文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年11月10日(水) 14:00~14:19 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

私からは、デジタルツールを活用した食品表示実証調査についてです。消費者庁では、デジタルツールを活用した食品表示の可能性を検討するため、11月24日から首都圏2か所の小売店で実証事業を開始いたします。
現在、食品表示は容器包装上に行う必要があります。現状では多くの義務表示事項がありますが、多様化するニーズに即して、更なる情報提供を求める声もございます。一方で、表示事項が多くなり過ぎると、自分が必要とする事項が見づらくなるといった御指摘も頂いております。このニーズを両立すべく、令和2年度に試行的にデジタルツールを活用した食品表示の実証事業を行いましたが、令和3年度は、この実証における対象商品や期間を拡大するとともに、実証に用いるスマートフォンのアプリケーション機能を拡充して、より消費者の意向を深掘りできるようにすることを意図して実証を行うこととしております。
消費者庁としては、デジタル化社会に対応し、個々の消費者に必要な情報がより見やすく、分かりやすく届くように、食品表示のリアルとデジタルの融合に向けた検討を進めていきたいと考えております。詳細につきましては、別途、担当課の方がまた御説明の機会も設けさせていただきたいと思っております。

質疑応答

ニッポン消費者新聞の丸田です。
今の御発言なのですが、デジタルツールの活用の実証実験ということで、令和2年のあれは、冬にやったやつですよね、12月だったか。今回は、特定する場所とか、あるいは地域とか、前は徳島も入っておりましたが、それはもう決まっているのでしょうか。24日ということでしたが。

実証協力スーパーですが、今回は両方とも東京で予定をしております。イオンスタイル有明ガーデンと、それからイオンスタイル幕張新都心ということです。
昨年はコロナ禍でございましたので、徳島の方は、やる予定をしていたのですが、できなかったと思います。また、実証に当たっては、余りたくさんの人に来ていただくと問題だということがございましたので、非常に小規模に限定してやったというところがございましたので、今回はそういうことがない形でやれるのではないかと思っております。

読売新聞の松本と申します。
今の実証実験のところで、前回の実証実験から改善した点といいますか、機能が加わった点、具体的に教えていただければと思います。

詳細はまた事務方の方から御説明させていただきますけれども、前回令和2年度の場合、対象商品が7品目約1,800点となっておりましたが、今回は9万点に大幅に対象とする商品を増やします。また、実証期間、前回は10日間でございましたが、18日間に延長して本格的に実施すると、このように考えております。
また、中身の話も、前回の調査結果で、一部、例えば栄養成分表示の活用方法や食物アレルギー等、個人の特性に応じた情報提供のニーズがあるといったことが分かりましたので、アプリケーション機能を更に拡充する、より見やすくする、そういった食品表示にするとか、活用される食品表示についても少し広げていくとか、そういった改善もしておりますので、そういうことを合わせて本格的な実施をしたいと、このように思っております。

NHKの秋山です。
今のに関連してですが、アプリツールで、実際に店舗でピッって見るパターンと、あと、店舗に行く前に各事業者とか食品会社のホームページを見て買われる方とか、スーパーのチラシを見て買われる方とかもやっぱり多いと思うのですけれども、ネットの食品表示の調査なども継続的にされていると思いますが、それとの両立だったり、それとの兼ね合いというところでいうと、長官は、どのように進んでいくか、若しくは、どういうふうに融合していくことが良いと感じていらっしゃるのでしょうか。

