伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年3月2日(水) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)
発言要旨
冒頭に私から2点、御報告を差し上げたいと思います。
まず一つ目は、成年年齢引下げに伴う消費者庁の取組についてです。
昨日、大臣からも御発言をさせていただきましたが、4月1日の成年年齢の引下げを間近に控え、消費者庁においては、若い方々の消費者トラブルと被害の拡大を防止するための対策を集中的に実施します。
まず、お手元にありますとおり、昨日より順次、コンビニエンスストアの店舗レジのデジタルサイネージ等において成年年齢引下げに伴う注意喚起が始まっているほか、成年年齢引下げをテーマとした令和4年度消費者月間ポスターのデザインを公募の上で、鹿児島県の田中道博さんの作品に決定し、全国各所で掲示を開始いたします。特に、全国大学生協連と連携し、全国の大学において消費者月間ポスターの掲示を行っていただくとともに、啓発チラシも配付していただくこととなりました。
併せて、消費者庁の公式LINEアカウント「若者ナビ!」による広報を強化いたします。これらにより、より多くの方々に成年年齢引下げについて知っていただく機会を作っていきたいと思います。
次に、消費者トラブルに遭ってしまった場合の対処です。消費者ホットライン188に加え、関係省庁の消費者相談ダイヤル、それから、メールで消費生活相談を受け付けている地方公共団体のリストなどをウェブサイトでお知らせすることといたしました。
なお、地方公共団体において、メールによる相談受付など積極的な取組を進めていただくとともに、それについて強化交付金の活用ができるということについて、地方公共団体宛てに既に通知を発出しております。詳細については地方協力課までお問い合わせください。
二つ目は、機能性表示食品の届出事前確認に関する連絡協議会の開催についてです。
機能性表示食品について、消費者庁では、機能性表示食品の届出件数が増加する状況を踏まえ、届出確認業務の合理化・効率化を図るため、関係団体による届出事前確認の仕組みの構築を検討することといたしました。その具体化に当たり、関係団体との意見交換を行う、機能性表示食品の届出事前確認に関する連絡協議会を設置することといたしまして、この7日に第1回を開催することといたしました。
ちなみに、検討する届出事前確認の仕組みについては、公表実績のある機能性表示食品の範囲を対象としておりますが、実施に当たって必要となる体制や実務的な手順書等の案については本年夏頃をめどに案を取りまとめ、一定の試行期間を経て、令和4年度中をめどに仕組みの運用開始を目指すこととしております。なお、仕組みの検討状況については、一定の区切りがついた段階で、また順次、お知らせをしたいと考えております。
質疑応答
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問
読売新聞の松本です。
冒頭にありました成年年齢の引下げのところで2点お尋ねしたいことがあります。まず一つ目に、コンビニエンスストアのデジタルサイネージを活用とありますが、コンビニエンスストアを活用した狙いを教えてください。
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答
若者ということを考えますと、コンビニエンスストアでいろいろなお買物をする、あるいはいろいろな払込みをされるという場合が多いので、より若い人の接点がある場所ということで、コンビニエンスストア7社の御協力をいただくということにしたものです。
- 問 次に、LINEアカウントによる情報発信とありますが、現時点でこの消費者庁の「若者ナビ!」に登録されている方というのはどのくらいいらっしゃいますか。
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答
(消費者政策課)現時点で3,500人程度でございます。
- 問 年齢というのは、LINEの仕組み上、分からないものですよね。
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答
(消費者政策課)後ほど御説明させていただければと思います。
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問
フリーの木村です。
昨日の消費者委員会の新開発食品の調査部会の件なのですが、トクホの疾病リスク低減表示の虫歯の案が消費者庁の方から提示されて、効果の科学的根拠の考え方で代用マーカーを評価指標に位置付けていることとか、現在のその「かもしれません」表示を、「可能性があります」表示に変更する案が出されたのですが、一方、科学的な視点から疑問符がついて、仕切り直しになったということなのですが、その点について、今、消費者庁の受け止め方はどのような感じでしょうか。
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答
昨日、消費者委員会の担当部会でトクホの運用改善の取決めについて御議論いただいたところです。一部の項目については御指摘のように継続して議論するということになったと聞いております。現時点では継続ということでございますので、もう少しきちんと私どもの方でまた説明をさせていただいて、継続的な議論になった部分も含めて、御意見をしっかり受け止めた上で考えていきたいと思っております。
- 問 今回のその出された案というのは、事前に科学的な視点から十分に検討されて出されたという理解でよろしいのでしょうか。
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答
当方としては、関係の学識経験者も含めての意見も聞いて出したということでありますが、消費者委員会の方では十分な御理解を現時点では得られていないということでございますので、そこは継続的に御説明もしていきたいと思っております。
