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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年6月29日(水) 14:00~14:27 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

私から冒頭4点御報告いたします。
一つ目は、アフィリエイト広告に関する景品表示法第26条指針の改定についてです。
本日、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の一部改正を公表することといたしました。これは、アフィリエイト広告等に関する検討会の提言を受け、パブリックコメントを行った上で対応するものです。
景品表示法第26条において、事業者は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害しないよう、不当表示を未然に防止するために必要な管理上の措置を講じることが義務付けられておりますが、本指針は事業者の措置内容の参考として示すものです。
主な改正内容としては、例えば、アフィリエイト広告も本指針の対象であることを明確化、「アフィリエイト広告の表示の管理」や「不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応」の事例を追加、アフィリエイト広告に事業者の「広告」である旨を明示することが望ましいことを追加することなどがあります。
事業者においては、このような改正内容を参考にし、必要な管理上の措置を行うようお願いいたします。
消費者庁としても、消費者が安全・安心して利用できるようなデジタル広告市場の健全化に向けて、事業者の今後の取組を注視し、不当表示が生じる場合や必要な管理上の措置が講じられていない場合には、厳正に対処していくこととしております。
二つ目は、オンラインゲームに関する消費生活相談対応マニュアルについてです。
近年、オンラインゲームに関する消費生活相談は増加傾向にございます。消費者庁では、有識者や関係省庁の意見を聴取の上、消費生活相談員のための「オンラインゲームに関する消費生活相談対応マニュアル」を策定いたしましたので、公表いたします。本日、このマニュアルを公表して、全国の地方公共団体に提供することとしております。
今回策定したマニュアルの内容には、ゲーム課金の返金等に関する具体的な対応方法のほか、トラブルの再発防止策も盛り込んでおり、消費生活相談員だけでなく、消費者の皆様にもお役に立てていただける内容としております。
マニュアルは消費者庁ウェブサイトに掲載いたします。消費者の皆様にも御覧いただければ幸いに存じます。
三つ目は、若年者への消費者教育についての日本弁護士連合会との連携強化についてです。
令和4年4月の成年年齢の引下げに伴う若年者の消費者被害を防止するためには、関係団体と連携した消費者教育の取組が重要だと考えております。
この度、消費者庁と日本弁護士連合会は、若年者への消費者教育の一層の実践・定着に向けて連携を強化していくことを確認いたしましたので、御報告いたします。
具体的な連携の内容でございますが、イベントの開催ですとか、弁護士等の専門家の参画による実践的な消費者教育の推進、継続的な意見交換といったことを行うこととしております。
今回の確認を契機とし、日本弁護士連合会とは機会を捉えて多面的に連携することとしております。引き続き、関係団体との連携を積極的に図り、若年者への消費者教育を充実していき、消費者被害の防止に努めていきたいと考えております。
最後は、令和4年度食品ロス削減推進表彰についてです。
昨日、若宮大臣からも御発言させていただきましたが、消費者庁は昨日6月28日から8月12日まで、令和4年度食品ロス削減推進表彰の募集を行っております。
今回から環境省と共同して行うということにしておりまして、10月中旬を目途に大臣表彰等の受賞者を決定し、10月30日、食品ロス削減の日でございますが、この日にさいたま市で開催する食品ロス削減全国大会で表彰式を行う予定です。
食品ロスの削減には、消費者、事業者など、様々な立場の人が取組を進めることが大切です。食品ロス削減に向けて皆様に御応募いただき、それらの先進的な取組の表彰を通じ、食品ロスの削減の推進がより一層広がることを期待しております。

質疑応答

NHKの秋山です。
冒頭の発言の中で、日弁連との連携強化のところで質問させてください。4月1日の引下げ以降、間もなく6月も終わるので、約3か月経過したわけですけれども、改めて連携強化する必要性というのを長官としてはどのように考えていらっしゃるのかというのと、もし現状での引下げの影響みたいなところ、把握されていることがあれば教えていただけないでしょうか。

まず、現状での消費生活相談の状況ですが、昨年度などに比べて、特段、今ものすごく若年者の消費生活相談が増えているという状況にはございませんが、やはりお金もうけを始めとしていろいろなトラブルが発生しているという状況にはあろうかと思います。引き続き、金融庁などと連携して、しっかり対応していく必要はあろうかと思います。
なお、日本弁護士連合会との関係でございますが、以前から、例えば実践的な消費者教育において、地元の弁護士の方に御参画いただくということもしていたわけでございますが、改めて日本弁護士連合会、会長がお替わりになるに当たって、是非、消費者庁とも連携して取組を進めていきたいというような御発言もございましたので、組織としてきちんと連携強化の形を取ろうということで、この度、こういった確認をするということにしたものです。
こういうことを組織として行うことによって、各地における取組も一層進むということを期待しているところです。

