伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2022年1月19日(水) 14:00~14:12 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)
発言要旨
私から、冒頭に2点申し上げたいと思います。
一つ目は、令和4年1月物価モニター調査結果についてです。
本日、令和4年1月の物価モニター調査結果を公表いたしました。天候不順や世界的な需要拡大等による原材料価格の上昇や原油価格の動向等を背景として、幾つかの品目で価格上昇の動きが見られますが、今回の意識調査では、それに対する消費者の受け止め、意識についての調査を実施いたしました。
生活関連物資等の価格が上昇していると感じている方々が約9割を占めましたが、8割以上の方々は値上げは仕方ないと回答しており、現状の値上げを許容せざるを得ないと受け止めている消費者が多いことがうかがえました。一方で、値上げに対してその理由や背景をしっかりと説明してほしいという回答のほか、価格を据え置いたまま内容量を減らす、いわゆるステルス値上げについてもしっかりと説明してほしいという回答が多く寄せられ、消費者への丁寧な説明が大切であることが改めて明らかになったところです。
この調査結果、なるほどと思う結果でしたので、ここに御紹介するとともに、事業者においては、このような消費者の声に耳を傾けていただきたいと考えております。
二つ目は、消費者志向経営セミナーin四国の開催についてです。
消費者志向経営については、昨日、令和3年度消費者志向経営優良事例表彰について若宮大臣に御発表いただいたところですが、より地域に密着した消費者志向経営推進の観点から、1月27日(木)に消費者志向経営セミナーin四国を開催いたします。本セミナーでは、消費者志向経営をより身近に感じていただくため、四国内に所在する事業者から取組事例の紹介などを実施いたします。開催方法は、事前申込制のオンラインセミナー方式で開催するほか、後日、消費者庁のYouTube公式チャンネルでも配信いたします。
詳細はお手元のチラシを御確認いただきたいと思いますが、是非この機会に消費者志向経営に対する理解を深めていただきたいと考えております。
質疑応答
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問
朝日新聞の前田です。
冒頭にお話があった消費者物価指数のステルス値上げについてですが、過去にも消費者庁は、こうした消費者の意識というのを調査されていると思うのですが、先ほど長官がおっしゃったような、このような消費者の声に耳を傾けてもらいたいということを、事業者にどのように働き掛けていくのかというところも、消費者がどう思っているかというのを調査するのと同じぐらい重要かなと思うのですけれども、これまで何か消費者庁の動きとして、事業者に、こうした注意というか、その説明を促すようなこととかをされたりとか、あるいは今後する予定とかはありますか。 -
答
過去についてのものに関しては、今手元にないので、また確認をさせていただきたいと思いますが、もともと、特に消費税が典型的だと思いますが、こういった明らかなものに関しては、税が転嫁されているとか、それについての説明をしっかりとするようにということで、関係の省庁とも連携して事業者団体にも当然言っていて、要は間違いのないような表示をしてくださいということはやっているのですが、今回は、表示そのものというよりは中身の問題なので、どういう格好で説明するかはなかなか難しいと思います。
一方で、いろいろな背景の中で値上がりを受け止めるけど、やっぱりちゃんと納得したいと皆さんおっしゃっているということが非常にクリアだなというふうに私自身は受け止めました。現に企業の中では、ホームページなどで、こういう格好で値上げいたしますということを発表されているような企業もございますので、なかなか全ての企業に言うわけにはいかないとは思っていますが、消費者志向経営をやっているような企業もございますので、そういうようなところなども通じて、正に消費者の声を聴くということの典型例、消費者志向経営でございますので、また連絡会などを通じて、こういう声もあるのでということをお伝えしたいと思いますし、また機会を通じて、そういった企業から、関係の事業者、お付き合いのあるところがあれば、是非そういった話があったということをお伝えいただくようにお願いしてみたいなと思っております。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
今の前田さんの質問にも関連するのですが、ステルス値上げについて、事業者への説明の働き掛けということと同時に、消費者団体とか、一部導入されている単位価格表示について、消費者庁として御検討とか、何かそういうことの予定というのはまだ無いですか。 -
答
