伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年3月30日(水) 14:00~14:16 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)
発言要旨
まず、食品表示基準のQ&Aの改正について申し上げたいと思います。消費者庁は本日3月30日、食品表示基準Q&A等の改正を行いました。この内容はお手元にお配りしておりますが、先般3月18日に若宮大臣から公表した、アサリの原産地表示に係るいわゆる長いところルールの適用の厳格化、それから、林野庁からの提案を踏まえたしいたけの原産地表示の見直し、それから、「無添加」、「不使用」などの食品添加物不使用表示について、消費者に誤認を与え表示禁止事項に該当するおそれが高いと考えられる表示を取りまとめた、食品添加物の不使用表示に関するガイドラインの策定であります。このほか、栄養成分表示等に係る分析方法の整理や遺伝子組換え表示制度に係る改正など、食品表示基準等の一部改正を行いました。詳細については事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
なお、一連の改正とは異なりますが、加工食品については、原料原産地表示制度の義務付けが平成29年に施行され、その後5年間の経過措置期間を設けていましたが、この4月1日から完全施行になりますので、お手元にチラシを配らせていただいていますが、改めてお知らせしたいと思います。
消費者庁としては、引き続き、食品表示制度が消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の確保に資するよう、適切な制度の運用に努めていきたいと考えております。
また、もうすぐ4月1日になります。既に大臣からお話ししたとおり、4月1日からは成年年齢の引下げがなされます。引き続き、消費者教育あるいは普及啓発など、関連省庁と連携してしっかりとした取組を進めていきたいと思います。
また、併せて消費者に関連が深いものとしては、4月1日から、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律、いわゆるプラスチック資源循環法が施行されます。フォーク、スプーン、ヘアブラシなど12のワンウェイプラスチック製品について、使用の削減に向けた取組が始まります。消費者の皆様には、環境に配慮し不要な場合は受け取らないなど、プラスチック利用削減に向けてエシカル消費の取組に御協力いただきたいと思います。
質疑応答
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問
NHKの秋山です。
冒頭の食品表示ルールの改正について幾つか。アサリ、しいたけ、添加物とも変更ですけれども、まだまだ消費者、生産者ともに十分理解できていない可能性もあるかなと思うので、啓発についてはどのように考えていかれるお考えでしょうか。 -
答
アサリ、しいたけについては、農林水産省とよく御相談して出させていただいておりますので、農林水産省からそれぞれの業のところに当然お知らせをした上で出していると。調整もさせていただいた上で出しているものでありますので、またそこを通じて更に周知をしていきたいと思っております。
食品添加物の不使用表示についても、既にパブコメも含めて時間を掛けてやらせていただいたところですが、これについても機会があれば、またいろいろな形で周知をしていきたいと思っております。 - 問 関連して、加工食品の原原表示の完全施行の発言もあったかと思いますけれども、先日、調査結果が出されていたかと思うのですが、まだ一部、原原表示されていないケースもあるというような結果が出ていましたが、こちらについても、4月1日、間もなくですけれども、どういった取組を進めていきたいというふうに長官は考えていらっしゃるのでしょうか。
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答
御指摘いただいたのは7月の調査ではないかと思います。ちょっと発表が遅れて大変申し訳ありませんでしたが、原料原産地については経過措置期間がございましたので、普及状況について調査をしてまいりました。7月の時点で、まだ100%の状態ではなかったと記憶しております。それについても、今直近の話は調べておりませんが、皆さん順次切り替えていただいていると思っております。また、原料原産地表示、この4月以降は義務表示でございますので、当然これがなされていなければ食品表示違反ということになりますので、これは通常の法執行の観点からしっかり監視していきたいと思っております。
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問
読売新聞の松本と申します。
私も冒頭にありました原産地表示のことで。アサリの原産地表示が変わって、しいたけの原産地表示も変わるということで、これ以外に何か庁の方で、ちょっとこの原産地表示はと懸念している食料ですとか、業界団体から、ちょっとこれは検討してほしいというような要望がある食料などはあるのでしょうか。 -
答
アサリについては御案内のとおり、熊本の話を始めとして始まったものですが、しいたけについては、かなり前から菌床の扱いについて、任意で、できれば菌床についても書いてほしいといったことをお願いしていましたが、それではなかなか十分ではないということで今回こういう形でやらせていただいたものです。
今、ほかの件について、これはおかしいのではないかということについて特に強く言われているものはないというふうに認識しています。また何かそういうことがあれば適宜対応していきたいと思っております。 -
問
フリーの木村です。
添加物の「合成」、「人工」表示の方もスタートかと思うのですが、そちらの方もちょっと一言お願いしたいのですが。 -
答
食品添加物の「人工」、「合成」の用語については、御案内のとおり、平成31年に食品添加物表示制度に関する検討会があって、その中で、令和2年3月31日にこの検討会の報告書を公表しています。その中で、「人工」、「合成」という用語の削除と、それから、表示禁止事項を明確化するため、無添加表示に関するガイドラインを策定するという指摘がされたかと思います。
それを基に、「人工」、「合成」の用語を削除する食品表示基準については、消費者委員会に諮問、答申を頂いた上で、これもこの4月1日から完全施行になります。
