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第二百回国会 衆議院消費者問題に関する特別委員会における衛藤内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)発言

消費者及び食品安全担当大臣として、御挨拶を申し上げます。

消費者庁及び消費者委員会は、本年九月一日に設立十周年を迎え、高齢化やデジタル化の進展などこの間の社会状況の変化の中で、消費者の安全・安心の確保は一層重要な課題となっております。
消費者を取り巻く社会状況の変化に適切に対処できるよう、多様な主体と連携しながら、令和の時代の将来も見据え、これから申し上げる当面の重要な施策の推進に、全力で取り組んでまいります。

はじめに、直近の取組を申し上げます。本年五月に成立いたしました「食品ロスの削減の推進に関する法律」が、十月一日に施行されました。この法律に基づき、年間六百万トンを超えると推計される食品ロスの削減に向け、国、地方公共団体、事業者、消費者等の多様な主体が連携し、国民運動として取組を進めてまいります。 また、同日実施された消費税率引上げに対しては、便乗値上げに関する相談対応、表示の適正化に向けた事業者等への周知・広報等を通じ、関係省庁と連携を図りながら、消費税の円滑かつ適正な転嫁等に努めます。

継続的な取組としては、第一に、現場である地方の消費者行政の充実・強化に取り組みます。

私自身、九月末さっそく地方の消費生活センターを視察し、消費生活相談員の方々と意見交換をしてまいりました。現場の声を積極的にくみ取り、政策にしっかりといかせるよう取り組みます。
予算面では、これまで整備してきた消費生活相談体制の維持・充実や、国として取り組むべき重要な消費者政策の推進等に積極的に取り組む地方公共団体を、「地方消費者行政強化交付金」等の活用により支援します。あわせて、自主財源化に裏付けられた消費者行政の予算の確保も働きかけます。
また、高齢者、障害者等の消費者被害防止のため、地域における「見守りネットワーク」を全国で構築する取組を推進します。
もし被害に遭ってしまっても、解決につながるよう、消費者ホットライン「一八八(いやや)」を積極的に周知し、認知度を向上させます。
これらにより、消費者がどこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ、誰一人取り残されることがない体制の構築等を図ります。

第二に、消費者の安全・安心を脅かす事態には断固として対応し、制度の整備とその円滑な運用に取り組みます。

消費者取引の適正化のため、景品表示法、特定商取引法などの所管法令を、法と証拠に基づき厳正かつ適切に執行するとともに、関係省庁と必要な連携を図り、不当表示や悪質商法に対処します。
本年六月に施行された、消費者の契約の取消権拡大等を内容とする消費者契約法改正法についても、引き続き、周知・広報等に取り組みます。
また昨今、消費者の安全・安心を損なう企業不祥事が明らかになっています。法令違反行為が放置されないよう、企業の自浄作用を十分に発揮していただくためにも、公益通報者保護制度の実効性の向上を目指し検討を深めるなど、取組を進めます。
食品安全行政に関しては、引き続き関係省庁と連携しながら、安全・安心の確保に向けた役割を果たすとともに、食品に関するリスクコミュニケーションの実施等を通じ、正確で分かりやすい情報発信を行います。
食品表示については、食品表示法に基づく食品表示制度に一元化され、令和二年四月、新たな制度に完全移行します。消費者の自主的かつ合理的な食品の選択に資するよう、円滑な移行に向け準備を進めるとともに、適切な運用に努めます。

第三に、将来を見据え、安全・安心で豊かな消費生活の実現に向けた取組を推進します。

令和四年四月の成年年齢引下げに向け、消費者教育教材を活用した授業が全国全ての高校で実施されるよう、関係省庁と連携して取り組むことを始め、若年者の発達段階や特性に配慮した消費者教育を体系的に推進します。
事業者と連携し、消費者志向経営の普及促進にも取り組みます。
加えて、国連における「持続可能な開発目標」の採択等、社会経済情勢の変化にも対応した次期消費者基本計画を今年度中に策定し、新たな時代にふさわしい消費者政策を強力に推進します。

最後に、本年九月、G20のサイドイベントとして、消費者政策に関する国際会合を徳島県で開催し、デジタル化の急速な進展に伴う新たな消費者問題への対処等を議論しました。
徳島県には来年度、恒常的拠点として「消費者庁新未来創造戦略本部」を設置します。この戦略本部が、モデルプロジェクトや政策研究、新たな国際業務等の実施を通じ、消費者行政の更なる発展に資する拠点となるよう、立上げに向けて万全の準備を行います。

施策の実施に当たっては、担当大臣である私の下、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの緊密な連携を図り、それぞれの役割を最大限発揮させながら、消費者の安全・安心の確保に全力を尽くします。

土屋委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

令和元年十一月六日