伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年5月19日(水) 14:00~14:23 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)
発言要旨
一つ目は、テイクアウト等の増加に伴う注意喚起でございます。今年は、今月16日までに東海地方より西の地域では梅雨入りしておりまして、これは平年と比べ、かなり早くなっている状況にあります。梅雨に入ると気温と湿度が高くなり、食品が傷みやすくなることから、家庭内で調理した料理だけでなく、テイクアウトした食品も含めて食中毒に注意していただく必要があります。
一方で、本日公表した物価モニター調査結果でございますが、およそ1年前の令和2年5月前後に比べまして、食事に関する行動の変化を尋ねたところ、「以前から家庭内での調理が多かったが、これが更に増えた」と回答するモニターが約45%と最も高く、「以前から家庭内での調理が多かったが、テイクアウトやデリバリーが増えた」とするモニターは約15%となっております。また、食品を廃棄してしまう主な理由についても尋ねたところ、「調理前の段階で腐らせた、傷んでしまった」とするモニターが47.5%と、約半数となり最も多いという状況になっております。
食中毒を予防するためには、具体的には、食べる前の手洗いのほか(細菌を「つけない」)、購入した食品やテイクアウトした料理を長時間持ち歩かない(細菌を「ふやさない」)、調理する際や再加熱する際には、しっかりと加熱する(細菌を「やっつける」)という「食中毒予防の三原則」を徹底いただくようお願いしたいと思っております。消費者の皆様には、引き続き食品ロスの削減の推進の観点から、また食中毒対策、併せて十分に御注意いただければと思っております。
二つ目は、令和3年度消費者支援功労者表彰式の延期についてです。令和3年度消費者支援功労者表彰の表彰式については、先日大臣から5月31日に開催する旨を御発言いただいたところでありますが、緊急事態宣言下でございますので、延期することといたしました。新たな日程等の詳細につきましては、また追ってお知らせすることとしたいと思っております。
質疑応答
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問
読売新聞の松本と申します。
先週の金曜日に、消費者機構日本の方で消費者裁判がありまして、共通義務確認訴訟で第一審が却下判決ということでしたが、こちらの判決に対する長官の受け止めを、まずは教えていただけますでしょうか。 -
答
特定適格消費者団体である消費者機構日本から判決内容の報告は受けております。消費者庁では本年3月から、消費者裁判手続特例法等に関する検討会を設置して検討をしていますが、個別の判決そのものについて私どもが何か言うことは差し控えたいと思っておりますけれども、この判決の結果も、消費者裁判手続特例法の運用状況を知る上では一つの参考になるものだと思っております。検討会では、いろいろな消費者裁判手続特例法の運用状況、いろいろ考えた上で、多角的な観点から検討するということにしておりますので、そういったことも含めて議論していくということになろうかと思っております。
- 問 多角的に検討していくということだったんですけれども、判決の会見の中でですね、こういった、いわゆる門前払いになってしまったということもあって、消費者の方もこれから参加しにくくなるのではないかというような、そういった懸念もちょっと聞こえてきたんですけれども、その辺りをどのように生かしていくと言いますか、どのようにお考えでしょうか。
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答
消費者裁判特例法の中の要件の中の、支配性要件というのが当たらないのではないかと、こういう判断で却下されたということだと理解しておりますが、個別の件については、私どもが申し上げる問題ではないと思いますけれども、消費者裁判特例法を考えるに当たっては、できるだけたくさんの人たちの被害回復が図られるようにするということは非常に大事なことだと思いますので、そういった観点からも、この判決の内容も含めて議論していきたいと、このように思っております。
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問
NHKの秋山です。
今のに少し関連してですが、消費者機構日本も検討会のオブザーバーとして参加されているとは思うのですが、今回の事例の具体的な説明みたいな、ヒアリングみたいなことは、改めて検討されることは考えていらっしゃるのでしょうか。 -
答
会議の運営については、検討会の座長とも御相談するということにはなろうかと思いますけれども、判決そのものの内容は見れば分かりますので、そういったものも含めて考えていくということになるのだろうと思います。
また、個別案件については、私どもの方からは差し控えたいと思います。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
コロナの件です。今は予約についていろいろな形で相談事が、ワクチン詐欺ということで、国センの方でも発表されています。その中で、事例を出していますけれども、予約の代行について、いろいろ出てきていて、自治体の方でも予約のサポートをし始めているし、自治体の方から会場変更であるとか、これから出てくるワクチンの種類の変更であるとかを直接高齢者に電話しているとかで、また、薬局に委託して予約のサポートをするという検討もあるようで、自治体によってはですね。
それで、消費者庁はずっとワクチンの接種については、お金を要求するということはないと。個人情報についても取得することはないと。行政機関がですね。
