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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年8月18日(水) 14:00~14:14 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

まず始めに、今般の大雨によってお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。引き続き大雨が続いている状況でございますので、被災地の皆様にはなお一層、十分な御注意をいただきたいと思っております。
本日、私からは二つあります。
一つ目は、令和3年8月物価モニター調査結果についてです。本日、令和3年8月の物価モニター調査結果を公表いたしました。今回の意識調査では、いわゆる「使い放題」タイプのサブスクリプション・サービスに焦点を当てて調査を実施しました。サブスクリプション・サービスは、コロナ禍の影響もありまして、国内市場規模が2018年度から2020年度にかけて約1.5倍の8,759億円にまで拡大しているというデータもあります。そうした中で、サブスクリプション・サービスを「現在利用している」と回答したモニターは33.6%となっておりまして、これらのモニターの満足度については、「おおむね満足している」と「満足しているところもあるが、不満なところもある」が大多数を占め、サブスクリプション・サービスを取り入れ、うまく活用できているモニターは満足度も高いという傾向がうかがえました。一方、サブスクリプション・サービスに対して問題だと思うところを尋ねたところ、「思っていたよりも利用頻度が低い」というのが41.0%、「プランの変更や解約のための手続が煩わしい」が27.5%、「プランが複雑で、自分に合うものを選ぶのが難しい」が16.6%となっており、実際に国民生活センター等にも解約に係る相談が多く寄せられている状況にあります。
サブスクリプション・サービスは、使いやすい、魅力的なものではありますが、お使いになられるに当たっては、消費者の皆様には、自分に合ったプランを選択いただくこと、それから、意図せずに自動更新してしまうなどのトラブルを防ぐためにも、事前に契約内容を十分に確認するといったことに気を付けていただきたいと思います。また、事業者の皆様におかれては、例えば、解約方法を分かりやすく表記するなど、消費者がより一層安心して利用できるサービスが提供されるよう期待したいと思っております。詳細はお手元の調査結果を御覧いただければと思っております。
二つ目が、サステナブルファッションの推進に向けた関係省庁連携会議の開催についてです。消費者庁では、SDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」の視点に立ち、消費者と事業者の連携・協働の取組として、食品ロス削減等を積極的に推進しているところですが、サステナブルファッションについても、エシカル消費の一環として取組を進めております。
ファッション産業においては、環境省の調査によると年間約51.2万トンもの衣服の廃棄が行われ、このうち、かなりの部分が家庭から廃棄されているなど、衣服の大量生産・供給・廃棄といった課題が指摘されており、サステナブルなファッションへの取組も始まっております。
今般、同じく取組を進めている経済産業省、環境省とともに、関係省庁連携会議を立ち上げることとし、8月20日(金)に第1回を開催するので、お知らせいたします。初回は井上大臣、小泉環境大臣、佐藤経済産業大臣政務官にも御出席いただく予定です。会議はフルオープンですので、是非、マスコミの皆様も聞いていただければと思っております。
サステナブルファッションは、現在まだ消費者の方の認知度が十分高い状況にはございませんが、認知をしている消費者は行動につなげているという傾向がございますので、できるだけこの問題に対して消費者の皆様にも関心を持っていただきたいと、このように考えております。

質疑応答

NHKの秋山です。
冒頭発言のサステナブルファッションについてなのですが、改めてこのタイミングで消費者庁としても取り組んでいくという、その狙いなどを長官お持ちでしたら、改めて教えていただけないでしょうか。

サステナブルファッションについては、先ほど申し上げましたとおり、物価モニターの調査においても認知度は十分高くないというところもあったり、あるいは、7月に徳島の新未来創造戦略本部でシンポジウムを行ったりしたのですが、実はもともとのきっかけは、4月に、消費者庁エシカルライフスタイルSDGsアンバサダーである冨永愛さんが井上大臣のところに、表敬というか、もう1回任期をお願いするというときに、そういう話が出ました。また、自民党の消費者問題調査会においても、サステナブルファッションというか、ファッションロス問題についても提言を頂いたということがあります。
同時に環境省、それから経産省でも、この問題に対しての議論が進んでいるということがございましたので、これは連携して川上から川下まで議論をしていく必要があろうということで、こういうことにつながったということです。食品ロスと同様に、一つの省庁だけで完結する話ではないので、各省連携して課題を共有化して取組を進めていきたいと思っております。

その上で、3省庁連携だと思うんですけど、環境省、経産省と、それぞれいろいろなカラーだったり役割があると思いますが、消費者庁としてどういうことをやっていきたい、消費者庁としての立場としてはどういうことを打ち出していきたいとお考えでしょうか。

