事故から教訓を得て繰り返さない
消費者安全調査委員会
- 消費者安全調査委員会(以下「調査委員会」という。)は、事故から教訓を得て、事故の予防・再発防止のための知見を得ることを目的に2012年10月に有識者による審議会として設立されました。「誰が悪い」ではなく「なぜ事故が起きたのか」「どうすれば同じような事故が防げるのか」を消費者の視点に立って調査し、再発防止策を関係行政機関に意見しています。
- また、意見をして終わりではなく、事故の発生の状況などを踏まえ、状況に応じた適切な時期に意見先の関係行政機関からヒアリングを行い、取組状況を把握することとしています。
これまでに取り扱った案件の例(エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故)

- 【HIFUとは】
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- HIFU は、High Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波)の略で、集束超音波の熱エネルギーにより体内の組織を高温に加熱するもので、前立腺がん治療などに用いられます。美容で用いられるものはその治療の技術を転用したものです。
- HIFU施術は、医療機関である美容クリニックのほか、エステティシャンが施術するエステサロン、店舗に置かれた HIFU 機器を利用者自らが扱うセルフエステなどで行われていました。
- 調査委員会では、エステサロン等によるHIFU施術の実態や事故情報について調査しました。
- 【事故事例】
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- 顔の施術で、長期間の麻痺や視力障害が発生したり、跡が残ってしまい精神的ショックを受けたとするものがありました。
- 【事故等原因】
- 直接的な原因は、照射出力が高く安全上信頼性の低い機器を用い、施術に必要な解剖学や、出力や照射方法の調整に関する知識の不十分な者が行った結果として、熱傷や神経障害などの事故に至ったものと認められました。背景的な要因として、HIFU施術及び機器に関する法規制が及んでいないこと、施術の技術的困難さが施術者に知られていないこと等、多くの問題点も判明しました。
- 【調査委員会の意見】
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- 厚生労働大臣への意見
- 1医行為として施術者の限定をすること。
- 2輸入機器流通の監視強化をすること。
- 3施術者への情報共有をすること。
- 経済産業大臣への意見
施術のリスクについてエステティック業界団体と協力し、エステサロン店舗に広く周知し、注意喚起すること。また、適切に勧告や注意喚起を行っている業界団体の取組を後押しすること。
- 消費者庁長官への意見
施術のリスクについて、SNS を最大限に活用する等により、消費者に広く周知し、注意 喚起すること。
- 【意見後の動き】
- 以下のように、関係省庁において再発防止に向けた取組が着実に実施されています。(2025年4月1日時点)
- 厚生労働省
- 2024年6月、HIFU 施術の医行為該当性について通知を発出したほか、輸入機器流通の監視指導等を実施。
- 経済産業省
- エステティック業界団体等と協力し注意喚起を実施。
- 消費者庁
- 啓発リーフレットの作成、メールマガジンの配信や複数回のSNSを配信を通じ、消費者に対してHIFU施術のリスクについて周知・啓発を実施。