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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年6月9日(水) 14:00~14:23 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

今週ですが、昨日6月8日、消費者白書の閣議決定を致しました。また、本日6月9日午前中に、特商法・預託法等の改正の法律が成立を致しました。公布後、基本的に1年以内に施行ということでありますが、契約書類の電子化に関することは2年以内の施行になっております。今後、改正内容の周知と、施行準備をしていくことになりますが、特に契約書面の電子化に関することについては、国会でも多くの御議論をいただきましたので、オープンな場で幅広く意見を頂いて、丁寧に政省令を作っていきたいと、このように思っております。
私からは、熱中症について発言をさせていただきたいと思います。季節は初夏を迎えておりまして、昨日の東京の都心では、今年初めて最高気温が30度以上の真夏日になったということもありますし、本日も30度を超える地域があるというふうに承知しております。熱中症による死亡者数は、2018年以降、毎年1000人を超えております。今年も消防庁の速報値によりますと、直近では5月31日から6月6日までの間に、全国で638人の方が熱中症によって緊急搬送されている状況にあります。
本日、熱中症対策として気を付けていただきたいことを2点申し上げたいと思います。
一つ目はエアコンの使用についてです。昨年夏の東京23区における熱中症死亡者についても、約9割が屋内で、そのうち約9割がエアコンを使用していなかったということを踏まえますと、熱中症対策としては適切なエアコンの使用が非常に重要ということになります。このため、夏本番を迎える前に、御家庭で早めにエアコンの試運転を行っていただきたいと思いますが、この際、消費生活相談として、エアコン洗浄を頼んだら高額な費用を請求されたとか、あるいは、高額な別作業を勧められたといったものもありますので、エアコンの洗浄を依頼する際には、費用を事前によく確認いただくとともに、追加の契約はその場では決めずに、本当に必要かどうかをよく御検討いただきたいと思います。
なお、エアコンの室外機のべランダ等への設置に当たっては、転落防止の観点から、子どもの足がかりにならないような場所にするといったような、安全性に関する点についても十分御留意をいただきたいと思っております。
二つ目は水分補給についてです。夏場の熱中症対策としては、特に皆さん今マスクを着けている状況ですので、そうすると、喉が渇きやすくなるとか、あるいはちょっと水分補給を怠りがちであるという傾向があろうと思いますので、こまめな水分補給というのが非常に大切だということになります。激しい運動、作業を行ったときや、多くの汗をかいたときは、塩分も補給することが推奨されております。熱中症対策としての水分補給に当たっては、水や一般の清涼飲料水の摂取が考えられますが、軽度から中等度の脱水症を起こしている場合には、特別用途食品である経口補水液が有効です。なお、経口補水液はナトリウムを多く含む調整がされておりますので、普段の水分補給、要は、軽度から中等度の脱水症を起こしていないときに飲用することについては目的としておりませんので、十分御留意をいただきたいと思います。
新しい生活様式の中で、適切な熱中症予防行動というのは大変大事だと思っております。消費生活に伴うトラブルがあれば、一人で悩まず、消費者ホットライン188に御相談いただきたいと思っております。

質疑応答

NHKの秋山です。
冒頭発言のあった消費者白書についてですが、昨年の相談件数でネット通販に関するものが過去最多になっていて、詳しい内訳などを見ても、定期購入ですとかSNSの相談も多かったりしていて、恐らく感染症の影響ですとか、消費の場が移ってきていることが影響しているのではないかというふうな分析もされていましたけれども、その上で、長官として今後どういう対策を、今進められているのを更に早く進めるですとか、より強化するなど、何かお考えがあれば教えていただけないでしょうか。

