で皆さんの声を、この夏しっかりとくみ上げていき、それで次のステップに進んでいきたいと考えています。
- 問 1級というのはだいたい高卒とか大卒も含めて新規採用の職員に位置づけられるもので、高卒がだいたい1級5号俸と言われている。だいたい1級15号俸以下の時給が984円以下の相談員さんが18.9%ということで、40号俸で時給が1278円以下の人が51.4%と半数を超えるというような結果が出たということが、皆さんに伝わるというような伝え方をしていただきたいなと思います。それでその中で逆に専門の看護師や保健師さんと一緒のところの2級に位置づけられている人たちが2割はいたということです。係長級扱いの3級の相談員が予想以上に多くいたんですが、実は60人くらいの本当にその3級の人がいるのか、正規職員で相談をしている人が含まれているのかどうかというところも含めてちゃんと精査していただきたいと思っていて、逆にそういう先進的な事例をPRもしていただきたいと思うのですが、2級の何号俸に位置づけられているか、3級の何号俸に位置づけられているかもこの調査では分かりません。先進的な好事例があればお教えいただけないでしょうか。
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答
今いただいたお話はこれから秋口にかけて議論していく中でしっかり分析を加えていきたいと思います。他方、全数調査ではありませんので、やはり一部の調査、一部の方々のデータだということを前提にこの話は進めていかなければいけないと考えています。
- 問 加えて、先ほど18日と19日の説明会のお話をいただきましたので、7月7日に公表された消費生活相談デジタルトランスフォーメーションアクションプラン2023について、そこで説明がされ、ガイドラインであるとか運営標準ガイドラインのようなものが出てくるのではないかと思うんですが、このトランスアクションプラン2023の10ページに、DX後の相談体制構築に向けた取組というページが出ています。この中に広域連携の設置・規模拡大、指定消費生活相談員や主任相談員の指定拡大、無資格・未経験者の育成、活用促進、相談補助員の配置というような内容が盛り込まれています。自治体にはどのような取組を求められるのでしょうか。
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答
消費生活センター、それから相談員の方の規模、それからいろんな相談員の方々の経験というのは各地方いろいろばらつきがあるというのが現状だと思っています。消費生活相談で私たちは何を目指していくのかということをこれからの議論でやはりはっきりさせていかなければいけないと考えています。私が思いますに、日本全体として、ユニバーサルサービスを確保していく。どこにお住まいの方もしっかりとした専門的な助言を受けられ、場合によっては斡旋などを受けられるという体制をこれから敷き続けていくということが必要です。地方自治体、なかなか財政的にも厳しい中、今でも3300人規模の相談員の方々を維持していらっしゃるということは、私はこれは素晴らしいことだと思っています。そういう中で、より質の高い相談を国民全員が受けられるためにどうすればいいのかという視点で議論をしていきたいと思っておりまして、それに向けて皆さんの意見を聞いていきたいと思っています。細かな分析やこれからのやり方というのはまさに皆様のご意見を聞いた中で構築していくということですので、それに必要なデータを提供し、皆さんと議論を積み重ねていきたい、相談員の方々それから地方公共団体の方々と議論を積み重ねていきたいと思っています。そういう先鞭ということでこの前作りましたDXのプランというのは、有志の地方自治体14団体の方に集まっていただいて、30回以上意見交換をしていただきました。実際の現場でのフィージビリティがどうなるかということを中心にやってきたものですので、これをどうやって横展開をやっていくか、それぞれの自治体に合わせてどこができてどこができないのかといったことを積み上げていくということによって、より質の高い効率的な相談体制を築いていきたいというのがまず一番最初の眼目です。その上で具体的には2026年にPIO-NETのシステムが切り替えられるという現状がございます。これに向けてどういう形で再構築をしていくのかということが焦点と思っていますので、いただいたご意見、それからこれから皆様との議論の中で出てくる意見を踏まえまして何が最適なのかということを考えていきたいと思っています。
- 問 前提として、その14自治体はどのようにして選ばれたのでしょうか。
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答
それは後ほど事務方から、有志ということですので事務方からお答えをさせていただきます。
- 問 それから、今回お話になられる取組の中に、河野大臣がおっしゃっていたドラスティックな再構築は含まれるのでしょうか。
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答
ドラスティックというのが何を意味するのかというのはなかなか難しいと思います。そこは価値判断が入るところだと思いますが、今お話しした通り、ユニバーサルなサービス、質の高い相談を全国民が受けられるために何がベストなのかという視点で検討していきたいと思いますので、それが現状で十分であればその現状を維持するということですし、現状で不十分な点があれば改善していくということだと考えています。
- 問 昨年拝見したたたき台とあまり項目的には変わっていないですが、その提案をどう実現させていくのか。自治体に提案しただけで自治体にお任せということでは進まないと思うのですが、その辺についてもご配慮はいただけるんでしょうか。
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答
そこは自治体にお任せということではありません。しかしながら、地方自治体のそれぞれの実態も踏まえる必要があると思います。それから消費者行政自体、住民サービスの一環という意味もありますのでそこにおける国と地方の関係というのは今までの関係もありますし、国が一定の方向性を示した中で地方自治体がどのようにやっていくのかということは、国と同じパターンでということではおそらく進まないと思っていますので、そこはやはり地方としっかり話をしながら進めていくということが必要だと思います。