文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年9月15日(水) 14:30~14:45 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

私からは二つ話題提供させていただきます。
一つ目は、令和3年9月物価モニター調査結果についてです。
本日、令和3年9月の物価モニター調査結果を公表いたしました。9月1日が「防災の日」ということもあり、今回の意識調査では、災害を想定した食品の備蓄について調査を実施いたしました。
まず、食品の備蓄に対する考え方について尋ねたところ、約8割のモニターが何かしらの備蓄をしているという回答でありました。また、全体で約7割弱のモニターが、備蓄した食品を日常の食事としても消費すると回答しており、災害時の備えとしてだけでなく、日常使いも想定して食品をストックしておく人が多いという結果となりました。
さらに、備蓄している食品を有効活用できていない理由、あるいは有効活用するに当たって課題と感じている点を尋ねたところ、普段備蓄していない人は、「備蓄している食品の出し入れや買い足しが煩わしい」との回答が半数弱と最も多かった一方で、日常使いに組み入れている人は約3分の1に減少し、日常使いが習慣化すればこうした煩わしさの負担感も軽くなるということがうかがわれました。
ふだん食べている食品を少し多めに買い置きして、食べたらその分を買い足していく、いわゆるローリング・ストック法は、賞味期限切れで廃棄してしまう食品ロスを防ぐことにもなります。消費者の皆さんにおかれても、備蓄した食品の日常使いを習慣化するなど、適切に来るべき大規模災害に備えていただきたいと思っております。なお、お手元に、調査結果及びローリング・ストック法について解説したものを参考までに配付しておりますので、御覧いただければと思います。
二つ目は、敬老の日を迎えるに当たっての高齢者向けの注意喚起です。
来週20日の敬老の日を迎えるに当たり、特に高齢者に向けて注意喚起を行います。先日の国民生活センターの発表によると、昨年度に寄せられた60歳以上の消費者からの相談は全体の約4割を占め、定期購入に関する相談は60歳代以上の全ての年代で過去最高、通信販売に関する相談は70歳代及び80歳以上で過去最高でありました。また、高齢になるにつれ、電話勧誘販売のほか、訪問販売・訪問購入の相談の割合が高くなるといった特徴があります。
お手元にチラシをお配りしておりますが、訪問購入による住宅の売却や、その他資産の管理に関する契約トラブルは、高齢者の今後の生活に著しい支障を及ぼす恐れもあるので、くれぐれも慎重になっていただきたいと思います。
住宅の売却、資産の管理に関する話があった場合は、自分の意見をはっきり伝える、不要な話ははっきり断る、内容を十分に理解しないまま契約をしない、すぐに契約せず周りの人に相談する、といったことに御留意いただき、大きなトラブルに巻き込まれないようにしていただきたいと思います。不審・不安に思ったら、一人で悩まず、消費者ホットライン188に御相談いただければと思っております。

質疑応答

読売新聞の松本と申します。
冒頭にありました、9月の物価モニター調査結果にあります意識調査結果のところで、「備蓄用食品の種類が少ない」という回答が20%ほどありますが、種類が少ないというのは、アルファ米とか、缶詰とか、そういうものしかないのではないかと思っていらっしゃる方も多いということなのでしょうか。

備蓄用食品と通常の食品を恐らく分けてお考えになられて、備蓄用と称されているものの種類が少ないという意味でおっしゃっているのではないかと思います。

資料「備蓄のすすめ」の「なにを備える?」というところに、かなりたくさん実は備蓄食品はありますということで、種類も明示されているかと思いますが、こういった呼び掛けですとか、実は備蓄用食品ってこういうふうにたくさんありますよ、というような発信などというのは、今後もされていく予定はありますでしょうか。

今日のもそうなのですけど、今、御指摘のように、備蓄用食品を限定して特別なものとして考えるのか、あるいは、普段使いの中でやや長めのものを買っていって、使ったらまた買い足していく、というやり方があろうかと思います。御指摘いただいたように、備蓄用食品というふうに限定した考え方をすると、なかなか種類も少ないとか、最近はちょっと味もおいしくなっていますけれども、必ずしも自分の好きなものがないとか、そういった問題もあろうかと思いますが、日々の生活の中でやられるようなやり方を考えれば、比較的特別視しないで備蓄ができるということもあるのではないかと思いますので、これは食品ロス削減の基本方針の中でも、ローリング・ストック法については言っておりますけれども、防災の備蓄という観点でも有効だというふうには思っておりますので、こういったやり方もあるということを、報道の方からも、是非、生活者、消費者の方にお伝えいただければと思っております。

NHKの秋山です。
冒頭のもう一つの件で、敬老の日に向けてということだと思うのですが、国センの発表のときもあったように、定期購入とかもありますけれども、やはり通信販売が全ての世代においても欠かすことのない生活インフラになったということの、ある意味で証明になったようなデータだなというふうに個人的には感じているのですが、一方で、デジタルデバイドというか、デジタルに余り慣れていらっしゃらない高齢者が一定数いるというのも事実だと思います。
この高齢者とネットに関する使い方みたいなものの情報発信だとか、又は新しい消費者教育とか、啓発ですかね、そういったことの必要性としては、長官は今どんなふうに感じていらっしゃいますか。

