伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年10月13日(水) 14:00~14:13 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)
発言要旨
今日、私からは二つ御報告をしたいと思います。
一つ目は、公益通報者保護法に基づく指針の解説の公表についてです。
消費者庁は、本年8月20日に公表した公益通報者保護法に基づく指針の解説を本日公表いたしました。指針の解説は、指針に基づいて体制整備を行うに当たり、参考となる考え方や具体的取組例を示しているほか、更に進んだ取組についても併せて記載しております。改正法や指針に沿って事業者がとるべき措置の具体的な内容は、事業者の規模等によって異なるため、個々の事業者が迷いなく体制整備等の準備が行われるよう用意したものです。今後とも、来年6月の改正法の円滑な施行に向け、説明会やガイドラインの策定など、効果的な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
二つ目は、新型コロナウイルスの抗原検査キットについてです。
お手元にチラシをお配りさせていただいております。新型コロナウイルス感染症の抗原検査キットをより入手しやすくし、家庭等においてセルフチェックとして自ら検査を実施できるようにすることで、より確実な医療機関への受診につなげ、感染拡大防止を図る目的で、これまで医療機関等での使用に限られていた15の「医療用」抗原検査キットについて、令和3年9月27日から、特例的に薬局で一般消費者向けの販売が認められることとなりました。
薬局では、「研究用」と称する抗原検査キットも販売されておりますが、今回販売が可能となった「体外診断用医薬品」は、「医療用」として精度が国により確認されたものとなります。「研究用」と称する抗原検査キットについては、あたかも国が承認したものであるかのような表示をしていた事業者に対し、景品表示法に基づく行政指導がされた例もございます。
今般、「医療用」と「研究用」の見分け方について、厚生労働省と連名で、ホームページやSNSを通じて一般消費者に注意を呼び掛けるものです。なお、「体外診断用医薬品」によるセルフチェックは、飽くまでセルフチェックであり診断ではないことから、新型コロナウイルスの感染が疑われる場合には、受診相談センター又は医療機関に相談するようお願いいたします。
質疑応答
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問
NHKの秋山です。
冒頭にありました抗原検査キットの件なのですが、これの情報提供先などは、具体的には何か検討されているのかというところと、薬剤師に基本、相談して入手するものだというふうに理解しているのですが、よく分からなければ、まずは店頭で薬剤師の方に相談するというのが、まずは一つ、手ではあるのでしょうか。 -
答
御指摘のとおりだと思います。「体外診断用医薬品」と書かれているかどうか、そうではないものには「研究用」と書かれておりますので、「体外診断用医薬品」と書かれているものをお選びいただきたいと思っております。また、御指摘のとおり、そういった薬剤師等のいるところで確認をしていただくということが大事ではないかなと思います。
このチラシでございますが、関係のところ、実は抗原検査キット等については消費生活相談も結構来ている例もございますので、消費生活センターや、あるいは厚労省の関係もございますので、こういった関係先にもできるだけ幅広く配りたいと思いますが、取り分け消費者の方に、具体的にこれを御覧くださいということで、お知らせできるように努めたいと思います。 - 問 今、長官がおっしゃったように、消センにも相談が来ているということですが、特例が認められてから何か具体的に増えている相談だったりトラブルというのはあったりしますか。
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答
特例はまだ、この間認められたところでして、そうではなくて、もともと「研究用」とされている抗原検査キットについての消費生活相談が、2020年の11月から少なくとも80件くらいPIO-NETの方に来ておりまして、例えば、届かないといった問題のほか、それで検査して陰性だったけど実際は陽性だったとか、あるいは、実は不良品だった、要は必要なものが入っていなかった、部品が足りなかったといったようなことなどが、今までの「研究用」と称されるものを買われた方等からは来ているという状況がございます。
そういうこともございますので、「研究用」と、今回の「体外診断用医薬品」が紛れると困りますので、消費生活センター等の御担当の方にも、こういうことですよということをお伝えする必要があるかなと思っております。 -
問
フリーの木村です。
ちょっと確認なのですけれども、その見分け方ですが、「研究用」の場合は必ず「研究用」とパッケージに入っているのですか。 -
答
通常、入っています。
- 問 あと、そもそも本質的なところで、その性能というのは具体的に何か違いとか、その辺分かっているところとか何かありますか。
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答
