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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成29年11月8日(水))

日時:平成29年11月8日(水)16:00~16:37  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

本日、私から2点発言いたします。
まず、行政機関における公益通報者保護法の施行状況調査の結果と今後の取組についてでございます。
本日、「行政機関における公益通報者保護法の施行状況調査」の平成28年度の調査結果を公表いたしました。
調査結果によりますと、国の行政機関や都道府県における通報・相談窓口の整備率は高くなっているものの、市区町村においては、まだ十分とは言えない状況となっております。
行政機関が通報・相談窓口を整備することは、組織内における自浄作用により、行政機関自体の法令遵守の確保に資するとともに、通報を端緒とした行政機関の法執行力の強化により、事業者の法令遵守の確保につながるなど、大変重要な意義を有するものであります。
このような目的に資する有益な通報を適切に受け付けるためには、誰もが安心して容易に相談や通報を行うことができる窓口を整備することが必要であり、全国の市区町村における窓口整備率の向上、特に都道府県別に見て整備率の低い地域の底上げが課題であると考えております。
これに関連して、徳島県では今年度から県の主導により、公益通報者保護制度の整備を促進するためのモデル事業を実施しております。その結果、この10月までに県内市町村において、内部の職員等からの窓口、外部の労働者等からの窓口のいずれについても整備率100%を達成いたしました。
このように、都道府県がリーダーシップを取って市区町村に働きかけ、連携して取組を推進することにより、窓口整備率を向上させることは十分可能であると考えられます。
各地方公共団体におかれましては、徳島県の取組なども参考にしていただきつつ、是非とも窓口整備率向上や制度の実効性の向上に取り組んでいただくようお願い申し上げます。
消費者庁としても全面的にバックアップしてまいります。
次に、0~1歳児の大人用ベッドからの転落事故に関する注意喚起について申し上げます。
消費者庁では、子どもの事故防止の取組を推進しておりますが、このたび、0~1歳児の大人用ベッドからの転落事故に関する注意喚起を行います。
こちらのモニターは、医療機関からの年齢別事故報告件数でございます。
消費者庁には、医療機関から、0~1歳の子どもが、主に就寝時などに大人用ベッドから転落する事故の情報が寄せられております。平成29年6月末までの6年半の間に564件の報告があり、そのうち0歳が457件、1歳が107件でした。大人用ベッドからの転落事故は、ベビーベッドの0歳が151件、1歳が39件と比べて、圧倒的に多い件数が報告されています。
ご覧のように、大人用ベッドから転落して、頭部に怪我をしたり、転落をきっかけに大人用ベッドとその脇に置いた毛布に挟まれて窒息するケースもあります。場合によっては命を落とす可能性もあります。
なお、0歳児のダミー人形を使って撮影した、大人用ベッドからの転落事故のイメージ動画を用意いたしましたのでご覧ください。
(動画再生)
0~1歳児は、身体の重心が頭部寄りにあるため、ご覧の動画のように大人用ベッドから転落すると、頭部から転落します。その結果、頭部に受傷することがあります。
これは、先ほど紹介した医療機関からの情報を受傷内容で見たグラフですが、頭部や顔の擦り傷や打撲が最も多く見られ、頭蓋骨骨折、頭蓋内損傷といった重傷も見受けられます。
このような重傷を避けるためにも、気を付けていただきたい点があります。
消費者の皆様には、主に次のことにご注意いただきたいと思います。
(1) 大人用ベッドに寝かせるのではなく、満2歳になるまでは可能な限りベビーベッドに寝かせましょう。
(2) 寝かしつけのため、大人用ベッドを使用し、保護者が添い寝をする場合は、
・保護者が大人用ベッドを離れて、子どもを1人にしてはいけません。
・寝かしつけた後は、できるだけベビーベッドに移しましょう。
(3) 寝室で起きる窒息事故を防ぐために、寝室から子どもの頭や顔が挟まってしまう隙間をなくしましょう。
(4) 大人用ベッドに取り付ける、幼児用ベッドガードは、生後18か月未満の乳幼児には絶対に使用しないでください。子どもが隙間に挟まり、自力で抜け出せずに窒息するリスクがあります。
消費者の皆様におかれましては、こうした事故防止のポイントにご注意いただきたいと思います。
就寝時の子供の事故は、本日説明いたしました転落だけでなく、0歳児に多い窒息事故もあります。消費者庁では本日から3日間、子ども安全メールと子どもツイッターを発信し、ベッドからの転落や0歳児の窒息事故防止を呼びかけてまいります。
また、11月はSIDS(乳幼児突然死症候群)の対策強化月間でもありますので、SIDSの防止も呼びかけます。
消費者庁としては、今後も引き続き、子どもの事故防止を呼びかけていく考えでございます。