まず、デジタルデバイドの問題については、総務省でもそういった、そもそもそのリテラシーが低い人に関しての支援を今進められているところだと思いますので、私どもの方としても連携していきたいと思っております。
それから、通信販売で書かれているものが分かりにくい、購入に当たっても、定期購入などで典型的にあったように、書いてはあるかもしれないけれども、探さないとよく分からないところにしか書いていないとか、こういった問題があります。これについては、この間の特商法で、もう少し明確にしていった方がいいだろうということでガイドラインも変えさせていただいておりますが、さらに、今回の法改正に合わせた形で整理も必要な部分もあろうかと思っています。
まずは、そういう通信販売における表示の分かりやすさというものも、きちんとしていく必要があろうというふうに思います。
その上で、御指摘のように、最後は御本人が判断するに当たって十分気を付けていく必要があろうかと思います。消費者教育については、成年年齢の引下げの話がありましたので、特に高校を出てからの18歳、19歳の話を「社会への扉」を中心にしてやっていたところですけれども、消費者教育推進会議の中でも、よりもう少し若い世代とか、それからもう少し上の世代、要は全世代型の消費者教育が必要ではないかというふうに御指摘いただいているところです。それぞれの世代によって恐らく伝え方も違うのだろうと思いますので、そういった伝え方についても、これは消費者委員会の方でも御指摘いただいているかと思いますけれども、どういうやり方がいいかよく考えて、それぞれの人に必要な情報が行くように考えていくと、こういうことが必要なのではないかと思っております。

少し細かい点で恐縮なのですけれども、PIO-NETの年齢の区分が何十代の区分でしかないということで、今は一般的に行政の高齢者というと65歳以上という線引きがあるかと思いますけれども、余り厳密に65、60とかっていうところは、消費者庁としては今後何か検討すべき課題だというようなことは今考えていらっしゃったりするのでしょうか。

現在、そのPIO-NETの改革を進めているところです。今のシステムの中でどれくらいできるかということはありますが、新しいシステムを考えるに当たっては、よりデータがいろいろ分析しやすくなるようなことも考えたいと思っていて、今だと結構人手に頼って分析をしなくてはいけない部分があるものですから、そういった分析もできるようにする中で、御指摘のように、もう少し細かいセグメントに分けた議論もできるように是非していきたいというふうに思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
敬老の日に向けてということですが、このチラシはどういう形で配布されているのか、ネットでだけではなくて、高齢者施設であるとか、何かそういうところがあればお聞きしたいと思います。
それともう1点が、先ほど宣言されました「わたしのサステナブルファッション宣言」リレーということについて、長官としても一言お願いしたいと思います。

まず、このチラシですが、地方公共団体、それから消費生活センターはもちろんですけれども、あとは見守りネットワークの方にも流すことになりますので、そうしますと、地域の福祉だとか、そういった高齢者自体を見守る活動をされている地域包括ケアの関係者だとか、そういったところにも伝わるのではないかと思っております。
それから、先ほど大臣がサステナブルファッション宣言をしていただいたところですけれども、選ぶところと、それから使うところと、それから出口、どうやっていくかということの中で、18のヒントというのを消費者庁としても出させていただいたところですが、私自身は個人的には結構リサイクルのものだとか、あるいは古着とか意外と好きなので、そういったものも含めて、素材もそうですけれど、服の物語を着るみたいなことを意識したいです。サステナブルファッションというと何か我慢するという感じになるのではなくて、是非そういうサステナブルファッションを楽しむというような要素もよく考えていくことが大事ではないかなと思っております。
もちろん、環境の側面とか、人権の問題とか、そういったことも大事ですが、併せて、是非サステナブルファッション自体を私自身も楽しむことができるといいなと思っております。

NHKの秋山です。
今のに関連してですが、例えばクールビズですとか、環境省が旗振り役で、まずは職員から、霞が関から変えていこうというようなムーブメントがあったと思うのですけれども、例えばなのですが、消費者庁の職員の皆さんに、サステナブルファッションの日みたいなのを1日でも設けて、皆さんで少し工夫するみたいなアイデアもいかがかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

サステナブルファッション宣言自体は、リレー方式とは言っていますけれども、自主宣言もしようと思っておりまして、消費者庁の職員でもできれば積極的に宣言してはどうかと思いますので、呼び掛けをしてみたいと思います。

別件ですが、食品関連の動きで、本日、ゲノム編集の第1号として承認されたトマト、GABAが多く含まれているトマトの販売が始まったという報道があったのですが、改めて消費者に、このゲノム編集食品についての情報発信だったり、認知だったりするところで、消費者庁としての取組だったり、現在の認識みたいなことを確認させていただけないでしょうか。

ゲノム編集トマトに関しては報道の方で承知しております。ゲノム編集技術応用食品であるかどうかということを知りたいという消費者ニーズというのがあるということは承知しております。消費者庁においては、厚生労働省に届出されたゲノム編集技術応用食品については、事業者に対して、その積極的な表示等をしていただけるように求めているところです。
この報道がありましたトマトに関しては、ゲノム編集食品であるということを明確に御説明された上で販売されるというふうに聞いております。ほかに追随するものが今後出てくるであろうと思いますので、そういったものについても、そういった取組を強く求めていきたいと思っております。