文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年6月30日(水) 14:00~14:23 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

私からは冒頭に4点、お願いしたいと思います。
一つ目は、7月の組織変更についてです。明日7月1日付けで庁内組織の一部変更を行うので、あらかじめお伝えいたします。参事官を二つ新設し、一つ廃止いたします。一つ目が、調査研究・国際担当の参事官です。これは、消費者問題等に関する国際的な連携の強化と、消費者白書を始めとする調査・研究を担当するということになります。二つ目が、公益通報・協働担当の参事官です。これは、消費者志向経営など、消費者と事業者との協働の推進を強化、それから、改正公益通報者保護法に対応する体制の整備、また、従来の物価等を担当するということになります。なお、今般の組織変更に伴い、調査・物価等担当の参事官は廃止されます。今回の体制強化も踏まえ、これまで以上に充実した消費者行政を展開できるよう、消費者庁としての取組を更に進めていきたいと思っております。
二つ目は、送り付けに係る改正特定商取引法の施行等についてです。先の国会で成立し、6月16日に公布された改正特定商取引法のうち、送り付けに関する規定が他の改正に先行し、令和3年7月6日から施行されます。具体的には、注文や契約をしていないのに一方的に送り付けられた商品について、改正法が施行される7月6日以降は、消費者はその商品を14日間待つことなく直ちに処分することが可能となります。お手元にお配りしている資料は広報用に作成したものですが、消費者の皆様におかれては、事業者から金銭を請求されても支払は不要なので、安易にお金を支払うことがないようにお願いしたいと思います。また、誤ってお金を支払っても返還請求ができるので、対応に困ったら、消費者ホットライン188に御相談いただきたいと思います。報道各位におかれましても、新制度の周知・広報に御協力いただけると幸いに存じます。
また、詐欺的な定期購入商法に関して、現在、「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」というのをお示ししているところなのですが、この度、このガイドラインをより分かりやすくするために、画面例の追加や画面例に解説を追記する等の見直しを行い、本日から運用を開始しております。詐欺的な定期購入商法については、先の国会で成立した改正特定商取引法において、定期購入でないと誤認される表示等に対する直罰化や、通販の契約の解除を妨害する行為の禁止などが規定されておりますが、これの施行はまだなのですけれども、施行するまでの間、現行法下でもできることを行っていくという観点から、より分かりやすいガイドラインに改定したと、こういうことであります。
消費者庁としては、引き続き、詐欺的な定期購入商法、非常に増えている状況にございますので、それに対しての監視を強化し、違反が認められた場合には厳正に対処していきたいと、このように思っております。
三つ目は、玄米及び精米に係る食品表示基準改正の施行についてです。本年3月に公布した、玄米及び精米の表示に係る食品表示基準の一部改正については、明日7月1日から施行となります。これは、玄米及び精米の表示について、産地、品種及び産年の根拠資料を保管していることを前提に、農産物検査による証明がない場合でも、産地、品種及び産年の表示を可能とするものです。本改正により、消費者にとって玄米及び精米を選択する上での情報量が増えることを期待しております。
四つ目は、サステナブルファッションに関するシンポジウムの開催についてです。来月の7月12日(月)に、エシカル消費のうちファッションに着目したシンポジウム「ファッションから考えるサステナブルな未来」を、消費者庁新未来創造戦略本部主催で、徳島県の四国大学にて開催いたします。環境省の調査によれば、日本の家庭で廃棄される服は年間約48万トンという現状もあり、このような課題に対して取り組んでいかなければならないと考えております。本シンポジウムでは、エシカルファッションプランナーである鎌田安里紗さんの講演のほか、パネルディスカッションを行うことで、このような問題に対する理解を深めていきたいと考えております。オンライン配信も行いますので、多くの人に御試聴いただければと思っております。詳細は当庁のホームページを御確認いただきたいと思っております。

質疑応答

NHKの秋山です。
改正特商法に関連する送り付けと、詐欺的定期購入の関係ですけれども、送り付けに関するものは公布から施行まで20日間と、短い期間ということだったのですが、改めて、この短い期間ですぐ施行ということを行った狙いというか、思いというところを教えていただきたいです。
あと、まだ施行は1年先ですが、詐欺的定期購入に、改めて消費者にはどういうところを注意してもらいたいかというのを教えていただけないでしょうか。

