新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年6月8日(木) 14:00~14:20 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室/オンライン開催)
発言要旨
よろしくお願いいたします。資料配布しておりますけれども、2点お話をさせていただこうと思います。
今月20日(火)、「サステナブルファッションに関する日EU国際シンポジウム」を開催いたします。本シンポジウムのテーマは、「未来を変えるサステナブルファッションの可能性~日EUの取組~」です。第一部の基調講演では、欧州委員会の政策責任者の方々から、環境負荷軽減の取組や、アパレルファッション業界のサプライチェーンにおける人権に配慮した取組等を中心に、世界をリードしているEUの先進的な取組をご紹介いただきます。第二部では、日本で積極的にサステナブルファッションに取り組む事業者によるラウンドテーブルを実施しまして、未来を変える具体的な取組や、さらなる実施に必要な連携等について議論いただくということでございます。このラウンドテーブルにおきましては、次世代を担う家政学部の学生にもご参加いただいて、ご提言、ご意見をいただこうということでございます。当日は会場とYouTube配信を併用したハイブリッド開催としておりまして、後日、本シンポジウムの様子は消費者庁のYouTube公式チャンネルにも配信する予定です。また、会場参加をご希望される方の登録は、6月6日(火)から消費者庁のウェブサイトで受け付けております。ぜひ多くの皆様に参加、ご視聴いただきたいと思います。
次、2点目でございます。令和5年度第1回消費生活意識調査の結果について公表させていただきます。本調査は、令和5年4月に、特定商取引法をテーマとして、今後の周知広報活動に活用することを目的に、特定商取引法の認知・理解に関するアンケート調査を行ったものです。お手元に資料を配布してございますので、調査結果のポイントをご説明させていただきますと、クーリング・オフについて、制度の名称の認知度は約9割に上りました。しかしながら、クーリング・オフ制度についての消費者の理解度に課題がありまして、どのような時にクーリング・オフができるのか、それともできないのか、クーリング・オフについての正しい内容を知ってもらうことが重要であるということが分かりました。具体的に見ていただきますと、配布資料の2ページになりますけれども、クーリング・オフについて内容を知っていると回答した方の中で、どのような場合にクーリング・オフができるのかということで調査をしたところ、できないもの、店舗での買物でありますとか、通信販売での買物でありますとか、このようなものについて、クーリング・オフができると答えている方が結構な割合になっている。特に、通信販売では82.4%になっているということでございまして、やはり正しく理解をしていただくということが必要であるということが分かったところでございます。またクーリング・オフ制度に加えまして、直近の制度改正の内容について、その認知経路について聞いたところ、若年層は学校・勤務先が、高齢者はニュースや報道が、最も高いということが分かりました。今後、この調査結果を参考にいたしまして、制度の理解促進をはじめ、効果的かつ正確な情報発信に努めてまいりたいと考えております。なお、クーリング・オフについてはチラシを作成いたしまして、この結果を受けて当庁のホームページやSNS上でさらなる周知を行ったということでございます。この中で、認知経路としてニュースや報道が最も高いということですので、本日お越しの皆さまにもぜひ積極的に情報を発信していただく旨ご協力いただきたいと考えているところでございます。
質疑応答
-
問
通販新聞の佐藤と申します。
「送料無料」表示の見直しについて、物流の方の政策パッケージが出ているんですけども、これは見直すということは決定事項で、あとは方法論という理解でいらっしゃるかどうかというのを伺います。
-
答
決定事項とはどういう意味ですか。
- 問 要は見直す、変えていくというのがもう決まりで、他はそれをどう直すかという捉え方なのか、それとも変えるべきかどうかというところから始めていくのかというところです。
-
答
我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議においては、見直しを検討していくということですので、まずは事業者のヒアリングを始めると大臣から発言いただきましたが、なぜ送料無料になっているのかというのと実際の費用負担の状況とか、それに対して消費者がどう反応しているかとか、いずれにせよ送料無料ということが物流問題の消費者理解を促す上で障害になっていないかどうかということが重要なポイントですので、その辺は実態を踏まえて今後対応していくということです。まずそのための関係者のヒアリングを始めます。
