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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成29年6月14日(水))

日時:平成29年6月14日(水)14:00~14:21  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

本日は、私から2点ご報告申し上げます。
まず、最初のご報告事項ですが、消費者白書について申し上げます。
6月9日に平成29年版消費者白書を公表いたしました。
今回は「若者の消費」を特集テーマとし、未来の担い手である若者に焦点を当てました。具体的には、

  1. (1) 若者の多くは買物好きであるが、消費は慎重で堅実であること、
  2. (2) 15歳から25歳の1日あたりのスマートフォン利用時間は、3時間以上が約7割、7時間以上が約2割など、若者はスマートフォンを長時間使用していること、
    10代、20代の約3割が、友人からのSNS情報をきっかけに消費した経験があるなど、SNS情報が消費行動に影響していること、
  3. (3) 消費生活相談においては、SNSをきっかけとしたトラブルが増加し、15歳から29歳では4,000件以上であること、
    また、エステや美容医療など、美容に関するトラブルの相談件数が20歳代で多いこと、

などが示されております。
このような現在の若者に対する消費者教育として「エンターテインメント」や「インターネット」を活用した取組や、若者自身が団体を立ち上げ、活動している地方公共団体の取組などの例を紹介しております。
真に豊かな暮らしの実現に向けて、若者の参画は不可欠であり、消費者庁では若者のニーズや興味を的確に捉えた消費者政策を展開してまいりたいと考えております。
第2のご報告事項です。食の安全ホームページ開設についてでございます。
本日、消費者庁のホームページに「食品安全に関する総合情報サイト」を開設いたしました。こちらは食品安全に関する総合情報サイトです。
消費者庁は食品の安全に関する関係府省庁の総合調整を担っており、これまでも、意見交換会やツイッターなどで、消費者の皆さまに対して食品安全に係る正確な情報発信に努めてまいりました。
しかし、近年ではSNSなどが発達し、食品安全に関する、科学的根拠に基づかない様々な情報がもたらされる事態も発生しております。
これによって、消費者に疑問や不安が生じていることから、食品の安全に関して、ここを見れば疑問や不安の解消の糸口となる、信頼できる、より分かりやすい情報発信を行うべきとの指摘を受けておりました。
そこで、このたび、消費者の皆さま方の関心事項別に、簡単な解説と、関係府省庁の所管する詳細な情報を紹介するポータルサイトを新たに設けることといたしました。
本日、公開されているものはまだ一部ではございますが、今後、関係府省の協力を得ながら、逐次内容を充実させ、今年度中の本格運用を予定しております。また、その後も不断の情報の更新及び内容の充実に努めたいと考えております。
日々の暮らしの中で、食品安全に関して感じた気がかりなことや不安に思うことがありましたらご覧いただき、ご活用いただきますようお願いいたします。
報告事項は以上でございます。

2.質疑応答

共同通信の老田です。
今週、報道に出ていたのですが、過去5年間でカフェインの過剰摂取が原因で100人が搬送されて、うち3人が亡くなったという調査結果が出ていましたけれども、こういうコーヒーやエナジードリンクといった、我々若い世代からあらゆる年代まで身近な飲み物が原因でこういう重大な事故が発生していることについて、どのように受け止められましたでしょうか。また、今後どのように安全を確保していくべきとお考えでしょうか。

報道には私どもも接しておりますので、消費者庁の対応をご報告申し上げたいと思います。
カフェインを多く含む食品の摂取が原因と見られる中毒情報に関して、消費者庁に寄せられた健康被害情報が26件確認されております。
食品を摂取するに当たっては、特定成分の過剰摂取は健康被害を起こす可能性が高いことは一般的に知られており、カフェインについても同様に注意が必要であります。
消費者の皆様におかれては、カフェイン成分がカプセル、錠剤、清涼飲料などを通して凝縮されたものを摂取する際には、健康被害のリスクがあることにご注意いただきたいと思います。
消費者庁としては、どんな食品でも絶対に安全なものはなく、リスクは必ず存在することを消費者に分かりやすく、正確に伝わるような情報提供に努めてまいりたいと考えております。
また、念のため付言いたしますが、ご指摘のカフェインについての表示の現状について簡単にご報告いたしますと、ご指摘のカフェインをはじめとして、食品中に使用されている食品添加物については、食品表示基準第3条に基づいて、容器包装に表示する義務がございます。カフェインを使用した場合は、カフェインが容器包装に表示されることとなります。
ご指摘のいわゆるエナジードリンクなどにカフェインが使用された場合は、容器包装に添加物としてカフェインが表示されることとなります。
ただ、ご注意いただきたいのは、もともとカフェインが含まれている飲料、コーヒーやお茶については、添加をしていない場合は表示される義務はないということになります。
カフェインの過剰摂取に関する注意喚起については、法令上の義務はないものの、任意で容器包装に注意喚起を行っている事例はございます。

