消費者庁の使命
消費者行政の司令塔として、関係省庁と連携し、常に消費者目線で、様々な課題に向き合い、消費者が主役となって、安心して安全で豊かに暮らすことができる社会を実現する。
2000年代後半は、我が国において深刻な消費者問題が数多く発生し、我が国の行政の在り方を見直すきっかけとなる歴史的転換点とも言うべき時期でした。当時、中国製冷凍餃子事件や、事故米穀の不正規流通問題、ガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故、エレベーター事故などの消費者事故、また、相次ぐ食品表示偽装問題や、高齢者等を狙った悪質商法の横行などの消費者の財産被害など、国民生活の安全、安心を脅かす問題が次々と明らかになり、大きな社会問題となりました。
こうした背景には、明治以来、我が国の行政が各府省庁縦割りの仕組みの下で、それぞれの領域で事業者の保護育成を通した国民経済の発展を図ってきた結果、消費者の保護が飽くまで産業振興の間接的、派生的テーマとして、しかも縦割りで行われてきたことなどが挙げられます。
これまでの施策や行政の在り方を消費者の立場から積極的に見直す行政の「パラダイム(価値規範)転換」により、消費者が主役となって、安心して安全で豊かに暮らすことができる社会を実現する行政へと転換すべく、消費者庁が設立されました。
昨年、2009年に消費者庁が設立されてから15年、消費者基本法の抜本的改正から20年を迎えた節目の年でした。それまでの消費者庁の取組を振り返る中で、高齢化やデジタル化に加え、環境負荷の低減等のよる持続可能な社会に向けた取組が求められる等の消費者を取り巻く環境の変化を改めて認識すると同時に、消費者行政の司令塔としての消費者庁の役割は、今後もさらに充実・刷新していく必要があります。消費者庁は、設立当時の理念を常に念頭に置きながら、様々な社会経済の変革や、それに伴う新たな問題も見据え、政府の中の消費者行政の司令塔として、常に消費者目線で、様々な課題に向き合い、より一層、国民の期待に応えていく使命を担っています。