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第二百十三回国会 参議院消費者問題に関する特別委員会における自見内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)所信表明

消費者及び食品安全担当大臣として、所信の一端を申し述べます。

初めに、令和六年能登半島地震により亡くなられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表し、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

消費者及び食品安全担当大臣として、関係省庁と連携し、震災に便乗した悪質商法等の注意喚起を実施するとともに、被災地の方々を対象に、国民生活センターに「能登半島地震関連消費者ホットライン」を開設・運用する等、引き続き、被災者の皆様に寄り添った対応に努めます。

本年は、消費者基本法の抜本的改正から二十年、消費者庁及び消費者委員会設立から十五年となる節目の年です。その設立趣旨に立ち返ると同時に、中長期的視点も持ちながら、各種施策を精力的に推進してまいります。

第一に、消費者を取り巻く取引環境の変化に適切に対応いたします。

高齢化やデジタル化等、消費者を取り巻く環境の著しい変化を踏まえ、令和七年度からを計画期間とする、第五期消費者基本計画を策定するため、中長期の未来を見据え、政府全体で対応すべき事項の検討を進めてまいります。

また、取引環境の変化に対応した消費者法制度のパラダイムシフトに向けて、昨年十一月に諮問した消費者委員会での議論の状況も踏まえつつ、しっかりと検討を進めます。

第二に、現場である地方の消費者行政の充実・強化に、より一層取り組みます。

昨年の担当大臣就任以来、国民生活センターや消費生活相談員等、消費者行政の最前線で対応される方々と意見交換を行い、その役割への理解を深めました。消費者問題に適切に対処するには、国と地方公共団体が連携し、消費者目線の行政を推進することが重要です。

このため、令和五年度補正予算も活用し、消費生活相談対応の質の向上、相談員が十分に力を発揮できる環境づくり等のため、消費生活相談情報の集約システムであるパイオネットの刷新等、消費生活相談のデジタル化を進めます。

加えて、地方消費者行政強化交付金を通じ、デジタル対応のための体制強化等を支援するとともに、消費者ホットライン「一八八(いちはちはち、いやや)」の更なる周知を行います。

また、孤独・孤立状態にある方や高齢者等の消費者被害防止のため、消費生活センターと地域の多様な見守りの担い手をつなぐ「見守りネットワーク」の設置を促進し、福祉等の他分野との連携を図りながら、活動を充実・強化します。

第三に、消費者の安全、安心の確保に万全を期してまいります。

本年四月に予定されている食品衛生基準行政の厚生労働省から消費者庁への移管後も、引き続き科学的知見に裏打ちされた衛生規格基準の策定を担保してまいります。食品の安全性に関するリスクコミュニケーションも、引き続き科学的根拠に基づき正確で分かりやすい情報発信を行います。

また、食品表示制度の適切な運用に努めるとともに、合理的で分かりやすい、時代に即した食品表示の検討を進めます。

消費者安全調査委員会については、消費者事故等の原因調査を拡充し、発信力を強化します。

第四に、公正で信頼のある消費者取引の実現等に努めます。

特定商取引法、景品表示法、不当寄附勧誘防止法等の所管法令について、厳正かつ適切に運用します。昨年五月成立の改正景品表示法の施行に向けた改正内容の周知徹底に取り組みます。また、消費者取引のデジタル化を踏まえ、通信販売取引の適正化や紛争解決の促進等に取り組みます。

さらに、消費者被害の未然防止に向けた「消費者力」の育成・強化のため、世代に応じた教材の普及促進等、消費者教育の推進を図ります。

第五に、消費者、事業者が連携した豊かな消費社会の形成に向け、更に取組を進めます。

食品ロスを二千三十年度までに半減させる目標の達成に向け、現場の声を聞きながら、関係省庁との緊密な連携のもと、昨年末に取りまとめた「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」に盛り込んだ食品寄附促進等の取組の具体化を図ります。

事業者が消費者の声をいかすとともに持続可能な社会の構築にも寄与する消費者志向経営の促進を一層進めます。

公益通報者保護制度について、昨今の事案も踏まえ、その必要性や有効性を改めて周知徹底し、事業者の体制整備を促すとともに、制度の実効性確保のための実態把握や分析を進めます。

最後に、徳島の「新未来創造戦略本部」については、私も現地を訪問し取組状況を視察しましたが、引き続き徳島県との連携のもと、モデルプロジェクト、国際交流等を通じ、新たな課題への対応策を試行・検証し、その全国展開を目指します。

以上の施策の実施に当たっては、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの緊密な連携を図り、消費者の利益の擁護及び増進に関する施策の推進に全力を尽くします。

石井委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

令和六年三月十九日

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