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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年6月15日(水) 14:02~14:19 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

私から冒頭に3点申し上げます。
一つ目は、消費者基本計画工程表の改定等についてです。
本日付けで消費者基本計画工程表の改定が消費者政策会議で決定されたので、お知らせいたします。今回の改定では、主に令和3年度の実績の追記及び今年度以降の取組予定の更新、それから、KPIの見直しなどを行っております。デジタル化の進展や4月の成年年齢引下げ等により、事業者・消費者ともに変わりゆく中、消費者行政の役割を着実に果たしていけるよう、この工程表に基づき、関係府省庁等と連携し、しっかりと進めていきたいと考えております。
また、工程表にも盛り込んでいますが、PIO刷新を含め、消費生活相談全体のデジタル化について、今後の具体的な進め方を「消費生活相談デジタル・トランスフォーメーションアクションプラン2022」として取りまとめたのでお知らせいたします。
消費者ニーズに幅広く対応するため、電話相談に加え、FAQ、要はよくある質問の充実や、メール・SNS相談などを追加するほか、相談員の働きやすさ改革のために、相談業務をサポートするシステムの導入や、遠隔相談やリモートワークの実現などを行いたいと考えております。
最後に、デジタル化に関連した庁内の体制として、この夏にデジタル担当の参事官を新設いたします。取引デジタルプラットフォーム消費者保護法のほか、今申し上げた消費生活相談のDX化を始め、庁内のデジタル化について担当してもらう予定にしております。
このようなことを通じて、変わりゆく事業者・消費者、それからデジタル化にしっかりと対応をしていきたいと考えております。
2点目は、適格消費者団体の認定についてです。
本日6月15日、内閣総理大臣の認定を受けて、23番目の適格消費者団体が誕生いたしました。認定を受けたのは「特定非営利活動法人消費者ネットワークかごしま」です。
適格消費者団体は、社会的インフラの一つとも言える消費者団体訴訟制度の担い手であり、消費者被害の防止・救済のための重要な役割を担っています。
消費者団体訴訟制度の根拠法である消費者契約法及び消費者裁判手続特例法については、今国会で改正法が成立しており、制度の担い手である適格消費者団体への期待は今後ますます大きくなっていくと考えております。「特定非営利活動法人消費者ネットワークかごしま」におかれても、消費者被害の防止・救済のために大いに活躍をしていただくよう期待しております。
3番目は、インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック等の公表についてです。
本日6月15日、「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック」を公表いたしました。
近年、新しい生活様式の下、インターネットによる食品の購買が増加しており、その中でも食料の購買は大きく増加しております。一方、食品の義務表示事項や表示方法を定めた食品表示基準は、食品の容器包装が適用の対象であり、インターネット販売における食品表示情報の提供に関するルールは定められていない状況にあります。
これに対し、事業者がインターネットで食品を販売するに当たり、食品表示情報の掲載方法の参考としていただくべく、ガイドブックを策定し、意見募集を経て、本日その内容を公表いたしました。
事業者の皆様におかれては、消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択が行われるよう、本ガイドブックを活用いただいて、ECサイトにおいて食品表示情報の提供を是非行っていただきたいと思います。
また、本ガイドブックと同日に意見募集を行っておりました「魚介類の名称のガイドライン」についても、本日改正を行いましたので、御報告をいたします。

質疑応答

朝日新聞の寺田です。
ガイドブックについてお伺いしたいのですが、この掲載方法、既に多くのECサイトで実施されているということではありますけれども、今後、どのような事業者に、どのように活用してもらいたいかということと、消費者にとってはどのような役割を担うことを期待されるか教えてください。

先ほど申し上げたとおり、今回、策定いたしましたのは、容器包装については表示の義務という形で表示の方法も決まっている一方、eコマースをやられている方々、いろいろな形で情報提供されているのですけれども、統一的な議論も余りされていないという状況ですし、また、食品の国際規格を定めるコーデックス委員会においても、こういったECサイトの食品情報提供に係る議論が行われているということもあるので、できるだけ早い時期に国内においてECサイトにおける食品表示の情報提供に関するルールを作って、皆さんに活用していただいた方がいいということで、今回そういう国際的なルールの策定に先立って、まずは事業者の取組の参考となるガイドブックを作成したということです。
今回、こういう発表をさせていただいたことで、食品事業者、eコマースの事業者も含めてですけれども、具体的に自分たちが今情報提供されているものについて、今一度見ていただいて、より消費者にとって分かりやすい情報提供に努めていただくようにお願いしたいと思いますし、逆に言いますと、消費者側からしますと、こういう情報提供をされていて、こういう情報はリアルと違うところもあるのだなということも併せて見ていただけるといいかなと、このように思っております。

フリーの木村です。
今の関連で、若干重複しているかもしれませんが、パブコメの結果を見ていても、その周知・普及にもっと力を入れてほしいという声が多かったと思うのですけれども、その点については事業者や消費者に対してどのようにされていくのでしょうか。

事業者については、いろいろな形でお問合せも頂いているということでございますので、業界団体なども通じて、こういうものがあるよということをお知らせしたいと思っております。消費者はむしろ使う側なので、こういうものがあるということを、こういう報道などを通じて見ていただければなと思っております。
併せて申し上げると、今回面白いなと思っておりますのは、通常の容器包装の場合と、要は対面等で買われる場合と、インターネットで買う場合では違いがありまして、一つ大きく違うのは、期限表示に関するところが、リアルですと当然ここにあるものということになるわけですけれども、要は発送されて届くまでに時間があるということなので、これをどうするかという問題が一つ。それから全く違う話としては、当然リアルだと、冷蔵品とか、冷凍品とか、あるいは大きさが分かるわけですが、インターネットではなかなか分からないので、それをやはり強調して書いていただくということなどの違いがある。一方、アレルギーなどは事業者の皆さんは書いていただいているといった、リアルとデジタルでは同じところとちょっと違う部分があるなということが今回分かりました。私どもとしては、こういったデジタル活用と、消費者の方の選択というのがうまく合うような形になるように、情報発信もしていきたいと思います。