国が承認したものについては、PCR検査法よりは精度が低いことは低いのですが、精度等について一応確認が国の方でされているということが違っておりまして、そうではないものについては雑品ということになりますので、精度については保証されていないという形になります。
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問
NHKの秋山です。
公益の話なのですが、法律が改正されて指針ができて解説がということで、3部作が整ったというふうな印象だとは思うのですが、規模だったりで、内部体制だったりによっては、まだまだ体制が整っていないところも十分あると思うのですけれども、残り1年切っている中で、この解説を基にスピードアップしてもらいたいというような思いなのか、これを参考にまずは確実な体制整備を進めていってほしいというふうな思いなのか、今回、この解説が公表されたこのタイミングというのは、どういうふうに捉えればよろしいのでしょうか。 -
答
300人超ということで、今回体制整備の義務付けということになっております。そのようなところについては一通りやられているところが多いかとは思いますけれども、今回、取り分け、新しく刑事罰の対象になる守秘のところとか、新たに加わった部分もございますので、この指針を参考に、もう一回自らの体制のところをチェックしていただいて、足らざるところについて、きちんと整備をしていただきたいという趣旨です。
できるだけ早いうちに、私どもの主催で、民間事業者、行政機関等への説明会も順次やりたいと思っておりますので、そういった確実な実施、特に義務付けになる部分についてはやっていただきたいと、このように思っています。
なお、ほかにも、国の行政機関とか地方公共団体向けのガイドラインについても、今回の法律に合わせた格好で今後改定をしていって、来年6月の改正法の施行にしっかりと対応できるようにしていきたいと思っております。 - 問 300人いっていないところは義務ではないかとは思うのですけれども、とはいえ、やはり公益通報の意義からすると、小さい規模であっても体制整備を促したり、体制整備をつくっていくことというのは大切だと思うのですが、そういった企業や、いわゆる労働者にも、こういうものを参考として一度触れてもらいたいというような思いはあったりされるのでしょうか。
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答
御質問は二つあったと思いますが、中小企業についても、この先の義務付けの方の説明会の後、こういった方々に対するモデル内規といったようなものも、できれば作って公表したいと思っております。
それから、個々の労働者の方にどのようにお伝えするかについては、相当、報道の方に御協力いただく必要もあろうかと思います。こういう制度ができているということで、安心して公益通報をしていただき、そのことによって早期に不正が是正されるということが、結果的に見ると消費者にとっても大変大切なことだと思っておりますので、一般の方々にも、こういった制度ができるんだということについて周知をしていきたいと思っておりますので、御協力を是非お願いしたいと思っております。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
先週、国民生活センターが、サブスクリプションに関する被害、相談がすごく多いということで注意喚起をされました。消費者が注意すべきことは多いと思うのですけれども、消費者庁としてはどういう対応をされるか、あればお聞きしたいと思います。
もう一つが、明日14日に日本弁護士連合会の人権擁護大会があって、その分科会で高齢者の被害防止、高齢者被害ということを一つのテーマとして、消費者庁からも御担当の課が説明、紹介されるというふうに聞いております。
それで、消費者安全確保地域協議会、これの働き掛けをずっとされていらっしゃったのですけれども、これについてはコロナもあってなかなか動けなかったということもあると思うのですが、これについて消費者庁としては、これからまずどういう働き掛けをお考えなのかということをお聞きしたいと思います。 -
答
まず、サブスクについては、その契約がどういった性格のものであるかということを皆さんちゃんと認識をした上で、それから、解約の仕方などについてもしっかりと確認した上でやっていただく必要があろうかと思います。私どもの方からも注意喚起をしたことはあろうかと思いますけれども、国センのを踏まえた上で、更にやるべきことがあるかどうかを考えたいと思います。
二つ目の高齢者の話でございますが、こういうコロナ禍において、高齢者の孤独・孤立というのは大変大きな問題だと思っております。今御指摘いただいたように、見守りネットワークというのが、そういう意味ではとても大事だと思っておりまして、高齢者・障がい者の見守りネットワークに関する会議も開催される予定ではありますけれども、なかなかコロナ禍でできなかったキャラバンについても、私どものブロック会議などと併せて、是非また再開して、オンラインだとなかなか直に首長さんなどにお会いする機会がなかったものですから、そういうことをできるだけ積極的に始めたいと思っております。
いずれにしろこの問題というのは、厚生労働省、あるいは福祉部局、それから、さらに言えば、防犯とか防災とか、ほかの地域でのネットワークをおつくりになられているところとうまく連携していく必要もあろうかと思いますので、そういったところともしっかり連携して対応していく必要があろうかと思っております。