新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年3月23日(木) 14:00~14:18 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭、私から三つ、お話をさせていただきたいと思います。
一つ目は、お手元に資料を配布しておりますけれども、消費者庁では今週25日(土)、13時半から16時までということで、「孤独・孤立と消費者被害」のシンポジウムをオンラインで開催をすることにしております。
このシンポジウムは、適格消費者団体と孤独・孤立対策NPO等が連携をし、実施するものでありまして、昨年12月と今年の1月に実施をしたオンライン相談会で寄せられた消費者被害の相談事例を基に、パネルディスカッションをしていただくということでございます。
このパネルディスカッションには、自立のサポートセンターの方、社会福祉協議会の方、消費者相談をやっていらっしゃる方、それから大学生も御参加をいただいて、幅広い立場から御意見を頂こうというふうに考えているところでございます。
なお、オンライン相談会に寄せられた相談内容、相談数等について御報告させていただきますと、最終的には150件でありまして、そのうち、事務局が分析したところによりますと、大体4分の1は相談者の孤独・孤立の状態が伺われる、相談する相手方がいないとか、そういう状況が伺えるというものでありまして、相談内容としては、定期購入のトラブル、それから副業サイトに関するものということで、相談内容自体、特殊な傾向が見られるということではなかったというふうに思っております。
しかしながら、やはり経済的な不安が孤独・孤立に結びつき、特に副業などのもうけ話に乗ってしまう傾向があるということや、つながりを求めてSNSを利用して、詐欺的なものに遭ってしまうというような傾向が見られるというふうに考えられておりまして、これらのシンポジウムの中では、若者、高齢者、貧困といった切り口で、どういう形で消費者被害を防いでいくのか、今後の課題等について、パネルディスカッションを行っていただく予定です。
2点目でございます。こちらもお手元に資料を配布させていただいておりますが、霊感商法等の悪質商法への対策検討会の報告書等を踏まえて、若年層、一般社会人、それから高齢者の各世代に向けて、霊感商法等の悪質商法に関する新たな啓発チラシを作るということが盛り込まれており、関係省庁連絡会議においても消費者庁の役割として、消費者教育の一層の充実というのが求められたところでございます。
その後、作成に当たりまして、カルト問題の専門家、それから全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士の方々等の御意見を仰ぎまして、限られた分量の中で、どういうふうに伝えていくのかということで、いろいろ御示唆を頂きまして、本日チラシを作り、ウェブサイトに掲載をしたところでございます。
若者向けを見ていただきますと、偽装サークルによる勧誘や、SNSのもうけ話、一般向けにおきましては、不当に金銭を支払わせる占いサイト、高齢者向けには、もうけ話でだます利殖商法といったもの等を特に紹介をしておりまして、それぞれの各世代の傾向がある被害の実態を踏まえた対策ということにしているところでございます。
基本的には、少しでもおかしいと思ったらきっぱりと断っていただくこと、誰かに相談をしていただくということが重要でありますので、消費者ホットラインの活用、それから周りにだまされそうな人がいたら、ここに電話したらどうでしょうかと周りの方に勧めていただくということが必要かと思っております。
この啓発資料、これから印刷にかけるものもございますし、地方公共団体、それから特に大学におきましては、大学生協の御協力を得まして、これから来年度春のシーズンで、サークルの勧誘でありますとか、新生活を今までと別の場所で迎えられる方々というのが多いと思いますので、それぞれ普及啓発をしていきたいと考えているところでございます。
それから、関係省庁にもいろんな場で使っていただくよう、これから消費者教育推進会議の幹事会で、関係省庁に働きかけていきたいというふうに考えています。
次に、最後でございます。これもお手元に配布をしておりますけれども、外食・中食の事業者が行う食品のアレルギー表示というものは、それぞれ食品が非常に多様であるということ、それから、基本的には表示というのは、容器包装の加工食品で行われているということでございますので、外食・中食ではアレルゲンの表示が義務付けられておりません。
しかしながら、外食・中食でもアレルゲンの情報を求めるという患者団体の方々の意見も多いということ、アレルギー疾患対策基本法の中でも、アレルギーの情報をできるだけ伝えていくということがうたわれておりますので、本日、いろんな方々、特に専門医、それから事業者等の意見を聞きながら、患者の方向け、それから事業者の方向け、双方に留意すべき事項を整理した上、啓発資料を作成いたしました。
