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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年8月25日(水) 14:00~14:22 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

本日は二つ注意喚起をさせていただきます。
一つ目は、携帯発電機等に関する事故の注意喚起についてです。
今年の夏も、大雨や台風の被害が出ておりまして、台風が多く発生するこの時期、停電時に携帯発電機やポータブル電源を使用することが予想されます。既に、携帯発電機使用中の一酸化炭素中毒による死亡例や、ポータブル電源による火災事故が発生しております。このため、今般、注意を呼び掛けるものです。
お手元に資料を配らせていただいておりますが、主な注意喚起のポイントとしては、携帯発電機は、屋内では絶対に使用しない。ポータブル電源は、製造・販売元がはっきりしている製品を選び、回収・リサイクルに対応しているか確認をする。それから、使用中の感電に注意するといったことなどが挙げられます。詳細は担当の消費者安全課にお尋ねいただければと思っております。
二つ目は、子どものビタミンDを含む加工食品の摂取に関する注意喚起です。お手元のチラシなどを御覧いただければと思っております。
ビタミンやミネラルは大切な栄養素であり、厚生労働省において、これらの栄養素の摂取量の基準として、「日本人の食事摂取基準」が定められております。未成年者のビタミンDの摂取について専門家から懸念が示されたことから、消費者庁において実態調査を実施しておりましたが、本日、その結果が取りまとまったことから、公表いたします。
この調査の内容については、お手元の2枚目に概要などを書かせていただいて、3枚目により詳細なものがありますけれども、18歳未満の人たちにWebアンケートを行っておりまして、まず一つ目が、18歳未満の人の約半数がビタミンDを含む加工食品を摂取していたと。二つ目が、加工食品からのビタミンD摂取量としては、サプリメント類が最も多かったと。三つ目が、ビタミンDを含む加工食品を摂取する者のうち約1%、この調査の1%ですから47名になりましたが、「日本人の食事摂取基準2020年版」で定めている耐容上限量を超えていた、要は摂り過ぎという状態にあったということです。
ビタミンD等の一部の栄養素については、摂り過ぎにより健康への悪影響が生じる可能性があります。ビタミンD等の栄養成分を含むサプリメント形状の食品を子どもに摂取させる場合には、基本的に成人向けの配合となっていることを踏まえ、摂り過ぎにならないよう、栄養成分量を確認することをお願いしたいと思います。これは、お手元のチラシの方に用意をしておりますけれども、体に必要な栄養成分量は性別や年齢によって大きく異なっておりまして、取り分け、未成年者、特に子どもについては、かなり量が成人と違うという状況になっております。
なお、調査結果を踏まえまして、食品関連事業者に対しては、ビタミンD等の栄養成分を含むサプリメント形状の食品について、未成年者の当該栄養成分の摂り過ぎを防止する観点から、十分に情報提供するよう、本日、通知を発出いたしました。特に、子どもなどの栄養摂取はサプリメント形状の食品に頼ることなく、主食、主菜、副菜のそろったバランスの良い食事が基本であることを改めて申し上げたいと思います。

質疑応答

朝日新聞の杉浦です。
サプリメント形状の食品というのもたくさんあるかと思うのですが、ビタミンDに絞られた理由というのはあるのでしょうか。

ビタミンDについては、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」の改定を2020年版でされまして、そのときに目安量が引き上げられたことに伴いまして、私どもの方の関係の専門家の方から、未成年者が摂り過ぎるんではないかという懸念が示されたことを踏まえてやったということであります。

厚労省が去年引き上げたというのは、要はもっと摂りましょうっていう話ですか。

もっと摂っても大丈夫ということです。

そういうふうに言ったことによって、それを知った消費者というか、一般の人が、もっと摂らなきゃいけない、なんて思うことによって、サプリメントとかで補おうとする傾向が強くなるんじゃないかと、こういう心配ということですか。

多分専門家の方はそういう心配をされて、特にこれが大人向けということを念頭に量が出されているものですから、それを知らないで子どもが摂ると良くないんじゃないかという御心配をされたということです。

フリーの木村です。
ビタミンDについてですが、今回の調査のその1%がULを超えていたということで、その実態についてどのように受け止めているかというところを伺います。

ビタミンD、ここで今申し上げたとおり、1%って結構摂り過ぎている人がいるんだと、ある意味で言うと驚きを持って受け止めさせていただいたところです。そうなりますと、この調査結果の公表だけではなくて、こういった形で注意喚起が必要ではないかということでやらせていただいております。
またあわせて、消費者に対する注意喚起だけではなくて、今のそのサプリメント等々について、これは大人向けですというふうに書かれているわけでは必ずしもないものもあるものですから、それについて消費者が間違うことがないように、丁寧な情報提供をお願いしたいというお願いをするということです。

恐らくコロナが背景にあるのかなと思うのですが、そのビタミンD関係の宣伝を見ていると、何かやっぱり免疫にアプローチしたような広告が多くて、それも背景にあるのかなと思うのですが、その辺の分析はどうでしょうか。

