文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年4月14日(水) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

私からは2点あります。
一つ目は、新型コロナワクチンに便乗した詐欺に関する注意喚起についてです。今週月曜日より、今年度中に65歳に達する高齢者への新型コロナワクチンの接種が開始されました。ワクチン接種に便乗して、金銭や個人情報をだまし取ろうという、いわゆるワクチン詐欺と言われるものについてですが、今週月曜日までにPIO-NETに登録された消費生活相談を見ると、少なくとも56件という状況にあります。具体的には、医療従事者向けで余ったワクチンがあるとか、あるいは中国製のワクチンがあるなどとして、優先的にワクチン接種ができると持ち掛けられる相談がございます。ワクチン接種は無料で、行政機関等が電話・メールで個人情報を求めることはないので、怪しい電話・メールには相手をしないようにしていただきたいと思います。また、市区町村からの連絡により御自身が接種可能な時期が来たことを御確認いただいた上で、案内に従って接種を受けるようにしていただきたいと思います。不審に思うことがあれば、国民生活センターの「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」0120-797-188(なくな、いやや)へ御相談をいただければと思っております。
二つ目が、「ECサイト食品表示実証モデル構築事業」の報告書についての御報告です。令和2年度に実施した「ECサイト食品表示実証モデル構築事業」の報告書について、概要をお手元にお配りさせていただいておりますが、コロナ禍において巣ごもり消費が増える中、ECサイトの活用が増えております。消費者に対して行ったアンケートでも、半数がECサイト上で食品の購入経験があるという回答でありました。この事業では、消費者のECサイトの利用実態及び表示内容に関するニーズの把握と、事業者のECサイトにおける表示実態等、表示を行う上での課題の把握等に関する調査を行いました。この結果、消費者が求める情報で、提供することが不可欠なものは何か、事業者が情報提供をする際の様々な課題に対してどのように対応するか、というようなことが明らかになりました。また、食品の国際規格を定めるCodexにおいても、ECサイト上での食品表示に係る国際的なルール作りの議論が既に始まっております。こうしたことを踏まえ、消費者庁としては、今後、更なる調査や関係者との意見交換等を行って、来年夏頃をめどに、ECサイト上での食品に関する情報提供についての考え方を整理してお出ししたいと思っております。

質疑応答

NHKの秋山です。
冒頭にありました、ワクチン接種についてなのですが、ホットライン開設されて、ある程度たちますが、件数としての伸びが、一般の方、始まっても急増しているような印象は受けないのですけれども、手口の変遷ですとか、何か警戒されているようなところがあれば教えていただけないでしょうか。

始まってはいるのですが、実はPIO-NETは登録するのに若干時間が掛かることもあり、タイムラグがございますので、今後、一般の方の接種に伴って出てくるかなというふうに、大変心配はしております。
手口についてはそんなに変わっていないのですが、どうしても、コロナワクチンを打てるから先にお金を払え、あるいは、情報を出せと、この傾向は余り変わらないかなと思っております。特に高齢者を始めとして、まだ十分な量が今の段階で行ってないので、非常に予約が殺到しているというような地域もございます。そうすると、早く打てるよみたいな話があると、ついついだまされてしまうということもあるのではないかと思いますので、そういったことのないように、報道各位におかれましても十分な報道をお願いしたいと思います。

冒頭2点目のECサイトの件についてなのですが、るる分析があるかと思うのですが、特に足りてない、消費者のニーズには不足しがちな情報はどういったものであって、それに対して、長官としてどういう対応をしたいかというのは、今どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

