文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年6月22日(水) 14:00~14:12 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

私から冒頭に4点申し上げます。
一つ目は、訪問販売等における住宅リフォーム工事に関する過量販売規制ガイドラインについてです。
昨今、自然災害に乗じた住宅の修理や点検のトラブルが発生しております。また、先の通常国会で改正建築物省エネ法が成立いたしましたが、今後、住宅の省エネリフォーム工事も積極的に行われていくことが見込まれます。こうした中で、訪問販売等により、消費者にとって目の届きにくいところなどで必要のない住宅リフォームを次々行うような悪質な事案の発生も懸念されます。
そこで消費者庁では、本日付けで、訪問販売や電話勧誘販売で勧誘を行う住宅リフォーム工事について、過量販売規制の要件に関する考え方を示すガイドラインを策定・公表し、明日から運用を開始することといたしました。
また、併せて、お手元に配布しておりますが、リフォーム事業者向けの周知用のチラシ及び消費者向けの注意喚起としてポイントをまとめたチラシも作成いたしましたので、公表いたします。
このようなことを通じ、消費者被害の未然防止が図られることを期待しております。消費者の皆様には、必要のないリフォーム工事を次々と迫るような勧誘には十分御注意いただきたいと思っております。
二つ目は、食品添加物の不使用表示に関するガイドラインに関するチラシの作成についてです。
本年3月30日に、「無添加」、「不使用」などの食品添加物を使用していない旨の表示について、食品関連事業者等が消費者に対して正確な情報提供を行うための留意点を整理し、ガイドラインとして公表したところです。これに対し、今般、消費者向けのチラシを作成しましたのでお知らせいたします。
本来、このガイドラインは、食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではなく、添加していないものを具体的に書くことで、消費者にとって分かりやすい表示にすることを目的としているものです。こうした観点から、ガイドラインの内容をより明確にお伝えするため、消費者向けのチラシを作成いたしました。
消費者の皆様におかれましては、本ガイドラインに関するこのチラシなどを参考にしていただければと思っております。
三つ目は、消費生活相談員担い手確保事業の実施についてです。
本年度も、令和2年度、令和3年度に引き続き、消費生活相談員担い手確保事業を実施いたします。
消費生活相談員は、消費者行政の最前線である地域の現場において、高い専門性を発揮し、重要な役割を担っていただいておりますが、その担い手の確保は喫緊の課題であると認識しております。
こうした状況を踏まえ、多くの方に消費生活相談員を目指していただけるよう、今年度は、昨年同様、受講料は無料で、定員は1,600名とし、オンラインで地方を含め全国どこからでも受講可能とするほか、資格試験合格後の就業を見据え、消費生活センターや相談員の業務や役割について理解を深める講座を組み込むなど、丁寧なサポートを行うこととしております。
募集は6月27日(月)12時からオンラインで開始いたします。報道各位におかれましては、周知・広報に御協力賜ればと思っております。
四つ目は、「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力」キャンペーンの取組状況についてです。
本年4月からの成年年齢引下げを見据え、昨年度、関係省庁と連携して「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力」キャンペーンに取り組んでまいりました。その2021年度の取組状況を取りまとめたので公表いたします。
「社会への扉」等を活用した実践的な授業を実施した高等学校等の数で見ると、2020年度は86%であったところ、各都道府県の御尽力により、2021年度は91%に上昇しております。
成年年齢引下げ後の消費者教育については、本年3月に関係省庁と連携した「消費者教育の実践・定着プラン」を策定したところですが、引き続き、外部講師を活用した出前講座等を含め、高校等での教育を進めるとともに、経済団体とも連携し、学校以外での成年年齢引下げに向けた取組についても進めていくこととしております。
引き続き、成年年齢引下げへの周知及び若者の消費者被害の防止に向けた取組を進めていきたいと考えております。