これにつきましても、今後、関係各省庁、それから関係団体と一緒になって、周知広報をしていくということでございますが、特に農林水産省の協力の下、地方公共団体や外食・中食産業の業界団体に協力を依頼するということ、それから、事業者への講習会等でも配布・活用をしていきたいと考えております。
また、厚生労働省の協力の下、中心拠点病院や都道府県アレルギー疾患医療拠点病院等においても、食物アレルギーの患者の方々への配布に協力をしていただくということでございます。
本啓発資料は、ホームページで皆さんも御覧いただけますので、御活用いただきたいというふうに思います。
質疑応答
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問
共同通信の池上です。
ちょっと冒頭の御発言と違う件なんですけども、成人年齢の引下げから間もなく1年となります。現在、脱毛エステに関する相談が多いですとか、国民生活センターとかもいろいろと発表をされているんですけれども、消費者庁として、今、若者をめぐる被害とかの現状はどうなっているかという御認識をお伺いしたいのと、もっと注意喚起ですとか、取組ですとかあればお伺いしたいです。
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答
成年年齢引下げ、昨年の4月1日からということですので、間もなく丸1年ということでございます。
今までの相談件数というのを、2月末日までということで調査をさせていただきますと、20代の方、これ20歳から29歳までということですけれども、その相談が大体7万1,288件ということで、18歳、19歳は8,184件というふうになっています。この数自体はそんなに昨年と比べて前後しているというわけではないというふうに認識をしております。
しかしながら、お話を頂きましたとおり、本年度は、20歳代と18歳と19歳のいずれにおいても、脱毛エステに関する相談が最もよく寄せられているということです。20代、先ほどお話しいたしました7万1,288件のうち、脱毛エステに関するものが1万540件ということで、約7分の1が脱毛エステに集中しているという状況にございます。
この脱毛エステについては、国民生活センターにおきまして、累次の注意喚起を発出しております。詳しいものは、2021年12月に行われた注意喚起が、いろいろな中途解約とか、精算のトラブルとか、幾つか注意喚起をしておりますので、これらについては、是非、契約書をよく見る、それから、その場で契約しろと言われても一旦持ち帰るといったことが必要ではないかと思っています。
この成年年齢引下げについては、それに先立ちまして、2016年度から消費者教育の教材として「社会への扉」ということで、基本的な契約に伴って発生する義務なり、権利なりというものについて教育をしておりまして、幸いこれらの高等学校における実践的な活用は増えておりまして、2021年度は91%の高等学校でやっていただいているということでございます。これをこれからも着実に毎年毎年やっていくということです。
それから、実際に相談をしていただけるような状況を作るということで、これは本人ばかりでなくて、周囲の方々も何か困ったときには、消費者ホットラインに相談をしていただくと、必要な助言が得られるということですので、その活用についても、更に関係省庁と連携をしていきたいと考えています。 -
問
フリーの木村です。
冒頭発言の食物アレルギーの外食・中食の件なんですけども、外食・中食は義務付けではない状況なんですが、その数字を見ていると、なかなか浸透していないのかなと感じていて、例えば消費者庁の方でもう少し強めに協力を業界に求めていくことは可能なのかどうか。また、その予定があるのかどうかという点について教えてください。
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答
先ほど申し上げましたけれども、消費者庁とともに、業界を所管している関係省庁と一緒にやっていくということが必要だと思っていますので、消費者庁が参加しながら、浸透させていきたいというふうに思います。
- 問 強く求めるというところまでは、なかなか難しいものですかね。
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答
このパンフレットを作ったこと自体は、業界団体の方と議論をしてきましたので、その過程でしっかりやっていくべきだという話を団体からも頂いております。レストランで食事をしたり、物を買うときに、安心して買いたいと思わせるアピールポイントという言い方は変ですけれども、そういう会社だな、そういう事業者だなということが皆様の中で浸透していくということが必要です。従いまして、このパンフレットを作ったこと自体がやはり一種の改革につながってきていると思いますし、それを更に多くの方が実践していただけるような状況というのを作っていきたいと思います。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
