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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年2月2日(水) 14:00~14:26 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

私からは1点、食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションの実施についてということです。お手元に配付をさせていただいておりますが、東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故から間もなく11年を迎えようとしております。消費者庁は、令和4年3月3日(木)に、内閣府食品安全委員会事務局、厚生労働省、農林水産省、経済産業省とともに、食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションを実施することといたしました。今回のリスクコミュニケーションでは、食品中の放射性物質について、学識経験者による基調講演や、福島の生産者等を交えた意見交換を行うこととしております。本日より参加募集を開始いたしますので、是非、御参加いただければと思っております。

質疑応答

熊本日日新聞社の福山と申します。
昨日、農林水産省が発表した内容についてなのですけれども、熊本県のアサリの年間漁獲量を大きく上回る量のアサリが熊本県産として全国で販売されているとの調査結果及び、DNA分析にかけたほとんどの熊本県産アサリについて、外国産が混入している可能性が高いとの結果を明らかにしました。これに関して熊本県知事は昨日、県漁連が扱う熊本県産アサリの出荷を2か月程度停止すると発表しました。この間に海外産アサリを熊本県産として販売する産地偽装品をあぶり出し、偽装の根絶を目指す考えですが、農水省の調査結果と、申し上げた知事の判断についての長官のお受け止めと、協力など今後の対応についてお聞かせください。

食品表示は消費者の商品選択に当たっての重要な判断材料ですから、誤った産地が表示された商品が販売されるということがあれば、消費者の信頼を揺るがす深刻な問題だと考えております。
アサリの産地表示については、昨日、農林水産大臣から、農林水産省が実施した実態調査において確認された疑義について疑義解明を行い、不適正な行為を確認した場合に関係機関と連携を取り、厳正に対応するという旨の御発言もありましたし、今御指摘のように、熊本県知事のお話もあったということについては承知しております。私どもはこれを受け、消費者庁としては、昨日、農林水産省と連名で、関係事業者団体等に対して、アサリの取扱い時には産地伝達の確認の徹底などを求める通知を発出しました。また、本通知を踏まえて、都道府県監視担当部局に対しても、アサリの産地表示に係る監視・指導を徹底するよう求める通知を発出しております。これからいろいろな調査がなされるということですので、消費者庁としても、農林水産省や熊本県と十分情報の共有化をして、表示の適正化に向けてできることをやっていきたい、このように思っております。

関連してなのですが、今の問題に関しては、熊本県知事や、あと熊本県内の漁業団体の幹部からですね、食品表示法につきまして、水産物を2か所以上で成育した場合、最も蓄養期間が長い場所を原産地として表示する今のルール、これの見直しを国に求めたいといった声を上げておりますが、これについて食品表示法を所管している消費者庁として、お受け止めをお聞かせください。

御指摘のように、食品表示法においては、2か所以上の養殖場で養殖した場合、主たる養殖場というのは養殖期間が最も長い場所ということで、そこの養殖期間が長い養殖場の属する、都道府県なり、国なりになるということになっております。
報道では熊本県知事がそうおっしゃったということは承知しておりますけど、まだ具体的に詳細をお伺いしてないところですが、今のルールの見直しということでございますが、それはそもそもルールの問題なのか、今のそのルールの下で表示違反を見付けるのが非常に難しいということを背景にされたお話なのかということがあるのではないかと思っておりまして、今後、先ほど農林水産省なり、県なりが実態を調べられるということですので、こうしたことを踏まえて、どうしたら偽装されないようにできるのかということについて議論をするということがまず大事だというふうに思っております。ルールの見直しそのものなのか、そうではなくて、どうやったら見付けられるのかという問題ではないかと私自身は思っておりますので、ただ、それも実態を把握してでないと、今この場でこっちではないかというようなことを申し上げるのはちょっと早過ぎるのではないかなと思います。いずれにしろ、よく情報共有をして、そういった違法な状態が起きないようなやり方を考えるということではないかと思っております。

朝日新聞の前田です。
今の質問に関連してなのですが、食品表示法のルールっていうのが、ある程度、業者さん、生産者さんへの信頼に基づいたものになっていると。それ自体が悪いことだとは到底言えないと思うのですけれども、やはり事実として易きに流れるというか、売れないから国産というふうに表示してしまおうというような偽装が起きてしまったということが今回の背景にあるのではないかなと思うのですけど、この難しさですね、その産地偽装を防ぐ難しさ、永遠の課題とも言って差し支えないのかもしれないのですけれども、ここにもう一度目を向けるときが来ていると思うのですが、実態調査を詳しくは待たないといけないと思うのですけれども、どうしたらこの産地偽装は防げるのかということについて、今の長官の考えをお聞かせください。

