文字サイズ
標準
メニュー

岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成28年8月31日(水))

日時:平成28年8月31日(水)14:00~14:32  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

 皆様、こんにちは。本日は消費者庁の方からご報告がございます。
個人消費の喚起のためには、「消費者被害の防止・救済の取組を進め、消費者の安全・安心の確保を図る」ことが重要であるとの認識の下、この度「消費者の安全・安心暮らし戦略2016」を取りまとめ、公表いたしました。
本戦略では、消費者基本計画工程表、これは本年7月19日に改定したものでございますが、この工程表を踏まえ、消費者行政の新たな未来の創造に取り組むとともに、地方と連携した体制整備、制度の実効性の確保・向上、多様な消費への対応等に取り組むこととしております。
これらの実現に向け、消費者庁の平成29年度予算概算要求については、平成28年度から約24%増の147億8,000万円を要求することといたしました。この一般会計と、復興特別会計を合計いたしますと、152億6,000万円でございます。また、参事官1及び室長クラス2の機構要求及び27名の新規増員要求も行うことといたしました。
具体的な重点事項としては、「地方消費者行政推進交付金」を、平成28年度から20億円増額の50億円を平成29年度分として要求しております。これにより、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる地域体制の整備・充実や、高齢者等の地域の見守りネットワークの構築に向けた取組などについて、全国の地方公共団体の取組を支援してまいります。
また、消費者庁としては、平成29年度に徳島県に消費者行政の新たな未来の創造を担う消費者行政新未来創造オフィス、まだ仮称ではございますが、こういった名前のオフィスを置くことを考えております。そのための調査・研究機能の整備や全国展開を見据えた地方でのモデルプロジェクトを行うための予算及び参事官等の機構定員要求を行っております。
今後、これを基に関係各所と調整することになりますが、消費者行政のさらなる充実強化のため、必要な予算・機構定員の確保に努力してまいります。
以上、私からのご報告でございました。

2.質疑応答

毎日新聞、鳴海です。よろしくお願いします。
まず、概算要求の関係で2点ほどあります。徳島県への移転の関係で、オフィスを含めて予算は概算要求に盛り込まれました。改めてですが、基本的な徳島県移転に関するスタンス等をお聞かせいただければと、それがまず1点。
あともう一点は、昨日消費者事故調のエレベーター事故の報告書が出ました。関連して、やはり調査に長い時間がかかったというのもありまして、予算等、もしくは人員等の、そこがかなり言われているところではありますけれども、やはり今回の概算要求でも、いろいろな背景はあるのでしょうけれども、予算は減っておりますし、人員の増も目立ったものはないということが見受けられます。事故調の体制を強化するという意味で、概算要求には余り反映されていないと思うのですが、その点に関するお考えをお聞かせください。

まず、徳島のオフィス、「仮称、消費者行政新未来創造オフィス」につきましては、実証に基づいた政策の分析、研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点といたしたいと考えております。
したがいまして、平成29年度概算要求においては、オフィスの整備経費、新しい消費者行政の創造のための事業費、増員分の人件費等について、消費者庁関連で4.8億円、国民生活センター関連で2.4億円、計7億2,000万円を要求したところでございます。
新たなオフィスでは、消費者庁においてこれまで取組が十分ではなかった理論的・先進的な調査研究、全国展開を見据えたモデルプロジェクトなどを集中的に行うとともに、国民生活センターにおいては、主として関西、中国・四国地域の対象者を中心とした研修、徳島県独自の研修、さらには相模原事務所では実施できなかった先駆的な商品テストのプロジェクトを行い、地域の現場に根差した、より実効性のある施策をつくり出し、それを全国に広げることで消費者行政を進化させることができると期待いたしております。

消費者安全課

ご質問の2点目につきましては、消費者安全課の方から説明させていただきます。
まず、事故調査関係の予算が減っていることへのご質問だったと思います。確かに午前中お配りした予算の資料でも減っておりますが、その際にもご説明しましたように、委員の方の旅費、例えばその現地とかに赴いての調査の旅費を、今年の執行状況とかを見て、要求額を少し見直したということでございます。
我々としては、その旅費はあればあるだけ使うということではなくて、当然効率的・効果的な調査を心がけておりまして、その結果見直したということでございますので、必ずしもその調査の機能の弱体化と考えるべきではないと思っております。
あと、人員の増もないではないかというご指摘がございました。その点は、そのとおりでございます。ただ、ここも予算の新規要求で、その事故調査室の職員を海外の研修に派遣することによってそこで知見などを得て、スタッフの強化みたいなのを図る、そのようなことは考えております。我々としては引き続き、事故調査は強力に進めてまいりたいと思っております。