2.質疑応答

健康産業流通新聞の和田と申します。
3点あるのですが、機能性表示食品制度の中で、葛の花について措置命令を出されましたけれども、これで機能性表示制度そのものが、例えばその届出件数が減るのではないかとか、ちょっとした懸念も一部にはあるのですが、その制度自体への影響というのはあるのかどうかというのが1点です。
2点目は、いわゆる健康食品の問題もあると思うのですが、なぜ機能性表示食品での措置命令だったのかというのが2点目です。
それから3点目は、機能性表示食品では葛の花以外にもあると思いますが、今回その葛の花だった理由があればお聞かせいただきたいと思います。

機能性表示食品の制度は、有識者のご検討を得て、関係各方面のご意見を踏まえた上で設置・運営されております制度ですから、引き続き制度の信頼性向上、そして利便性向上のための努力は行政庁としても行っていくものでございますが、個別の執行案件との関係については、広告の仕方の問題もございますので、直接に機能性表示食品の制度自体の見直しには結び付かないかと思います。いずれにしましても、事業者の方々には正しい広告表示をしていただきたいと思います。第2点は、なぜ今ということでしょうか。

要は、いわゆる健康食品への対策もあると思うのですが、見ていると、いわゆる健康食品への対策が不十分なような気がして、一方では葛の花で措置命令というのがあって、ここら辺のコントラストに疑問があるのですが、いかがでしょうか。

まず、今般の個別の案件が機能性表示食品について初めてだったということはございますが、行政庁の景品表示法の法執行につきましては、いわゆる健康食品と機能性表示食品を分けて運用しているということはないと認識しております。
機能性表示食品が1,000件を超えて、制度としても定着しつつある現在、機能性表示食品についても通常のとおり景表法の法執行をしたという理解でおります。
3点目が、なぜ葛の花イソフラボンなのかということでございますが、個別の案件については法と証拠に基づき適正に執行しておりますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきます。

最後の点で、葛の花イソフラボンについて取組を始めた端緒というのは明かしていただけるのでしょうか。

恐縮ですが、個別の案件についてはここで深くお答えすることは差し控えております。

データ・マックスの木村です。
関連ですが、昨日の葛の花の件では、その前提要件となるBM125から30だとか、1日9,000歩前後を歩くことが要件だなど、そういう前提抜きに食事制限だとか運動なしに痩せることができるといった点が問題になっていて、昨日は広告の話ですけれども、それとリンクする話ですが、機能性表示食品制度として考えたときに、その届出表示の内容が本来ならば対象者はこういう人で、こういう条件の下で初めて効果が期待できるという趣旨の届出表示の内容がなければ、消費者がパッケージを見て選ぶときに、正確に判断できないと思います。
最近、そういう方向になってきたと思いますが、初期の頃は、そういった届出表示の内容ではなかったなと思うのですが、その点についてどう改善されていくのかというところについていかがでしょうか。

昨日の件をきっかけとするご意見ではありますが、一般的なご意見と受け止めて、ご回答を申し上げますと、確かに貴重なご指摘だと思います。これからも事業者の方には消費者にとってより分かりやすい機能性の表示、根拠となる資料の提出に努めていただきたいと思います。
ご指摘の2点目にありました初期の頃の届出についてですが、これからも消費者庁としましては機能性表示食品の、実際に市場で売られているものについての事後チェックは進めてまいります。行政としても、皆様方からのコメントを受けながらより良い制度運営に努めますので、引き続きのご意見・ご指導をよろしくお願いいたします。

日本消費経済新聞の相川です。
この問題に関して、消費者サイドからの視点で質問をさせていただきたいと思うのですが、データを見ると、ほとんど皮下脂肪では変わらず、内臓脂肪で若干減っているかなという感じでその比較対照でこの葛の花を飲んでいない人たちも痩せているといった論文なんです。
もう1つの研究レビューについては、消費者庁が大変分かりやすく説明していただきまして、こういう論文で、研究レビューで同じものが1つ出たときに、機能性で有意差があると、消費者庁は認めざるを得ないのでしょうか。

これも大変申し訳ありませんが、昨日の件、個別の件についてのご質問であれば、回答は差し控えますが、一般的な指摘ということで、消費者にとって分かりやすいものであってほしいというご意見であれば、そのとおりだと思います。