まず、送り付け商法自体は、これは今消費者がその商品について、契約とか、注文をしていないのに一方的に送り付けられた商品については、14日間事業者の方が請求が可能だということになっているので、結果的に消費者がその商品を14日間保管するということになるわけですが、これを直ちに処分をすることができるということになるものでございます。
現下、送り付けに関しては、このコロナ禍においても、マスク等々、そういったものも見られたので、可能な限り早く施行する方がいいと思っていることと、周知さえすれば、具体的に何か準備をしなくてはいけないという性格のものではないので、それで早く施行したということであります。
また、詐欺的な定期購入のことでございますが、今も、詐欺的な定期購入自体は特商法の中でやれること、もちろんございます。それで、先ほど申し上げましたように、意に反しての契約を申込みさせようとする行為が、ややこういう例もあるとかいうことについて、より分かりやすくやった方がいいというお話もありましたので、これを踏まえてガイドラインは改定したと。これがまず最初です。なお、現在の特商法では行政罰ということになっていて、行政罰を違反した場合に直罰、刑罰ということになっているのに対し、改正法ではいきなり直罰規定を置くという形で、より厳正に対処するようにするということと、それから、もう一つ、契約の解除を妨害するといったような行為について、行政処分の対象にすることについての規定を明確化しています。
当然、今の特商法の中でも詐欺的な定期購入についてやれることはたくさんございますので、これはもちろんしっかりやっていく。その上で、改正法は1年以内の施行ということになっておりますので、それについてはしっかりと準備をしていきたいと、このように思っております。

期待もかなり高くて、消費者からも、消費者相談の現場からも、かなり高い期待の声は聞いているのですが、とはいえ、まだ1年先なので、今トラブルが起きてもすぐにその直罰が規定されていないという意味では、まだ少なくともこの1年間は消費者側も注意し続ける状況は続くのかなという気もしているんですけど、もし長官、改めてここは消費者の方、引き続き気を付けてほしいということがもしあれば教えていただけないでしょうか。

詐欺的な定期購入というのは、正に定期購入であることを余り明示的に言わないで、1回限りでお試しとか、初回限りみたいな、そういうような形で書かれていて、結果的に皆さんが、1回限りで終わるんだろうと思ってしまう。これが大きな特徴であります。ですから、1回限りの購入なのか、継続的な購入なのかをまずお確かめいただく。それから、継続的な購入の場合は、回数とか、解約の手続がどうなっているのかとか、そういったことをしっかりと見てもらう必要があると思います。取り分け、通販の場合ですとクーリング・オフがありませんので、解約できる期間とか期限についても、しっかりと確認していただく必要があると思います。
結果的に見ると、初めは安くても、継続的な購入になった場合は総額とかが非常に大きくなる可能性もあるので、まず入口のところで一旦考えていただく。よく見て、これは1回限りなのか、それとも継続的な購入なのかということを納得いただいた上で、それを契約していただくということが大変大事なのではないかと思います。まず、申込みのときにチェックするということが非常に大事なので、そこを皆さん確認していただければと思います。消費者庁のホームページにも、通販を申し込む前の確認ポイントというのをチラシでも御用意させていただいているので、それなんかも見ていただければと思っております。

フリーの木村です。
今の関連で、送り付け商法についてなのですけれども、施行まで短い時間しかないのですが、これは一般の方に具体的にどうやって早急にお知らせしていく予定なのかということが1点。
もう1点は、14日間ということで、例えば施行前日とか2日前に送られてきたようなものとかは、その消費者はどう扱っていいのか。というのは、7月6日から施行で、じゃあ、もうその場で捨ててしまったというケースも出てくるかもしれないのですが、この2点について教えてください。

周知方法ですけれども、先ほど御紹介したチラシなどを活用して消費者への周知を行っていくという、まずそういう方針なのですが、既に昨日、消費者庁ウェブサイトでの掲載ですとか、あるいは公式SNSでの情報発信を行っておりますし、また、自治体にも、周知に御協力いただきたいということについて、もう依頼の事務連絡も発出しておりますので、自治体を通じて当然消費生活センター等々にも行くというふうに思っています。今後とも様々な機会を捉えて、効果的な情報発信を行っていきたいと思っております。
それから、施行前についてですけれども、施行は7月6日からで、その前は当然従前の法によることになりますので、14日間保管していただく。14日間は事業者の方が逆に言うと返還請求ができるということになりますので、そこはお気を付けいただければと思っております。

フジテレビの井出と申します。
送り付けの件で、先ほど例としてマスクとおっしゃっていましたが、最近、ほかにもこういうものがあるですとか、あと、送り元はこういうところが多いですとか、傾向があれば教えてください。

送り付け商法は、海鮮物のたぐい、いかにも送り返せそうにないものをやるというのが結構、もともとあったのですが、このコロナ禍においては、マスクなども送り付けをされたというようなことが消費生活相談の方の現場には届いております。そういうことでチラシにも例示をさせていただいたところです。
いわゆる送り付け商法、ネガティブオプションに関する消費生活相談の数ですけれども、2019年が3,087件だったのに対して、2020年度が6,673件という形で、昨年度は一昨年度と比較して相談が2倍という形になっております。2021年度については、6月25日までの間で535件ということですので、2021年、このままのペースで行って、2020年ほどになるかどうか、そこはまだ分からないところでありますけれども、巣ごもり消費の中で、送り付けという形が結構増えている面はあるかもしれません。中身は何が増えているかということについては、今はマスク不足の状況にはないものですから、今、特段マスクが増えているとか、恐らくそういうことにはなっていないだろうというふうには思っております。