恐らく物によっても違うのだろうというふうには思います。今のお話、蓄養期間を見張っていくのがなかなか大変だということに端を発している部分もあろうかと思いますので、そういったトレーサビリティなりをどうしていくかとか、そういった議論もあるかもしれませんので、そこは先ほど来お話をしているとおり、そもそもアサリなどに関しては、どういう形で入ってきていて、それからどういう形で蓄養されて販売されているのか、あるいは、国内においてどのような形で販売されているのかということを踏まえた上で議論をする必要があろうかと思います。今の時点でこうすればいいのではないかというアイデアがあるわけではないのですけれども、今御指摘いただいたとおり、消費者にとっては大変重要な情報ということになりますので、そういった過ちがないような形にどうしたらできるのかということに関して、農林水産省なり、業界、あるいは県の御意見も踏まえながら考えていきたいと思っております。

読売新聞の松本と申します。
アフィリエイト広告の検討会で報告書が取りまとめられました。こちらを基に今後指針などを策定されるかと思いますが、報告書を受けての長官の受け止めと、あと、検討会の最後にアフィリエイト協議会さんの方から、アフィリエイト広告は全般が悪いというわけではなくて、アフィリエイト広告、健全な発展のために必要な今回の検討会で、報告書、指針もそういうふうにお伝えしてほしいという意見がありました。こちらに関しての思いといいますか、受け止めも併せて教えてください。

アフィリエイト広告については、この間、最終の検討会があって、これを基に若干の修文があるということで、報告書自体はまだ完全に終わっているという状況ではないと思います。2月、できるだけ早いうちに報告書を取りまとめて発表したいと思っていますが、おおむねあの内容でということになったというふうに思っております。
アフィリエイト広告について、今御指摘いただいたような悪質事業者に対してどうするかという問題と、一般のアフィリエイト広告においても起きてしまうかもしれないということをどうやって未然に防止するかという観点があったかと思います。私ども自体も、アフィリエイトそのものが問題だということを申し上げるつもりはないというのを初めから申し上げたというふうに思いますが、ただ一方で、消費者の方が、非常に誤った、そういう過剰な表示によって間違った判断をされるということは防ぐ必要があろうかと思いますので、それは事業者、それから私ども、一緒になってやっていく必要があろうかと思います。
報告書でも整理しておりますとおり、今後、報告書に基づいて私どもとしては必要な法執行をする、あるいは指針を作っていく、それから民間の方でもいろいろそういった体制、協議会等の議論もあったかと思いますが、そういう体制をどうやって作っていくかというお話になるのではないかと思っております。引き続き、報告書を受けてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

NHKの秋山です。
今のアフィリエイトのことに関連してなのですが、基本的には景品表示法の範疇での議論をされて、報告書でも、特定の個人に対する対応については慎重に、新しく景表法で何かすることは慎重になるべきだという意見も出ていて、一方で、報告書案の中には、特商法を使ったり、薬機法だったり、景表法だったりも、現行法でも対応できるものはあるのではないかという意見というか、ことも書いてあったと思います。
特商法となると一応消費者庁の中に別の部署があるかと思うのですが、その個人のアフィリエイターですとか、ASPとかに対するその特商法の運用みたいなことで何か新しい考え方を示したり、今回の報告書案を受けて何か検討すべきことがあるというふうに長官は考えていらっしゃるのでしょうか。

今御指摘いただいた話というのは、悪質な事業者の中にはどうしても繰り返し行われる方がいて、そうした方々に対する対策のときには、景品表示法ではなく特商法の方も活用できるのではないかということだと思います。また、今回の特商法については、今回の改正でやや幅広く行政措置をすることができるようにもなりましたので、そういったことも活用するということだと思います。アフィリエイターそのものにやるというよりは、正にそういうことを中心になって主導をするような方、実質的な支配をされている方がいれば、そうした人に対して特商法を積極的に使っていくという形にしてはどうかということです。新たに何かアフィリエイターに対して何かするとかいう性格のものではないかなと思っております。

逆に言うと、今後の特商法の議論の中で、今回頂いた意見みたいなのは参考にされたり、反映していきたいというお考えはあるのでしょうか。

法律そのものの制度の問題というよりは、法執行において景品表示法の中のそういう話と、それから特商法を、私どもの同じ省庁の中でやる話でございますので、十分共有化を、必要に応じて共有化をして、しっかりと悪質事業者に対して対峙するということに尽きると思っております。