痩せるというふうに広告されて、皆さん騙されてしまったのですが、実は根拠論文はそういう内容でありました。今データベースを見ても、有意差が認められたとしか、普通の人は見えません。
ここからこの英語の論文を見ても、普通の方はなかなか読めない。私もいろいろ教えていただいて、専門用語が多くてなかなか読めないようなものしか貼り付いていないところをまず変えられないのかと思います。
もう少しその条件を、有意差のところに一般の人が読んでも分かるような内容を貼り付けられないのかということと、それから、さっきデータ・マックスの木村さんがおっしゃったのと同じことですが、この表示を越えて表示をするということは認めないといった具体的な基準を作って、根幹のところで少し制度を変えていただかないと消費者は正しい判断ができないと思います。その辺はご検討いただけないでしょうか。

貴重なご意見として承ります。当然ながら誰にとっても分かりやすい論文の結果の説明を出し、それに従った正しい表示をしていただくということを事業者に期待しておりますので、正しい広告表示をしている事業者の製品が消費者によって支持されるということが公正な制度につながるという点では、相川記者のコメントにありましたように消費者庁も目指すところは同じですので、引き続き努力は続けてまいりたいと思います。

この死亡事故の9件ですが、大体ベッドの高さは40センチから60センチぐらいでよろしいでしょうか。
消費者安全課

端的にお答えしますと、ベッドの高さはセンチの単位ではよく分からないということになります。
今回の事故情報として取ったものは、医療機関ネットワークの情報と人口動態統計でございますが、人口動態統計につきましては、前もご説明したとおり死亡届がベースになっておりますので、そのベッドの高さ等の通常の詳細な情報が入っていないのがむしろ通例でございまして、我々も1つ1つ当たれるところは当たってみましたが、結果として分かりませんでした。
また、医療機関ネットワークの情報につきましても、その医療機関から言われた患者さんとのコミュニケーションの中で取っている情報でございますので、これも家の中のベッドの高さが何センチぐらいかというところまでは、データを取っていないという状況でございます。
ただ、大体市販されているもので見ますと、確かにおっしゃるとおり40センチ、50センチぐらいの大人用ベッドというのが多いのだろうと思います。

あと、3ページの事例6で、転落した子どもの性別や死因などを詳しくお聞きしたいのですが。

医療機関からの情報ですので、プライバシーに関わることでもあり、かなり詳細に聞き取れているデータと、なかなかそこまではというものとがございますが、分かる範囲でのデータであれば、担当課と個別にお打合せいただければ出していきたいと思います。

消費者安全課

今、長官がおっしゃられたとおり、詳細につきましては私どもから後ほどご説明させていただきます。ただ、なかなか答えにくい場合ですとか、あるいはデータそのものの制約があるのは長官のお話にもあったとおりです。お聞きになりたい点につきましては、私どもの方におっしゃっていただければと思います。

何か産婦人科と連携をした広報活動など、そういったものを行う予定はありますか。

それも大変有益なご指摘だと思いますので、検討させていただきたいと思います。

消費者安全課

おっしゃるとおり、こういった保護者への注意喚起やメッセージ等では、なるべくいろんなチャンネル等を使って届けたいと思っております。
今までの通常の注意喚起と同様、地方自治体や、あるいはその関連する団体などに通知したり、連絡したりということはやっております。
産婦人科というのは、今まで我々の頭の中にはなかったのですが、医療機関の方々や医療従事者のネットワークを通じてというのは、今後も引き続き考えてまいりたいと思います。

通販新聞の佐藤と申します。
機能性表示食品についてですが、現状のその評価について、成長戦略のその成否という側面と消費者への浸透という側面から伺いたいのですが。

機能性表示食品制度は、導入後2年の運用を基に現在3年目ということで、過去2年の状況をいろいろな角度から検討しているところでございます。
そういった制度自体の信頼性を高めて、より有効に使っていただける制度にするための努力は当然してまいります。国全体の成長戦略の中での位置付けについては、制度がより信頼されるものになるという意味では、成長を阻害するものではありませんし、正しい機能性表示食品の制度をつくっていくということこそが、成長戦略で取り上げられているのであれば、同じゴールだと思います。
消費者への浸透という側面については、実際、届出の件数が約1,100件という現状ですから、マーケットでも知られつつあると思います。
ただ、様々な年代、様々な目的を持った消費者全てに浸透しているかというご質問であれば、まだ導入後2年ですから、これからより信頼される制度に育っていくことにより、消費者への浸透も期待できるのではないかと願っているところです。