もう1点、アフィリエイトの指針の改定の件なのですが、これは、飽くまでも参考にしてもらうための指針改定にはなるとは思うのですけれども、アフィリエイトという言葉自体が法律に基づく施策の中に入ってきたというのは、ある意味で画期的なことなのかなと思います。実際にアフィリエイターへの影響等も既に、自主的な取組の範疇かもしれないのですが、出てきているとも聞いています。どういった広がりがあることを期待されているか、改めて教えてください。

景品表示法第26条、先ほど御説明したとおり、不当表示を未然に防止するために必要な管理上の措置を講じなくなくてはいけないということで、これは義務付けをされております。この指針は、では、具体的にどうすればいいかということの参考になるものとして、指針を定めていると、こういう性格になります。
もちろん、必ずしも「広告」と書かなくても、具体的に広告であることが分かればいいわけでございますが、何らかこういう管理上の措置は講じなくてはいけないということを明示したことによって、事業者において、アフィリエイト広告というものも管理していくということが、まず意識付けができたということが非常に大きいのではないかと思っております。
事業者側の自主的な取組がより一層進むということを期待しておりますし、そのことによって、適切なデジタル広告に基づいて消費者が選択できるという環境整備ができることを望んでおります。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
オンラインゲームに関する消費生活相談対応マニュアルの資料を拝見いたしますと、アドバイザー会議自体は、依存症の方々、専門家の方々、病院の方々も入っているということで、この中で、ゲームへののめり込みに関する相談に対しても、どうするか書いてありました。ゲーム依存ということだと思いますけれども、先ほどの長官のお話では、相談員のためのマニュアルということで、これは全国の地方公共団体に提示していくということだったと思いますが、これはいつから提示されるのでしょうか。本日付けでということでしょうか。

本日からです。

それは、相談員だけではなくて、福祉の担当へも?

地方公共団体に提供することになりますので、地方公共団体を通じて関係の方にということではございますが、飽くまでも性格としては、オンラインゲームについての消費生活相談をされる場合に、特にお金、課金のトラブルということと、それから、のめり込みに対して、どこに相談したらいいかということでございますので、必要に応じて、地方公共団体の方で必要なところに提供していただければなというふうに思っております。

もう1点、日弁連との連携の件なのですが、資料を見ますと、これは確認なのですが、このイベントは若年者そのものに対するイベントではなくて、若年者を支えていらっしゃる周りの方々を対象としたイベントということで考えていいですか。

若年者も、その若年者を支える人たちもということですので、両方ということになります。正に、成年年齢引下げに関連した消費者、特に、若年者を消費者被害から守るということをテーマにして、相互に連携をしていくということを確認させていただいたということです。

朝日新聞の寺田です。
オンラインゲームのマニュアルについてお伺いしたいのですが、これは、第一目的は相談員さんのマニュアルということで、法的なポイントがあって、そういう相談員さんの相談が入らないとなかなか返金も難しいというのもあるかもしれなくて、それでも一般消費者の方に公表することにしたことについて、長官からの消費者に対するメッセージがありましたらお願いいたします。

オンラインゲームに関して最も多い相談というのは、子供が実は保護者の了解を得ずにオンラインゲームで課金をしてしまったというものです。子供が保護者のクレジットカード番号が登録されたスマートフォンやタブレット端末を使用して、保護者の了解を得ずにオンラインゲームの課金を行うといった事例が多いという状況にあります。
そのほか、ゲームへののめり込みについても、子供がゲームばかりしていて日常生活に支障をきたしているとか、専門機関に相談したいといった相談もあったということでございます。
消費者の皆様に対する私どもからのメッセージとしては、子供のゲームの利用に関し、ゲームに備えられているペアレンタルコントロール機能を活用するなどして、子供がオンラインゲームに過度にのめり込むということがないように、消費者トラブルの防止に努めていただきたいと考えております。

読売新聞の松本と申します。
冒頭のアフィリエイト広告のことで一つお尋ねがあります。提言案が公表されたときに、特定商取引法に基づいて業務禁止命令も適用することが盛り込まれたかと思いますが、こちらについては、今後、また更に検討していくということになるのでしょうか。

