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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年2月9日(水) 14:00~14:15 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

私からは冒頭に一つお話をさせていただきたいと思います。通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインの公表についてです。近年、定期購入に関する消費生活相談件数が増加しております。通信販売における詐欺的な定期購入商法対策を念頭に置いた特定商取引法の改正については、本年6月1日に施行される予定となっております。これは、最終確認画面等において一定事項の表示を義務付け、誤認させるような表示を禁止する規定を新設するなどの対策を強化するものであります。これを踏まえ、今般、これらの規定の解釈を示す、通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインを策定いたしましたので、公表いたします。
お手元の資料を御覧いただければと思いますが、今回のガイドラインは、これら定期購入に関する取引の内容・条件について確認できる表示を求めるものです。一方で、これは消費者にとってみれば、契約するに当たって必要な確認がしやすくなるということになります。まず、1回限りの購入かどうか、それから、2回目からはいくらになっているか、解約の方法はどうなっているか、といった点に十分注意をしていただきたいと思います。チラシも用意させていただいておりますので、これも参考にして、是非、消費者の皆様には定期購入のトラブルに御注意をいただきたいと思います。
なお、ガイドラインについては、本日15時から担当課による記者レクを用意しておりますので、詳細な内容については担当課にお尋ねいただきたいと思います。

質疑応答

NHKの秋山です。
冒頭発言ありました詐欺的定期購入に関するガイドラインの公表についてなのですが、6月施行とはいえ、ここ数年急増していて、速報値でも、昨年減少はしたようですけれども、まだ高止まりの状態なのかなというところと、あと、年代別とか商品別に見ると減ったものがある一方で、増えている年代だとか商品もあるのかなというところで、法改正は6月までですけれども、それまでも、今日以降でも消費者の方にはどういう対策をしっかりきっちり取ってほしいというふうに改めて長官は考えていらっしゃるのかをお願いします。

ガイドライン自体は取引に当たっての考え方ということになりますので、事業者にもいろいろなことを準備していただかなくてはいけないということで、この時期に公表させていただいているところであります。消費者においても、既に別の形で以前公表させていただいたところでありますが、そもそも定期購入かどうか分からずに、余り確認もせずに契約をして、後で驚くといった事例が非常に多く見られますので、そもそもこの契約というのは継続的なものなのか、それを自分が納得しているかどうかということをよく確かめて契約をしていただきたいと思います。どうしても、お試しですとか、あるいは、この時間に限りということを言われると、慌てて契約される方が多いかと思いますので、是非、一呼吸おいて、自分が本当に必要としている契約かどうかを確認の上、契約をしていただきたいと思っております。

2021年が前年からすると減少したということについては、長官としてはどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

やはり、定期購入が問題であるということを、法改正もしましたので、そういったことの効果というのは、事業者の方にもあったし、恐らく消費者の方も、そういう問題があるんだと気付いていただいた効果というのが、法律の施行前ではありますけれども、法律ができた時点でですね、そういう問題が改めて皆さんに認識していただいたという効果もあったのではないかと思っております。恐らく事業者の方も、まだ法律の施行前ですが、今の法律でできる範囲においてのやり方などについてもお示しもしましたので、そういった点での効果もあったのではと思っているところです。なお、先ほど御質問を頂いたとおり、割と全年代で定期購入に対する消費生活相談はありますし、若い人、それから高齢者、結構ございますので、それぞれ気を付けていただければと思っております。

日本経済新聞の中村と申します。
ガイドラインの件なのですが、サブスクリプションについてもあえてこういう記載をされているのですけれども、それを入れた背景というか、目的というのをお願いできますか。

特定商取引法の通信販売の規制というのは、通信販売を行う販売事業者と、それから、役務提供事業者を対象としていて、今までも実は通信販売でサブスクリプションを行う事業者というのは、役務提供事業者として現行法の下でも当然に対象にはなっていたわけです。ただ、サブスクリプションという形で明示はガイドライン上していなかったものですから、意識されにくかったというところはあったかなと思っております。
一方で、サブスクリプションについても、近年いろいろな消費生活相談が出てきております。そうした観点から、サブスクリプションについても特出しした格好で明示的に記載をさせていただくということにしたところです。具体的に言えば、特にサービスの提供期間とか、回数とか、無期限、自動更新の場合にはその旨をとか、あるいは、無料とか、割引価格から有償、通常価格に移行する場合、その移行時期及び支払うことになる金額をとか、あるいは、さらに、無期限の場合には、一定期間を区切った価格の目安を表示することが望ましいといったようなことを今回明示的に言及することにしておりますが、これはいずれもサブスクリプションに関しまして、消費生活相談などがあって、トラブルになりやすいということを背景にして入れさせていただいたものであります。

朝日新聞の前田です。
この冒頭のお話の関連で、消費者が気を付けるべきことも裏表でクリアになったということだと思うのですけれども、施行までに、まず事業者の皆さんにこれにのっとったきちんとした表示をしなければいけないということを周知する必要があると思うのですけれども、そちらはどのように対応していきたいというお考えでしょうか。

