文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年9月8日(水) 14:00~14:08 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

私からは一つ、消費者契約に関する検討会の取りまとめについて御報告をいたします。
昨日、山本敬三京都大学大学院教授を座長とする消費者契約に関する検討会が開催され、取りまとめがなされましたので、御報告をさせていただきます。取りまとめの詳細については、今、最終的な文言調整をしているため、今週中をめどに公表予定の報告書を御覧いただきたいと思いますが、消費者が安全・安心に生活していくためのセーフティネットを整備するという視点から、消費者の様々な脆弱性に対応した取消権の考え方や、解約時の違約金について事業者の説明を促進する仕組みなどの論点において、消費者契約法の考え方を更に拡充・発展させた内容となっております。
検討会の報告書を踏まえて、取消権の更なる充実や不当条項の規制の在り方などについて、関係各所の御意見などを幅広く伺いながら、次期通常国会を見据えて法案化に向けた作業を進めてまいりたいと考えております。

質疑応答

NHKの秋山です。
冒頭、御発言があった消契法の取りまとめの件なのですが、1年9か月という長い期間で、同時に設立された取引デジプラ法の関連の検討会と、あと特商法の検討会も、かなり議論の幅も広く、精力的な議論がなされたという印象を受けているのですけれども、長きにわたって検討されてきて、取りまとまったことに対して、長官はどのように感じていらっしゃいますでしょうか。

御指摘のとおり、令和元年の12月から昨日まで、23回にわたって御議論をしていただきました。主には二つあると思います。
一つは、平成30年の改正時にいろいろな宿題を頂いておりまして、これに関するもの。それから、直近の消費者契約を取り巻く環境の変化の中で、セーフティネットの整備の必要性もあるというのがもう一つ。この二つを念頭に置きながら議論がされたというふうに思っています。
だから、始めのところでは、恐らく改正時の附帯決議等を念頭に置きながら、また直近ですと、更に最近の話も含めてということになったかと思います。非常に幅広い議論をしていただいたところでありまして、座長もおっしゃっていただいていましたけれども、消費者契約法の規律が過少なものであっても、過剰なものであってもいけないという議論の枠組みを共有できたと、こうおっしゃったんですが、一方で、委員においてある程度気持ちが一致したものと、ややいろいろな議論があったものもあり、いろいろどういう点がということについて議論を尽くしていただいたんだろうというふうに思っております。
まだ報告書が取りまとまった状況でして、これからあと、私ども、法制化に向けた作業もしていきながら、具体的な、もうちょっと詳細を詰めていく必要があろうかというふうに思っておりますので、むしろこれからがスタートだなという思いを持っております。

もう1点、議論の中でもあったかと思うのですが、一方で成年年齢の引下げが来年に控えていて、そこまでにはもちろん改正が決まることはないとは思うのですけれども、やはり成年年齢の引下げが4月から始まるということも含めて、この消契法の改正の重要性というのは、長官はどのように感じていらっしゃるのでしょうか。

もちろん、成年年齢の引下げ、要は若年の方々に関しても、当然、脆弱な消費者の類型の一つではあるというふうに思っていますが、もともとその平成30年の改正時も、別に成年年齢というか、若者だけではなくて、より幅広い観点から脆弱な消費者というのがいるのではないかということで、検討をするようにというお話だったかと思っておりますので、これに限らず、もちろん今の若い人も含めて、対象にしたものになるように考えていきたいと思っております。

読売新聞の松本と申します。
私も冒頭の契約法のところで、先ほど長官が次期通常国会を見据えてというお話がありましたが、今後、法制化を進めるに当たって、課題と感じていらっしゃる点がありましたらお願いします。

考え方の整理をしていただいたということですので、まだ条文化に当たってはいろいろな作業を当然していかなくてはいけないと思っておりますので、そこはしっかり具体化に向けてやっていきたいと思っています。あわせて、その書き方によっては、当然この報告書を御覧いただくと、一方でこういう意見もあったというような意見もございますので、そういった関係者の方々と十分意見交換もさせていただかなくてはいけないと思っております。

NHKの秋山です。
昨日、報告書取りまとめと併せて、消費者委員会が新しい次期の第7次の体制になられて、あと委員長も代わられてということかと思うのですけれども、消費者行政の監視役としての消費者委員会と、推進していくための消費者庁、というような形で、両輪で、ほかにもプレーヤーはたくさんいますけれども、協力しつつお互い見合いつつというような関係性が重要かと思うのですけど、新しい第7次になったことに関して、長官はどのように感じていらっしゃいますでしょうか。

昨日、新しいメンバーでの消費者委員会があったということは承知しているのですが、オンラインだったものですから、私どもの方も、新しい委員長なり、委員の方と御挨拶もきちんとできていない状態なので、今後直接お話しできる機会があれば、またじっくりお話をお伺いしたいなと思っておりますが、御指摘のとおり、消費者委員会の役割、監視をしていただいた上でいろいろ御意見を頂く立場の消費者庁、あと国民生活センターですね、みんなで協力しながら消費者行政を進める必要はあろうかと思っています。
後藤委員長の会見も、お伺いすると、デジタル化とかコロナ禍での消費者の脆弱性といったものを始めとして、私どもの持っている問題認識と共通の部分が多いなと思っておりますので、しっかりと意見交換もさせていただいて、対応させていただきたいと思っております。