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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年7月28日(水) 14:00~14:12 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

保険金が使えるという住宅修理サービスのトラブルに関連する注意喚起をいたします。
今年も、熱海市の土砂災害が発生した7月1日からの大雨に加え、現在は台風8号が東北地方に上陸するなど、各地で豪雨が発生しております。被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
豪雨等の自然災害の発生後は、災害に便乗して住宅の修繕費用の補償に関する保険金に絡んだ悪質な勧誘を行う事例が度々発生する傾向があります。熱海市においても、「自宅を訪問してきた業者から保険金を使って住宅修理ができると勧誘された」など、同様の事例が発生していると聞いております。「保険金が使えるという住宅修理サービス」に関する消費生活相談は、昨年度は一昨年度の約2倍の5,400件超の相談が寄せられておりまして、これらの相談は全国各地で見られておりますが、今年度は、ここ数年災害が続く九州が占める割合が増えております。また、毎年60歳以上の方からの相談が約7割という状況にあります。
お手元に日本損害保険協会が本日公表した注意喚起資料を配布しておりますが、消費者庁としても、これまでも随時、災害に便乗した悪質商法について注意を呼び掛けてきたところです。「保険を使って無料で修理します」といった勧誘を受けた際には、トラブルに遭わないために、すぐに契約しないで、御自身で損害保険会社や代理店に連絡する、修理等の契約内容をしっかり確認するといったことに御注意をいただきたいと思います。不審・不安に思ったら、保険に関することは各保険会社等、又は消費者ホットライン188に御相談いただきたいと思います。報道各位におかれても、これから雨が続きますと、どうしてもこのようなことが起こりやすいものですから、注意喚起資料等を用いながら、注意喚起に御協力いただけると幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

質疑応答

朝日新聞の前田です。
冒頭の注意喚起に関連してですが、熱海市での事例が寄せられているということなんですけれども、具体的にそのトラブル事例のピックアップとか、件数とかって、今出ているものがあるのでしょうか。

具体的な件数はございませんが、熱海市から聞き取った状況によりますと、業者が市民の住宅を訪れて、保険を使用して住宅の修理ができるという勧誘を行ったとか、あるいは、保険を使って住宅を修理できるとの記載があるチラシを配布する業者がいるとか、こういった情報が寄せられているということでございます。具体的な件数等々については私どもの方では報告を受けておりません。

今年度、その九州からの相談、九州が占める割合が増えているということだったんですけれども、去年の7月に熊本県中心に大きな災害が発生して、その影響がまだ続いているということなのでしょうか、原因としては。

恐らくそういうことだと思います。全国的に広がりはあるんですけれども、どこが多いかというと、九州が比較的戸数が多い状況ですので、これは数年来続いてきている災害の影響であるというふうに思います。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
関連なのですが、このチラシの裏のところに、これは前に伊藤長官も説明されたと思うのですが、ちょっともう一度確認したいのですけれども、トラブルが多く寄せられているという中で、20年度は大規模災害が少なかったと。にもかかわらず、前年度の約2倍に急増していますというところがあります。2020年度が5,300件と倍増しているわけですけれども、このトークは同じような災害に絡んだ形で出てきて勧誘しているのか、あと、先ほど全国的な広がりとおっしゃいましたけれども、何かこのトラブルが急増、2倍にもなったということについて、お考えがあれば教えてください。