前回の調査で分かったことは、消費者の方のニーズということもありますけれども、実施するに当たって、我が国の食品産業分野における食品に関するデータ管理がなかなか十分やられていないということ、それぞれの小売ごとにいろいろなデータの出し方がされていたりして共通化されていないがために、実はその実証をするに当たっても、なかなか困難があったということがあります。
このような課題については、実は今御指摘いただいたeコマースですとか、あるいは海外へいろいろな商品展開をするとか、そういったいろいろなことにも実は関わる問題ではないかと思っておりまして、この部分については、担当される農林水産省ともよく相談をしていって、そういう食品に関するデータ管理を業界全体でお取り組みいただくような方向について、是非議論を続けていきたいというふうには思っておりますが、今回のものに関して言いますと、むしろリアルの店舗において、今の容器包装でやられている食品表示を、より一層分かりやすく皆さんが理解される、自分なりに必要な事項がよく分かるだとか、あるいは、この成分表示というのはどういう意味があるんだろうかということについて解説されるとか、そういった、正にリアルとデジタルが融合するような形のものを目指しております。これは実は消費者委員会でも、令和元年に今後検討していくべきであると御指摘いただいていることにもお答えするということになるのではないかと思っております。

フリーの木村です。
食品表示関連なのですが、以前、プラントベース食品の案内を出されていましたが、先日、農水省の方で大豆ミート食品のJAS規格案が公表されていて、それを受けて消費者庁の方で何か改めて案内を出す予定があるのかどうかということと、JAS化の関連で案内する内容を何か改める点があるのかどうか、その辺のことが分かれば教えてください。

大豆ミート等の関係については、むしろ景品表示法上の問題として問題にならないか、要は通常の肉とは違うので、それについての誤解を招かないような形であればいいですよということで、大豆ミート等、そういうプラントベースのものをお売りになられる方が安心して表示ができるようにということで、再度整理をさせていただいて公表したと、こういった性格のものだと思います。
今御指摘いただいたJASの話については、まだ詳細を私の方で把握しておりませんので、またよく勉強してお答えをしたいと思います。

NHKの秋山です。
今日、鳥インフルが秋田の方で報告があったということで、多分、既に農水省の方とかでは対応されていると思うのですが、食品安全というところでは、消費者庁としてはどのような動きというか、情報発信されていく御予定でしょうか。

鳥インフルに関しては、消費者の方が鳥インフルの発生に当たって食べて大丈夫なのかといったような御心配をされる向きがあろうかと思いますが、それについては、鳥の肉や卵を食べることによってヒトに感染する可能性はないといったことを、ウェブサイトやSNSを通じて正確な情報提供をしていくということが消費者庁の役割だと思っておりまして、そういったことをリスクコミュニケーションの観点からしっかりとやっていきたいと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
デジタル庁のことについて、11月からデジタル社会の構想会議が始まっていると。テーマ別に結構幅広くやっていらっしゃるのですが、その中の一つが、誰一人取り残さないというところ、国民参加ということが出ておりました。障害者のデジタルのツールであるとか、システムの向上ということが中心だと思っていたのですが、そうではなくて、困り事への対応であるとかということが含まれていました。
消費者庁としては、先ほどの食品表示のデジタルツールの活用による提案ということもあるし、あと、SNS、LINEを使った相談業務、事業、実証もされているということで、デジタルについて、デジタル庁が取り組まれているこういうものについての消費者庁としてのプッシュといいますか、そういうことは余りお考えにはならないでしょうか。

デジタル庁かどうかということは別にして、デジタルに関して言いますと、今御指摘いただいたように誰一人取り残さないということでありますが、そもそもデジタルリテラシーが非常に低くて、よく分からないというか、使えないという人に対してどう対応するかという問題と、それから、デジタルを使ったときに起こる消費者問題にどう対応するかという、二つあると思っております。
前者の話については、実は総務省が中心になって、そういったデジタルの使い方をきちんと教えるといった活動をされていると承知しております。
私どもの方は、むしろそういうデジタルで起こりやすい消費者被害についてきちんと整理をして、こういったことについては気を付ける必要がある、ということについて発信する必要があろうかと思っておりますので、こういったことを引き続きしっかりとやっていきたいと思っております。その中には、当然、若者に対してのものもあれば、高齢者に対してのものもありますので、これは消費者教育全体の中でよく考えて対応していきたいと思っております。