表示に関しては、より分かりやすい表示にしてほしいというお話は、価格の話に限らずあるというふうに思っております。そうした観点から、食品表示に関するアプリの議論などもさせていただいているところです。要は、狭いスペースの中でどの程度のことが書けるかという限界がある中で、一方で、もっと知りたいとか、自分に合った形での情報を分かりやすく手に入れたいということがあり、価格についてもその一環ではないかと思っております。
まだ表示についての価格の話までは、あのアプリの議論ではしていないのですが、今の御指摘なども踏まえて、今後、デジタルとリアルを融合した格好での表示の議論、あるいは情報伝達の議論をするに当たって、そういった問題についてもどういうふうに取り組んでいくかということを議論してみたいと思います。御指摘ありがとうございました。 - 問 新型コロナウイルス感染防止に向けた「まん防」が今後拡大して導入されますが、消費者庁としては、各自治体で運営している消費生活センターの相談業務の中での縮小があるかもしれないということも踏まえて、消費者庁としては、何か自治体に対して要請であるとかということは、お考え、予定はありますでしょうか。
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答
BCP、要は業務継続をどうしていくかということは、今回とても大事な話だと思っております。私どもの役所の中でも、いろいろな業務ができなくなったときに誰がどういうふうにバックアップを取っていくかとか、あるいは、テレワークなども併用して、できるだけそういうことが起きないようにするとか、そういったことが新型コロナウイルス感染症対策としてはとても大事だと思っております。
御指摘の消費生活相談に関しても、災害のときには、ある地域のセンターができない場合はほかのところが、市ができなければ県がとか、あるいはどうしてもできなければ国民生活センターがとか、いろいろな形でのバックアップの仕方をやっているところでございますので、今回の新型コロナウイルス感染症拡大に当たっても、そうしたBCPの観点から、国民生活センターの方にも、そういった事態が起きたときにスムーズにそういうことができるようにということをお話ししているところでございますので、そういった形で業務継続がされるよう対応していきたいと思っております。 - 問 昨日、大臣が発表されました、消費者志向経営の優良事例の表彰についてですが、先ほど、in四国のことを紹介されましたけれども、前年度と比べて今年度の発表の場合は、対象範囲が広くて、広いというか9社、表彰の数も多いんじゃないかと思いますが、この消費者志向経営の表彰制度自体は重要だと思いますので、改めてこの制度の意義を、長官から説明をお願いしたいと思います。
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答
消費者志向経営自体は、正に消費者と事業者が共創型の社会をつくるという観点から、事業者に三つの視点での活動をお願いしています。一つは、消費者の声を聴き、かついかす。二つ目が、未来や次世代のために取り組む。3番目は、法令の遵守及びコーポレートガバナンスの強化をすることです。考え方によっては、SDGsとかESGにプラス消費者の現場の声に耳を傾けるということだというふうに私自身は理解しております。
消費者志向経営自体の優良事例表彰は例年やらせていただいていますが、御指摘のとおり、対象業種が増えたり、あるいは、大企業だけではなくて中小企業に広がりを見せたりしておりますので、数というよりは、できるだけいろいろなパターンがあるよということをお伝えできるような表彰の仕方になるといいなと思っております。
なお、四国に関して今日御紹介させていただいたのですが、四国は実は非常に消費者志向経営としては先進的な地域でございまして、徳島県が54社、愛媛県では44社と、徳島県と愛媛県に関して言うと、割と県を挙げて消費者志向経営の呼び掛けを行っているというところがございます。また、香川県も令和3年3月に自主宣言事業者が出たので、全県何らかの自主宣言事業者があるという地域になりましたので、この際、その地域に密着する企業としての消費者志向経営の在り方というのを四国でやってみるというふうに考えているところです。
なお、四国だけではなく、この結果を見て、ほかの地域でも展開をする方向で、ちょっとすぐにできるかどうかは分かりませんが、やり方は考えながら、やれるといいなと、このように思っています。
消費者志向経営というのは、新しい資本主義ですとか、いわゆるマルチステークホルダー資本主義と言われているものに非常に共通というか、その根幹に関わるような話ではあると私自身思っておりますので、こういった企業が増えていくこと、それから、こういった企業を消費者がよく知って、そういった企業を選んでいくということができるように是非していきたいと思っております。