- 問 関連でもう1点、今後のその虫歯の件なのですが、今後どのように、ちょっと今お答えの中で御説明あったかと思うのですが、改めて、今後具体的にどうやって進めてゴールまで持っていくというような感じになるのでしょうか。
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答
いろいろな観点からの御指摘を頂いたところですので、今の段階では、まずそれを受け止めた上で、また御説明をしていくということに尽きるかなと思ってはおります。
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問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
最初の発言の中での、機能性表示食品の届出確認業務の合理化・円滑化ということの資料ですけれども、届出確認期間を0日とすると、最終的にはですね、消費者庁では。これは届出確認に関する期間が超過することが課題だということでありますけれども、どのくらい超過していたのかどうかということを、まず1点お聞きしたいと思います。
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答
(食品表示企画課)今の届出の確認状況です。50日を目標に届出を確認することになっております。この目標期間については、今のところ見かけ上はそれほどこれを超えていないと思っておりますけれども、届出件数は、資料のとおりどんどん増えてきておりますので、今後も同じようにできるかというと、かなり心もとない状況になっているということでございます。
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問
もう1点、最初の御発言の中のコンビニストアへの連携ですかね、要請ということなのですが、成年年齢引下げについてのその対応としてはとても大事なことかと思います。
ただ、国民生活センターが先週発表しました、サポート詐欺、スマホとかパソコンで突然警告音が鳴ったりとかする、この詐欺に対して虚偽の説明が多いということなのですが、支払方法が、コンビニに電話で誘導して、そこでプリペイドカード、プリペイド式電子マネーを購入、何度も購入させるということで、それで、コンビニの窓口での支払が非常に逆転して増えているということのようです。
コンビニでの連携は、当然ながら成年年齢引下げについて昨日御発言あったように、連携と、こういうことになりますよということも含めてなのですけれども、同時に高齢者への声掛けとかですね、あるいはプリペイド、今回の相談のような年間5,000件で、60歳以上が半数と。70歳代が3割もいるという、こういう高齢者以外も多いのではないかと思いますので、コンビニ各社との連携に当たっては、やっぱりそういう点も要請したらどうかなと思ったのですが、これについてはどうでしょうか。
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答
いわゆる振り込め詐欺を始めとして、振り込みをされるATM等における呼び掛けはかなり強力にやられてきて、一定の効果が上がっているという状況にあろうかと思います。一方で、銀行のATMというよりは、コンビニの支払というのも非常に増えているというのは御指摘のとおりだと思っております。
ただ、具体的にどういうような呼び掛けの仕方をするかということについては十分整理の上で、関係省庁とも御相談させていただく必要がその点はあろうかなと思っております。今の時点で直ちにこのことについてこういう形でというのは、まだちょっと十分整理ができておりませんので、よく勉強させていただきたいと思っております。 - 問 もう1点、長官が今の本部長になっていらっしゃる徳島の戦略本部の、確か去年3月に、成果報告会だったか、そういう成果の報告をされたと。今年はどうでしょうか。
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答
今、手元に正確な日付はありませんが、今年も成果報告をさせていただきたいと思っております。是非、皆様方にも聞いていただければと思っております。
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問
読売新聞の松本です。
昨日、無添加表示に関する検討会が最終回になりまして、大体大まかな案も取りまとめられました。検討会の中でも案そのものからはちょっと外れますが、やはり無添加ですとか、添加物に関する普及啓発をしていったらどうだという御意見がありました。今のところ、長官で、こうしたらもっと分かってもらえるんじゃないかというお考えなどありましたらお聞かせください。
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答
昨日、食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会があって、若干の最終調整の上で座長一任になったという報告は受けております。
今のお話というのは、この無添加のガイドラインの外の話として、そもそも添加物がどういうものであってということだと思います。食品のアプリを使った食品表示のときにも、そもそも食品表示で書かれているものって一体何かというのが分からないと。そういったものをアプリでも解説できるようにということをやらせていただいているかと思います。そういったことも活用しながら、今後そういったことについても取り組みたいと思っております。 -
問
朝日新聞の川見と申します。
成年年齢引下げ関係で、一番18歳で若年というのは高校生ということなのかなと思いますが、時期的なこともあろうかと思いますけれども、例えば3月、4月、それ以降に、対高校生、高校でということで何かお考えの対策等あったらお聞かせいただけますでしょうか。
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答