事例の中で、あるいはこの記者発表の中では、予約についても注意喚起をされていらっしゃいますけれども、各自治体が配る、例えばこういう予約クーポンの紹介の中では、行政機関等が新型コロナウイルスワクチン接種に関して現金を要求することはありませんということは書いてあるんですね。書いてあるんですが、今後出てくる可能性のある予約であるとかということについて、何らかの注意が必要なんじゃないかなということが一つ感じます。
つまり、実際自治体によっては方法を独自で考えていたりとか、できるだけうまくスムーズにやりたいということが考えられている中での方法がいっぱい出てきているんですけれども、実際の動き方として、あるいは高齢者の安心であるとか、高齢者世帯であるとかの不安感ということを考えますと、直接電話してもつながらなかったりとか、あと、ネットに不慣れだという方々が、そういう代行に対しても結構期待感を持っているような、そういう感じがしますので、消費者庁として、その注意喚起のメッセージということについてはっきりと、今までは、お金を要求することはない、ということでしたけれども。実質的な中身は予約代行でもお金を取らない。
ところが、そういうことについて、予約代行であってもお金を取らないよという、こういうメッセージも必要なんじゃないかなとちょっと思っているんですけれども、どうでしょうか。 -
答
ワクチン接種の予約代行については、複数の自治体が予約代行を行っているケースですとか、今御指摘いただいたような薬局とか、地域の診療所が予約代行をするという例もあると聞いております。
私どもとしては、自治体の名前を出して予約代行の話があった場合には、まず、お住まいの自治体に確認をしていただく、あるいは本当に公共団体の方かどうかというのはきちんと分かる格好でやった方がいいのではないかというふうに思います。また、日常的に余りお付き合いのない人や機関から予約代行の話があった場合は、詐欺被害につながりかねない相談事例というのも寄せられているので、特に金銭の支払ですとか、個人情報の提供の要求があった場合には十分御注意いただきたいと思っております。
国民生活センターの方に寄せられている中には、例えば、5,000円を振り込めば新型コロナワクチン優先権を代行申込みできるとか、あるいは、ワクチンのお助けをするからということでいろいろな情報を取るといったような事例もございます。予約代行をするというのは、高齢者を助けるという意味では良い面もございますが、一方で、それになりすます人がいるということもございますので、よくお確かめいただく必要はあろうかと思います。取り分け、多額の金銭を取るとか、あるいはそのためにいろいろな個人情報を取るというようなものについては気を付けていただく必要があるのではないかと、このように思っております。
そういったもので、ちょっと変だな、心配だなということがございましたら、「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」0120-797-188(なくな、いやや)も御用意させていただいておりますので、188でももちろん構いません。御相談いただくということもあろうかと思っております。 -
問
消費者月間のことなのですが、先ほど消費者サポートの功労者の延期もありました。それで、消費者月間は昨日が188の日であったわけですね。あと、動画で啓発されていたりとか、他省庁との連携でギャンブル依存の啓発のキャンペーンをされていたりとか、ICPENの広告表示の、不当表示のことについてもキャンペーンされている。
今は消費者月間の最中ですけれども、そういうキャンペーンであるとか取組について、何かイベントとかをお考えになるとかありますか。要するに、キャンペーンはプッシュしながら、訴えかけながら続けていくということかと思いますけれども、難しいですか。 -
答
御指摘のように、緊急事態宣言下ということもあって、たくさんの方が集まるという形での消費者月間の取組は、なかなか各地困られていて、いろいろな工夫をされているという状況です。私どもの方も、たくさんの人を集めるというような形でのイベントではない形で、今御指摘ありましたように、動画をやったり、あるいはいろいろな形で公共団体の話をサポートするという格好で展開をさせていただいているところです。
消費者月間自体は、消費者問題自体を消費者が1回立ち止まって、自分のこととして考えていただくということに非常に意味があるというふうに思っております。今回こういった事態で、なかなかやり方に制約はあろうかと思いますけれども、公共団体は、まだいろいろなイベントや取組をやられている例もございますので、これについては私どもの方もしっかりと支援していきたいと思っています。
併せて、「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力」キャンペーンをやろうとしているわけでございますが、これについては5月ということに限らず、今年度いっぱい一生懸命やっていく必要があろうかと思います。 -
問
朝日新聞の前田です。
先ほどのワクチンの予約代行についてなのですが、各自治体が具体的にどういう手順でやっているのかちょっと分からないんですけれども、予約代行のお手伝いって、ある程度お名前とか生年月日とかの個人情報をやり取りする必要があるんだろうとは思うんですが、それになりすまして接触してくる人が聞くような個人情報、つまり、どういう個人情報を聞かれたらそれは怪しいと思った方がいいのかというところについてはいかがでしょうか。 -
答
