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第二百四回国会 衆議院消費者問題に関する特別委員会における井上内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)所信表明

消費者及び食品安全担当大臣として、所信の一端を申し述べます。

デジタル化の進展など消費者を取り巻く環境は大きく変化しており、それに伴う消費者被害の発生や、新型コロナウイルス感染症への対応など、消費者政策の課題も日々変化しています。縦割りを打破し、消費者視点という横串を貫いていくことが重要であり、消費者行政の司令塔として、関係省庁と連携し、これから申し上げる施策の推進にスピード感を持って取り組んで参ります。

まず、今国会に提出しました二本の法律案について申し上げます。
「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」は、国民の消費生活にとって重要な基盤となっている取引デジタルプラットフォームにおいて、危険商品の流通等の消費者被害が発生していることに鑑み、危険商品の販売停止の要請に関する制度を設けること等により消費者の利益を保護するものです。
「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」は、詐欺的な定期購入商法対策や、販売を伴う預託等取引の原則禁止など、消費者の脆弱性につけ込む悪質商法に対する抜本的な対策強化を図るものです。
両法律案は、消費者トラブルを抑止するとともに、消費者の利便性を向上させるものであり、是非とも今国会にて成立させていただきたく、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。

次に、目下の喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症への対応については、ワクチン接種をかたる詐欺や、新型コロナウイルス感染症に効くと称する不当表示などが問題になっております。これらを含め、様々な不当表示や悪質商法に対し、景品表示法、特定商取引法などの所管法令を厳正かつ適切に執行することにより、消費者被害を防止し、公正で信頼のある消費者取引を実現して参ります。

現場である地方の消費者行政の充実・強化にも取り組みます。
パイオネットのデジタル改革やSNSの活用などを積極的に進め、「新しい生活様式」にも対応した消費生活相談業務を実現し、消費者目線での相談機能の強化と相談員の負担軽減を図ります。
あわせて、地方消費者行政強化交付金を通じた地方公共団体の取組支援、相談員向け研修を含めた相談員の担い手確保・育成を推進して参ります。
また、全国各地に、高齢者、障害者等の消費者被害防止のための「見守りネットワーク」を構築する取組を進めるほか、消費者ホットライン「一八八(いやや)」を積極的に周知し、消費生活相談をより身近なものにして参ります。
これらにより、消費者がどこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられ、誰一人取り残されることがない体制の構築を図ります。

さらに、令和四年四月からの成年年齢引き下げまでおよそ一年となるなか、消費者教育の充実等により、新たに成人となる若者が、被害に遭わない、自立した消費者になれるよう、しっかりと取組を進めて参ります。

消費者、事業者が連携して豊かな消費社会を作り上げていくことも重要な課題です。
食品ロス削減については、まだ食べられる食品が大量に廃棄されている現状に大変な危機感を感じております。関係省庁と連携して、制度的な課題の検証を含め、国、地方公共団体、事業者、消費者等の多様な主体による取組を進めて参ります。
また、事業者が消費者の声を聴くとともに持続可能な社会の構築にも寄与する消費者志向経営を推進して参ります。

消費者の安全・安心の確保にも万全を期して参ります。
消費者事故等の原因調査を行う消費者安全調査委員会の年間公表件数の増加やさらなる透明性の向上を図って参ります。
食品の安全に関しては、関係府省と連携しながら、食品に関するリスクコミュニケーションの実施等を通じ、正確で分かりやすい情報発信を行います。
食品表示制度については、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択に資するよう、その適切な運用に努めます。
公益通報者保護法改正法については、両院での附帯決議を十分踏まえ、施行に向けた準備をしっかりと進めて参ります。

最後に、徳島に設置した「新未来創造戦略本部」では、引き続きモデルプロジェクトや政策研究、新たな国際業務等を実施することにより、消費者行政が直面する先進的課題への対応を進めて参ります。

今年度からの第四期消費者基本計画及びその工程表を不断に見直しつつ、以上の施策の実施に当たっては、担当大臣である私の下、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの緊密な連携を図り、それぞれの役割を最大限発揮させながら、消費者の安全・安心の確保と豊かな消費社会の実現に全力を尽くして参ります。

永岡委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

令和三年三月十六日