文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年4月27日(水) 14:00~14:20 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

まず一つ目は、令和4年度消費者支援功労者表彰被表彰者等の公表についてです。
令和4年度消費者支援功労者表彰被表彰者等について、お配りしている資料のとおり、内閣総理大臣表彰4件、内閣府特命担当大臣表彰11件、ベスト消費者サポーター章25件を決定したことを御報告させていただきます。
これまでの御功績に深く敬意を表し、心から感謝を申し上げるとともに、引き続き、消費者行政の推進に向けて御協力をお願いしたいと思います。
なお、消費者支援功労者表彰の表彰式につきましては、明日、大臣から発表させていただく予定です。
二つ目は、「便乗値上げ情報 消費者受付ウェブ窓口」の開設についてです。
昨日26日、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」が取りまとめられました。これを受け、本日午前、関係各省庁をメンバーとする物価担当官会議を開催し、生活関連物資等の値上げを注視していくため、明日より、消費者庁において「便乗値上げ情報 消費者受付ウェブ窓口」を設置することといたしました。
現在、便乗値上げがあると認識しているわけではございませんが、備えとして用意するものです。便乗値上げの疑いがあるものについて、消費者から情報提供をしてもらうものということです。頂いた情報については、関係省庁に提供し、各関係省庁において適切に対応していただくよう要請することとしております。
マスコミ各社におかれても、ウェブ窓口の周知について御協力をお願いできればと思っております。
3番目は、インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック案等に関する意見募集の開始についてです。
本日から、インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック案等に関する意見募集を開始いたしました。
近年、新しい生活様式の下、ECサイトによる購買が増加しており、その中でも食料の購買は大きく増加しております。一方で、食品の義務表示事項や表示方法を定めた食品表示基準の適用範囲は、食品の容器包装が対象であり、ECサイトにおける食品表示情報の提供に関するルールは定められておりません。
これを踏まえ、今般、ECサイトにおける食品表示情報の掲載方法を示したガイドブック案を取りまとめました。広く国民の皆様の御意見を募集し、この6月末までにガイドブックを策定していきたいと考えております。
また、併せて本日、魚介類の名称のガイドライン一部改正案に関する意見募集も開始いたしました。今回の改正は、エビやカニなどの甲殻類の名称に関し一部改正するものです。こちらについても皆様の意見を募集し、ガイドラインの改定をしていく予定でございます。
最後に、ゴールデンウィーク中の事故防止について一言申し上げたいと思います。
今年のゴールデンウィークは久しぶりにまん延防止等重点措置等のない大型連休となり、外出される方も多いと思います。
昨日、トランポリンパークについても注意喚起をさせていただき、不慣れなうちに無理な跳び方をしないこと、あるいは、監視員が配置された施設を選ぶことといったことをお示しいたしました。また、既にキックボード、スケートボードなどの遊具、幼児乗せ自転車での事故の防止のポイント等を取りまとめて公表しているところです。
こどもの日、ゴールデンウィークの行楽シーズンを控え、これらの注意喚起の内容を改めて御確認いただくなど、事故防止に努めていただきたいと思います。

質疑応答

朝日新聞の寺田です。
2点質問があります。まず、消費者受付ウェブ窓口なのですけれども、これは相談を受け付けるとかではなく、情報を集める機会であるというふうな理解でよろしいのでしょうか。

はい、そのとおりです。

分かりました。相談があれば、別の場所でということでしょうか。

個別のトラブル、要は相談については消費者ホットライン188を御利用いただくということで、消費者受付ウェブ窓口は、これは便乗値上げではないかと思われるような情報提供をしていただくという趣旨でございますので、個別のいわゆるトラブルの御相談とか、あっせんとか、そういうような性格のものではございません。

もう1点が、5月に施行されます取引DPF法についてお聞きしたいのですが、努力義務規定によって、各事業者さんに対してどのような効果が期待されるか、これから5月からということと、あとは、この法律の話はやっぱり大手外資のAmazonさんの存在がすごく大きいかなと思うのですけれども、大小様々な事業者がいるので努力義務にしましたというのもありますが、その規定、努力義務の限界とか課題をどのように考えておりまして、どのように処方していくのかをお伺いできればと思います。

