伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年8月4日(水) 14:00~14:19 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)
発言要旨
まず一つ目は、消費者庁LINE公式アカウント「消費者庁 若者ナビ!」の開設についてです。来年4月からの成年年齢引下げに伴い、知識や経験の乏しい若年者層の消費者トラブルが増加することが懸念されるため、消費者トラブルの防止・救済に向けた取組の推進が急務となっております。そこで、若年者層を中心とした消費者に積極的にアプローチしていくため、消費者庁LINE公式アカウント「消費者庁 若者ナビ!」を本日開設いたします。ここでは、若者に知ってほしいこととして、成年年齢引下げに関する情報や、具体的な消費者トラブルとその留意点などを発信していく予定であります。皆さんにおかれましては、「消費者庁 若者ナビ!」の普及・啓発に是非御協力いただければと思っております。詳細はお手元の資料を御覧いただければと思います。
二つ目は、機能性表示食品の届出確認の効率化についてです。これも1枚、お配りしておりますが、本日、機能性表示食品に関する質疑応答集の一部を改正し、公表いたしました。機能性表示食品については消費者庁に届け出てから通常50日間までに公表することを目標として運用をしております。これについて、知識と経験のある民間団体に事前に確認してもらったものについては、期間の短縮を行う効率化をしたいと思っております。具体的には、事業者が届け出てから公表等を行うまでの所要日数の目標を通常の50日間からおよそ半分の30日に短縮したいと思います。
消費者庁としては、今後の事前確認の状況も踏まえつつ、確認を行う団体の更なる自主管理の推進を図り、届出確認日数の短縮化を含めて、消費者庁における届出確認に関する事務の一層の効率化を検討していきたいと思っております。機能性食品、非常に数が増えている状況でございますので、これは事業者、それから私ども、届出を受ける側にとっても、この事務の効率化をどういうふうにしていくかということは大変大事なものなので、こういうことをやってみたいと、このように思っております。
質疑応答
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問
読売新聞の松本と申します。
冒頭にありました、LINE公式アカウントの件で2点お伺いしたいです。
まず一つ目ですが、こうしたQRコードですとかアカウント名というのは、どのように若年層にお知らせするのかというところがまず一点。
二つ目が、私も先ほどちょっと登録したんですけれども、今後新しい情報がありましたら随時通知していきますということだったので、どういったことがあったら通知の流れになるのか教えていただけますでしょうか。 -
答
御指摘のとおり、若年者層は、私どもが普通、公共団体や消費生活センターからといったような情報の流し方だとなかなか届かないという問題がありますので、若年者層に直接お知らせできる仕組みはないかということで、このようなことを考えました。既に大学生協の方には御協力をいただくと言っていただいておりますし、他にも、今、各種のいろいろな大学ですとか高校生関係などについてもお声掛けをさせていただいているところでありまして、そういったところの協力を得て、流していきたいと、このように思っております。またあわせて、消費者教育なども含めてのいろいろな各種のイベントの機会に「消費者庁 若者ナビ!」の存在について広報していきたいと思っております。恐らく、食品ロスとかエシカル消費とか、そういった取組のときに合わせてお伝えすると良いかなと思っています。様々なチャンネルを通じて、こういったことをやっているということについてお知らせをしたいと思います。これが1点目です。
二つ目は、どういったことをということでございますが、一つ目は、成年年齢引下げ、来年4月から引き下げられるということはどう変わるのかということ。二つ目は、若年者に多い消費者トラブルと、それについての注意点ということになります。例えば、若年者に多いのは健康食品だとか、美容、脱毛エステですとか、マッチングアプリとか、ネット通販とか、フリマアプリとかですので、そういった事案と併せて注意喚起をしていますが、そういったことについてどういったことを気を付けたらいいかをお知らせをするということを考えております。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
関連ですが、私も登録してみたいと思います。このコンテンツ、今のお話だと増やしていくということで考えていいんでしょうか。つまり、今は、五つほどなのでしょうか。 -
答
分野というのと、それに対しての事案があると思いますけれども、分野はもし必要であれば増やすことはあり得ると思っていますけど、まず、その分野の中でいろいろなトラブルがあれば、その情報をお知らせするという格好で随時随時増やしていくということになると思います。
- 問 もう1点、機能性表示食品のことなのですけれども、これは先ほどのお話の中では50日から30日に短縮するということと、あと、それのその後のことについては、30日を更に短縮する可能性もあるということなのでしょうか。
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答
はい。今まずここに、お手元にある資料のその団体、公益財団法人、それからNPO法人の名前が挙がっていますけど、こういうところに事前チェックをしていただいたものについて、まず期間がおおよそ半分程度になるようにやっていきたいと思っているわけですけれども、これはどの程度チェックがきちんとできているかとか、そういった状況も見ながらですけれども、できればもっと短縮できるように努力をしたいと思っております。
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問
別件ですが、何か消費者行政でやれることはないのかなという感じで思っていることが、コロナ感染拡大に伴って、政府の方で自宅療養への方針が決められたということでした。
各地の保健所でもそれが逼迫しているという報道があって、これは長官がよく言われるんですけども、要するに、日本の消費生活の大きな特徴の一つは、一つといいますか、構造ですよね。つまり、単身者の単身世帯が多いということと、高齢者世帯が多いということの中で、自宅療養について不安であるとか、混乱するような声がまた報道されております。