これは法律とか制度の問題というより、正に運用の問題だと思いますので、アフィリエイト広告で非常に悪質なものに関しては、景品表示法だけではなくて、特定商取引法に基づいた悪質業者対策としてやっていくということが大事だと思いますので、これは実務的にきちんとやらせていただきたいと思っております。

時事通信の甲斐田です。
私もアフィリエイト広告についての質問なのですが、指針の改正内容(概要)の資料の2番目の、「具体的事例」パートの改正のところで、こちらで触れられている例というのは、いわゆる広告主を意識した情報ということでよろしいでしょうか。

はい。これは広告主に対するものです。

いわゆるアフィリエイターであったりとか、あと、アフィリエイト広告は仲介業者とかを挟むことも多いかと思いますが、そういった方々を対象にしたパートというのは、「基本的な考え方」パートであったりとか、アフィリエイト広告を「広告」として明示するというところが、いわゆるアフィリエイターやその仲介業者に対するものということになるのでしょうか。

いえ、この指針自体がそもそも広告主の表示に対する管理責任を定めているものですので、そもそもが広告主に対するものだというふうにまず御理解いただきたいと思います。
ただ、広告主に管理をお願いするのに伴って、結果的に今おっしゃっているような、アフィリエイター自体が、アフィリエイト広告が事業者の広告であることを明示したりすることが望まれるといったことになる。こういった形になります。したがって、ASPですとか、あるいはアフィリエイターそのものに対して、この指針をかけているという性格ではございません。

徳島新聞の北野と申します。
本日の発表内容以外の話になるのですけれども、徳島に新未来創造戦略本部を設置されて来月で2年になります。この間の成果と今後に向けた課題についてのお考えをお願いいたします。

2020年7月に徳島県に新たな恒常的拠点として消費者庁新未来創造戦略本部を設置して大体2年になります。消費者行政を進化させるため、徳島県等での実証によるモデルプロジェクト、それから、国際消費者政策研究ということを2本の柱として進めているところです。
この成果ですが、例えば、実証という点について言えば、SNSを活用した新しい消費生活相談として、まず徳島県で実証実験をして、その取組を他県に展開させる、あるいはそのマニュアルを作成・公表もしております。
こういった実証実験は、対面とか電話以外での相談方法が、デジタル化の流れの中で非常に重要になってくるということで、SNS、メールを含めて、そういったデジタル化の消費生活相談といったものを検討する上で非常に意義のあるものになったのではないかと思っております。
また、エシカル消費も非常に熱心に取り組んでいるところですが、食品ロスの削減と併せて、新たな取組として、サステナブルファッションについてもシンポジウム等をこれまで3回開催しておりますが、これなどは、サステナブルファッションが、まだみんなが取り組んでいるという状況ではない中で他に先駆けて行ってきたものではないかなと思っております。
さらに、国際消費者政策研究でございますが、これは本部発足前に、御案内のとおりG20のサイドイベントとして徳島県との共催で行ったG20消費者政策国際会合に始まって、新未来創造戦略本部では、国際シンポジウムも過去6回、オンラインも含めてですが、実施してきております。
例えば、直近で開催した沖縄本土復帰50周年記念消費者行政シンポジウムでは、デジタル化による消費者と事業者像の変化に伴う消費者保護への影響といった、今後の消費者法を考える上で大切なテーマを、海外有識者を含めたシンポジウムで議論をしております。
このように、実証の場、国際消費者政策研究ともに、着実に成果を重ねてきているのではないかなと思っておりますが、残念なことに、コロナ禍で人の往来が難しく、オンライン会議等を活用し工夫は進めてきたところでありますけれども、例えば、実際に海外の方に来ていただくとか、そういったことはちょっと難しかったかなというふうに思っておりますので、落ち着いてきた状況になれば、消費者政策のそういう将来も見据えた上で海外から来ていただくとか、あるいは、いろいろな新未来創造戦略本部の成果を、全国のいろいろな各自治体に伺って、広めるとか、そういったことも是非考えていくということで、より積極的な発信ということも考えていきたいと思っておりますし、さらに、消費者行政の今後のことを考えた上で、幅広い消費者政策の研究についても進めていきたいと、このように思っております。

ありがとうございます。徳島県の方からは、更なる戦略本部の機能強化とか、その人材確保というのを求められていると思うのですけれども、この辺りについてのお考えをお聞かせください。

