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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成31年3月6日(水))

日時:平成31年3月6日(水)14:00~14:18  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

皆様、こんにちは。
本日は震災及び震災への備えにも関連する食品に関するご報告を3件申し上げます。
まず、被災県産食品の風評被害に関する消費者意識の実態調査の概要などについて申し上げます。
消費者庁では、被災県産食品の風評被害に関する二つの意識調査を行い、本日その結果を公表いたしました。
まず一つ目の調査は、今回で12回目となりますが、「被災県産食品の風評被害に関する消費者意識の実態」について調べたものです。
過去の調査と同様に、放射性物質を理由に食品の購入をためらう産地を聞いたところ、「福島県」という回答が最も多かったところですが、回答者全体の12.5%と、調査開始以来最も低い数値となっております。
また、福島県だけでなく、ほかの産地についても同様に減少傾向が見られることから、年を経るごとに被災地産品の購入をためらう気持ちが薄らいでいる傾向が読み取れると考えられます。
次に二つ目の調査は、「放射性物質をテーマとした食品安全に関する消費者の意識」について調べたものです。
この調査では、例えば、福島県産の食品を購入している方に、その理由について聞いたところ、「安全性を理解しているから」という回答が36.4%と、選択肢の中でも上位に入っていました。
反対に福島県産の食品を購入していない方に、その理由について聞いたところ、「放射性物質が不安だから」という回答が一定割合ありました。
こうしたことからも流通している食品の安全性を消費者に知ってもらうことの重要性を改めて認識したところでございます。
以上の二つの調査結果などを踏まえ、消費者庁では、引き続き消費者理解の増進に向けたリスクコミュニケーションを推進してまいります。また、伝達すべき情報や効果的な手法を検討するなど、各種の取組を実施するとともに、関係府省と連携し、食品中の放射性物質など、食品安全に関する正確な情報発信に努めてまいります。
次に、食品ロスにしない「備蓄のすすめ」の公表について申し上げます。
お手元に配布しておりますが、昨日、食品ロスにしない「備蓄のすすめ」を公表いたしました。
この中ではふだん食べている食品を少し多めに買い置きし、食べたらその分を買い足ししていく、いわゆる「ローリングストック法」を紹介しております。これは、特別なものを買わずに、簡単に備蓄することができ、食品ロスを防ぐことにもつながるものです。
東日本大震災から、間もなく8年を迎えようとしております。ご家庭の備蓄食料を購入、更新される際にご参考にしていただければと考えております。
次に、特別用途食品における乳児用液体ミルクの表示許可について申し上げます。
昨年、8月8日に設定した「乳児用調製液状乳」の許可基準に基づいて審査を行った結果、乳児用液体ミルク、二つの商品について、母乳代替の用途に適するものとして、3月5日付で特別用途食品の表示許可を行いました。
また、これら二つの商品の許可に加え、乳児用液体ミルクを利用する方に向けたリーフレットを作成し、消費者庁のウェブサイトに公表し、その旨、Twitter、Facebookでも発信いたしました。
消費者の皆様に乳児用液体ミルクの表示をご理解いただき、適切に活用いただくことで、育児に関わる方々の負担が少しでも軽減されることを期待しております。

2.質疑応答

共同通信の新為です。
風評被害の消費者意識の実態調査の第12回の方でお伺いしたいのですけれども、基準値を超える食品の検査が行われていることを知らないという方が44.8%と、増えたということなのですが、この結果について、消費者庁としては、どういうふうな判断をされているのか、懸念をしていらっしゃるのか、それとも、ほかの受け止めがあるようであれば、お伺いさせていただきたいのですけれども。

ためらうという人の数値が過去最少になっていることともあわせて考えますと、以前ほど検査をしているかどうかを気にしない人が増えているのかもしれないと思うところでもございます。あえて避けるための行動をする人は減っていますから、販売者、製造者の方も、一つ一つの食品に検査済みであるとか、この被災県産の食品は安全であるとか、言わなくなっていることも一つの要因かとも思います。引き続き、調査は続けますので、継続して何らかの読み取れる傾向がございましたら、ご報告していきたいと思います。

消費者安全課

今回、44.8%というふうに増えております。前回が36%で、この差がおよそ9%ということで、これは統計的に有意に差があるように見えますけれども、ここの1年で急に上昇しているということで、この間に何かがあったのかというと、特段思い当たる節がございませんので、来年以降も継続的に調査をいたしまして、この傾向が継続するとか、若しくは今回だけの特異値だったのか等を含めて、検討してまいりたいと思います。

ウェルネスニュースグループの木村です。
特別用途食品の液体ミルクについてなのですけれども、まず、消費者への注意喚起というのは、今後も何か定期的に取り組んでいく予定でしょうか。