NHKの秋山です。
冒頭にあった組織改編についてですが、参事官の2増1減という形になると思いますが、従前やっていらっしゃった業務というかテーマを明確に切り分けられて、強化していくということだと思うのですけれども、先ほど具体的な狙いもおっしゃってはいたと思うのですが、分けて二つに特化したというところも、もし何か狙いがあれば、これが消費者にとってどういうメリットがありそうなのかという、もし思いがあれば教えていただけますでしょうか。

公益通報者保護法が改正されましたので、これに対して、内部通報体制の義務付けということがございます。そうした観点からすると、これに対応するための体制整備をしていく必要があることが一つ。
また一方で、消費者志向経営など消費者と事業者との協働への対応があります。事業者に対応するものということをきちんと位置付けた方がよかろうということで、公益通報・協働担当という形で参事官を置いたということです。
それから、国際についても既に国際室がありますし、調査・研究は、物価担当が調査・研究、白書もやっていたわけですけれども、こういったことについて、昨今のグローバル化対応、非常に多いものですから、まとめた方がいいだろうということで、別に新設をさせていただいたということです。いずれも昨今の消費者庁が抱えている課題により明確に応えていくための体制整備を行ったと、このように思っております。

昨日公布されたプラットフォームに関する関係とか、いわゆるインターネットに関するようなもの、ネット通販ですとか、プラットフォームとか、いわゆるデジタル対策みたいなものっていうのは、この新しい二つの参事官室では扱ったりする可能性というのは。

デジタル対策は、今回のこの担当にはなっていません。要は事業者関係で幅広く事業者に対応するもの、例えば食品系だとかと具体的に定めず幅広く対応するというのが、この公益通報、それから協働担当の参事官ということで、デジタルプラットフォームというのは、また別ということになります。

先日、福田元首相も自民党の会合の方で、更に人員、組織の強化などが必要だということを述べたというふうにも伺っていますが、改めて、十年余りたって、新しく組織がまた充実していくことに対しては、長官、どのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。

福田元総理からは、消費者庁は、小さく産んで大きく育てるということではあるけれども、なかなかまだ十分育っていない、もうちょっと強化した方がいいのではないかというお言葉を頂いたわけです。もともと消費者庁、200人強で始まっておりまして、現在378名の定員ということになっております。
先ほどから御指摘頂いているような、デジタル化ですとか、あるいはグローバル化対応ということなどを考えますと、非常に業務の幅も広がっておりますので、そういった意味では、できるだけ組織強化をしていく必要があろうかというふうに思っております。今回こんな格好で、2増1減という形での参事官の強化をしたわけでございますが、引き続き機会を捉えて、できるだけ組織強化に努めていきたいと、このように思っております。

昨日、大臣が発表された携帯に関する意識調査のことで少し教えていただきたいのですが、制度の理解がまだ追いついていないというところと、もっと料金を分かりやすくしてほしいというような結果が出てきたと思うのですけれども、改めて消費者庁として、消費者と事業者、それぞれに対する周知啓発についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

当庁において今月実施した携帯電話の利用状況に関する意識調査は、先ほど御指摘頂いたとおり、SIMロックの原則禁止や乗換え手数料の引下げなど、制度改正に関する認知が進んでいないということと、もう一つ、皆さん、安くしてほしいということと併せて、料金メニューが分かりにくいので分かりやすくしてほしいというニーズも非常に高いということがアンケートでよく分かりました。
こうした状況を踏まえまして、昨日、消費者向けの啓発用リーフレットを公表したということであります。啓発用リーフレットに関しては、是非、携帯電話の料金プランの変更を検討されている消費者におかれては、自分の状況を把握していただいて、ショップの方に行かれるのだったら店員さんに聞いて、選んでいただきたい。店側は、分かっているだろうと思って、必ずしも十分御説明いただけない部分もどうもあるようでございますので、具体的に自分はこういう状況にあって、こういう使い方をしている、あるいは、こういう制度があり、こういうふうになったというふうに聞いているんだけれども、それはどうなのかとか、そういったことをむしろ積極的に聞いていただく必要があろうかと思って作ったものです。これは私どものホームページにも載せておりますので、これをチェックしていただく。それから、総務省などとも連携して、より幅広いところにも提供していきたいと思っております。
また、携帯電話会社に対しては、消費者が最適な選択をできるように説明を是非していただきたいと思っております。消費者が自分に合った最適な携帯料金プランを選べるようにするために、丁寧で分かりやすいサポートをしていただきたいというふうに思っておりますので、こうしたことについては、携帯電話会社に対して、私どもの方から直接この調査結果とともにお伝えし、要請もしていく方向です。
消費者側の方もいろいろな制度が変わっているときに、どういうことを押さえたらいいのかということを、一応、自分の状況をちゃんと見て、説明して、それでプランを選ぶということが大事だと思いますし、それから、事業者側の方も、より分かりやすい情報提供、あるいは説明をしていただけるようにしていきたいと、このように思っています。いずれにしろ、関係省庁と緊密に連携して、事業者に向けての取組、それから、消費者に向けての取組を着実に進めていきたいと思っております。