高校については、既に文部科学省とも連携して、高校の授業の中で「社会への扉」を始めとする実践的な中身の教材で、成年年齢の引下げについて取り上げていただきたいとお願いをしているところです。公立高校については相当程度、授業の中でやられていて、今はむしろ私立が十分ではないとか、あるいは特別支援学校が十分ではないといったような状況にございます。私立については出前講座という形で、こちらから詳しい方を送るというような形の仕組みを作っておりますし、特別支援学校については徳島などでそういう教材について、特別支援学校で使いやすいような教材の開発もしていて、それについて紹介をしているところです。
この3月、4月ということになりますと、ちょっと春休みに入ったりもしますので十分なことができるか分かりませんけれども、引き続き、そういう学校の現場などと連携をして、十分な発信をしていきたいと思っております。 - 問 もう1点関連で、今回、20歳から18歳ということで、2年下がるということなわけですけれども、こうした消費者被害を受けてしまうかもしれないおそれを考えた場合、この2年引き下がることの意味合いといいますか、その辺りは長官はどんなふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。
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答
成年年齢の引下げ自体は民法の改正において整理をされたということでございますので、これについてのコメントをする立場にはありませんが、確かに若者の消費者被害というのがいろいろあるということは事実でございますので、これについて私どもとしては十分な消費者教育、あるいは情報発信をしていくということは大変大事なことだと思っております。そこは関係省庁とも連携してしっかりやっていきたいと思います。
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問
フリーの木村です。
機能性表示食品の届出確認業務の合理化・円滑化についてなのですが、今までもテストでやられてこられて、余り数多くないかなと思うのですけれども、その辺の分析とか何かされていましたらお聞かせ願いたいのですが。
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答
今までのテストとおっしゃっているのは、今やっている方式だと思いますけれども、今のやり方の延長にはあるとは思っているのですが、今のやり方について具体的に何をどうチェックするのかということについて、手順書があるのかと言われると、手順書があるわけではない。あるいは、その仕組みについても、公平性、公正性とか、専門性とか、様々な視点からもう少しきちんと整理をして、責任の分担をどうするのかということもきちんと整理をした上でやらせていただきたいと思っております。
今までのものというのは、どちらかといったら、こういうことをやっているところがあるので御活用いただいたらよろしいのではないでしょうかという、そういうスタンスだったかと思うのですけれども、それをもう少し、中身、体制もそうですし、それから、具体的にどういうチェックをしてもらったらいいかについて、きちんと見ていくということをして、本格的にやらせていただきたいということです。今のやり方だけだと、ちょっとこれ以上増えるという状況にはなかなかならないと思っておりますので、そこはきちんと整理をしてやりたいと思っているということです。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
成年年齢引下げの件ですが、先週、全国消費者フォーラムというのが国センで開かれて、各地の15の報告がなされたわけですけれども、その中で、この成年年齢引下げに対する消費者教育の重要性というのは、とても意義深いものが多くありました。その中での地域の課題として、要するにコロナの影響があったと。コロナの影響があって高校の授業計画が変更されてしまったと。そこで、消費生活センターの出前講座であるとかというものが半減した、半分になったという地域もあったということで、コロナ対策については今後重視されることになるかと思いますけれども、消費者教育の現場における、それは文科省だけではなくて連携してやるとしたならば、消費者庁としては全力キャンペーンをやっていらっしゃいますけれども、今後、何か具体的なものとして、消費者教育に対しての講習の機会を何かするかとか、あるいはデジタルを使ったりとか、何かそういう具体的なものというのは何かありますか。今やっていることの延長になりますか。
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答
まず、学校の方の、いろいろ出前講座が減ったという話について言うと、コロナ禍におけるオンラインにおける授業のやりようというのが、まだ十分徹底している状態にないというところがあったかと思いますので、こういったことについては、そういう仕組みができる中において、出前講座においてもオンラインでもできるということに当然なると思いますので、できるだけそういうやり方も含めてやっていくということが一つだと思います。
それからもう一つは、今、この「若者ナビ!」の話もさせていただいているのですけど、学校の教育現場以外のチャネルをいかに持つかということがあろうかと思います。それがこの今のLINEアカウントの「若者ナビ!」であったり、あるいは、今回、全国大学生協連と連携をさせていただいていますけれども、そのようなほかのチャネルをたくさん持つという形で、できるだけそういう課題に、具体的な消費者被害、こんなのがあるんだということを理解していただく機会を増やすということが大事だと思っております。そういう意味でいうと、今やっていることの延長ということにはなろうかと思いますけれども、別にこの4月だけではなくて成年年齢の引下げは引き続きあるということですので、まず状況を見た上で、また必要なことがあれば、ほかにいい手段はないか考えていきたいと思っております。