弱体化したとは言っていません、そう思っていないですし。午前中のレクも伺っていたものですから、今のご説明、もう全部聞いております。さりとて、その体制の強化という意味で確かにそういう研修的な機会も必要でしょうけれども、一義的にはマンパワーというか、体制を増やすという声がやはり昨日の遺族の方の代理人の弁護士の方からも聞こえてきたりしていますし、いわゆるこの事故調に関して関心を持っていらっしゃる識者は、おしなべて大体、やはり人数が少ないとか、そこら辺を指摘する人が多いわけです。
その点に関して、今回の概算要求にそこまで目立った部分が見当たらないというふうに見たものですから、長官のお考えを伺いたいと思ったところです。

消費者事故調のご活動のために、消費者庁がサポート体制を強化し続けていくということは、私も必要なことだと思っています。
今回の件について、当事者の代理人の弁護士の先生方がご発言されていることも、中長期的に見れば消費者庁の応援のコメントだと私は思っておりまして、より良い仕事をするために、現状では不十分なところについてハイライトして言ってくださっている発言だと思っています。
そして、誰もが現在の消費者庁の人員・機能が完璧だとはなかなか言えないのだと思います。ですから、どんな機会を捉えても、より消費者行政の強化に努めていきたいと思っております。
その中で、いろいろな状況を踏まえますと、来年度の概算要求については、より確実と思われる地方行政支援のための交付金の増額、さらには徳島といった実現可能性の高いことも考慮の上、要求しています。
決して弱体化して良いと思っているわけでもありませんし、一つ一つ、消費者行政の機能強化につながることであれば、やっていきたいと思っていますので。
ここに事故調のサポート強化という大項目がなくても目標は全員、共通していることでございますので、それは今、消費者安全課長からもコメントがあったとおり。我々も際限がなく予算が使えるのであればたくさん書いたかもしれませんが。それにしても現在の24%増ということ自体、現在の環境の中ではかなり大きな増額要求だと思っています。
引き続き、ご支援、ご協力、お願いいたしたいところでございます。

次長

他省庁の要求状況は分かりませんが、24%増という数字自体は大変大きな数字になっておりますので、ご確認をいただければ幸いでございます。

日本消費経済新聞、相川です。
徳島のオフィスについてですが、人員が17人増とお聞きしています。昨年度は実は25人増員を要求して11人しかついていません。今後どのくらい人員が確保できるかは分からないのですが、消費者庁本庁の人員に影響するのではないかということを、一つ心配しています。その辺の心配がないかということと、その17人について、それはいつ、どのような形でスタートさせて、人員はどのような形で運営していこうとお考えになっているか教えてください。
それからもう一つ、予算については、この前も26%増で要求して、さほど増えていなくて、地方消費者行政推進交付金は2年続けて50億で要求して、結局2年とも増額することができず、補正でしかついていません。そのあたり本当に見通しとして、きちっと今回とれるのか。
それから、これは新規事業を見てみると、やはりオフィスの未来創造というのは大変聞こえは良いのですが、現実的に啓発とか消費者教育のところのモデル事業が、消費者庁のまるで目玉のように位置づけられていまして、本質的な消費者庁の事業が本当に進んでいくのか、やはりオフィスで振り回されたことが新しい事業とかに取り組めていないのではないかというふうな懸念を抱いています。それについてどのようにお考えかをお教えください。

ご懸念の東京での機能を犠牲にするような人員配置になるのかどうかということにつきましては、断じてそういうようなことはしないということで、庁内の意思決定をしております。定員16名を要求したところですが、これに加えて国民生活センターについて運営費交付金の要求の中で、常勤職員で5名分の人件費を計上しております。これで21名分の要求になります。
また、新たなオフィスが成果を上げていくために、民間からの政策調査員等の非常勤職員、さらには長期滞在者、出張者などにかかる経費も要求しておりまして、この新しいオフィスを開設することで、「全国の消費者行政の機能強化」という消費者庁と国民生活センターが期待される役割を果たせなくなるなどということがないように、必要な予算・人員について十分に折り込んで要求しているところでございます。
私どもの希望という形で、今要求しておりますので、要求したものが満額通るということは、もうほとんどないのが現在の日本の状況だと思います。その中で、ご指摘のように、去年も十分ではなかったと言われますと、なかなか苦しいところはあるのですが、そこでくじけることなく、今年も要求しているわけです。今年の要求についても認められなくても、それをベースに引き続き補正予算でも多くの予算を頂くように努力をしています。
明日でこの役所は設置以来満7年、まだまだ成長途上にあります。それは国にも分かってもらった上で、より大きく、強くなるための大事な概算要求だと思っていますので、結果についてご懸念は当然あるかと思いますが、今は私たちの精いっぱいの努力をさせていただきたいと思っています。何とぞご支援を重ねてお願い申し上げます。
もう一つ、相川記者のご下問ですが、オフィスの開設時期のめど。29年4月から使って良い予算の獲得に、今、努めておりますので、具体的な準備を4月から現場でということも含めますと、正式な開設は夏ごろをめどにと考えております。もうしばらくいたしましたら、もう少し具体的なことが申し上げられるのではないかと思いますが、予算や機構定員要求に係るこれからの政府内での調整、さらには国会審議の状況なども踏まえて決定してまいりますので、ご報告できるときは、早目にご報告したいと思います。