大規模ではないけれども、小さい災害はたくさんあったということが一つと、それから、変な言い方ですが、このような手口っていうんですか、やり方が、どうもいろいろなところで蔓延しているのではないかということです。
また、おうちにいる時間が当然多くなりますと、そういう訪問を受ける機会が増えると。こういうことも原因になっているのではないかなというふうに私ども思っておりまして、それがゆえに60歳以上の方々が相談をされる例が多いと。これは多分おうちにいらっしゃるからだということではないかと思います。
損保協会の方でも、このようなやり口というのが、結構いろいろなところでやられているのではないか、常習化しているのではないかということを非常に懸念されておりまして、我々の方も、後で消費者がそのことによって、実際は保険の対象にならないものを保険の対象になるからと言われてやったり、あるいは、やる必要がない工事をされたり、場合によっては、その保険請求に当たっての手数料を取られるなど、後でいろいろな被害に遭うということがあるものですから、大変問題だと思っております。
また、これは結果的に見ると、そういう変な保険請求が続くと、最終的には保険の支払にも影響するということになりますと、もっと広く影響が起きる可能性もあるというふうに思っておりますので、これはそれぞれがみんな気を付けなくてはいけない問題ではないかと思っております。
前は、その災害があった後に、そのところに局地的に幾つか出ていたのが、比較的いろいろなところでも、余り大きい災害ではないにもかかわらず起きているような、どうも相談状況がみられますので、改めて注意喚起をしたいということです。

NHKの秋山です。
昨日、消費者裁判手続特例法に基づく、第1回目のというか、一番最初に先行して行われていた、消費者機構日本が起こした東京医科大のものが2次に進んで和解という形になりましたが、まず、この制度の第1号というか、使われて、和解という形になりましたけれども、消費者被害の回復が図られたということについて、長官としてはどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

和解が成立したことについては消費者機構日本から報告を受けております。個別の案件でございますので、その内容等についてのコメントは差し控えますが、今回、消費者裁判手続特例法の制度に基づく当事者間での和解が成立し、消費者被害の回復が図られたということは、平成28年に施行されたこの法律の成果の現れというふうに受け止めております。本件は第1号事案でございますので、今回のこの案件を含む制度の運用状況をきちんと踏まえながら、現在実施している検討会で、消費者にとってより利用しやすく、法律の成立時に寄せられた期待に応えられる制度として運用していくための検討をより深めていきたいと、このように思っております。

昨日、団体の会見などを伺っていると、和解になったことはとても結果としては良かったけれども、やはり団体側への費用負担の面とかっていうところが最後争点になりかけていた、なり得るという話も出ていました。
制度とは少し違う話かもしれないのですが、こういった第1号が出たことで、いわゆる特定適格だったり、適格団体という数が増えていくことも大事だと思うのですけれども、そうした団体への支援だったり、審査だったりっていう、その辺りはどのように長官は今後取り組んでいかれるおつもりでしょうか。

今のその検討会の中でも、当然、消費者被害の回復に当たっては、それを受け止める特定適格消費者団体等がきちんとそういった仕事がしやすいようにどう考えていくかということも大変大事な問題だというふうに思っておりますので、今回のことで分かったことも含めて、そういった点についても議論していきたいと思っております。

朝日新聞の前田です。
ここ数日、一部報道で、国立競技場の中でお弁当が廃棄されているというような映像付きのニュースが流れたりなんかしてですね、IOCの方も実際に廃棄はあったと認識しているというふうに話しています。
食品ロス削減を掲げる消費者庁として、どういうふうにこのニュースを御覧になっているのかなと思いまして、ちょっと質問させていただきます。

東京オリンピックの大会関係者向けの弁当が廃棄されているという問題について、内閣官房オリンピック・パラリンピック事務局がその事実関係を認めているとの報道があるということについては承知しております。この問題に関しては、現在、内閣官房オリンピック・パラリンピック事務局が詳細な事実関係を確認中だと聞いておりますので、個別のことについてのコメントは差し控えますが、食品ロスの削減というのは、この大会に限らず、行政、民間、個人それぞれの立場において、とにかくありとあらゆる工夫をしてやっていくということが大変大事だと思っております。そうした観点から、今回の案件も取組が進められるということを期待したいと思っております。

何か協力を求められたりとか、内閣府の方からですね、事前に、食品ロスをこのオリンピックで出さないようにするためにどうしたらいいかみたいな相談とかっていうのは、特にこれまでなかったんですかね。

正式には頂いていないのですけれども、オリンピック・パラリンピックの中でも食ロスが出ないように、いろいろな専門家の方々の意見を聞かれているというふうには聞いております。今回の案件で、私どもの方が、こんなことがあり得るのではないかと協力できることがあれば是非したいとは思っておりますが、今のところそういう状況には至っておりません。