こういった新しい日常の中で、やや消費者相談の傾向が変わっていて、取り分け、御指摘のあったようなインターネット通販、あるいは定期購入に関する相談が、コロナ禍の巣ごもり消費の影響もあるのではないかと思いますが、増加傾向であることは確かです。今国会でもそういった観点から、デジタルプラットフォームとその消費者保護といったことの法律と、それから、本日成立させていただいた特商法等についても、詐欺的な定期購入対策について規制を強化する内容が盛り込まれているところです。こういったものについて、施行までの期間ありますが、しっかりと対応するということが一つと、それから、どうしても皆さんが陥りやすいものに関しては、従来も積極的に注意喚起をしていたところでありますが、引き続き消費生活相談の状況も注視しながら、必要な注意喚起、あるいは、本当に悪質なものに対しては、しっかりと行政措置についても考えていきたいと、このように思っております。
もう一つ併せて言わせていただきますと、これは国内にとどまらず、海外との関係も、非常に特にデジタル取引というのはありますので、こういった海外との状況なんかについても、よく海外の関係機関とも情報の共有化を進めて、必要な対策をしていきたいと思っております。

今出てきた、特商法・預託法の改正についてですが、冒頭、御発言もあったみたいに、契約書面の電子化、2年以内の施行ということでしたけれども、十分な議論をするとなると、できるだけ早い何か議論の場の設置が必要なのではないかと思いますが、それの時期のめどとか、何か具体的なもの、今お考えがありましたら教えていただけないでしょうか。

今、御指摘いただいた契約書面等の電磁気的な方法による提供を可能とするものについては、当然、消費者被害の防止に万全を期すことが非常に大事だと思っています。これについては国会でも多くの議論をいただいておりまして、国会でも、様々な、こんなことができるのではないかというようなことについて御答弁をしたところでありますけれども、当然、オープンな場で、広く現場の消費生活相談の方、あるいはデジタル技術に通暁した専門家の方などからも丁寧に御意見を伺って、それを踏まえて消費者の承諾の実質化とか、電磁的方法による提供の具体的な方法の在り方を検討したいとは思っています。
検討の場ですけれども、今日成立したところなので、庁内で検討を今しているところであり、方針が固まれば是非お知らせしたいと思います。オープンな場での検討をしたいと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
エアコンについてお聞きします。エアコンの修理、清掃洗浄について、トラブル防止の注意点としてちょっと確認したいのですが、費用を事前に確認するということと、追加の場合はその場ですぐ判断しないで慎重にということと、あともう一つ、子どもへの事故防止についての室外機のこと、そのことをもう一度お聞きしたいのですが。

大きく分けて二つのことを申し上げました。
当然エアコンを使うに当たって、きちんと試運転をして、しっかり動くかどうかを確認していただくことが大事だということになります。その際に、洗浄を依頼されるということもあるだろうと思っておりますが、洗浄に当たっては、幾つかの相談がもう既に来ております。エアコンの修理及びエアコンの清掃洗浄等に関するトラブルの状況は、最近暑くなったせいもあるかもしれませんが、2011年と2020年を比べると消費生活相談の件数が約2.5倍に増えているという状況にございますので、それを踏まえると、準備はしてもらう必要はあるのですが、準備に当たってはお気を付けいただくところがあるのではないかということであります。
それから今申し上げたとおり、費用について、どういった内容なのかを事前によく確認することと、それから、後でこんなのとか、あんなのもありますよと言われて、結果として高額になるということがあるようですので、これについては、あらかじめ確認すると同時に、追加の契約について、よく聞いた上で、その場で余りあおられて決めるということがないようにお気を付けいただきたいというのが一つです。
もう一つは、新たにエアコンを設置するというようなこともあろうかと思いますが、子どもなどのベランダからの転落防止に当たっては、子どもの足がかりになるものを置かないということが非常に大事です。なかなか場所がないので、エアコンの室外機をどうしてもベランダに置くということになると思いますけれども、ベランダの端の、要は子どもの足がかりになって転落する場所ではないところに、できるだけ工夫して置いていただくことが非常に大事だと思っておりますので、その点も是非お気を付けいただければなということであります。