朝日新聞の毛利です。
概算要求のところで、本来の一般会計で要求すべき事項に加えて、徳島の分をプラスアルファでつけたというのが今回だと思うのですけれども、それで24%とかなり大きいということなのですけれども、最終的には財務省と折衝していく中で、結局徳島の分は認められたけれども、本来のところが削られてしまうという懸念もあるかと思うのですけれども、そうすると本庁の機能低下にもつながるかと思うのですが、そこら辺は、どういうふうに折衝というか、例えば、本来要求すべきところは必ずとって、徳島のところでとれるだけとるみたいな、何かそういうことは考えていたりするのでしょうか。

正におっしゃられた方向です。本来やるべきことは犠牲にしないということで、これは前長官からも引き継いでおりますし、大臣のご発言もその流れだと理解しております。

分かりました。
別件で、朝日新聞で、子供の事故について特集を組んで報道をしておるのですが、一つ、ドラム式の洗濯機の事故で、朝日新聞の調べでは、以前にも2件ほど起きていたということが分かったのですけれども、これは消費者庁として把握していたのでしょうか。
消費者安全課

ご質問につきましては、今この場ではお答えできませんので、後ほどご連絡をとらせていただければと思います。
ただ、一つ申し上げたいのは、当課には、事故情報が集約される仕組みとなっておりますが、それは製品の使用等に伴って生じた事故でございます。新聞に出ていた事案は、寝ている間に、たしかお子さんが起き上がって、ドラムの中に入ってしまったというような事故だったと思いますけれども、そういうような事故だと、製品の使用等に伴って生じた事故と言えるのかどうかというところから問題になってきますので、そこでの判断が分かれて、報告されていないということも当然あり得るのではないかと思います。
いずれにせよ、過去にあったかどうかを把握しているかということは、あとでご連絡先を頂いて、お伝えしたいと思います。

把握しているかどうかは、今の段階では分からないということなのでしょうか。
消費者安全課

それは、今私が答えられないということであって、組織として報告を受けていたら、それは把握していたということだと思いますので、過去にその報告があったかという話は、調べれば分かる話ですので、そこはお伝えしたいと思います。

仮に把握していたとすると、何で注意喚起ができなかったかというところが知りたかったのです。もっと早く注意喚起していれば、同じような事故は起きなかったのではないかというところが気になっていて。

そこにつきましても、これまでの把握状況と併せてお伝えしたいと思います。

あと、長官にお伺いしたいのですが、子供の死の調査につきまして、CDRについての必要性については、長官ご自身どういうふうに。

本当に痛ましい事故が起こり得る日々の暮らしだと思いますので、本人の無念、家族の思いを考えますと、私も言葉を失うような事故が起きてしまうことが、実際あります。そういった事態を可能な限り減らしていくために、事業者にも働きかけ、消費者への働きかけ、注意喚起も含めてですが、再発防止のために、本当にあらゆる角度から努力したいと思いますので、ご指摘は重く受け止めたく、引き続き、私どもからこういったことに関して発信することについては、メディアの皆様方にも、全国にアナウンスしていただければと思いますし、何らかの事情で、私どものネットワークにかからないような案件であっても、お耳に入れば、お教えいただければと思います。
また、私どもに情報が入らないという事態が、これも可能な限り少なくなるように、体制をさらに強化したいと思っています。

そのチャイルド・デス・レビューの導入については、どういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

一つの政策課題で非常に大事なものですし、国際的にも大変関心の高いところだと思いますので、今この場で、いつどういった形で具体的にということは申し上げられませんが、ご指摘はしっかり受け止めたいと思います。