取引DPF消費者保護法については、それぞれの事業者に対して、これは大小問わずということでございますが、デジタルプラットフォームにおいて指針でお示ししているような事項について、例えば消費者関係の窓口の設置ですとか、あるいはそういう事業者の確認等々について指針を定めておりまして、これは努力義務にさせていただいているところです。
これは消費者にとっては、取引デジタルプラットフォームの大小を問わず、競争政策であれば、市場競争ということであれば、事業者が、デジタルプラットフォームが大きいかどうかということが大きく影響するわけですけれども、対消費者を考えてみますと、プラットフォームが大きかろうが小さかろうが、そのことにまず関わりがないということで、大小問わず網をかけると、お願いをするという形で法律をやらせていただいたわけです。
努力義務ではありますが、それぞれの事業者が何をやっているかということを示して、外に出していただくということになっておりますので、そのことによって、それぞれが消費者にとっては比較できる。逆に言うと、事業者からすると、それが一種の競争心理に働くのではないかということを私どもとしては期待しているところです。
また、その施行後の状況を見て、必要に応じて法律の中身についての見直しをしていくということだと思いますし、その前に官民協議会を設けておりますので、十分ではないところがあるとか、そういったことがあれば、官民協議会の中で議論をしていくということになるのではないかと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
国民生活センターが先週発表されました、パーソナル筋トレ、筋力トレーニングですか、についての事故が多いということで、消費者庁に対しても要望を出されました。注意喚起をしてほしいと。これについてどういう具体的なものをお考えかということが一つあります。

すみません、注意喚起を受けてどういうことをやるかについて、また後ほど確認をさせていただきたいと思います。

もう一つ、先ほど長官の御発言の中に、トランポリンとか、キックボードを例にされて、連休前のことでとおっしゃったのですが、連休中の消費者トラブル、これについては各地の消費生活センターが相談業務を休むところがあったりとかします。メールで受け付けているところもあるのですけれども、基本的には休んでいるところの相談は188になるのかどうかということで、そこをちょっと確認したいです。

御指摘のとおり、188に連絡いただくことになります。休んでいるところについては、それよりも広域のところがカバーしていくと、こういう仕組みになっておりますので、そういった形でカバーされるものだと思います。
それから、併せて今御指摘いただいたように、今、PIO-NET自体については、今後のことでございますが、メール等も含めてですね、受付をできないかということも検討しておりまして、そういったことによって、夜間ですとか、こういう休日といったことに対しての対応も幅広くできるように考えていきたいと思っています。これはちょっと先々の宿題ということだと思っております。

もう一つ、先ほどおっしゃったeコマースの、食品表示のECサイトのことなのですが、これはパブリックコメントを実施されるということで、これはパブリックコメントの、通常ですと結果であるとか、どういう意見があったりとかということは、これについてはまとめられる、公表される御予定はありますか。

これは、法律に基づいた基準を定めるというものでなく、こういうルールを作るということを広く皆さんに知っていただくということと併せての意見募集でございますので、御意見頂いたことについて、余り公表するということは今のところ予定していないのですけれども、多くの意見があって、何か改定する必要があれば、当然それを受けて対応したいと思っております。
なお、これ自体が、作るに当たって委員会なども組んで、事業者の方々の意見を聞いた上で、あるいは、消費者の方々の意見も幾つか聞いて、アンケートをしたりですね、そういったことを基にやっておりますので、かなり意見反映はされているかなというふうには思っております。

読売新聞の伊丹と申します。
便乗値上げに関して、消費者がこれは便乗値上げではないかと考える判断基準とか、目安があったら教えてください。

なかなかそれは難しいと思うので、幅広く御意見を頂いた上で、関係各省の方で御判断いただくということかなと思っております。
ただ、例えばで言いますと、「便乗値上げ情報 消費者受付ウェブ窓口」に、便乗値上げだと思った理由として、十分な説明がないとか、ほかの類似のものは上がっていないのに、これだけがえらく上がっているとか、原材料とかが値上がりしていなくて、何となく思い当たるような背景がないにもかかわらず上がっているのではないかとか、そういったようなことを書いていただいて、余りに個別のもので御意見の数が多いとかですね、そういうことだったらどういうことだろうかということで、関係各省の方に分析していただくということを考えているということです。
定義というのがなかなかあるわけではないものですから、ただ、合理的な理由がないにもかかわらず上がっているということで、これは消費税のときにこのような仕組みを作っておりまして、それと似たような形でやらせていただくということであります。

時事通信の甲斐田です。
便乗値上げなのですけれども、このウェブ窓口で情報を集めた後、関係省庁の方で対応されるかと思うのですが、具体的には、例えばどういう省庁がどういう処分をその便乗値上げをしている業者に対して行うのか。ちょっと初歩的な質問にはなるのですが、お伺いできたらと思います。