- 問 例えば、いろんな検討の場でいろいろ言われているんですが、消費者の意識調査みたいなものの根拠はお持ちだったりするんですか。消費者庁として。
-
答
「送料無料」に絞った調査ということでは無いと思います。
- 問 それは今後実施していくとか、事業者に対するヒアリングというのはあるんですけれども、消費者に対しての意識というのは何か調査されていくという予定はありますか。
-
答
そういうものも含め、アンケートという方式がいいのか、消費者団体の方々にヒアリングをするのがいいのか、いろいろやり方あると思いますけれども、いずれにせよ全般的に意見聴取をまず開始します。
-
問
フリーの木村です。
冒頭発言の意識調査について、この結果、クーリング・オフの部分なんですけれども、通販での買物とか他にも訪販とか、消費者が誤解しているような部分が多いのかなと思ったんですけれども、それに対する受け止めをお聞かせください。
-
答
先ほど申し上げましたとおり、法律の制度上のクーリング・オフと、事業者の方が独自に契約の中で、レシートを持ってきてくださったら返品しますよとか、何日までは返品するとか、送っていただいて結構ですよと、そういう事業者の方が努力しているものもあるということが、ここの中で制度のクーリング・オフと若干、混在といいますかごちゃごちゃになっているということが一つあるのではないかと思います。事業者の方がそれぞれいろんな形で消費者の利便性のために、返品なり交換の期間を作っていただいている。それはそれでいいことだと思います。クーリング・オフについては、何人かの相談員の方にお聞きしますと、クーリング・オフはできるはずだということで電話をいただいて、制度を聞いてみると実はできなかったということで、そこを説得するのが実は大変なんですよというご意見を聞きました。これはなかなかクーリング・オフできる時とできない時、それから何日間かというのは制度上入り組んでおりますので、これを正しく伝えていくというのは責務だと思っています。消費者庁として改めて情報発信をしたということでございます。
- 問 先ほどの今回の調査を受けて効率的な情報発信を努めていくということですが、今何か考えられるような方向性とかあれば教えてください。
-
答
一つは、法律の名称云々というよりは、今回のクーリング・オフもそうなんですけれども、皆さんがやるときに、できる・できない、ということを事柄ではっきりやっていくということが必要だと思いますし、継続的にやっていくということが必要だと思っています。それから認知経路を調べたところ、国民生活センターや消費生活センターの情報というのはいずれも十数パーセントということで、一定の皆様がレファレンスするものということになっておりますが、悲しいかな消費者庁のものはいずれも5パーセント程度ということですので、消費者庁の発信の仕方も少し工夫をしていかなければいけないなというふうに切実に感じるところでございます。
-
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
改めて今のお話でお聞きしたいと思います。クーリング・オフの件なんですけども、今おっしゃったように相談員の方が説得するのが大変だと、この制度は、要するに通信販売の件です。インターネット通販についてはクーリング・オフが必要だという、これは別途の意見ですけども、要するに特商法の中で、改正の中でもずっと通信販売についてはクーリング・オフが必要だということで、消費者団体の方々も改正を求めている。その中の一つが必ずこれでした。要するに、通信販売について8割の人が誤解されているという結果なんですけれども、これはだからそれをそうじゃないんだよということを説得するということと、実際はこういう形で消費者の方が誤解しやすいということもあって、こうなると法の改正とかということも一つステップとしてあるんじゃないかなと思うんですけども、長官はどうですか。
-
答
そういうご意見もあるということは承知をしております。特定商取引法は訪問販売を中心に始まって、それぞれ取引の安定性、それから消費者の意思が、不意打ちであるとか非常に継続的な役務なりの提供になって被害が多いとか、いろんなせめぎ合いの中で今まで法改正をしてきました。ご存じのとおり特商法は不断に見直しをしてきているということですので、これについて排除するつもりはありませんが、やはりそれぞれの論点を総合的に考えていかないといけないという問題が、これに限らず、特商法という世界では常にあるということは認識をしています。
-
問
日本消費経済新聞の相川です。