既に、実はパブリックコメントのときに相当周知もしておりまして、事業者団体含めて、御相談もさせていただいておりますので、こういったことになっているということは皆さんよく御存じだとは思います。
とはいえ、こういった形でパブリックコメントで頂いた、よりもうちょっとここを詳細に書くべきだとかいったことを踏まえた上で最終案をまとめましたので、改めまして今回公表させていただくわけですが、これ自体は事業者団体向けに出すという性格ではもちろんありませんけれども、当然いろいろ御相談した団体にもこういう格好になったということは当然お知らせできると思っておりますので、そういった形を通じてそれぞれの事業者において準備をしていただきたいと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
関連なのですが、今回の法改正の中では、外国執行当局の情報提供制度というのが創設されるということで、定期購入を含めて通信販売自体は外国事業者との関係があるんじゃないかと思うのですけれども、この情報提供制度というのは、いつ頃なのかということはどこかにありますでしょうか。今年の6月なのか、それとも来年なのか。

それは6月1日施行だと認識しております。

ということは、この制度自体の検討もされているということでしょうか。

制度の検討というか、法律上6月1日施行になっておりますので、6月1日から施行されるということになります。
それから、すみません。先ほどの前田さんの説明、補足的に申し上げると、本日お配りはしていないのですが、全てのEC事業者様宛てのお知らせというチラシも実は作っておりまして、これは事業者向けにこういうことがありますということも周知する予定としておりますので、お手元になくて恐縮ですが、事業者向けにも分かりやすく今回のガイドラインの趣旨についてお伝えするようにしております。

朝日新聞の川見と申します。
ちょっと話題変わりまして、アサリの件でお尋ねいたします。昨日、蒲島知事がいらっしゃって、いろいろな要望をなさったかと思いますが、それについての受け止め及び、知事の話をお聞きしていると、この2か月間というところについて、できれば何らかの対策を取りたいというようなことをお考えのようなのですけれども、そういったことも含めまして、今後のスケジュール感等とですね、お考えのことをお聞かせいただけますでしょうか。

昨日、アサリの産地偽装対策に関する要望を、農林水産省、それから消費者庁の方は若宮大臣が熊本県知事から受け取ったところです。その際、食品表示は知事もおっしゃっていたとおり、消費者の商品選択に当たって非常に重要なのにもかかわらず、こういったことが起こるというのは大変深刻な問題であるという認識も共有化したところです。
熊本県からは、もうお手元に行っているかと思いますけれども、取締体制の強化、整備ということと、それと併せて、原産地表示ルールの運用の見直し、それから、トレーサビリティの制度の構築についてといった制度面での御提言を頂いたところです。いずれも現在のルールの下で表示違反を見付けるのが非常に難しいということを背景にして、現場のお話もお伺いしたところです。熊本県の方で2か月間の出荷の停止という非常に厳しい措置をされたということを承知しておりますので、今は大きく分けて二つの調査があると思います。一つは、今回の偽装がどこでどういうふうに起こったのかということによる、正に取締りの観点での話。それから、もう一つは、そもそも偽装が起きないためにどういったことをやっていけばいいかということになりますが、そのためには恐らく現在のアサリの流通なり、輸入なり、移動の仕方、あるいは蓄養なりがどういった形でなされているかといったことの実態を把握をするということが必要だと思っております。それで、2か月の期間を頂いております。必ずその期間にというふうに今お約束はできませんけれども、長らくそんなに引っ張っていい問題ではないというふうに思っておりますので、農林水産省とも連携して、その二つに消費者庁としても取り組んでいきたいと思っております。

朝日新聞の前田です。
今のアサリの関連なのですが、昨日の知事のお話を聞いていると、食品表示基準Q&Aで解説されているアサリの蓄養について、海外からの輸入アサリをそんなに長期間海で蓄養することがそもそも技術的に難しいのに、それが前提となっているようなルール解説があるということはちょっと不可思議だみたいなお話をしていたように受け止めたのですけれども、その輸入アサリの蓄養が難しいということは、いろいろな研究者の方とかもおっしゃっているわけなのですけれども、そうすると、なぜQ&Aにそれが前提となったルール解説が盛り込まれたのかなということが少し不思議だったのですけれども、御存じでしたら教えてください。

Q&Aの書き方も含めて、今申し上げたとおり実態を踏まえてやっていくということがありますので、それは輸入の問題もありますし、それから、国内での地域移動の問題も当然ございますので、それから、熊本だけではなくて、ほかの地域の問題もありますから、そういったことをきちんと把握した上でお答えをしたいと思います。

NHKの秋山です。
今のアサリの関連なのですが、今、熊本はいわゆる生食はされていないと思うのですけど、いわゆる生鮮として出ているアサリを2か月停止することであぶり出したいというところで御英断されたのだと思うのですが、既に加工されたアサリも、その産地表示はされないといけない、もちろんしていると思うのですけれども、そういった加工業者に対しての情報発信というか、通知、改めての呼び掛けというのは何か考えていらっしゃったりするのでしょうか。

現在、生鮮の問題でございますので、加工については、原産地表示についての完全施行はこの4月からということになっておりますので、まだ完全施行されていない状況ということにもなりますので、まずは生鮮の方の取組を進めるということかと思っております。