文字サイズ
標準
メニュー

COLUMN「全国を旅する「イヤヤン」」

尾原 知明(※38)

1. イメージキャラクターの誕生

それぞれのイメージキャラクターの誕生には、それぞれ誕生の物語があります。消費者ホットライン188のイメージキャラクター「イヤヤン」にも、誕生にあたって物語がありました。
はじまりは、消費者教育・地方協力課(当時)の若手職員の提案からでした。普段、それほど会話をする機会もなかったその職員から、消費者ホットライン188のイメージキャラクターを作りたい、との話をいただいたときのことは今でも覚えています。見せてもらった手帳には手書きのキャラクターイメージもありました。残念ながら、その案は採用には至りませんでしたが。
2018年当時、3桁の消費者ホットライン188を導入して3年が過ぎていたにもかかわらず、消費者意識基本調査でみたホットライン番号「188」の認知度は6.6%にとどまっていました。「188」の電話番号の周知が消費者庁として重要な課題でした。
若手職員の提案をきっかけに、課内でイメージキャラクター作成の企画書が作られていきました。庁内議論のなかで、庁内募集にせず、広報も兼ねてデザイン・愛称を公募する方式を採ることにしました。そして、庁内の選考プロセスを経て、一般の方からの応募作であったイヤヤンが誕生したのです。

2. イヤヤンのコンセプト、ご存じですか?

イヤヤンは蝶々です。しかし、誕生当時から、イヤヤンはハチだと誤認される方がいらっしゃいました。イヤヤンのキャラクターを知っていても、そのコンセプトまで知っている人は多くないと思います。イヤヤン誕生時に公表されたコンセプトは以下のものです。
『イヤヤンは「泣き寝入りは超いやや!」が口癖の蝶々です。全国を旅して危険な製品でケガをした人や強引な勧誘に困っている人を見かけると、消費者ホットライン188を教えています。188にダイヤルし、問題を解決出来た人が、蝶のように羽ばたく姿を見るのが大好きです。』
さらに、2019年には、5月18日を「消費者ホットライン188の日」に制定しました。これは、消費者月間の「5」月に、188の頭二けたの「18」に合わせて決めたものです。

3. イヤヤン誕生からの気づき

現時点からイヤヤンの誕生を振り返ると、いくつかの気づきがあります。
まず、イヤヤンを広めたいという情熱をもった職員が活躍してくれたことです。イヤヤンのコンセプトどおり、全国各地の消費者庁主催のイベントがあれば、職員がイヤヤンの着ぐるみをつけて登場してくれました。消費者庁では、各省庁や地方公共団体、民間企業からの出向者が多いです。限られた在任期間ゆえに、何かをしたいという想いが強い職員の方々に恵まれたと思います。
また、イメージキャラクター誕生のきっかけにみられるように、若手職員のアイデアが課内でうずもれることなく、アイデアが形になっていく組織土壌の大切さにも改めて気づかされます。在職期間が長くなるほど、新しいアイデアを受け入れられなくなるおそれがあることを自戒したいと思います。
さらに、イヤヤン誕生後、多くの関係者の皆様からイヤヤンバッジを着けたいとのお問い合わせをいただきました。イヤヤンのバッジを通じて、多くの関係者の皆様から、消費者行政に対する応援をいただいていることを改めて実感できました。

4. 「つなぐ」を支える役割

最後に、イヤヤンの未来について私見を述べます。消費者行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、消費者ホットライン188も、技術的な仕組は絶えず進化していくと考えられます。他方、消費者と全国各地の消費生活センター等の消費生活相談窓口とを「つなぐ」役割の重要性は変わらないと思います。
全国を旅するイヤヤンは、全国どこにいても消費者が消費生活センター等につながることができる行政サービスの象徴です。
イヤヤンは、消費者トラブルを解決できた人が蝶のように羽ばたく姿をみるのが大好きです。イヤヤンが全国を旅するように、消費者と関係機関との「つなぐ」を支える役割を消費者庁は担い続けることでしょう。

画像:消費者ホットライン188のイメージキャラクター「イヤヤン」


  • (※38)消費者庁審議官。元・消費者教育・地方協力課長。

注目情報・キーワード