データ・マックスの木村です。
今の関連で、その注意喚起表示をエナジードリンクなど、ある一定のカフェインが含まれているものに義務付けるとか、一遍に大量に、例えば若い人に販売しないとか、何らかのそういった取組というのは今後検討されるのでしょうか。

厚生労働省をはじめとする関係府省庁と連携した上で、国内外の科学的知見を踏まえて行う必要があると考えておりますので、注意喚起をするための具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、消費者庁としてはどんな食品でも絶対に安全なものはない、リスクが必ず存在することを消費者に分かりやすく、正確に伝わるような情報提供に努めてまいります。

朝日新聞の藤田です。
加計学園の問題に関してですけれども、現在、前事官や現職の職員がその経緯について告発した場合、それは公益通報の対象となるかどうかという議論が起きていますけれども、消費者庁としてのご見解はいかがでしょうか。

公益通報者保護制度一般を所管する消費者庁として、あくまで一般論について申し上げますが、公益通報者保護法は、公益通報者の保護や事業者による法令遵守の確保などを目的として、公益通報をしたことを理由とするその通報者の解雇無効や、不利益な取扱いの禁止などを定めたものでございます。
法律では、労働者が労務提供先について、法の定める通報対象事実が生じ、又は生じようとする旨を、所定の要件を満たして通報した場合に、これを公益通報者として保護する旨、規定されております。
したがいまして、内部告発を行った通報者が退職後である場合は、労働者の要件を満たさないことになりますので、この法律による保護の対象とならないという結論となります。

それは退職者に関してということですね。
そうすると、現職の職員が告発した場合は、公益通報者保護制度の対象となる法律というのが決まっていると思うのですが、今回のケースについては、その対象となるかどうかということについて、ご見解はいかがでしょうか。

今回の件について意見を申し述べるものではありませんので、一般論の解釈指針を申し上げます。
労働者の中には現役の公務員も含まれます。したがって、同法の保護の対象に現役の公務員が通報した場合は含まれ得るのですが、その通報の内容についての要件がございます。
通報内容が国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる特定の法律に規定する刑罰規定違反に関する事実が含まれていることが法律上求められておりますから、想定される当該告発の内容が具体的にどういった刑罰規定違反に該当するかのかが明らかになっている通報に限り、保護の対象となることになります。

今回の個別の事例については回答が難しいということですけれども、先程の退職者に関しては、この間のワーキンググループの中でも、報告書の中で、含めるべきではないかというお話にもなっておりますが、今後、今回の問題について対象と含むべきではないかという、制度上も退職者も含むべきではないかというワーキングの報告もありますが、そういったことについて、今後法改正の方向性についてどのようにお考えでしょうか。

ご指摘のとおり、公益通報者保護制度の実効性を高めるために、昨年12月に「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」の最終報告書を取りまとめていただいたところです。
消費者庁といたしましては、その最終報告書にご提言いただいた内容に従って、法改正の方向性をより具体化するための検討を行っていく所存でございます。
これから、様々な方面からの意見も反映させつつ、昨年12月に提言いただきました法改正の方向について、より一層の検討を進めてまいります。

確認ですが、今回の個別の問題については、これが公益通報者保護制度の対象になるかどうかということについては、ご見解は述べるのは難しいということでしょうか。

いずれにしても、常にこちらの会見では個別の事案についての当てはめということについては見解を差し控えさせていただいております。一般の消費者への注意喚起ないし、皆様方へのご指示のお願いといったものとは違う内容のご質問と理解しました。あくまでもこちらからのご報告は、公益通報者保護法の趣旨、そして将来の改正の方向性について有識者会議の提言を尊重して、その改正を進めていく方針であることをもう一度確認させていただいた次第です。