もう1点、先日行われたデジプラの準備会で、隠れBの考え方をどうしようかっていう検討、続いてきて、ガイドライン案が示されて、一定の総論に関しては特に異論が出なかったのかなというふうに受け止めてはおるのですけれども、消費者自身がやはり隠れBにならないようにというような、いわゆる販売者側、売り手側の消費者が隠れBにならないようにというような意見もあったと思うので、そういった普及啓発というか、理解を促進することも今後必要なのかなと思うのですけれども、ガイドライン案をお知らせしていくような過程で、何か対消費者向けの情報発信というのは今後どのように考えていかれているんでしょうか。

一般的な個人というよりは、本当に事業者として動かれる個人だと思いますので、一般の人に対して具体的に何かというのは今考えているわけではありませんが、御指摘のように、昨日、官民協議会の準備会で、販売業者等のガイドライン案について意見交換をしていただいて、おおむね皆さんの賛同を頂いたというふうに報告を受けております。今後、頂いた御意見を踏まえた上で、ガイドライン案の内容を精査して、2月中旬頃から一般的な意見募集をしたいと思っておりまして、4月までに成案を公表したいと思っております。
当然このガイドラインにおいて、事業者というのは、こういうものが事業者と扱われるということでありますので、こういった考え方自体について、今後、個人でも新たに個人事業主になろうとされる方、当然いらっしゃると思いますので、そういった方々にしっかりお伝えできるように、これは関係の業界もいらっしゃると思いますので、関係の業界ともよく御相談をしたいと思っております。

また全然別件なのですが、前回の長官会見でも質問が出ていたり、大臣も御発言されていたと思うのですけど、明日2月3日が節分ということで、コロナ、オミクロン株の拡大で、休園だったり、御家庭で結構節分を迎えられる方も今年は更に増えているのかなと思うのですけれども、改めて節分に向けて注意の呼び掛けがありましたら、長官から教えていただければと思います。

節分に関しては、御指摘のようないわゆる節分の豆に関して、5歳以下の子供に関して誤嚥のおそれが非常に高いのでやめていただきたいという呼び掛けを消費者庁としてもさせていただいているところです。これは、関係の団体などについても情報提供しているところでありますが、是非、子供の誤嚥ということについては十分注意していただきたいというのが一つ。
それからもう一つ、恵方巻き、食品ロスの話もあろうかと思います。恵方巻き、大量発注、大量廃棄ということだったので、今いろいろな小売事業者においても予約という形でやられているかと思います。消費者の皆さんも是非、もう日にちがありませんが、是非予約といった形でですね、過剰に廃棄されるようなことがないように、この点についても御協力を賜ればと思っております。

朝日新聞の前田です。
冒頭、長官から御発言のあったリスクコミュニケーションの件なのですが、現在の予定だと、23年の春に汚染処理水の海洋放出というスケジュールで進んでいまして、また、今ここに来て再度この食品安全ということについての消費者の注目が高まっているというふうに感じているのですけれど、風評被害を防ぐための一応消費者庁になっているということで、こうした意見交換の場の開催もそうだとは思うのですけれども、ここまで積み重ねてきたリスクコミュニケーションに対する情報発信で拭ってきた不信感がまた盛り返さないようにしないといけないと。全体的な今後1年間のこうした話題に対する考え方ですとか、消費者庁としてどのようなことをしようとしているのかというのをちょっと伺えればと思います。

リスクコミュニケーション、リスクを関係者間で情報交換して、対話をして、それで正しく理解をするという、端的に言うとリスクを正しく恐れるということだというふうに私自身は理解していますけれども、残念なことに、本当にきちんと検査されているにもかかわらず、何となく福島県産のものをやっぱり何となく忌避される方がいるという実態などを踏まえて、私どもとしてもいろいろな形での情報発信、この間ですと親子でのコミュニケーションとかですね、そういったものもやらせていただいているところです。やはり正しい情報発信をしていくということが大事だと思っておりますので、今回こういった形でやらせていただきますけど、こういったことを地道に積み重ねていくということに尽きるのかなと思っております。
何となく嫌だという人は一定程度いるのですけれども、できるだけそうではなく、正しいエビデンスに基づいて理解をしていただいて、それを基に御判断いただくということが大事だと思っておりますので、関係省庁と連携して、私どもとしても引き続き取組を進めていきたいと思っています。