毎日の林です。
これまでいろいろ啓発されてこられたかと思うのですが、コロナワクチンの3回目接種が12月から始まるということで、自分の抗体がどれくらいあるのかというのをはかりたいというニーズが割と最近増えているようで、町なかの店舗型だとか、引き続きネット通販とかもキットを販売されているようなのですが、消費者が変な業者に当たらないために気を付けるべきポイントみたいなのがあれば、改めて教えていただけますでしょうか。

抗原検査自体に関しては、以前、私どもの方も、厚労省と一緒にチラシを作って出させていただいたかと思いますけれども、きちんとした品質が確保されているものをお選びいただくということがまず大事だと思っておりまして、抗原検査について言えば、研究用ではなくて医薬品という形で売られているかどうかというのをきちんと見ていただいて御判断いただくということだと思います。
今御指摘いただいたのは、恐らく抗体検査等をお店でやられているような話をおっしゃっているのだと思いますが、それについては申し訳ございませんが私どもの方は直に情報を持っていないので、また厚労省等にお尋ねをしながら、必要なことがあればやっていきたいと思っております。

NHKの秋山です。
昨日の表示対策課の処分の件で少し長官にもお考えを伺いたいと思っているのですけれども、サプリ販売の2社に処分は出たかと思うのですが、違反となった広告が、人気のSNSを使っていたという点と、定義付けしていないのでなかなか難しいですけれども、広告とは言わずに宣伝行為を行っていたというところで、いわゆるステマ的なものというような理解をしてはいるのですけれども、ステマを広告とするのかというのは、なかなかまだまだ判断は難しい点ではあるとは思うのですが、こういった点で消費者を欺くような状況というのは幾つかトラブルとして既に起きている状況だと思うので、昨日の処分というのはかなり大きな一つになったなというふうに感じているのですけれども、こういうトラブルが現状あるというところの御認識と、どういった課題があると感じていらっしゃるのかというのを教えていただけないでしょうか。

個別の事案については担当課の方が御説明をしていると思いますので、私からは差し控えさせていただきますが、一般的な話として、インターネット販売というのが御案内のとおり非常に増えている状況でございまして、その中において、取り分け広告、表示の問題が大きくなっているということは御指摘のとおりだと思います。その典型的なものとして、既にアフィリエイト広告については検討会をしているところではございますが、広告主の姿がなかなか見えにくい形で、表示なり、広告なりというのが非常にやられやすい土壌がどうしてもデジタルの場合はあるという特徴があろうかと思います。
当方としては、当然その広告主が責任を持ってやっていただくということを基本原則にしながら、悪質事業者に対してはきちんと対応していきたいと思っております。なお、制度的ないろいろな整理が必要であれば、アフィリエイトはまずやらせていただきたいと思っておりますが、その他についても、また検討を重ねていきたいと思っております。

フリーの木村です。
今の秋山さんの質問の件なのですが、以前の特商法のLIBELLAの事件と同じように、表に出てこない、元締めではないのですけれども、大きい企業があって、その元の企業が作った会社が表で販売しているケースというのが、処分で続いているのですけれども、今回はアフィリエイト広告を使った、そうしたケースだったかと思うのですが、アフィリエイト広告の検討会の方での議論に、こうした事件の対応も検討すべきかなと思うのですけれども、その辺の今後の影響とかについて、どのような感じと考えてよろしいでしょうか。

アフィリエイト広告に関しては、今は現状どういった状況かについて、個別に事業者なり、団体なりからヒアリングをさせていただいております。
全てのアフィリエイト広告が悪いというわけではなくて、今御指摘いただいた一部の極めて悪質な方々が業界全体に非常に悪い影響を与えているというところはあるのではないかと思っておりますが、そういったことも踏まえた上で、どういった仕組みにしていったらいいかを今考えております。
アフィリエイト広告自体は、年内を目途として検討会の取りまとめはしたいと思っておりますので、もうしばらくお待ちいただければと思っております。