読売新聞の伊丹と申します。
ガイドブックに関して、パブコメを経て何か新たに追加した点とか、変更点があったら教えてください。

もともとこれを作るに当たり、いろいろな方々の意見を聞いたので、余り大きな変更はないのですが、意見募集の4月27日から5月26日の間に72件の意見提出を頂いていて、やはり、期限残表示の実行可能性とか、期間表示の情報提供としての正確性等の期限情報の掲載方法に関して御意見を頂いたところです。
そうしたことを踏まえまして、期限残表示というのができるだけ望ましいと言いつつも、一方で、期限残表示について、どうしても消費者がちゃんと受け取らないとか、あるいは、販売事業者の都合、配送の状況によって届出日が変わるので、届出日からとすると結構課題もあるというようなことについて追記を少しさせていただいたところであります。
こういった期限の表示に関して言えば、先ほどちょっと申し上げたコーデックス委員会の中でも結構議論になっているところですので、またそういった議論なども進んでいけば、私どもの方のガイドブックについても、また見直したり、あるいは、皆さんの意見を伺って変えていくなり、考えていきたいと思っております。

先日の食品表示部会の方で、委員の方から、そのガイドブックの法的位置付け、実効性に乏しいんじゃないかみたいな指摘もございましたけれども、ここは長官はどのようにお考えなのか教えてください。

ガイドブック自体は、現在は飽くまでも事業者がECサイトで食品表示情報を任意で掲載するための参考ツールということですので、いわゆる食品表示、容器包装のような形での、いわゆる指示とか罰則等が科せられるものではもちろんありません。
それは先ほども申し上げたとおり、国際的にもまだどういうやり方が一番いいのかということについては議論がなされているところでもありますので、現時点で何か義務付けをして、こうでないと駄目だというような形にすることがなかなか難しいものですから、そういう形を取らせていただいております。ただ、こういったルール、こんな考え方ではないかということをお示しすることで、できるだけ事業者の方にそういったものに沿って、表示なり、情報提供をしていただくということによって、消費者が選択しやすくなるということをできるだけ早くやった方がいいということで、今回公表させていただいたところです。
また、いろいろ国際的に議論が進めば、どういう位置付けにしていくかということは、また時間を見て議論をしていくということですが、現時点は今申し上げた状況であることを御理解いただければと思います。

最後に、事業者への周知方法で、業界団体を通じてというお話でしたけれども、何かセミナーを開いたりとか、説明会を開いたりとか、御予定はありますか。

(食品表示企画課)既に幾つかの団体から、このガイドブックについて説明してほしいという依頼がありまして、そういった声に対応しつつ、普段から食品表示の事業者向けのセミナーもやっていますので、その中で紹介していきたいと考えております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
第4期の消費者基本計画工程表の件です。これは相談業務のデジタル化との絡みもあるのですけれども、一つだけお聞きしたいのは消費者ホットライン188のことなのですが、これは工程表の中では、期間中の認知度というのを30%を目指していくということで、ただ、令和3年度は8%とか12%で、まだまだ低いんじゃないかという感じはします。
そこで、この認知度を上げるということは当然のことだと思いますけれども、同時に、相談業務のデジタル化という中で、消費者にとって相談が受けやすいような形ということになってくると、この数値と、基本計画の中での取組ですか、KPIということになってくると、どういうふうに考えたらいいのかということは、ちょっと一つ長官のお考えをお聞きしたいです。

成年年齢の引下げも踏まえ、若い人も含めて、消費生活相談というのがあるよということを知ってもらうということがまず一番大事なのだと思います。そうした中で、188というのは分かりやすい一種のアイコンになるかなと思っておりますので、引き続き、消費生活相談というのがあるということについて、いろいろな機会で発信をしていきたいと思っております。
今の御指摘というのは恐らく、間口をもっと広げていくということに関する御質問だと思うのですが、やはり若い方はどうしても電話よりもデジタル化の方がやりやすいという方もたくさんいらっしゃったり、あるいは、平日昼間の決められた時間だとなかなか、その時間に相談しようと思っていても忘れちゃうとか、そういう方も結構いらっしゃるのではないかと思います。とにかく間口を広げて相談ができるように、メール等も含めてやっていくということを考えておりますし、それに当たって、当然、相談員さんの方の負担の軽減ということも大変大事ですので、FAQの充実ですとか、あるいはリモートワークもできるような体制整備だとか、そういったことについても意を用いていきたいと思っております。

もう一つだけ、23団体目の適格消費者団体を認定ということですが、これは認定式はあるのでしょうか。

本日、認定はいたしますが、認定式は6月20日(月)に行う予定になっております。現在、関係者間で調整中でして、詳細が決まり次第お知らせをさせていただきたいと思っております。

あともう1点だけ、今度改正された消費者裁判手続特例法の中で、特定適格消費者団体などを支援する指定法人というものについて、発足させていくという方向性だと思いますけれども、これは、発足へ向けた進捗状況というのが分かればお聞きしたいのですが。

まだ法律が成立したところですので、具体的な詳細を決めた上でということですので、これからということになります。もう少しお待ちいただければと思います。