調査を始めたときは、特段コロナがあるからということではないのですが、結果的に見ると、外出の機会が減るということもあり、ビタミンDに関しては当然紫外線を浴びるというのが非常に有用だということになりますので、家の中だけにいるので、子どもに対しても、場合によったらこういう形で補った方がいいんじゃないかと思われる方がいるってことは推測はできますけれども、そういうことについての明確な証拠というかエビデンスを私どもの方は持っていないのですが、そういう傾向が仮にあるとすると、より気を付けていただく必要はあろうかと思っております。

その1%のULを超えていたとあるのですが、本来近付いてはならないという意味合いのものかなと私は理解しているのですけれども、そういう意味でぎりぎり近いものも含めて、何か健康被害が出たとか、そういうことは今回の調査で報告ってあったんでしょうか。

具体的に言うと、今回の「日本人の食事摂取基準」における耐容上限量は、健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限ということですので、これを超えた場合に直ちに健康障害が生じるという数字ではないと思いますけれども、気を付けるべき基準ではあることは間違いないと思います。
また、今回の調査は、調査時点から直近1週間の摂取状況という調査ですので、もう完全に習慣的かどうかとか、そこまでの厳格なものではないので、これをもって習慣的な摂取量が耐容上限量を超えていたかどうかということまでは断定はできないということです。とはいえ、こんなに超えている人がいるんだということはやや衝撃ではあったということはあります。
なお、今の御質問ですが、PIO-NETにおいては、ビタミンDを含む加工食品を摂取したことによる健康被害状況は確認されておりませんが、今回の調査結果等については、厚生労働省等の関係機関にも情報提供はさせていただいております。

もう一点関連ですが、関連団体を通じて通知を出したということで、今回は未成年者だけに絞った通知ということでしょうか。というのは、ビタミンDはやはり大人であっても摂り過ぎると健康被害は生じるかと思うのですけれども、今回の通知の範囲というのはどの辺でしょうか。

特に気になっておりますのは、このチラシには「ビタミンD 30μg」と書いてあると思いますけれども、これがどの年齢対応のものかとかは必ずしも明確に書かれてないものも実はあるものですから、未成年者、特に子どもですけれども、それについてきちんと気を付けるようにということが伝わるような書き方をしてもらう必要があるのではないかということで、未成年者等を念頭に置いて今回の通知は出させていただいているということです。

NHKの秋山です。
今のに関連してですが、通知の対象が団体を通じてということだと思うのですが、製造だけじゃなくて、やはり店頭で取られたり、ネットで買われたりという方も多いと思うのですが、その販売店だったり、プラットフォームだったり、そういった範囲への協力というか、連携ということは、長官、何かお考えだったりされないのでしょうか。

事業者に対してというのは、こういったサプリメントについての記載ですとかを、事業者のホームページとか包装などに明確に書いていただきたいという意味でやらせていただいております。
今回、直ちに健康被害が出ているという状況ではございませんので、どこまでやるかというところはありますが、こういった形で注意喚起はさせていただいておりますので、この注意喚起の内容について、関係のところにもできるだけ幅広く届くように努めたいと思います。

(食品表示企画課)販売店としましては、日本チェーンドラッグストア協会についても情報提供させていただきましたし、それから、関連する日本栄養士会、日本薬剤師会、日本医師会に関しても、この情報については提供させていただいております。

今回、調査対象が、保護者の方にも聞き取られて、年齢が幼いということもあると思うのですが、恐らく小学生くらいの子が自分で買うということは考えにくいと思うのですけれども、ちょっとどこまで具体的に今回調査されているか分からないのですが、お子さん自身の認識の変化も必要だと思うのですが、保護者の方へのアプローチというのがやはり重要かなとは思うのですけれども、改めて、オンラインゲームとかではないですけれども、保護者の方にメッセージを伝えられるとしたら、どういうメッセージを伝えていきたいと思われているでしょうか。

栄養摂取というのは基本的に、主食、主菜、副菜そろったバランスのいい食事が基本です。どうしても不足しがちだというものを取るために、補足的にお使いになられるのはいいとは思いますが、特に子どもと大人は必要な栄養素が違います。大人と同じものを子どもに与えると、かえって健康に良くない影響があるということについて、保護者の方も十分認識をしていただきたいと思います。良かれと思って皆さんやられているんだと思いますけれども、それが子どもにとっては必ずしも良くないということについて、是非改めて皆さん確認をしていただきたいと思っております。

長官も先ほど、1%は驚きの結果だとおっしゃっていましたが、今回はコロナがきっかけではないということで、厚生労働省の目安変化ということだと思うのですが、従前からいろいろな幅広い健康食品、サプリメント形状の食品、見てこられている消費者庁の中で、ビタミンD以外も、やはり多く気になってくるなとは思うのですけれども、消費者庁独自になるか、厚労省と連携になるかは分からないのですが、ビタミンD以外にまた広げていくというようなお考えというのは何か考えていらっしゃらないのでしょうか。