データ・マックスの木村です。
別件ですけれども、加工食品の原料原産地表示制度で、先日、消費者委員会の食品表示部会で、経過措置期間が5年を軸に再検討というような議論になっていたのですけれども、ただ、委員の中には反対意見もあったり、長過ぎるという意見があったり、私自身も食品の業界の人から聞いたら、5年というのは必要ないという声が実は多くて、そのあたり、いかがお考えでしょうか。

各方面から様々なご意見があるところだと承知いたしております。消費者庁としては、様々な角度からのご意見を踏まえて、現在、しっかり検討を進めているところでございますので、いずれ方向性が出ました段階でご報告いたしたいと思います。

日本消費者新聞の丸田です。
本日から設置された「食品安全に関する総合情報サイト」には、有害事象と言われるもの―食品を食べて、いわゆる健康食品であっても、あるいは機能性表示食品であっても、食べて事故にあったということについて、自治体あるいは医療機関を通じて通知されたものについて商品名とか企業名を出すご予定はありますでしょうか。
これは消費者庁ができる前、厚生労働省はそのとき既に、原因は不明確だけれども、予防的措置として、そういうことを商品名、事業者名を出しておりまして、消費者庁になってからそういうのが無くなったのですけれども、多分、消費者が知りたいのは、そういう商品名であったりすることですので、そういうことは今後どうでしょうか。

事故情報の一元化ということは念頭に置いておりますが、ご指摘の点については、これからご趣旨を踏まえて再度検討させていただきます。

それともう一つ消費者白書ですが、若者の消費動向であるとか、トラブルの実態であるとかというのはとても面白かったです。
それはそれとして良いのですけれども、消費者白書の中で、消費者事故情報の通知、1万何百件という、あれは財産被害も含めてありましたけれども、身体・生命被害が確か3,000件ぐらいあると。昨日の消費者委員会の消費者安全専門調査会の中で消費者アンケート調査が発表されました。その中で、消費者庁の重大事故であるとか、非重大事故であるとか、注意喚起であるとか、そのウェブサイトの認知度を聞いたところ、80%から90%が知らないという回答だったと。
消費者庁自身は発足して8年ですけれども、事故情報が一元的に寄せられたとしても、それをどういうふうに発信していくかということかと思うのですけれども、つまり社会的共有というか、そこの点がこのままであれば、多分事故は無くならない。例えばリコールの対象製品であったとしても、重大事故は年間100件前後で発生していることであるとか、先程の健康情報についても、食品安全情報にしても、今日スタートされますけれども、どういう内容であるかということは関心が高まると思うのですが、何よりもこのウェブサイトの認知度を上げるため、つまり社会的共有を図るためにどうしたら良いのかということについての検討とか、委員会に任せるだけではなくて、消費者庁としてはどのような思いでしょうか。

ご指摘の点は本当にそのとおりだと思っております。こういったいろいろ努力をしてくれている安全担当の課長とも話をしているところでありますし、例えばエンターテインメント系のインフルエンサーの方たちにこの消費者庁のサイトを知っていただくこととか、少しこれまでと違ったアプローチも含めて考えたいと思っており、今、工夫をしようとしているところです。どうぞ皆様方のアイデア・ご教示大歓迎いたしますので、よろしくお願いいたします。
そして、日頃からお忙しい中、毎週水曜日の定例記者会見の場に来ていただいている皆様方には、本当に感謝しておりますが、なお一層の消費者庁の情報についての認知度向上のため、ご理解、ご協力をいただけると本当に有り難いと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

もう一つだけ、今の点で確認ですけれども、消費者白書には、徳島の新未来創造オフィスの件も書いてありました。一応検討することが書いてありましたけれども、例えば、この社会的共有というのは、事故調も苦慮しているところであると聞いているのですけれども、消費者白書の中では大まかな点が書いてあったぐらいですけれども、こういうことをオフィスで検討課題として具体的にスタートするとかということはないでしょうか。

有益なコメントをありがとうございます。前向きに検討したいと思います。