質疑応答

朝日新聞の寺田です。
訪問販売に関するガイドラインについてお伺いしたいのですが、ちょっと私、今からこれを拝読するのですが、ポイントをお伺いしたいのと、あと、これは何か基となる法律とかがあるのか教えてください。

特定商取引法に基づくものでして、日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品等の売買契約等の締結について勧誘すること等の禁止、いわゆる次々販売、過量販売と言っているのですが、これが平成20年に特商法に位置付けられております。
今回、住宅リフォームに限定して書かせていただいたのは、住宅においては、屋根の上ですとか、それから、小屋裏とか、床下とか、消費者の目が届きにくいところで必要のない工事を次々とやるといったような悪質事案が発生したこともございまして、こういったことが、先ほど申し上げた災害時ですとか、あるいは、これから省エネリフォームを今後進めていかなくてはいけないということになったときに出てくる可能性があると思っておりますので、何がこの次々販売に当たるのかということを明らかにすることで、事業者の方にもそういうことをしないようにしていただくことが重要です。
具体的に言うと、見えないところでそういう工事をやるときは、基本的には工事前後における現場の写真等をちゃんと撮ってもらって、記録してもらって、それは必要な工事だったとちゃんと確認できるようにしていただきたいということが一番のポイントということになりますが、見えないところですと分からなくて、まだもう一回やらなくてはいけないとか、更にやらなくてはいけないとかいうようなことが、実際にそういう形で処分した案件も実はございましたので、事業者においてきちんとやっていただきたいということと、併せて、消費者においても、リフォームの勧誘において気を付けなくてはいけないことを、この際、別の形でまとめさせていただいたということであります。ガイドライン自体は基本的には事業者向けとなっております。

ありがとうございます。それで、何か処分する話も先ほどありましたが、ガイドラインに沿わなかったからどうとかっていうのはあるものなのでしょうか。

もともと過量販売規制の考え方を整理したものですから、もちろんこのガイドラインに沿わないということで直ちに処分されるかどうかというところはありますけれども、基本的にはこれを守っていただく必要があると思っていただければと思います。これを守っていない場合は特定商取引法違反に当たる可能性がありますよと。そういうことであります。
補足しますと、チラシの裏側を見ていただくと、チェックポイントというのが三つあるわけですが、訪問販売又は電話勧誘販売によって勧誘を行うリフォーム工事ですか。同一住宅の床下、要は見えないようなところを1年間に三つ以上やっていますか。それから、それは工事前後の写真でちゃんと必要性が説明できますかと。そういうことがないと特定商取引法上の過量販売に該当するおそれがあると。過量販売規制に該当すると、当然、行政措置の対象になりうるということになります。

毎日新聞の寺町です。
今のことについてなのですが、そういった必要のない工事を次々にやる事案というのは、何か具体的な相談件数、被害件数等は出ているのでしょうか。

次々販売というようなものはないのですが、まず、リフォーム工事そのものについての消費生活相談ということでお答えをしたいと思います。
住宅リフォームに関する消費生活相談件数について、過去3年間の推移を見ますと、2019年度が15,667件、2020年度が14,979件、2021年度が15,884件となっておりまして、大体1万5千件前後ということで、比較的高い相談件数があります。
また、2021年度の件数のうち、訪問販売によるものは9,730件となっておりまして、住宅リフォームに関する相談の約6割を訪問販売によるものが占めていると、こういう状況になっています。
それから、先ほど処分の話が出たと思いますが、特定商取引法の過量販売規制に違反する住宅リフォーム工事に関して行政処分をしたのは、令和元年、令和2年にございます。詳細は事務方に聞いていただければと思います。

ありがとうございます。あと、累積3以上とありますが、どうして3以上なのかというのは何かあるのでしょうか。

これは、実際に現場をやっている事業者団体等にもお聞きして、1年間でそんなに累積3箇所もやるような事案があるのか、端的に言うと悪質な事案ではないかということです。通常、何箇所かやる場合が全くないとは当然言えないのですが、事態をお聞きして、3ということで整理をさせていただいたということです。