今回のその措置命令で、景表法の運用についてですが、処分前に社告の掲載がいくつかの会社で出されていたと思うのですが、これは何で出されているのかを教えていただけますでしょうか。

一般的なことであれば、各会社がご判断されることですので、コメントする立場にはございません。

課徴金制度が導入される以前と以後で、この社告が出るかは変わっておりますが、それとの関係性はないということなのでしょうか。

事業者でどのような判断をされているかについてはコメントできませんが、企業の判断要素の中に、新しい制度も考慮した上で決定したという会社がある可能性はあり得ると思います。

あと、例えば社告でお詫びをして、結果として、措置命令に至らないというケースも考えられるのでしょうか。

そういったケースというのは非常に個別具体的な事実に即した判断になると思いますが、これも原則どおり、会社がご自身のご判断で社告をされるわけですので、そのことと行政庁の処分がストレートに結び付くものではないと思います。

表示対策課

措置命令において、誤認排除措置として、私どもが社告を命じるという対応は、従来どおり。
それ以前に各社が社告等を行うことについて言えば、今、長官からご説明がありましたとおり、各社の判断によって行われることですので、特に私どもがコメントをする立場にはないというのは、まさにそのとおりです。
ちなみに、措置命令を受けた後の社告というのは、消費者庁長官の承認が必要な事項となっておりますので、その社告に関しての中身というのは、しっかり私どもがその内容について、それが消費者に対して誤認の排除に足り得るのかどうかというところも確認した上で行われているということは、付け加えさせていただければと思います。

毎日新聞の曹と申します。
子どもの転落事故について、医療機関ネットワークからの報告なので、総数というわけではもちろんないと思うのですが、例えば、0歳児から1歳児の家庭内の事故の中で、ベッドからの転落が割合として多いなど、データがあれば教えていただきたいのと、今の時期の注意喚起というのは、例えば報告が顕著に増えているなど、そういった何かきっかけがあったら教えてください。

まず、後段ですが、本日、注意喚起を行った理由についてでは、最近、数字を確認いたしましたところ、6年半の間に564件も寄せられており、人口動態調査においても、ベッドからの転落をきっかけとする死亡事故は確認されているという事実がございます。さらに、先日、大人用ベッドに取り付けるベッドガードに0歳児が挟まれて亡くなるという悲しい事故が起き、消費者庁ではツイッターで注意を呼びかけたところでございます。こうしたことから、今月、11月がSIDSの強化対策月間であることともあわせて、子どもの事故防止の取組の一環として、今回、大人用ベッドに関する事故を防ぐために注意喚起をする必要があると考えて、本日、動画も含め、ご覧いただいた次第です。

消費者安全課

医療機関ネットワークからの事故情報は、我々は当然把握しておりますし、今の記者のご質問にあったような集計をすることは可能ではありますが、我々としては、そこは控えさせていただきたいと思います。
と申しますのも、医療機関ネットワークは個別の情報を事例として取り上げる分には有用でございますが、その医療機関の選び方、あるいは届けられる事故などは、必ずしも統計的な手法によって、全体の縮図になるような取り方をしておりませんので、全体の中でのウェイトを出すこと自体、若干ミスリードになると我々は考えております。そういう意味で、お出ししにくいなと考えておりますので、そこはご理解いただければと思っております。

健康産業流通新聞の和田です。
機能性表示食品制度の見直しに向けて、例えば他省庁などと話合いなどはやっていらっしゃるのでしょうか。例えば厚労省や農水省なとどはやっていらっしゃるのでしょうか。

はい、必要に応じて関係府省庁との連携はとっております。

もう既に話合いはしているのでしょうか。

一般的な情報提供はお互いにし合っておりますが、まずは機能性表示食品制度ということで、消費者庁における調査・検討を進めているところでございます。

朝日新聞の滝沢です。
大人用のベッドの事故の件で伺っておきたいのが、何で大人用ベッドからの転落が多いのかという分析や見立てはありますか。ベビーベッドだと柵があるから、その柵の有無によって何か差が起きているのかなど、そのあたりの見立ての部分でもいいので教えてください。

専門家の先生のご意見は別途あるかもしれませんので、我々が断定的なことを言うことは差し控えたいと思いますが、少なくともこういった形で大人用ベッドからの転落事故があり、しかも、相当数があるという事実を多くの方たちに知っていただきたいと思い、今回、注意喚起をしております。この注意喚起を契機に、より関係各方面での事故防止についての研究が進むことになれば、それはよいことだと思いますし、私どもも引き続き状況を注視していきたいと思っています。