まず、人数というよりは、一つ一つの成果を積み重ねていくということが大事だと思っておりますので、着実に取組を進めていきたいと考えております。

NHKの秋山です。
電力の関係で質問したいのですが、以前も逼迫の懸念が示されている時点で、食品ロス削減やエシカル消費を含めた節電意識というのは長官もおっしゃっていたかと思うのですが、一方で、電力の自由化が進んだ弊害ではないのですけど、トラブルも以前注意喚起されていたりして、電力の逼迫への協力の面と、そういった自由化に対する消費者の意識というのを改めて啓発することが大切なのかなと感じているのですが、その辺りは長官は今どのように感じていらっしゃるでしょうか。

いろいろなところで、諸般の状況によって値上がりしているということについては、皆さん大変気にされている面もあろうかと思います。
電力についてですが、今、この天気ということもございますが、消費者の皆さんにおかれても、自分のできる節電というのを是非やっていただきたいと思っております。
その上で、御質問についてですが、新電力等々に関して言えば、特定商取引法において、十分に勧誘目的を告げないとか、そういった不適切な契約のされ方というのが問題になったということなので、今までの間は値段そのものの議論ということでは無かったかと思います。
ただ、私ども、物価ということも担当しているということでございますので、現在、「便乗値上げ情報 消費者受付ウェブ窓口」なんかも設けているところでございます。なかなか値上げ対策というものは消費者庁だけでできるという性格ではもちろんありませんので、いろいろな物の値上げの状況というのをしっかり把握して、政府全体で物価に対して取り組むべきことについて、関係各省と協力してやっていきたいと思っております。

暑さに触れていただいたので、ちょっと別視点かもしれないですが、熱中症の呼び掛け、既に今月か先月、たしか注意ページでされていたと思うのですが、改めて熱中症への注意と、あと、水害で亡くなられた事例がこの夏も既に出てきているとは思うのですけれども、夏に向けたそういう注意喚起というのは、何か考えていらっしゃいますでしょうか。

例年、夏は、特に子供の水の事故を含めて、7月になったら改めてさせていただきたいと思いますが、今御指摘いただいたように、マスク生活の中でどうしても水分の補給が不十分だということがあろうかと思います。皆さん、ちゃんと水分を取って、節電という状況ではございますけれども、適切に冷房等をお使いいただければと思っております。
また、先ほど御指摘のあった災害対策、あるいは水の事故に関するものにつきましては、また改めて7月に発表させていただきたいと思っております。

最後の質問になりますが、3年長官を務められて、今度退任されるということが閣議でも報告されているかと思いますが、改めて振り返られて、特に印象に残っていらっしゃることと、まだまだ消費者行政が必要であるというふうに考えていらっしゃること、何かあれば教えていただけないでしょうか。

先ほど数えてもらったら、本日を含めて、私、こういう会見を142回やらせていただいているようでございます。先ほど、振り返ってというふうに言っていただいたのですが、今日も長官会見をしていますし、余り落ち着いて過去を振り返るという状況に未だないものですから、7月1日の交代式のときまでに頭の整理はさせていただきたいと思います。
なお、簡単にだけ申し上げると、一番初めの1年はまだコロナ禍ではなくて、消費者基本計画策定後、正にコロナ対策の議論になったということでございます。この間、3回にわたる国会においての法改正、あるいは新法ですとか、あるいはコロナ対策の話、それからデジタル化、あるいは、エシカル消費を始めとするSDGs関連の取組など、様々なことをやらせていただいたかと思います。
消費者庁としては、個々の業界団体を通じて何かをやるという情報発信の仕方ではなく、個々の消費者にいかに伝えていくかということが大変大事なことです。そういう意味では、こうした場で皆様方に私どもが伝えたいことをお話しさせていただき、また、皆様方の視点から、こういうことについてきちんと説明した方がいいのではないかという御示唆を頂くということは、大変、消費者庁及び私にとって勉強させていただく機会になったかと思います。この場をお借りして感謝を申し上げます。
消費者庁全体、新しい体制になってもたくさんの課題があります。先ほど徳島の話であったような、新しい事業者とか消費者庁の議論など、まだまだ新しいことが継続中ということでございます。みんなで一丸になって取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続きの御指導、御鞭撻をお願いして、また、この3年間の皆様方の御協力に感謝いたします。
また7月1日の交代式のときにも申し上げることになるとは思いますけれども、心から感謝をいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。