日本消費経済新聞の相川です。
新オフィスの件なのですが、ここで取り組むモデルプロジェクトというのを各課に今日取材させていただいたのですが、まだはっきりしていないということも一つあるのですが、ほとんどが啓発とか、リスコミとか、消費者教育とか、あくまで消費者教育とか、そういう部分が主なのです。
調査研究をしたいということは分かるのですが、この中で4番の行動経済学を活用した消費者行動の分析研究というのは、本来は本年度の新規事業で入っているのに手つかずのままだったので、それをじっくりと徳島でやるということのようなんです。これを見たときに、消費者庁は何のためにできたのかなと。消費者庁の未来を創造するのって何なのかなと。
今回、消費者契約法で改正しようと思ったけれども実現できなかったとか、例えば特商法では不招請勧誘を大臣はやりたいと言っていましたけれどもここに入っていませんし、はっきり言って再勧誘の禁止がどこまで機能しているかというのがPIO−NETから分析できなかったのです。それから消費者契約法で、どういうときにどう使えていないかというのも分析できなかったのです。
だから、改正がうまくいかなかったのですが、そういうところに踏み込むような調査研究になっているのかなと。何か徳島に合わせて、徳島ができそうなところでやると。それを消費者庁の未来にするのかと。私はこの予算を見てすごく悲しくなっているのですが、長官は如何お考えでしょうか。

悲しくならないでください。繰り返しになってしまいますが、あらゆる機会を捉えて全体での機能強化を図りますので、そのうちの一つの外に出していく戦略、分かっていただくための概算要求の項目でございますので、専門家の方々から見ればほかの書きようもあるということもあるでしょうし、ほかのアプローチもあるということはあるかと思います。
ただ、私たちはまず、政府の中でも消費者庁がやっていることを認めてもらって、定着させていく過程にありますので、まずはできることから、そして消費者基本計画も毎年見直しておりますし、必ずや進歩をするべく努力します。
消費者契約法についても、私は自分でこの法を読んでいます。また、今回のエレベーター事故についても、事故調査に当たって消費者安全委員会の調査権限が不十分ではないかというご下問もあるかもしれないと準備して、自分で安全法なども読んだのですが、運輸の事故と同じだけの権限はございますし、私たちとしてはできることを確実に、そのためにより高い目標は当然出しておりますので、目標を達成していないから駄目だと言われるとちょっと職員全員の士気に関わりますので、志は高く持ってやりたいと思いますし、1年ごとにレビューしていただければ、去年よりは今年が良くなったと、一定の評価を頂けるように努力します。
ですから、いろいろな制度の見直しについても、当然引き続き努力しますし、法律体系につきましては、初めての法律家の長官ですから当然責任は重いと思って、自分自身で勉強していますので、どうぞ建設的なご注文を頂ければと思います。
それでも、消費者庁だけで国会は通りませんので、そこは政府内部での膨大なエネルギーを使ってここまで来ているということもご了承いただけると有り難いと思います。
次長、日本の消費者法の権威で、追加コメントがありましたら。次長は私の尊敬する消費者法の権威ですから。

次長

皆様ご案内のように、事故調自体は消費者安全法を後から改正をして作ったものでございますし、権限は十分あるわけでございますが、具体の事案に応じてどの権限を使っていくかというのは、正に事故調の方で委員長以下、工夫して適切な権限を行使していただくということですから、事務局としてはその権限の行使をどういうときにどういうものが使えるかということについて、日頃から十分に分かっていて、委員会をサポートするというふうにしていきたいと思います。
体制の整備についても、その必要性に応じて消費者庁全体を調整しながら対応していくということでやっておりますので、いずれにせよ、事務局として委員会をしっかりお支えをして、成果を出していっていただくということかと思います。
あとは、具体のプロジェクトの点については、来年度の要求、主として来年度行うということでございますので、幅広い、オフィスも本格稼働していきますと、いろいろなところからいろいろ建設的なご意見を頂けると思いますので、そういうものを徳島県とも相談をして、2年目、3年目、来年度も予算がなくてもできることというのはありますし、調査研究のところは研究員の方をお願いして、いろいろ研究していただくということを考えておりますので、研究員の方の創意工夫と相談をしながら、ここに話も出てないようなものにも取り組んでいっていただくということもあろうかと思いますが、制度改正に直ちに役に立つものと、中期的に役に立つものがありますので、直ちに役に立つことだけやっているなら東京でやれば良いじゃないかということになりますので、徳島はむしろ東京ではできないようなことをやっていただくということがありますので、東京でもしっかりやりつつ、もっと未来につながるようなことを徳島でやっていただくと、そういうようなイメージでございます。