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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成28年11月16日(水))

日時:平成28年11月16日(水)14:00~14:13  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

昨日、「平成28年度地方消費者行政の現況調査」を公表いたしましたので、そのことについて簡単にご報告します。
消費者庁では「地方消費者行政強化作戦」を策定しておりまして、この調査でその達成状況が明らかになっております。今回の調査では、昨年に引き続き、全ての自治体に相談窓口が設置されていることが確認されたほか、消費生活センターが設置された市区町村が増えていて、また、消費生活相談員を配置する市区町村が増加していることが確認されております。また、非常勤職員として任用する消費生活相談員等に対して、雇止めを行っている自治体数は、昨年度に比べて大幅に減少していることが確認されております。
一方で、都道府県別にみると消費生活センター設置率の低い地域や消費生活相談員の配置が進んでいない地域もあります。具体的には人口5万人以上の市町における消費生活センターの設置が50%に達していない都道府県が6県もあるということは、まだまだ改善の余地があるかと存じます。
消費者庁としては、体制整備に一層取り組んでいただくよう、様々な機会を通じて都道府県などに働き掛けるとともに、地方消費者行政推進交付金等を通じて支援してまいります。

2.質疑応答

日本消費経済新聞、相川です。
地方消費者行政の現況調査が出たのですが、これで相談員が確かに今年は26人増えてはいますが、相談員がない自治体が650から646と4つ減っただけ。さらに、全く自主財源のない市町村が240から254に増えています。これが何を意味しているのか。
平成29年問題というのを長官はご存じかと思われるのですが、交付金を使って新規で事業を実施できる年限が29年度までです。にもかかわらず相談員の増加はこの程度にとどまっています。さらに、交付金は、原則7年しか使えないけれど、消費者行政に力を入れると首長が宣言をし、なおかつ相談員の更新回数を制限しない、小規模自治体などの条件を満たすと最長11年間に延長できます。ですが、消費者庁が創設から8年が経ち、間もなくその期限を迎える地方自治体からは、相談員の雇用が厳しいという声も聞こえてきます。
現実的に平成29年が目の前に来ているのですが、早急に何とか方針を示さないと直前まで何もできないということであると、また相談員が減少しかねないという懸念があります。 これについて、長官はどのようにお考えになっていらっしゃるかお教えください。

地方それぞれの事情があるので、一概にこの時点で申し上げることは難しいと思いますが、それぞれの自治体でのご尽力をお願いするようにこちらも働きかけてはいきますし、その町が無理ならその県で、その県が無理ならそのブロックで、更には全体について配意をしていく立場にある国も、やはりそれぞれのレベルでの努力が必要かと思います。
いずれにしましても、消費生活相談員の方々には日々頑張っていただいていることに感謝しておりますし、いろいろな資格もありますが、国家資格として認めていくことなど、様々な工夫をしておりますので、引き続き、一つのことが全てを解決するという課題ではないと思いますので、いろいろできることを工夫してやっていきたいと思います。

消費者教育・地方協力課

各自治体については、広域連合で村や町単独でできることが難しいという場合は、連携してやっていただいたり、広域連合でやっていただいたりしていますし、各県の努力、非常にいただいているところである状況でございます。
消費者庁としましても、交付金等でなるべくサポートしている形に今後も引き続き行っていきたいと思っておりまして、その先の話については今後という形になってしまうのですけれども、現状としてはできる限りのことを消費者庁としても地方自治体としても消費者行政推進のために頑張ってまいりたいと思っております。

とりあえず交付金があるから、交付金の後押しで相談員を配置しているところが小さな自治体では多いのが現状です。その状況を良くご存じいただいていると思いますので、地方があまり不安にならないように、雇った相談員を辞めさせることなく相談現場を大切に育てていくために、消費者庁はどういう姿勢が示せるのか、今、問われていると思いますのでよろしくお願いします。

地域の住民の役に立てるように、それぞれの地方自治体も工夫していると思いますので、実際に地域の人たちからの声をしっかり受け止めて、地方としても国としてもやっていきたいと思いますので、相川さんがおっしゃられるように、それぞれの市町村の実情に応じた進歩を目指したいと思います。

特商法の執行件数が激減しているという記事を書かせていただいたのですが、2014年が40件、2015年が34件、今回1つの業務停止命令と指示命令が出てやっと8件に過ぎない。なぜこんなに激減しているのか。

過去の数字について、ご意見があるというお立場は分かります。少しでもこういった事態について法執行を適正に行うというのは、この役所に課せられた重大な使命の一つです。この夏に人事異動も行っておりますので、これからの私たちの活動に注目していただければと思います。

先日、行政処分が行われたIPSコスメティックスの件ですが、事業者に取材したところ、4月に立入調査が行われていた。何故、公表までに半年以上かかるのでしょうか。事業者自体が「迅速な対応だったとは言えない」と話されていました。
そして、これまでは、例えば、マルチ商法であれば、自分が買った商品を上回る利益があるマルチの会員がどのくらいあるか明確に出して公表していました。今回は「ほとんどないと思われる」と回答し、「では、具体的にどのくらいの階層になれば利益があったのか」と質問をすると、「正確に把握していないので事業者に聞いてくれ」と担当者は答えました。事業者の顧問弁護士に聞くと、「ほとんど利益がないということはない」と。「では、どのくらいか」と聞くと、「それは明らかにできない」ということなのです。
一体何をしているのか。今の執行体制にもちょっと不安を持つ。激減していることと関係がないのかと。その辺は少し考えていただきたいと思っています。

相川さんの熱のこもったお言葉はしっかりやれよとの激励と受け止めます。
ただ、個別の案件、先般発表いたしましたIPSコスメティックスについては、ここでその内容を詳細に申し上げることは差し控えさせていただきます。
一般的に言えば、調査はどれぐらい時間がかかるかということだけについて言っても、対象となる事業者の協力度合いにもよりますから、なかなか予想も難しいです。やりながら次回の事案の進行状況、調査の進捗状況を確認しながら進めていくというのが現実だと思いますし、それ以外の方法も難しいと思います。
いずれにしましても、厳正な法律の適用について、庁を挙げて努力しておりますので、今後も叱咤激励をよろしくお願いします。

特商法が今回改正されましたが、高齢者の被害を予防するための対策は限定され、ほとんど法執行で対応する。法執行と罰則強化、法執行の強化で対応するというような法律になっています。それなのに、この時点でこれだけ執行が激減してしまっている。自らそれを減らしてしまっておいて強化すると言っても、それでは筋が通らない。本当にここは性根を入れてやっていただきたいと思います。

ご指摘、重く受け止めております。