リスクコミュニケーションにちょっと関連して、アサリの話なのですけれども、ちょっと引いた視点で、今回、ここまで、アサリの産地ということに注目が集まっていて、貝類をしばらく食べるのを止めようとかですね、いろいろな反応があると思うのですけれども、そもそも食品表示のルールがどうなっているのかなということについても、これを機に疑問に思っている消費者も多いと思うので、食品表示のルールってちょっと分かりにくいので、それをまた分かりやすく情報発信するとかですね、少し違う観点からも消費者の不安を拭ったり、この機会に新しい知識を得てもらったりするような活動ができるのかなと思ったりしているのですけれども、この辺いかがですかね。

食品表示に関しては、ちょっと今回、産地の話になっておりますけど、それ以外にもアレルギーだとか、そもそも持っている表示の意味が一体どういう意味があるのかとか、こういったことについても、今御指摘のように、ちゃんと分かってやるということはとても大事なことだと思っております。アプリを活用するというようなこともモデル的にやらせていただいているのも正にその一環ということだと思っております。
表示自体、食品表示で細かく勉強してもらうという性格のものではないかもしれませんが、自分にとって何が大事かということを分かっていただくように、どういった発信があるのかまた考えてみたいと思います。御指摘ありがとうございました。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
ちょっとくどいようで申し訳ないのですが、2点、今のアサリの件が一つ、先ほど長官がトレーサビリティ、要するにそういうものも課題としてあるかもしれないようなことをおっしゃっていて、ただし、それは前提としては実態を把握してからということでした。消費者団体の中でもトレーサビリティというのは、米とか牛とかですね、要するに何か問題があった後で、トレーサビリティ法ができたりとかしていたということで、そういうことで調査して要求したいというところもありますけれども、先ほどの確認が一つ、実態をまず把握してからということで考えていいですかというのが1点。
もう一点が、リスクコミュニケーションについてなのですけれども、先ほど前田さんの御質問の中に、放射性物質の海洋放出のことについてありました。今回、この資料の中で見ると、基礎知識と放射性物質の現状ということが大きく書いてありますけれども、今回、予定されている海洋放出についての何かテーマに触れたものというのは、このリスクコミュニケーションの中ではあるのかないのかということを、ちょっとお聞きしたいと思います。

まず、後の方から申し上げると、この今回の中に経済産業省も御参加いただいているので、行政担当による情報提供として、幾らかの御発言、情報提供をしていただくという予定になっていると聞いております。
それから、もう一つのアサリの件ですけれども、ちょっと誤解があったら訂正しますが、とにかくまず実態を踏まえた上で、どうしたら偽装が起きないのかという観点で考える必要があろうかと思っています。だから、制度の見直しありきということではなくて、どうすればそういうことができるのかということを考えなければいけない。その際は、それぞれ現場がどういうふうに動いているかということも踏まえた上で考えるということではないかと思います。具体的に先ほどの「長いところルール」ということに関して言うと、どういった記録を取るかとか、そういったことも必要だと思いますから、どういったことなら要は実態的にできるのか、現実的にできるのかということも考えた上で取組を考える必要があろうかと思います。いずれにしろ、まずこれから実態を調べるということでございますので、それを踏まえた上で考えていきたいということだと思います。

NHKの秋山です。
今日は2月2日で、4月1日までもうあと残り2か月を切るという状況かと思うのですけれども、政府広報も含めて、かなり成年年齢引下げのキャンペーンで情報発信はもう各メディアから、政府から出ているとは思うのですが、まだまだ、なかなかコロナ禍ということもあって対応が十分に取れていない方もいらっしゃるのかなという感覚を持っております。長官としても、改めて4月に向けてどう頑張りたいのか、若しくは、まだもう少しギアを上げていかないといけないというふうに感じていらっしゃるのか、その辺り、今いかがでしょうか。

成年年齢の引下げについては、この4月からですが、4月で終わるわけではなくて、ずっとこれからということになりますので、今一生懸命、皆さん取り上げていただいてはいますけれども、継続的に是非取り上げていただきたいと思います。でないと、4月の時点で全てが終わるわけではありませんので、我々としても、ずっと情報発信は引き続きやっていきたいと思っております。また、私ども、消費者月間とかいろいろな取組もございますので、そうした中も含めてですね、どうしたら伝わるかと。それは成年年齢に達するであろう人もそうですし、それを取り巻く大人というんですか、親とか知り合いとか、そういった方も含めて、どういうふうに情報発信をしていくか。それから、特にどういった点が若者に特有で、だまされるような事案で、特にどういうことに気を付けたらいいかということに、できるだけ意を用いて発信していきたいと思っております。報道各位におかれましても御協力のほどよろしくお願いいたします。