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第二百八回国会 参議院消費者問題に関する特別委員会における若宮内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)所信表明

消費者及び食品安全担当大臣として、所信の一端を申し述べます。

コロナ禍における新たな日常や、デジタル化の進展など、消費者を取り巻く環境は複雑化、多様化しており、消費者政策の課題も日々変化しています。こうした課題に対し、現場の声を聞き、消費者目線という横串を貫いていくことが重要であり、消費者行政の司令塔として、関係省庁と連携し、これから申し上げる施策の推進にしっかりと取り組んでまいります。

まず、今国会に提出しました消費者契約法及び消費者裁判手続特例法の改正案について申し上げます。
消費者契約を取り巻く環境の変化を踏まえ、消費者が事業者と安全・安心に取引を行うことができるよう、消費者の利益の擁護を更に図ることが必要です。このため、契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる類型を追加する等の措置を講ずるとともに、消費者団体訴訟制度が、消費者にとって利用しやすく、消費者被害の救済がされやすいものとなり、さらにはそれを支える団体の活動が促進されるよう、被害救済手続の機能向上を実現してまいります。是非とも今国会にて成立させていただきたく、委員各位の御理解・御協力をお願い申し上げます。

次に、本年四月から成年年齢が引き下げられることを踏まえ、関係省庁とも連携し、実践的な消費者教育の充実、SNSを活用した情報発信の強化等を図るとともに、若年者の被害も多い詐欺的な定期購入商法に対する改正特定商取引法による厳正な法執行を行うなどにより、若年者の消費者被害の防止に集中的に取り組んでまいります。

また、消費者の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
食品表示は、消費者の商品選択に当たっての入口であり、かつ、重要な判断材料です。消費者の自主的かつ合理的な食品の選択に資するよう、その厳正な法執行を始めとした適切な制度運用に努めます。
また、新型コロナウイルス感染症について、消費者向けの注意喚起を引き続き実施するとともに、様々な不当表示や悪質商法に対し、景品表示法、特定商取引法などの所管法令を厳正かつ適切に執行します。
これらにより、消費者被害を防止し、公正で信頼のある消費者取引を実現してまいります。
食品の安全に関しては、関係省庁とも連携しながら、食品に関するリスクコミュニケーションを行うなど、正確で分かりやすい情報発信を行います。
消費者事故等の原因調査を行う消費者安全調査委員会の調査の拡充や発信力強化を図ってまいります。

現場である地方の消費者行政の充実・強化にも取り組みます。
昨年十一月には、東京都や徳島県の相談現場を訪問し、現場の方々と意見交換をしてまいりました。現場の声をしっかりと汲み取り、政策に反映させてまいります。
具体的には、地方消費者行政強化交付金を通じて、地方公共団体の取組を広く支援するとともに、相談員の担い手確保など現下の課題に取り組んでまいります。
加えて、消費者の利便性向上や相談員の負担軽減を目指し、消費生活相談のデジタル化を進めるとともに、消費者ホットライン「一八八(いやや)」を周知し、消費生活相談をより身近なものにしてまいります。
さらに、孤独・孤立の状況にある方や、高齢者、障害者等の消費者被害防止のため、「見守りネットワーク」を全国に構築する取組を進めてまいります。
これらにより、消費者がどこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられ、誰一人取り残されることがない体制の構築を図ります。

消費者、事業者が連携して豊かな消費社会を作り上げていくことも重要な課題です。
我が国の食品ロス量は年間五百七十万トンに上り、コロナ禍で食事を満足に取れない困窮者の方がいる中、大量の食品ロスの発生は、社会全体で解決すべき大きな課題です。関係省庁とともに食品ロス削減に全力で取り組んでまいります。
また、事業者が消費者の声を聴き、かつ、いかすとともに持続可能な社会の構築にも寄与する消費者志向経営を推進してまいります。
つくる責任、つかう責任の考え方の視点で、多様な課題に対し、国、地方公共団体、事業者、消費者等の連携による取組を進めてまいります。

最後に、徳島に設置した「新未来創造戦略本部」では、引き続きモデルプロジェクトや政策研究、新たな国際業務等を実施することにより、消費者行政が直面する先進的課題への対応を進めてまいります。

以上の施策の実施に当たっては、担当大臣である私の下、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの緊密な連携を図り、それぞれの役割を最大限発揮させながら、消費者の安全・安心の確保と豊かな消費社会の実現に全力を尽くしてまいります。

舟山委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

令和四年三月九日