こういったものは、割と体内に蓄積しやすいものと、そのまま摂取しても出ていくものと、いろいろな種類のものがあると思います。今回は、取り分け、先ほどのコロナ禍の話を含めて、ビタミンDは比較的、皆さん着目されているところもあり、こういった形で明確にお話をさせていただいておりますが、ほかについても、当然、大人と子どもの摂取量が違うとか、摂り過ぎが良くないということについて、意外と皆さん御存じない方もいらっしゃるのではないかと思います。
今のところ、ビタミンD以外について具体的に何か調べるとかということを予定しているわけではないのですが、また必要があれば、そういったことについても関係省庁と相談したいと思っております。

読売新聞の松本と申します。
今のビタミンDを含む加工食品の件につきまして、消費者への注意喚起として、この調査結果を公開するですとか、そういった取組などはありますでしょうか。

お手元の3枚目に、調査結果の概要を載せさせていただいておりますが、当然、これは本日、ホームページの方にも載せさせていただいております。全てこれ公表させていただきます。
ただ、この調査結果、見ただけでは何のことやらというふうに皆さん思われると思いましたので、本来、調査結果の公表というだけでなく、注意喚起も合わせてやった方が伝えやすいかなと思って、こういう形を取らせていただいたということです。もちろんこれは全部合わせて公表させていただきます。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
ポータブル電源のことについてお聞きします。
この2ページのところで、参考の中にはポータブル電源の安全規格があって、これは電気用品安全法の対象外だというふうに書いています。ただし、その中にACアダプターがあれば、それは規制対象になるということで、よく言われるのが、モバイルバッテリーはPSEマークというのが一つの選択の目安になりますけれども、このポータブル電源は、どんな法律が対象になっているのかというのが一つ。
もう一つが、こういう商品自体は、今、ネット通販といいますか、インターネットでの販売も結構多いような気がします。そうすると、ネットモール、ショップの働きかけ、つまりデジタルプラットフォーマ―に対する何か働きかけとかということは何かされていらっしゃるのでしょうか。

まず、一つ目の御質問についてですが、モバイルバッテリーは御指摘いただいたように、電気用品安全法の規制対象となっております。一方、いわゆるポータブル電源は一般の家電と同様に、消費生活用製品安全法が適用されるということになっておりますので、違いがあるということであります。
二つ目の御質問についてですが、今回の注意啓発というのは、特に使い方のところがメインなので、この製品自体が特に危ないということを申し上げているわけではなくて、これからの季節、そういうことをひかえるに当たって、具体的に8月に、車内で携帯発電機を使用し死亡した事故とかポータブル電源の火災事故が現に直近も起きているものですから、使い方に十分気を付けていただきたいということが主な話であります。
なお、こういった情報を幅広くできるだけ流通させる必要があるとは思いますので、また関係のところにも伝わるように努めたいと思います。

消費者相談のデジタル化についてのアドバイザリーボードの検討がずっと続いていて、夏をめどに中間報告を出すということで、いつ頃出るのかということが一つ。
もう一つが、消費者委員会が先週、二つのワーキンググループの報告書を基にして意見を出したと。それは、消費者法分野のルールの形成についてと、消費者への情報提供の在り方についてと。いずれも事業者の自主的な取組について環境整備をしていくということであるとか、自主的な取組を積極的に推進していくに当たって、消費者庁を始めとして、関係省庁の連携をしてほしいということでした。こういうのが意見として出ているわけですけれども、これについての消費者庁としての受け止めを一つお願いしたいと思います。

消費者相談、PIO-NETの改革の話ですが、これはアドバイザリーボード、鋭意議論しておりまして、ほぼまとまりつつありますので、夏と言えるうちに中間取りまとめについて公表したいと思っております。
二つ目の消費者委員会の御提言でございますが、二つとも大変大事な話をしていただいたというふうに思っています。一つは、ルール形成についても、行政措置だけではなくて、自主規制、あるいは共同規制的なものも含めて、いろいろな手段を用いてやっていく必要があるということの御指摘を頂いているわけですし、それから、情報提供についても、なかなか、特に今回の成年年齢の引下げもそうですけれども、どうやって必要な人に必要な情報を届けるかということは大変大事な問題だというふうに思っておりまして、両方、大変良い御指摘を頂いたと思っております。それぞれ、我々が今やろうとしている方向も全く同じ方向でございますので、よく勉強させていただいて対応したいと思っております。

フリーの木村です。
このサプリメントのチラシなんですけれども、消費者への情報提供ということでは、食事摂取基準2020年版の議論を聞いていると、ビタミンDはやはり日光に当たるかどうかという計算をどうするかというところが、かなりもめたのかなと記憶しているのですが、そういう意味で、やっぱり消費者に伝える場合は、日光に毎日少し当たりましょうとか、そういう情報が抜けているのかなと思ったのですけれども、その点はいかがでしょうか。

これはビタミンDに限らず、サプリメント一般ということで書かせていただいたので、こういう形になっておりますが、御指摘の点も大切なので、何らかの格好で伝えられるようにしたいと思っています。ありがとうございました。