「人工」、「合成」についても、何をもって「人工」と言うか、何をもって「合成」と言うかというのも分からない、また消費者を誤認させるおそれがあることなどから削除になったものです。今回、添加物の不使用表示についても、それに関連した部分もあろうかと思います。事業者におかれては、しっかりとした対応をお願いしたいと思っております。 -
問
朝日新聞の前田です。
成年年齢引下げに関連してなのですが、ここに来て、アダルトビデオの出演被害のことで、消費者契約法との絡みで国会でも質問が相次いでいますけれども、未成年者取消権がなくなってしまって、18歳、19歳の新成人が撮影被害に遭うかもしれないという懸念が高まる中で、消費者契約法でこの問題について対応できるかもしれないところとできないところについて、長官は現在どのようにお考えか教えてください。 -
答
今御指摘のとおり、アダルトビデオの関係について、国会等でも質問を頂いているところです。
消費者契約法、消費者と事業者との契約にあたる場合ということで、特定の場面、例えば不実の告知をされて勧誘された場合は取消権があるとか、あるいは今回の法案が成立した場合で言いますと、例えば親に相談したいとか、契約の前に友達に相談したいということについて、威迫をして相談をさせないというようなことがあれば取消権があるといったことができますので、そういった意味では消費者契約法でも一部対応できるものはあるかもしれませんが、一方で、合意をし契約もされた後、撮影の直前になってやっぱり嫌だと、どうしても嫌だというような場合に、じゃあ、その取消しが消費者契約法でできるかというと、なかなか難しい場面もあろうかと思います。
その場合は、民法の公序良俗の関係ですとか、あるいは、本当に強制的に撮影されるとか、そういったことだと別に刑法とか、いろいろな法律が適用可能なのではないかと思います。総理の答弁で、民法、消費者契約法、あるいは刑法、様々な法律をそれぞれの場面でしっかりと連携して対応していく必要があるのではないかという趣旨の御答弁があったかと思います。
消費者庁としては、消費者契約法の話、それから併せて、そういった悪質な、AVもそうですが、ほかの例えばマルチもそうかもしれませんが、そういった悪質な事業者に対して、だまされないようにといった消費者教育を引き続きしっかりとやっていくということが大変大きな役割ではないかと思っております。報道各位におかれても、その点については是非御協力を賜りたいと思っております。 -
問
フリーの木村です。
月曜日に消費者委員会の新開発食品調査部会が開かれて、むし歯の疾病リスク低減表示など、了承ではないのですけど、理解を得られたということなのですが、ちょっと改めて今後のそのスケジュール的なところ、通知の改正のスケジュール的なところと、あと、全般の交通整理とか必要ではないかという意見もあるのですけれども、長官としてはどのようにお考えなのかという点についてお願いします。 -
答
むし歯については御指摘のとおり、消費者委員会の方に御説明をさせていただいて、幾らか宿題は頂いたと聞いておりますけれども、一定の御理解を得たというふうに認識しています。この後、私どもの方で整理をいたしまして、パブコメをかけて、その後、次長通知を変えていくと、このようなことになろうかと思っております。ちょっとスケジュールについては、少し作業とか、あとパブコメの期間もございますので、時間は掛かるかと思いますが、そういった方向で進めていきたいと思っております。
また、御指摘の話は、恐らくむし歯の話ではなくて、もっと広く健康食品全体についてどのように考えていくべきかという、こういう御指摘という受け止めでよろしゅうございますでしょうか。 - 問 トクホの疾病リスク低減を中心として、トクホ全体のルールですね、今回はむし歯だけいきなり代替マーカーというのが出てきたのですけれども、全般のルールがない中で、個別だけ議論してもという意見もあったかと思うので、そういう意味で、トクホ全般のルールの在り方の検討が必要ではないかという意見に対して、どのようなお考えでしょうかという、そういう趣旨でした。
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答
ありがとうございます。御指摘のように、トクホ全体がどういう役割を健康食品の中で果たしていくべきかということの中で、疾病リスク低減のところの表示をどうするかとか、そういった議論をしていく必要があろうかと思います。これについては少し時間を掛けてじっくりと議論をする必要があろうかと思っていますが、それは大変大事な問題だと認識しておりますので、これについては改めて取組をさせていただきたいと思っております。
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問
NHKの秋山です。
成年年齢のところに戻ってしまって恐縮なのですが、大臣の発言で、いわゆる当事者とか、その近しい周辺だけではなくて、いわゆる保護者ですとか、より広い社会全体としての支えというか、啓発が必要なのではないかという意識を持たれているのかなというふうに理解したのですが、改めて、4月1日に間もなくなるに当たって、その周辺の方々の意識付けの必要性と、それをどう促していきたいかというふうに長官としては考えていらっしゃるのでしょうか。 -
答
大臣が新たに関係省庁で成年年齢の引下げに関する消費者教育についての定着プランというのを年度末に決定することを先日申し上げました。その中においては、引き続き学校教育をやるのと併せて、学校教育だけではなくて、大学だとか、あるいは企業と連携してやっていくということ、それからもう一つは、何の情報を信用しますかというと、親の言うことは比較的信頼する情報として受け取るといったような調査もございましたので、親を始めとした周辺の人たちに働き掛けをしてもらう、あるいは認識をしっかり持っていただくということも大変大事ではないかと思っております。
そういったことをそのプランの中にも書かせていただいておりまして、また5月、消費者月間などもございますので、そういったところなどで若者に直接言うというだけではなくて、その周辺の人にもこういうことを気を付けていただきたい、あるいはこういうことについて助言してもらうと有り難いというようなことについて、分かるような取組を是非やっていきたいと、このように思っております。また詳細決まりましたら御報告をさせていただきたいと思います。