先週6月3日に国民生活センターの方で、家庭用蓄電池についての訪問販売のトラブルが毎年1,000件くらいずつあるということで、注意喚起が出ました。
特定の事業者に集中しているとも言われておりますけれども、情報提供という形で消費者庁も出しているということなのですが、早急な行政措置であるとか、あるいは指導であるとかが必要だと思うのですが、消費者庁としてはどんな対応をお考えなのか、ちょっとお聞きしたいと思いました。

家庭用の蓄電池は、太陽光発電のFITが順次終わっていくということに伴って、自分で使うか、それとも系統電力の方と別に契約し続けるかと、こういうことになります。その際、系統電力でやるよりは、そういう自己使用の方がお得ですよといった、こういったうたい文句で訪問販売をされる際に、それが強引なやり方のものがある、という注意喚起だったと思っております。
個別具体なものについてどのように対応するかについては、お答えは差し控えさせていただきますが、そういった悪質な事業者に関しては従来どおりしっかりと対応していきたいと、このように思っております。

読売新聞の松本と申します。
エアコンの件についてですが、主な相談事例を拝見すると、実家の母ですとか高齢の母、高齢の姉というふうに、高齢者の方がちょっと狙われやすいのではないかなという気がしまして、先ほど長官の方からも注意点を何点かお示しいただきましたが、特に高齢者の方が気を付けるべきポイントなど、クーラーもつけない人もいるということですけれども、つける人のポイントがありましたら教えていただけますでしょうか。

令和2年夏の東京都23区における熱中症の死亡者の状況というのが、約9割が65歳以上の高齢者、取り分け屋内でクーラーも使用していなかったと、こういうようになっておりまして、高齢者が家の中でクーラーを使わないで、ということがあろうかというふうに思います。そういったこともあり、できるだけ必要に応じてクーラーを使ってくださいということを言っているわけですけれども、その際にどうしても、エアコンを電話や訪問といった形で勧誘されるという例があろうかと思います。その際は、先ほど申し上げましたように、極端に安いが本当に大丈夫だろうかとか、それで本当に全てなのか、追加工事があるのかとか、それは標準的なもので、ほかにこれとこれとこれがありますみたいなことがよくありますので、どういった内容が対象になっているかとか、あるいはその際に、更にその場で、ああいうこともしなくてはいけない、場合によったらリフォームもしなくてはいけないとか、そういうことを言われるようでしたら、少し一呼吸置いて、追加の契約はその場で決めないということが大事なのだと思います。場合によっては御自身だけでお決めにならないで、関係の御家族だとか、あるいは188ですとか、そういったところに、こういう話が来たけど大丈夫だろうかということをお尋ねいただくということが大事なのではないかなと思います。

明日からアフィリエイト広告の検討会の第1回目が始まりますが、長官が現状、課題と思っていらっしゃることと、今後こうしていきたいという、こういった業界になればいいなという、目標みたいなのがありましたらお願いいたします。

6月10日10時に、第1回のアフィリエイト広告等に関する検討会を開催いたします。公務の都合が許せば大臣にも御出席いただきたいと思っているのですが、アフィリエイト広告は、広告主でないアフィリエイターが表示物を作成、掲載するということですので、広告主による表示物の管理が行き届きにくいということ、それから、アフィリエイターが成果報酬になっているので、成果報酬を求めて、虚偽、誇大広告をやる方向にどうしても行きがちであること、それから、消費者にとってもそれがアフィリエイト広告であるかどうかが外見上分からないということから、別にアフィリエイト広告自体が悪いというわけではないと思いますが、悪質な人がいるということと、どうしても悪質化する傾向が若干あるというところ、不当表示につながりやすい特性があるということが懸念点としてあります。
有識者の皆さんに、景品表示法の適用等に関する考え方、あるいは不当表示の未然防止等のためにどういうことをやったらいいのかということについて御議論いただきたいと思っておりまして、本年中をめどに一定の結論を得たいと思っております。
消費者が悪質な広告にだまされて、消費者被害が広がらないようにするために非常に大事なテーマだと思っておりますので、しっかりと対応していきたいと思っております。