消費者庁としては、選ぶとき、使うとき、廃棄するとき、それぞれにおいて消費者の方が行動変容していくということも大事です。例えば、サステナブルなことに配慮したものをできるだけ選んでいってもらうというようなこともあると思うので、そういったことについての問題を認識していただいて、行動を変えていくということが大事なのではないかと思っておりまして、そういうところをしっかりと発信をしていくというのが我々の役割ではないかと思っております。

朝日新聞の前田です。
今のサステナブルファッションに関連してですが、ファッション業界って、毎年毎年いろいろな発表会をして、今年のはやりはこれだというものを打ち出すという、そういう業界であることは余り変わりがないように一般の目から見ていて思うのですけれども、去年買ったものが今年はもう古いということに、いわゆる古いということになってしまって、もう着ないみたいなことってすごくもったいないとは思うのですが、アンバサダーの冨永愛さんってパリコレなんかに出られていて、そうした業界のこともよく知っていらっしゃる方だと思うのですが、ファッション業界も変わっていく必要がある問題だと思うのですけれども、もちろん一般消費者の行動変容もそうなのですが、その辺りの情報発信とか、アンバサダーとしてのお考えみたいなのって何か発信されている方なんでしたっけ。ちょっと素朴な疑問で気になったのですけれども。

おいでになったときには、作っているものの材料とかが、そういう環境に配慮したものかどうかとか、そういったことに対しては本人の方も非常に気にしているんだということをお話しいただいたのと、もう一つは、確かに流行の問題はあるとは思いますけれども、ファストファッションになって、欠品がないようにということで、とにかくたくさんそろえるというようにファッション産業自体のありようも実はやや変わってきているということを産業界の方からは伺っておりまして、そのために、結果的にどうしてもロスが出やすい方向に今の産業界の構造がなっているのではないかという御指摘も頂いています。こういうやりよう自体を消費者自体が本当に望んでいるのかという議論もあると思いますので、そういったことも議論していくことになるのではないかなと思っております。

読売新聞の松本と申します。
冒頭に御説明がありました物価モニターのサブスクの件ですが、今回、サブスクリプション・サービスについて調査をした理由ですとか、このサブスクを選んだ理由と、もう1点が、サブスクに対して問題だと思うところの、「思っていたよりも利用頻度が低い」、これは多分自分自身の問題かなと思いまして、その次に多いのが、「プランの変更や解約のための手続が煩わしい」とあって、相談が寄せられているということなんですけれども、現状でこういったサブスクリプション・サービスに対する規制みたいなものというのはあるのでしょうか。

サブスクリプション・サービスについて選んだ理由は、やはりコロナ禍において、いろいろな行動変容が起きているということの中で伸びている市場だったので、こういったことについて、皆さんどのようなことをお考えだろうかということを把握するために調べてみたということです。
2点目についてですが、サブスク自体は、おっしゃるとおり、今のプランの変更や解約のための手続が煩わしいということですけれども、特段これ自体に関して規制という形にはなっておりません。ただ、解約などについて分かりにくいというのはいかがなものかという議論が、消費者契約法の検討会の中で指摘されている先生もいらっしゃったので、こういったことはよく注視はしていく必要があろうかというふうに思っております。これは別にサブスクリプションに限らずということだと思います。

朝日新聞の前田です。
アフィリエイト広告の検討会って、いつまででしたっけ。

年内を目途にです。始まって、今一生懸命、構造をヒアリングしたりしておりますので、それを解明してからということなので、年内を目途ということです。

分かりました。鋭意検討中ということで。
NHKの秋山です。
先週、国民生活センターの方で、オンラインゲーム課金に関する注意喚起を情報発信されていたかと思います。コロナ禍で、おうち時間が増えたお子さんたちが、ゲーム利用が増えたからではないかという国センの分析などもありましたけれども、今日は「こども霞が関見学デー」ということもあって、その中でも、子どものゲームとの向き合い方とかというのを情報発信されているとは思うのですが、このオンラインゲームに関しての消費者庁の取組について、また、現在の意識付けというのは今どういう状況か、改めて伺えますでしょうか。

オンラインゲームについては、それについての依存の話も含めて、これについてのマニュアル作成に向けた取組を行っています。
オンラインゲームそのものの議論と、もう一つは、親の方が子どもを守るという面と、子ども自体も気を付けてもらわなくてはいけないという面、両面あると思っておりまして、成年年齢の引下げの議論のときも、高校生だけではなくて、もう少し年齢の低い層に対しても、消費者教育というような側面が必要ではないかという御指摘も、消費者教育推進会議の中でも頂いているところでありまして、中学生とか高校生に対しても、こういうことは気を付けた方がいいよということを言う必要もあると思います。
また、オンラインゲームそのものについては、先ほど申し上げたマニュアルなども作っているところでありますが、今後も引き続き、動向についてもしっかりと見ていきたいと思っております。