具体的に処分するとかいう性格ではなくてですね、もちろん本当に値上げして、とても大変な状況があれば、例えばマスクの転売防止なんていうときに措置したようなやり方もないわけではないと思いますけれども、具体的に何かを措置するというよりは、まず私どもが情報を集めて、関係省庁にこういう情報があるとお示しをした上で、便乗値上げに当たるのではないかということであれば、恐らくそれぞれの業界に当たっていただくとか、そういった形でその内容を分析していただく。それが合理的なものか、合理的ではないのかとかですね。あるいは、それが品不足にどんどんつながるような問題になるのかどうかとか、そういったことを関係省庁の中で議論していただいた上で、当然、私どもとしても、余りに集中してそういうことが起きるようなことがあれば、こちらの方からもお尋ねして意見交換をさせていただくと、こういうことを考えております。
今の段階で具体的に便乗値上げではないかというようなことが起きているわけではございませんので、飽くまでも備えとしてこういった窓口を設けているという趣旨でございますので、また、具体的にそういう事態が起きたときにどうするかについては、関係省庁と議論したいと思います。
なお、物価担当官会議は、それぞれ業を所管しているいろいろな省庁、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、金融庁、それから、内閣官房とか、内閣府とか、公正取引委員会にもお入りいただいているのですが、こういう方、物価担当官をメンバーにしておりまして、それぞれの関係の業界を所管するお立場から見ていただくと、こういうことになっております。

あともう1点、個別の相談については188の方で相談を受け付けるということだったのですけれども、例えば便乗値上げの情報提供となったときに、具体的に、例えばこのお店ではこれだけ便乗値上げをしていますとか、どこまで消費者は細かい情報でもこちらに相談をしてよいものなのか、御見解を伺えたらと思います。

すみませんが、188はむしろ便乗値上げというよりは、正に消費者トラブル、取引に関する消費者トラブルということですので、便乗値上げに関しては、今の消費者受付ウェブ窓口の方に、こんな状況だけどこれは本当に大丈夫かというようなことをお教えいただくということですので、個別の商品についてのトラブルということではないと、この受付窓口の方はですね。むしろ、契約がおかしいとか、あるいは、返金してもらえないとか、いろいろなそういったトラブルについて、188の方で個別の御相談はやっていただくと、こういうことです。

NHKの秋山です。
今のに関連してなのですが、事例は、何か実質的に金額が上がっているケースが書かれていたと思うのですが、以前、物価モニター調査で、いわゆるステルス値上げと言われているものにかなり消費者は関心を持っているという結果もあったのですが、いわゆる実質便乗値上げというのがあるのか分からないのですけれども、価格は変わっていないけど内容量が減っているケースも、この窓口にお伝えするということでしょうか。

当然対象になると思っております。既に取り組んでいただいている企業もあろうかと思いますけれども、やはり適切な価格転嫁というのは当然されてしかるべき、それは必要なことであるとは思っておりますけれども、値上げ内容などについて、やはり消費者が知り得る状況にあるということがとても大事なのではないかと思いますので、今御指摘のような、値段が一緒で量が減るとか、そういったことも含めて、しっかりとした情報提供を消費者の方にしていただくということが大変大事なのではないかと思っております。

もう1点が、先ほど事例で、マスクの高額転売の事例も少し触れられていたと思いますが、いわゆる店頭ではなくて、ネットの転売の疑いがあるもので、明らかに金額がどんどん上がっているのではないかというものは問合せ対象になり得るのでしょうか。

これは情報提供ですので、どこまでは情報提供してはいけないとか、そういうことを我々が詳細に決めるつもりはありません。
ただ、飽くまでも、今回のいろいろな原油価格、物価高騰等に関連して、便乗値上げではないかというふうな疑いを持たれるものについて情報提供、もしそういうことがあるのであればということですが。先ほどから申し上げていますとおり、今現にそういうことが起きているというふうに我々は認識しているわけではございませんが、今後そういったことが起きる可能性があるものですから、そういった備えを早めにしておきたいということで、こういう窓口を設けるという趣旨であります。

読売新聞の伊丹です。
5月施行の取引DPF法に関して、個人間の取引は適用対象外となっておりますけれども、改めて今後どうしていくかとか、見解をお伺いできればと思います。

消費者法は全部そうですが、事業者と消費者というのが、情報量とか交渉力について格差があるという観点で、消費者法のいろいろな、ほかの業法もそうですけれども、そういった体系ができていて、基本的にBtoCを対象に議論をしているということになっております。
ところが昨今、事業者、個人事業主が非常に増えてきていて、これはこれで非常に望ましいことではあると思ってはおりますが、事業者と消費者の大きな格差というのがやや分かりにくくなっているのではないかと言われる向きもございます。
そうした観点から、営利性と、それから、反復継続性という観点を基本としながらも、具体的にはこういったものが事業者に当たるのではないかというふうにガイドラインでお示ししたところではないかと思います。
まず、CtoCを議論する前に、そういういわゆる隠れBと言われているような人たちをどうしていくかということが先なのではないかと。その上で、個人間というものをどう考えていくかということになるのではないかなと思っております。
まだまだ少しそこの議論というのは、諸外国も含めて、まだ全然議論の俎上に載っているという状況ではないかと思います。むしろ今議論になっているのは、隠れBだとか、そういったところだと思いますので、それについては私ども、国際会議なども含めて、しっかりと情報収集をしていきたいと思っております。