年度が変わるということで、相談員さんの国家資格試験について質問させてください。
消費者庁は無料の資格対策講座を始めて、今年3年目になって、これまでの受講生が4,000人ぐらいになると思うのですが、この受講生の中から本年度相談員さんに何人ぐらいがなってくれることになったのでしょうか。
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答
今お話しいただきましたのは担い手確保事業ということだと思いますけれども、令和4年度、現在集計中ですので、取りまとめができた時点で公表したいというふうに考えています。
- 問 まだ分からないということですか。
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答
まだ集計中ということであります。
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問
消費者基本計画の工程表に関連してもう少し質問させていただきたいんですけれども、今、消費者庁の対策としては、キャラバンで相談員の処遇の改善とスキルの向上について、地方公共団体にお願いする政策しか掲載されていません。
令和7年の段階になって、強化作戦の見直しとともに、必要な取組を実施するということなので、何か検討されるのではないかと思うのですが、消費生活相談員さんの人件費に活用している推進事業分、地方強化交付金の推進事業分というのが、ほとんど2026年にはもうほとんど終わってしまうようなところがありまして、具体的に何かもうちょっと早めに検討をするようなスケジュールというか、予定とかはないのでしょうか。
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答
消費生活相談員の方々の処遇改善については、会見でも何回か御質問いただいておりますし、私も先週実際に新潟県に参りまして、相談員の方々とお話をさせていただきました。
本当に相談員の方々が、親身になって相談に乗っていただいて問題を解決していただく、それから、相談員の方々がPIO-NETに入れていただいた情報を基に、どういう形で施策を練っていくかということで、消費者庁のバックボーンになっている。いろんな意味で相談員の方々の活動というのが、本当に消費者庁の施策を支えているのだと考えています。
この相談員の方々の処遇の改善につきましては、会計年度任用職員制度でお仕事をされている方が多いということ、それから、各県の消費生活相談においてどういうことが課題なのかということも併せて、実際にしっかりと調査をしたいというふうに考えておりまして、これを年度明けということで、今、調査票を練っているということでございます。
その調査を踏まえて、今お話ありました次の段階にどういうふうに国が対応するのか、それから、地方公共団体との関係をどうするのか、見直さなければいけない点というのは多々あるというふうに思っておりますが、いずれにしてもデータを基に、まずしっかり現状を把握していこうということで、この調査を早急に行いたいと考えているところです。 -
問
資格試験、対策講座の参加者が、2020年度は821人、2021年度は1,580人で、2022年度は1,600人なんですが、就職できた方が把握できているというのが、初年度は6人で、2年目は13人ということで、少しは増えていていただきたいとは思うんですけれども、なぜ就職していただけないのかということについても、丁寧にヒアリングとか、聞き取り調査をして、是非それに対して改善に向けて検討をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それから、もう1点だけいいですか。もう4月1日から不当寄附勧誘防止法の執行部分が施行されるんですけれども、処分基準案に対するパブコメはとうに終わっていると思うんですけど、パブコメ結果はどのようになっていますでしょうか。 -
答
4月1日の施行に向けて、最終的にいろんなものを準備しているということでございます。これにつきましては、先般の記者会見でもお話をさせていただきましたが、河野大臣の会見の中で、方針をお話しし、それから、法的に公表が義務付けられているものについては公表していきたいというふうに考えています。
- 問 余り時間がなくて、どの課に何人程度執行担当者を置いて、どういうふうに執行をしていくかということも、さすがに1週間前ですので、余り悠長なことはしてられないのかなと思いますので、一応質問させていただきました。まだ何も言えないということですか。
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答
恐らく明日の記者会見で、大臣からお話をさせていただきます。