例えば、飲み残しの取扱いといったようなところでしょうか。

はい。

パッケージに記載されておりますので、消費者は手にとってみれば、分かるようになっております。消費者庁が作成いたしておりますこの資料につきましても、安全衛生上の注意、保存上の注意といったことを分かりやすく工夫して記載しております。
特に、開封していなければ常温保存ができるということで、災害時の備蓄にも活用されることが期待されておりますし、調乳の手間もないということで、全国の備蓄用品として、自治体でも家庭でもこういった乳児用液体ミルクが活用されることは期待しているところですが、一旦開封した後は直ぐに使用し、飲み残しは与えないというところについては、私どもも機会を捉えて、注意的にではありますが発信していきたいと思います。
当然ながら容器に破損、膨張があったり、色、におい、味に異常があるような場合には、使用しないでいただきたいということも発信してまいります。

あと、特別用途食品をとらないで流通するケースが、今後出てきそうなのかどうかという点と、その場合、今言ったような表示というのは、義務的になるのか、その辺のところをもし分かれば教えてほしいのですが。

特別用途食品の許可をとらないで流通ということは、企業のモラルに係るようにも思いますが、消費者庁としては、特別用途食品として表示をして販売される乳児用の液体ミルクにつきましては、栄養成分も確認した上で許可を出しておりますから、一定の信頼性があるものと理解しておりますし、厚生労働省と消費者庁で品質の悪いものが出回らないよう、これからも監視は続けていきたいと考えております。
消費者の方には是非、特別用途食品としてのマークが表示されているものであることをご確認いただいた上で購入していただければ、特に乳児が食するものですので不安に思ったら購入は避けていただきたい、と思います。

食品表示企画課

特別用途食品に関しては、健康増進法に基づく制度になっており、特別用途を表示、今回の場合は母乳代替の用に適する旨の表示という特別の表示を行う際には、消費者庁長官の許可を受けなければならないということが規定されておりますので、母乳代替食品として販売する際には、消費者庁長官の許可が必要ということになります。

液体ミルク自体は、特別用途食品でなくても販売は可能という理解でよろしいですか。
食品表示企画課

ただの液体ミルク、調製液状乳として売っていただく分には構いませんが、乳児用調製液状乳、今回、特別用途食品の中に新たにつくった区分に基づき乳児を対象に、乳児用の調製液状乳として販売される場合、は、特別用途表示の許可が必要ということになります。

単なる液体ミルクで販売した場合、その場合は、飲み残しは与えないようにとか、そういった表示は必要ないということですか。

通常の食品について、全て消費者庁がチェックするという仕組みにはなっておりません。しかし、問題意識としては非常に重要な点だと思いますので、消費者の方には慎重に安全・安心なものを購入していただきたいと、消費者庁としては、発信を続けます。
ただ、国民全体に企業が販売したいというものについて、私どもが許可をするという構成ではありませんので、そこはあくまで特別用途食品制度に従って売るためには、つまり母乳代替として栄養成分も確認されている、品質に信頼がおけるものについては、消費者庁が許可の手続をとっているということでございます。

食品表示企画課

食品全般の衛生に係る事項は、厚生労働省が所管されている食品衛生法に基づいて販売していただくということになります。

毎日新聞の岡です。
液体ミルクの関係なのですけれども、備蓄としても期待されているということを、先程、長官もおっしゃいましたし、各方面で言われているかと思うのですけれども、保存期限を考えますと、缶に比べると短いですし、飲み残しが駄目であったり、結局哺乳瓶が必要であることも考えると、備蓄するのに缶とは違う工夫が必要かと思いまして、先程いただいた、食品ロスのローリングストック法みたいな形で、どういうふうにストックしていけば、安心・安全にストックできるのか、消費者庁で何か情報提供されるご予定はないのかを併せて教えてください。
食品表示企画課

ローリングストック法や、災害備蓄の関連に関しましては、現在、行政説明会としまして、全国7ブロックで行政の方を対象に、液体ミルクの活用方法や注意事項をご説明いただいております。
その際に、日本栄養士会が、防災備蓄に関してどのように備蓄したらよいか、どうローリングストックしたらよいかというところをご担当いただき、お話しいただいております。
災害に備え、各自治体で液体ミルクについて適切にご理解いただき、ご活用いただくように関係省庁と連携、協力して進めております。
紙パックの製品がメーカーホームページ等にも出ておりますが、6か月、スチール缶のもので1年、通常の粉ミルクで1年半、賞味期限がございますので、それぞれの商品特徴を捉えた上で、また、コストについても粉ミルクと比べて割高というふうに聞いておりますので、そこも各自治体ご事情を踏まえて、シミュレーション等をしていただいた上で、ご検討いただきたいというふうにお伝えしているところです。
移しかえて使うということもありますので、使い捨ての哺乳瓶も併せて備蓄いただくように、併せて情報提供されています。