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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年4月13日(水) 14:00~14:10 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

私からは1点申し上げます。
令和4年度食品ロス削減月間のポスターデザイン案の募集開始についてです。「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づき、毎年10月が食品ロス削減月間と定められています。消費者庁では、関係省庁と連携して、食品ロス削減に関する様々な情報発信を集中的に実施しているところです。
この食品ロス削減月間は、より多くの方々が食品ロス削減に関心を持っていただくという大事な機会だと我々は思っております。こうしたことを踏まえまして、本年度から食品ロス削減月間の啓発ポスターについても広く一般の方から募集をすることといたしました。本年度のポスターデザイン案については、本日から募集を開始し、締切りは6月17日(金)までとなっております。審査は、料理好きとして著名なお笑いトリオ、ロバート馬場裕之氏や、ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会事務局長の三村一夫氏、それから、環境省、農林水産省、消費者庁の担当審議官等が行うこととしております。ポスターについては全国の自治体に配布するなど広く活用させていただきますので、プロ・アマを問わず、是非多くの方に御応募いただきたいと思います。
そのほか、食品ロス削減月間に関連する取組については、関係省庁の取組を含め、9月下旬頃にお知らせいたします。是非、様々な立場の皆様に積極的に御参加いただければと思っております。

質疑応答

朝日新聞の寺田です。
現在、審議中の消費者契約法の改正案について御所見をお伺いしたいのですが、今、野党から契約の取消権の規定について、1個1個具体的にいうよりも、受皿となる包括的な規定が必要ではないかという御意見があるのですけれども、これに関して長官の所感をお伺いできればと思います。

国会審議中の話でございますので、それそのものについての意見は控えさせていただきたいと思いますけれども、消費者契約法の取消権について、取消権は重大な権利でございますので、具体的にどういう場面で使えるかということが明確でないと使いにくいというところも一方ではあろうかと思います。
一方で、今のいろいろな御意見あるいは報告書の中でも、より幅広く認められるべきではないかという議論もあることは事実でございますが、私どもとしては、より具体的な形が明確になって、契約の安定性の確保も含めて、できるということが大事ではないかということで、今回の法案を出させていただいているというところでございます。なお、国会においてその辺りについては御議論されるものと考えております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
最初の食品ロス削減月間のことですが、これは令和4年度ということを先ほどおっしゃっていました。確認なのですが、これは毎年やるということになりますか。

はい。ポスターについては、今までは私どもの方が発注してやっている形になっておりましたが、今年度からは広く一般の方を巻き込むというやり方をさせていただきたいということで、基本的には公募をしてやりたいと思っております。その第1回目ということになるということです。

別件ですが、一昨日、熊本県の知事が来られて、アサリの産地偽装の対策について追加の要望をされたということで、その中で消費者庁に対する要望もありました。追加要望の中には、書類保存の義務化ということについて、食品表示法などで法的に義務付けることという、そのことであるとか、保存期間についても3年間程度を設定することなどということで要望されていらっしゃって、既にこの件については熊本県の方で条例化に向けた取組も検討されているということなのですけれども、消費者基本計画の素案ですか、工程表素案の中で、食品のトレーサビリティの推進というのが書いてありましたので、今回の熊本県のこの追加要望について、どういうふうな対応を消費者庁としては取られていくかということを、ちょっと改めて確認したいと思います。

4月11日にアサリの産地偽装対策に関する追加要望を、熊本県知事が、消費者庁、私どもの若宮大臣と、それから農林水産省の方に持ってこられたということです。その中で、取締りの徹底と併せて、書類保存の義務化及び育成、要は養殖アサリの表示義務化ということが言われております。
まず、取締りについては、農林水産省において今疑義も解明されておりますし、また、今回のルール改正の後どういうふうな状況かについても調査をするということを言われておりますので、事案の内容に応じて農林水産省と連携して厳正に対応するということです。
書類の保存の義務化でございますが、今般の食品表示基準Q&Aの改正によって、2箇所以上で育成したアサリについては、育成に関する具体的な根拠書類の保存ということを求めておりますので、そういう意味では、書類の保存が無ければ、要は根拠書類が無ければということですが、根拠書類が無ければそういうことを言えないよという形にさせていただいているところであります。
また、育成アサリ、要は養殖アサリの表示の義務化ですが、原産地が明確に認識されて、全体として消費者に誤認を与えない範囲であれば、例えば熊本県においても、輸入馬肉の国内飼養地を表示されているということと同様に、事実に基づいて任意で表示をするということは、今の形でもやれるということです。
今の熊本県のお話でございますけれども、今回ルールを変えたところでございますので、このルールを変えた後の実態がどうなっていくのかということもしっかり見た上で、一方で、御指摘の内容については、なかなか現場の負担があるということがありますので、産地偽装を防ぐための手段として、今の御提案が一番いい方法なのかということも含めて、慎重に考えていく必要があろうかと思います。
なお、熊本県が条例でやられようとしていることについては、偽装防止と併せて、ブランド化の確立という観点もあると承知しており、非常に意欲的な取組だと思っておりますので、それについても注視していきたいと思っております。

西日本新聞の石田と申します。
先ほどの質問に関連してアサリの関係なのですが、書類の保存期間については検討はどのようにされるのかというのが1点と、先ほど長官は現場の負担もというふうにおっしゃったのですけれども、これを検討していく上での課題というのは、やはりその現場の負担感というのが一番ネックになるという認識でよろしいのでしょうか。

書類の保存というお話でございますが、それはその証明が必要になる期間ということが必要ではないかと思っていて、今、3年という御提案は頂いてはおりますけれども、物によって加工をされたり、いろいろあればその期間になりますので、我々としてはそういう認識を持って、期間についてはそれを説明できる期間と思っております。
なお、書類の保存の話でございますが、食品トレーサビリティ制度としては、これまで農林水産省において、牛肉及び米穀については安全確保の観点から、それから、ナマコなどの水産物については密猟防止の観点から法制化されているわけです。
もちろん、これらの食品トレーサビリティ制度は、副次的には産地偽装の防止ということがありますが、安全確保ですとか、密猟防止とか、別の目的があってやられていて、結果的に産地偽装にも寄与していると、こういう制度だと思っておりますので、偽装防止とか、そういう目的と、それから、書類の保存に係る負担、要は目的というのは正に政策効果ということですが、それとその負担と、両方のバランスを考えて制度は作る必要があるのではないかという意味で申し上げたということです。
併せて申し上げると、食品表示法自体は、アサリにかかわらず、あらゆる食品の横断的な制度ですから、アサリに特化して書類保存の義務化をするというのは、やや制度の建て付けからすると難しいところがあるのではないかと思いますので、食品全体において、どういうようなことをしていく必要があるのかということもしっかり考える必要があろうかと思っております。