第二百十七回国会参議院院消費者問題に関する特別委員会における伊東内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)所信表明
消費者及び食品安全担当大臣として、所信の一端を申し述べます。
はじめに、消費者行政の司令塔として、関係省庁と連携し、常に消費者目線で様々な課題に向き合い、これから申し上げる施策の推進に引き続き取り組んでまいります。
まず、今国会に提出した「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」について申し上げます。本法律案は、国民の生命、身体、財産等の保護に関わる法令の一層の遵守を図るため、事業者が公益通報に適切に対応するために必要な体制整備の徹底と実効性の向上、公益通報者の範囲の拡大、公益通報を理由とする不利益取扱いの抑止・救済の強化等を図るものです。是非とも今国会で成立させていただきたく、委員各位の御理解・御協力をお願い申し上げます。
次に、来年度からの五年間を計画期間とする第五期消費者基本計画について、今年度内の閣議決定に向け、検討を進めています。消費者の取引環境の変化を踏まえ、消費者が信頼できる公正な取引環境の確保等に資する政策を、しっかりと推進します。
食品ロス削減については、新たな「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」の閣議決定を今年度内に予定しています。食品寄附促進のため昨年策定したガイドライン等をこの方針に反映し、広く関係者と連携して施策を推進します。
これらに加え、第一に、消費者を取り巻く環境の変化に適切に対応します。
消費者法制度の考え方の転換に向けた議論を更に深化させるとともに、持続可能な社会の形成に向け、環境に配慮したグリーン志向の消費行動を促進します。
第二に、地方の消費者行政をより一層充実・強化します。
昨年の担当大臣就任以来、消費生活センターや国民生活センターを訪問し、消費生活相談員との意見交換を行い、地方消費者行政の充実・強化は、誰もが安心・安全に暮らせる生活環境の創生のために不可欠であると認識しました。
このため、消費生活センターの機能維持・強化、地域の多様な主体の連携による見守りネットワークの充実・強化に向け、地方消費者行政強化交付金を通じて、適切に支援策を講じてまいります。
また、消費生活相談のDXについて、まずは、消費生活相談情報の集約システムであるパイオネットの新システムへの円滑な移行に取り組みます。
加えて、消費者ホットライン「一八八(いちはちはち、いやや)」の更なる周知を図ります。
第三に、消費者の安心、安全の確保に万全を期してまいります。
科学的知見に基づき食品衛生基準を策定し、食品の安全性に関するリスクコミュニケーションについても、食品安全委員会等との連携を強化し、科学的根拠に基づく正確で分かりやすい情報発信を行います。
食品表示制度の適切な運用に加え、合理的かつシンプルで分かりやすい、時代に即した食品表示を検討します。
第四に、公正で信頼のある消費者取引の実現等に努めます。
特定商取引法、景品表示法、不当寄附勧誘防止法等の所管法令を、厳正かつ適切に運用します。また、消費者取引のデジタル化を踏まえ、通信販売取引の適正化や紛争解決の促進等に一層取り組みます。
消費者被害の未然防止に向け「消費者力」を高めるため、消費者教育を推進します。
第五に、消費者と事業者が連携した豊かな消費社会の形成に向け、事業者が消費者の声を活かし、持続可能な社会の構築にも寄与する、消費者志向経営を促進します。
最後に、徳島に設置した「新未来創造戦略本部」について、昨年十月に現地を視察しましたが、引き続き徳島県と連携し、新たな課題への対応策の試行・検証、その全国発信を目指します。
以上の施策の実施に当たっては、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの緊密な連携を図り、消費者の利益の擁護及び増進に関する施策の推進に全力を尽くします。
石井委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
令和7年3月17日