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「世界消費者権利デー」を迎えるに当たって (令和5年3月14日)

世界消費者権利デーは、1962年3月15日に、米国のケネディ大統領によって消費者の権利(安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聴かれる権利)が初めて明確化されたことを記念し、消費者の権利を促進するために国際消費者機構(CI : Consumers International)が提唱している世界的な記念日であり、今年で40周年を迎えます。

我が国では、消費者基本法の基本理念に「消費者の権利」を位置付けています。これは、それまでの消費者保護基本法を、消費者を保護する法律から自立する消費者の権利を守る法律に転換するため、2004年に議員立法で消費者基本法に改正した際に位置付けたものであり、私も関係議員の一員として、積極的に改正の議論に参加しました。「消費者の権利」は、消費者政策の基本理念として、様々な制度整備の土台となっていると考えています。

また、消費者は権利を有すると同時に責任を負う存在でもあり、国際消費者機構も環境への配慮を含む5つの責任を提唱しています。

今年の世界消費者権利デーのテーマは、「クリーンエネルギーへの移行(Clean Energy Transitions)」です。

CIにおいて本テーマを選んだ背景には、国際的なエネルギー情勢が大きく変動し、特にぜい弱性を抱える消費者に大きな影響を与えていることが挙げられています。また、手頃な価格で信頼性が高く、持続可能なクリーンエネルギーへのアクセスを増やすことは、壊滅的な気候変動を回避する上でも大きな役割を果たすとされています。

我が国においても、将来の世代も安心して暮らせる、持続可能な経済社会をつくるため、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。そのカギとなるのが、太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスといった「再生可能エネルギー」です。

消費者庁では、地域の活性化や雇用等を含む人や社会・環境に配慮した消費行動(いわゆる「エシカル消費」)の普及・啓発に取り組んでいます。そうした消費行動の一つとして、「再生可能エネルギー」の利用の促進も重要であると考えています。エネルギー利用に関する消費者の日常生活での行動変化は、カーボンニュートラルの実現につながるものです。消費者庁が昨年行った調査では、社会的課題・社会貢献活動の中で「気候変動」に関心があると答えた消費者は約71.2%おり、多くの方が関心を持っていることが分かりました。一方で、人や社会・環境に配慮した商品・サービスの購入経験を聞いたところ、再生可能エネルギー電気の購入経験がある消費者は、8.7%にとどまりました。今後、消費者の皆様に、更に関心を持っていただくとともに、一人一人の消費行動が持つ「未来を変える大きな可能性」を認識し、再生可能エネルギーの更なる導入拡大が進む中で、実際の行動につなげていただきたいと考えています。

消費者庁では、人や社会・環境に配慮した消費行動について、啓発用のパンフレットや動画、学習教材等の学校や地域等での活用促進、事業者主催の普及啓発イベントへの積極的な参画のほか、特設サイト等における情報発信の充実に向けた取組を進めています。持続可能な消費社会の形成のために、引き続き、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

世界消費者権利デーが、全ての関係者が共に消費者を取り巻く課題について考える機会となることを願い、ここにメッセージを発信します。

令和5年3月14日
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
河野 太郎