朝日新聞の杉浦です。
エアコンの話が面白いのでお尋ねするのですが、トラブルの件数はすごい右肩上がりなんですけども、昔から日本って暑いし、死亡者も高止まりしているようなグラフですし、エアコンって昔からある機械なわけですけども、何でこんなにトラブルが増えているというふうに見ていらっしゃいますでしょうか。要は高齢者ということなのでしょうか。

申し訳ありませんが、細かいことは私どもの方も分かっていないのですが、とはいえ、10年前に比べると、やはり気温自体が上がっているということはあるかなというのと、今御指摘のように、どうしても高齢化も当然進んでいますので、高齢者がおうちの中にいらっしゃるということも関係あるのかなというふうには思っております。具体的になぜ、修理とか清掃洗浄等が増えているかについては分析をしていないので、また具体的な中身、相談の窓口などにも聞いて、分かればお伝えしたいと思います。

NHKの秋山です。
先ほどお話が出ていた水分補給のことでお伺いしたいのですが、特別用途食品で出てる経口補水液と、認定、承認を受けてはいないけれども経口補水液と宣伝している液体というか、溶液がドラッグストアなどでもよく散見されます。ともすると消費者が誤認してしまうような気もするのですが、経口補水液という商品の取扱いみたいなことについては、今後何か明確に線引きしていくみたいなことは何か長官お考えだったりされないのでしょうか。

先ほど申し上げましたのは、水分補給というと、いろいろな清涼飲料水とか特別用途食品があると思いますけれども、とにかくできるだけ飲めばいいと、このように皆さん思っていらっしゃることが多いのではないかと思いますが、特別用途食品は軽度から中等度の脱水症状が起きたときのものですので、ナトリウムが多めに入っています。ですから逆に言うと、常日頃に水の代わりに飲むというのはそんなにお勧めされないということになります。
いろいろなものが出ていますので、ナトリウムがどのように入っているのかとか、そういうことをよく見て、そのときに応じた飲み方をしていただく必要があろうかなと思います。運動したりとか、塩分を取らなくてはいけないときはそういうものを飲まなくてはいけないし、そうではないときは、むしろ普通の水に近いものの方が当然良いということになります。その点を皆さん余り認識されていないのではないかなと思ったので、本日あえて触れさせていただいたということです。
特にマスクをしていると水分補給が怠りがちというか、飲みにくいので、つい脱水になりやすいところがありますので、どんな内容かよく見ていただければなと思います。

今の内容というか情報というのは、高齢者に限らず、お子さんから含めて消費者にとってはとても重要な情報だと思うのですけれども、いろいろなページにいろいろな情報が飛び交っていて、なかなか整理されていない現状があるのかなと思いますので、いわゆる薬機法でいう化粧品の線引きですとか、健康食品のその線引きですとかは、大変消費者庁、分かりやすいページを作っていらっしゃると思うのですけれども、是非、経口補水とか脱水や熱中症対策の水分補給の何か分かりやすい情報発信も是非していただければと思います。すみません、これは質問ではなく意見です。
別件ですが、先日、オンライン診療に関して、恒久化の議論が一つ示されたかと思いますが、去年、国民生活センターからも、オンライン診療に関するトラブルの注意喚起とかがされていたかと思います。
メインは厚生労働省の話だとは思うのですけれども、一定数、悪質商法というか、消費者トラブルも起きている話だとは思うので、何かこのオンライン診療に関して、消費者庁として何か関わっていくことみたいなのは、現在検討されていらっしゃらないのでしょうか。

オンライン診療について消費者相談があったということは存じていますけれども、現時点で何か具体的に私どもの方から発信しなくてはいけない状況かどうかというところは、まだ十分検討できておりませんので、改めて考えたいと思います。