伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年12月15日(水) 13:30~13:46 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)
発言要旨
私からは3点、冒頭に申し上げます。
一つ目は、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法の政令等のパブリックコメントの実施についてです。
本年12月17日から、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法の政令等の案について、パブリックコメントを開始いたします。取引DPF消費者保護法は本年5月に公布され、1年以内に施行予定となっております。この施行に向け、政令、内閣府令及び「取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務の内容を定める指針」の案の3点について、御意見を募集いたします。
政令等の案の詳細は、お手元にお配りしている資料のとおりとなっておりますが、後ほど担当課からレクをさせていただきますので、詳細については担当課にお尋ねいただければと思っております。
これらの案については、本年11月に立ち上げた官民協議会準備会においても御議論いただいてきましたが、広く御意見を募集し、策定に当たっての参考とさせていただきたいと考えております。
二つ目は、令和3年12月物価モニター調査結果等についてです。
本日、令和3年12月の物価モニター調査結果を公表いたしました。天候不順や世界的な需要拡大等による原材料価格の上昇や、原油価格の動向等を背景として、幾つかの品目で価格上昇の動きが見られます。
また、今回の意識調査では、新型コロナウイルス感染拡大以降の消費者の衛生意識の変化等について調査を実施いたしました。これはお手元にお配りしているとおりでございますが、この結果を見ますと、別紙のとおり、全体の8割以上の方々が高い衛生意識を保っていることがうかがえました。また、新型コロナウイルス感染症対策として購入したことのあるものについて聞いたところ、マスクや手指のウイルス衛生対策用品が回答の多数を占め、次いで、物品のウイルス衛生対策用品、体温計、空間のウイルス衛生対策用品となっておりました。
さらに、新型コロナウイルスに関する消費者の意識調査として、消費者庁において、ウイルス衛生対策用品の広告宣伝に関して消費者1,000人を対象としたアンケート調査を実施したところ、ウイルス除去や除菌の効果に対する消費者の期待が大きいということが分かりました。
他方、このコロナ禍に便乗した、新型コロナウイルスの予防効果をうたう悪質な商品も見受けられます。このため、改めて、新型コロナウイルスの予防効果をうたう商品について注意喚起を行いたいと思います。消費者の方々におかれては、一般的な感染対策を心掛けつつ、このような注意喚起には御留意いただければと思っております。
三つ目は、地方創生SDGs国際フォーラム2022についてです。
令和4年1月14日に、内閣府及び地方創生SDGs官民連携プラットフォームが主催する地方創生SDGs国際フォーラムにおいて、消費者庁からも消費者志向経営の関係で関連イベントを行うこととなったのでお知らせいたします。お手元の2枚目を見ていただければと思いますが、「消費者志向経営×地方創生」をテーマに、地方創生につながる消費者志向経営の取組を発表していただき、ディスカッションをする予定です。現在、フォーラムへの参加受付が開始されており、来年1月7日までが申込締切りとなっております。地方公共団体及び民間企業の皆様を始め、多くの皆様に御参加いただければと思っております。
質疑応答
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問
NHKの秋山です。
物価モニターの意識調査の結果について伺います。幾つか興味深いデータが出てきたかと思うのですが、長官としてはこのデータの受け止めはいかがでしょうか。 -
答
実はこの調査を始めるときは、まだオミクロン株の話が余りないときでして、新型コロナウイルス感染対策に対してやや気持ちが緩まっているのではないかということもありまして、調査を企画したわけですが、結果として見ると、もともと衛生意識が高い方、それから、衛生意識がもともとはそこまで高くなかった方を含めて、自分の認識としては結構意識が非常に高まったままでいると、あるいは上がっているという方が多いというのは大変喜ばしいことだなとは思いました。一方で、もう一つの調査の方で、ウイルス除去ですとか、除菌ということに対して皆さんがどう受け止められるかということに関しては、どのウイルスとか書かれているわけではないにもかかわらず、新型コロナウイルスに非常に効果があると思われる方が結構いらっしゃるということは、少し驚きを持って受け止めさせていただいておりまして、こうしたことから、そういう商品を選んでいただく場合は、どういったものかについてきちんと確認をして購入していただければと思った次第です。
- 問 もう一点、物価モニターの原材料とかと、原油価格の高騰の影響ということですけれども、まだ影響は続く可能性はあり得ると思うのですが、今後どのように注視していきたいというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
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答
生活関連物資等に関しては、価格上昇幅が前月比で1%以上の品目が、ポテトチップス、食用油、洗濯用洗剤、冷凍コロッケと、こういったものがありまして、トレンドを見ますと、やはり食用油に関しては非常に価格が上がっている状態にあります。これは、いろいろな天候不順や世界的な需要拡大等による原材料価格の上昇とか、あるいは、原油価格の動向等を反映しているものなので、ある意味で言うとやむを得ない部分はあろうかと思っておりますけれども、引き続き注視をしていきたいと思っております。
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問
フリーの木村です。
先日の食品添加物の無添加表示の検討会で案が出てきて、大分内容がまとまってきたのかなという感じなのですが、これまでの議論といいますか、その表示案、ガイドライン案について、長官の受け止めといいますか、印象のようなものをお聞かせください。 -