それで、これはコロナに限らず、今の状況の中で熱中症の問題であるとかも非常に大きいのですけども、それで、消費者行政にできることは何なのかなということを思ったときに、例えば危機的な状況にあるということを前提とした見守りネットワークの構築、再構築とかですね、あるいは、保健所であるとか、医療機関であるとか、消防署、警察署も入っている、参加している地域協議会というのは参加するわけですけれども、そういう地域協議会の活動の支援、要するに、地域行政の支援ということをサポートであるとかということについて何か現在やれること、そういうことを何かお考えがあればお聞きしたいと思います。 -
答
今回の中等症等の方々に対する自宅療養の話に直にということではなく、単身者が非常に多くなって、かつ、コロナ禍での一般的な接触が非常に制限される中で、どのように消費者被害の防止というか、みんなに支えられているということを、要は不安のない生活をできるだけ皆さんが送れるように、消費者行政としてどういうことができるかというお尋ねだというふうに理解をさせていただきたいと思います。
こうした中においては、直接の見守りもそうですし、あとはデジタル的にネットワークを作っていって、どういうふうにその人たちを支援するかということもあろうかと思いますが、一方で、今御指摘のような高齢者の場合は、なかなかデジタル的なネットワークで支えるというわけにはいかない部分もあると思いますので、かねてより福祉行政と消費者行政の見守りネットワーク、重ねてやれるように努力はしているところですが、あわせて、防災だとか、防犯のところとも連携していきたいと思っております。
なかなか新しく何かができるような分野ではないと思いますけれども、これはよく調整をして、できるだけ向こうの方に私どもの消費者行政の目線を、消費者問題関係者を入れていただくとか、そういった連携を深めるように努力をしたいと思っております。 -
問
朝日新聞の前田です。
冒頭のLINEの話なんですが、消費者トラブル関連の情報発信等を行いというふうにあるんですけれども、この「等」の中には情報発信以外にどんなことが含まれるのでしょうか。 -
答
情報発信のほかには、いろいろなイベントなり何なりがあったときの、それの参加を是非やってくださいといったような、そういったものを考えています。
- 問 LINEって聞くと、相談に乗ってもらえるのかなというふうに考える若者も多いとは思うんですけれども、今回は違うということで。ただ、情報発信ならもうTwitterで、その成人年齢の情報を積極的に発信するアカウントも持っていますし、多チャンネル化で一人でも多くの方に届けたいという意識があるとは思うんですけれども、今ちょっと登録して見てみても、LINEの中の操作だけで知識が完結するというよりは、触りの部分だけが書いてあって、結局3メガあるPDFをダウンロードしなくてはいけなかったりだとか、ちょっとスマホ上では見るのが難しいような細かい字が書いてある資料が出てきたりとか、消費者庁の公式ホームページに飛んだりとかで、ちょっと使いづらさがあるなというふうに思ったんですけれども、その辺の使い勝手の良さみたいなのってどれだけ意識されていますか。
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答
今はまだこれを始めたところですので、いろいろと御意見を頂いて、今おっしゃったような改善するべきところは改善したいと思っています。Twitterだとどうしても情報量が限られるという点もあるものですから、よりたくさんの情報が伝えられるようにということでやってみるということです。
今回の取組を若者に対しての情報発信ってどうしたらいいかというのは、正直言って試行しているという状況でして、ほかにもいろいろなやり方があれば何でもやってみたいと思っています。今のやり方だけでは個々の人に届いていない状況にあるので、お友達同士のネットワーク、それも信頼のあるネットワークを作るとか、そういったことも考えていかないと多分駄目なんだろうと思っています。今御指摘のことも含めて、改善点があれば改善していって、何とか届ける方法を幾つか作っていきたいなと思っております。 - 問 今のお話であったみたいに、そのお友達同士でということもあると思うんですけど、家庭の中で、保護者との話の中で、年齢が上がってこういうふうに制度が変わるから気を付けてねとか、こういうトラブルが大学生は多いみたいだから、あなたも何かあったら相談してねとか、そういう話題が挙がることも非常に重要だと思っているのですけれども、法務省の少し前の調査だったかな、当の18歳になる方は成人年齢引下げがされることも分かっているんだけれども、親御さんたちの方がいろいろな認識の数値が低かったみたいな調査結果も出ていると思うので、該当する年代の親御さんとか、親子で話し合えるようなコンテンツの提供みたいなのも重要になってくるのではないかと思うんですけれども、現状、何かそういう目線を意識されたものって、消費者庁として用意されたり、今後の考えがあったりしますか。
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答
いいアイデアを頂いたと思っておりますが、一緒になって議論できるようなことを考えた方がいいと思っています。もう少し低い年齢、例えば中学生以下も含めて、どういった消費者教育をしていくかということも消費者教育推進会議などでも言われているところなので、そういうことを踏まえて、できるだけ親も一緒に巻き込んでやれるようなツールも今後考えていきたいと思っております。全世代型にしていくということにも取り組みたいと思います。
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問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
6月の特商法改正で、海外執行当局との情報共有について、新しい共有化というか、それが明記されました。特商法については、送り付け商法であるとか、早急に措置を講ずるというか、要するに導入されたものがある一方で、公布から1年の施行ということなのですけれども、個別案件ということではないのですが、たまたま、昨日、特商法の執行の処分の中に、本国、本社があって、日本では法人は違いますけれども、マルチのことについて処分がありました。
違法収益が本国に持ち出される可能性ということを考えたときに、施行は1年後とはいっても、海外当局との、執行当局との情報共有であるとか、そういうことについて連携を検討していく余地といいますか、早急に導入するとかということについて、そういうお考えというのはありませんでしょうか。 -
答
個別の案件についてはお答えを差し控えさせていただきますが、例えば国内に代理人も置いていただいて対応することも可能です。また、直に執行協力ということではないですが、できるだけ海外との情報の共有化はしていった方がいいだろうというふうには思っております。