今、クロス集計の結果を見ていたのですが、詳細の結果のところがまだ見切れていないのですが、結構期間内に解約ができるというものが、例えば、この連鎖販売取引なんかは50%しかないというようなところで、成年年齢引下げで高校生を中心に消費者教育に力を入れたということで、通販にないというところはかなり浸透しているんだけれども、年齢層のクロス集計の結果がまだ見つからないのですが、消費者教育とかアプローチの方法も考えないといけないというところがあるのではないかと思いました。それで、電子メールによってクーリング・オフができるということを知っている人が30%しかいない。ハガキでできるという人も53%しかいないということなので、あまりにも衝撃的な内容ではないかと驚いています。もうちょっと具体的に何か周知の方法とか教育の方法で具体的に今お考えになっていることがあればお教えください。
-
答
今、相川さんからご質問がありましたが、私も実はこの結果を見て衝撃を受けたところでございます。クーリング・オフという単語が非常に広く流布しているということは分かったのですが、その具体的な内容とあまりに理解に差があります。まずは、クーリング・オフのできる場合できない場合ということを再度周知させていただきました。これからおっしゃったとおり、この前の契約はいつ成立しますかという質問も、やはり成年年齢引下げの時の教育を受けた方が高かったということもありますので、繰り返し皆さんにお伝えしていく場をどのように設定をしていくのかということが課題だというふうに思っています。消費者教育はいろいろ細かな難しい話もありますけれども、基本的に多くの方が接するような購買の場面、それから契約の場面で同じような知識を持っていただくということが必要だと思っていますので、これは消費者教育の中で今、消費者力、ということで、そんなにたくさんの質問ではなく、皆さんが教材なりウェブなりでできるものというものも今準備しています。
-
問
ここでちょっと周知したからといってどれだけの方が知ってくださるんだろうかということがありますので、やはりその地域とか学校とか学校現場だけではなくて、大人の方たちも対象にした何か考えていかないといけないのではないかなと、ちょっと衝撃的なので少し消費者庁の方でも検討いただければと思います。
それから別件で、実は骨太の方針2023原案が昨日公表されました。この中の国民生活の安全、安心の中に、食品表示基準の国際基準への整合化を推進という文言が入ったことに大変関心を持っていまして、消費者庁は今まで何度もいろんな試みをしてきたんですけれども、現実的にはなかなか前に進まなかったという現状があります。長官もご専門ですので、一体どのような取組でどの程度のことをお考えになっているのかお教えいただけないでしょうか。
-
答
まず骨太の方針についてはまだ決定をしたということではございませんので、そこでのコメントということでは差し控えさせていただこうと思いますが、食品表示の国際基準、グローバル化というものについては昨年来いろいろな場面で提言が行われている事項であります。一つは昨年末に農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略で、食料供給のグローバル化に対応して消費生活グローバル化と食料消費の合理的な選択の双方に資するため、現行の食品表示制度を国際基準(コーデックス規格)との整合性の観点も踏まえて見直すというふうに提言をされておりまして、今決定に向けて議論をしていただいております消費者基本計画の工程表の中でも書いているということでございます。当然ながら食品というのは人口に大きく左右されます。人口の規模によって食品というのは左右されるということになりますと、日本に健全な食品の産業があって、皆さんがいろいろな食品を楽しめるという状況の中にあっては、やはりグローバルな市場でしっかりと供給できるということと裏腹でないと、大手だけではなく、地域の食品産業も成り立たないという状況になっています。実際地域の中堅中小の皆様も食品を最初から輸出するような形で組み直しているというところも多くなっているという中であっては、やはりその障害を一つでも少なくしていくということが必要だと思っています。それはひいては日本の多様な食品を継続的に楽しめるという点において消費者にも裨益するものだと思っています。この中にもありますように、食料消費の合理的な選択とグローバル化と、この大きな軸の中で皆さんに利益があるような形での見直しを本格的に開始をしていきたいと考えているところです。
- 問 つい先ほど本当に直前、今も検討会が続いているんですけれども、消費者委員会の本会議で基本計画工程表の修正が行われて、この部分に関して有識者からなる懇談会において順次議論をしていくというものが追加されたという報告がありました。その件についてどのような懇談会を組織していかれるんでしょうか。
-
答
工程表の中で書かせていただいた手順で進めていこうということでございまして、具体的にはこの夏以降、そのような懇談会を発足します。
- 問 メンバーについてはどのような、どのくらいの組織でしょうか。
-
答
メンバーについてはまだ調整中ですので、メンバーと議論すべき事項、懇談会としての枠が決まったところで、また皆様に公表させていただきます。