答
関係の方々の御協力によって、無添加等の表示についてどういったものがあるのかということについて、整理がされてきたかなと思っておりますので、こういうことを基に、できるだけ早くまとめていきたいと思っております。
- 問 アフィリエイト広告の検討会で、初めて実態把握調査の一部が公表されたのですが、その中で、非常に気になったというか、印象に残ったのが、10社で全体の、定期購入などですね、あの苦情の。10社で全体の半数ほどの苦情を占めているというようなくだりがあったのですが、消費者庁としては、そういった特定の10社とか、そこはやっぱり率先して取り締まっていく方針というか、そういう考え方なのかどうかという点について、可能な範囲でお聞かせください。
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答
個別の取締りそのものに関しては、きちんとした証拠に基づいてやるということにつきます。検討会の感想としては、やはり悪質と言われている方が苦情のかなりの部分を占めている、一方で、ただ、残り10社以外の人も要は5割いるということであります。したがって、非常に悪質な事業者対策をどうしていくかということ、一般の広告主にも気を付けていただくこと、両方考えていく必要があるのではないかと思っておりまして、そういう観点から最終的な報告書についても取りまとめる必要があると思っておりまして、関係の方々と意見交換をさせていただいているということです。
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問
朝日新聞の前田です。
今のアフィリエイト広告の検討会に関連してなのですが、今年中にということだったのですけど、来年にちょっと延期になったということで、延期の背景と、今の実態調査でいうと、広告ということが分かれば、差し引いて、自分がそれを購入するかどうか検討する上で、冷静になるというか、参考にならないというふうに答えた人がすごく多かったということも、かなり前回の検討会で話題になっていましたけれども、このことについての受け止めを教えてください。 -
答
スケジュールに関して言えば、年内を目途に取りまとめると申し上げていたところですが、なお意見交換をしたり、整理をする時間を要した方がいい部分もございますので、来年1月28日に第6回を開催して、報告書の取りまとめを行いたいと思っております。
それから、今御指摘いただいた、アフィリエイト広告が広告である、要はお金をもらったものであるということと、そうではないものについて、非常に消費者の意識が違うということが明らかになりましたので、これについてどういったことができるのかということ、消費者が誤解、誤認をしないようなやり方としてどういうことがあるかについても、最終的な報告書に向けて整理をしていきたいと思っております。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
地方創生SDGsの国際フォーラムのことについてお聞きします。消費者庁主催ということで、「消費者志向経営×地方創生」と書かれた、ここの部分だけ消費者庁主催という感じを受けたのですけれども、ここで消費者志向経営の事例表彰等もあるのでしょうか。 -
答
去年も実はこういう形で、地方創生SDGs国際フォーラムの一部をお借りして、「消費者志向経営×地方創生」というのをやらせていただいたので、去年に引き続きそれをやらせていただくということであります。
御指摘いただいた消費者志向経営の表彰については、今審査中でございますので、来年の3月に表彰式をしたいと思っておりまして、この1月のイベントの中で表彰するといったことは考えておりません。 -
問
NHKの秋山です。
10万円給付の決定が決まって、また便乗してくる事例が増えるおそれもあるのではないかと。警察の方とかは緊張感を高めているという報道もあったかと思うのですけれども、消費者庁とか、政府として、何か消費者に注意喚起というのは、今何か考えていらっしゃったりするのでしょうか。 -
答
御指摘の件は還付金詐欺等のお話ではないかと思いますが、警察庁によりますと、今年の還付金詐欺の認知件数が前年同期比で約2.4倍になっているということであります。
還付金詐欺に関する消費生活相談ですが、今年4月から直近、昨日12月14日現在までで、およそ2,700件寄せられております。昨年度、要は令和2年度が通年で2,300件超の相談でございますので、要はまだ数か月を残している状態でもう昨年より多いという状況は非常に心配しているところです。
相談は御高齢の消費者から寄せられているものが多くて、内容は、市役所等の公的機関の職員が還付金手続のためにATMを操作するように連絡するとか、あるいは、「お金が返ってくるのでATMに」というもので、給付金というよりは、むしろ介護保険料、医療費とか、その関係の還付というのがどうも多いようではございますが、公的機関の職員がATMを操作するように連絡することは絶対にございません。相手にせずに、すぐに電話を切っていただきたいと思います。また、不審な連絡等を受けた場合は、是非、消費者ホットライン188に御相談いただきたいと思っています。
消費者庁としても、関係省庁と連携し、必要であれば、また改めて注意喚起も考えていきたいと思っております。 - 問 またワクチンの3回目接種の話題も出てきていて、一旦落ち着いたワクチン関連のトラブルとかについても、また懸念されるのではと思っているのですけれども、ワクチンのトラブル、ワクチン接種に関する消費者相談については、まだホットラインも継続中だと思うのですが、引き続き対策は続けていかれるということでしょうか。
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答
はい。一番始めにワクチンで心配したのは、いわゆるワクチン詐欺、有料であるとかですね。そのことに伴う情報を取るといったことが多いのではないかということで、ホットラインを設けさせていただいたところでありますが、結果的に見ると、今、皆さんワクチンに関しては無料で受けられるということも比較的周知されている状況でございますので、我々が初めに懸念していたようなことは余り起きずに、皆さんの周知が進んでいるという状況だと思います。3回目についても多分同じような状況ではあるとは思いますが、もしそういうような話があるのであれば、また気を付けて見ていきたいと思います。今のところは余りそういうものは来ていない状況にあると聞いております。