自治体がやられている場合は、私どもが調べている中では、基本的には、ある場所でとか、窓口を設けてやられているというのが多いのと、もう一つは、きちんと接種コールセンターというふうに明示的になっているところでやるというのが多いと思うので、まず誰がやっているのかと。実際、消費者が出向くのでなく、待っていて連絡が来るものは恐らくコールセンターとかだと思うので、そういうことを本当にその公共団体がやられているか。これは恐らく広報なんかでもあると思いますので、まずそれを見ていただくということがあると思います。
どうも見ていますと、具体的にある場所に行って、例えば地域交流センターだとか、そういうところに行って予約をするという格好が主になっていますので、待っていて急に電話が掛かってくるという感じのものは、大丈夫かなって、まず確認をしていただくというのが、その人が要は大丈夫な人なのかっていうのが一番大事だと思いますので、それがまず一つです。
それから、金銭の話が出るというのは、当然、公共団体の場合はまずないと思いますので。金銭と併せて、それについての口座番号を聞くとかですね、そういったことが多分その次に出てくるということになろうかと思います。金銭を要求して、そのときにそれをあなたのこういう口座からどこどこに振り込みなさいと、恐らくこういうふうになりますので、そういう金銭の話が出たときは十分お気を付けいただくのが大事なのではないかと思います。
市町村以外のところですと、先ほど少し申し上げたように、よくあるのはかかりつけ薬局ですとか、診療所ということなので、これも恐らく常日頃のお付き合いがあって、あそこは大丈夫だと分かっている人がやっているものじゃないのであれば、大丈夫かなと、まず気を付けてみるということが大事なのではないかなと、このように思います。
まだ予約代行については全容が我々の方もつかめていないので、パターンを見るとそんな感じかなと。
今のを重ねて申し上げますと、誰がやっているかというのをまず確認していただく。それから、お金に関して多額なものを、これはというようなことを要求されるというのはちょっとどうなんだろうかというふうにまず見てもらうというのが一番大事なのではないかと思います。 -
問
NHKの秋山です。
先週の景品表示法と食品表示法の処分で、健康食品が処分されたケースがあったのですけれども、食品表示法も併せてということで、比較的珍しいケースかなというふうに受け止めたのですが、ウェブでも掲示されていて、だけどやはり食品表示法の対象としては容器包装の範ちゅうにとどまっていて、景品表示法では処分はできているとは思うのですが、業者の言い分を聞いても、法律の理解が少し及んでいなかったというような受け止めもされていたので、改めてネットの表記と食品表示の表記というところの周知理解という点で、消費者とか業者向けの周知啓発みたいなことは更に進めていくお考えというのはあったりされるのでしょうか。 -
答
基本的に事業者は、当然、景品表示法なり、法令を遵守していただく必要はありますので、余りそういうことを分からないで業をやられること自体がそもそもいかがなものかっていう話なので、周知をどうするかという御質問ですけれども、ちょっとそれはそれ以前の話かなという感じが今の話についてはしております。
それぞれ法律には趣旨がございますので、ダブルでやるというのは確かに珍しいことではありますけれども、これからも必要であれば両方併せてやるということも考えていきたいと、このように思っています。
あともう一つは、食品表示そのものに関して、ネットでやるということについて何か考える必要はないかという御趣旨のお尋ねなんだと思いますけれども、食品表示そのものを、ネットも対象にすることを直ちに議論する気はございませんが、ネットでの食品の販売というのが現に増えている状況ではございますので、これについてどういうことをやっていけばいいかということは、この間から調査もしているところでございますので、これは引き続き、関係の業界ともお話をさせていただいて、何らか考えていく。義務付けとかそういう性格ではなくてですね、何かを考えていく必要があるのではないかなと、このように思っております。 - 問 今回、冒頭発言がありました食中毒の件で、食中毒というか、それに関係した物価モニターのケースの話で、ちょっと食中毒とは違うんですけど、廃棄してしまう理由の二つ目に大きい理由の約3割が、期限が切れて廃棄したというところが多い印象を受けたのですが、ちょっとこれが賞味期限なのか消費期限なのかが調査項目では分からないとは思うんですけれども、賞味期限も少なからず含まれているのでないかなということを考えると、消費期限であれば廃棄すべきだとは思いますが、3割というのが期限切れ、やっぱりそこの意識が食ロスにつながっていく可能性もあるのかなという気がしたのですが、この期限切れが3割ぐらいになっていることに対して、何か長官として今必要だなと感じていらっしゃることってありますでしょうか。
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答
御指摘のとおり、期限というのに対して、ちょっとこの調査が賞味期限なのか消費期限なのか、要は、これから先は食べないでねという消費期限と、おいしく食べられる目安としての賞味期限と、両方調査には入っています。御案内のとおり、賞味期限に対しての理解がなかなか進んでなくて、おいしいめやすにすぎないんだけれども、切れたら、消費期限と同じように食べちゃいけないんだと思って捨ててしまうという人も、この3割弱の中には入っている可能性はあるのではないかなと思っています。
賞味期限は、「おいしいめやす」だよということで愛称も付けさせていただいて、事業者とも連携してPRもさせていただいているところでございますが、おいしいめやすということであって、別に食べられなくなるという性格ではないので、消費者におかれましても、よくこの期限表示の性格というのを御理解いただいて、個々に御判断いただきたいと、このように思っております。