お手元の、調査の分析の結果の概要のところを御覧いただくと、ECサイト上での食品購入に当たって知りたい食品基本情報としては、「名称」、「内容量」、「消費・賞味期限」、「原材料名」、「原産地等」というのが多くて、特に「消費・賞味期限」についてのニーズが高いという状況にあります。
一方で事業者からは、ECサイト上の情報、要は消費者が御覧になるときと実際に配送する時期に、どうしてもタイムラグがあるので、それについてどういうふうにしていくかという悩みが、お手元の資料では期限情報提供に関する課題(特に期限残情報)というところに、そういうことが書かれておりますので、そういったことをどうしていくかと。要は、現物ですと、目の前のものを手に取ればいいということになるのですけれども、ECサイトの場合は、そこで注文するときと配送するときにどうしても時間差があるので、そこについての商品管理がきちんとできるのかという悩みが、事業者からは寄せられているので、その辺りをどうするかというところがあろうかと思います。
なお、アレルギーについても非常に関心があるのではないかと思ったのですが、アレルギーそのものに特化したものというよりは、原材料を御覧になるという方がいらして、その原材料が実は意外と見にくかったなんていう、消費者側からもそういったようなお話もあるので、そういったものをどうしていくかというようなことも、また議論としてはあるのかなと、このように思っております。

具体的なのは検討会で検討されるのかなと思うのですけれども、まずはやはり消費者が、より分かりやすいというか、混乱ないようなECサイトというか、通販の場というか、環境が整っていくことが大切なのかなとは思うのですが、その辺り、長官、どのように方針考えていらっしゃいますか。

今後もECサイトを利用して食品を購入される方というのは多いのではないかと思います。その際、具体的に現物をよく御存じでそれを買われる方もいれば、ECサイトのみをもって判断される方もいらっしゃるということがあろうかと思います。特に後者に関していうと、やはりある程度の情報がないと、とても心配だということはあろうかと思いますので、そういった、消費者の方がどうしても知りたいこと、それから、別にそこはそんなにこだわらないよという、許容する部分が当然あろうかと思いますので、それがどの程度、ものがあるのかということについて、更に意見交換もしながらですね、一方で、事業者の方がそれが間違いなくできるということも大変大事になると思いますので、そういったことについても、実態把握、もう少し意見交換をしながら、こういった辺りは是非やっていこうではないかというような考え方の整理ができればと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
関連なのですが、今のお話の中で、Codexの方でも国際的にもルール作りが始まっているということで、来年の夏頃までに、報告書なり、まとめは出したいということだと。これは、いろいろなことの課題などを把握して、ECサイトの表示の制度化であるとか義務化であるとか、つまり、ここに出てくる食品基本情報というのは、食品表示基準の、よく包装に表示されていることに義務付けられている情報というふうに前の部分で書いてありますので、容器包装の部分の義務化の部分の表示事項であるとか、そういうことについてもECサイトでも義務化されるのかどうかということをちょっとお聞きしたいと思います。

Codexは議論が始まっているというところでして、やはり同じように、いろいろな悩みを抱えていると聞いております。それに、そんなに遠くない時期にCodexとしてのその考え方が提示されるというふうにも聞いておりますので、それを見ながら考えるということになろうかとは思います。今の義務化について考えるのかという御質問については、今直ちに義務化をするという性格ではなくて、まず、ECサイトでお買いになられるときに、皆さんが安心して便利に使っていただくための情報提供のありようというのを整理していくと、それがまず先なのではないかなと思っています。
Codex自体も、直ちに義務化とか、そういったところまでは至るかどうかも分かりませんので、国際的な整合性もよく見た上で、制度をどうするかというのは考えるべきだと思っております。ただ、それをずっと待っているというわけにもいかないので、まず、来年の夏くらいまでには、こういうことぐらいはやっていこうではないかというようなことを、ある程度の考え方として整理をしていきたいと、このようなことでございます。

朝日新聞の前田です。
今のお話に関連してなのですが、ちょっと現状の整理なのですけれども、現状は、ECサイトで食品を売るときに、これを表示しないといけないっていう決まりはないんですよね。

はい、ありません。食品表示は、容器包装に対して行うというもので、現物をまず買うときに基本的にやるというものですので。

なので、義務化をどうするかというのは、国際社会でもいろいろと、これから議論がされるところだというお話なのだと思うのですけれども、で、さっき長官のお話の中でも、それを事業者が確実に実施できるのかということも非常に重要だということがあったと思うのですが、義務化すると消費者からすると安心なのですが、それがきちんと表示されているということになると思うので。ただ、そのハードルが幾つもあるのだろうなと思うのですが、具体的にどんなことが義務化するとなったときに難しく立ちはだかるとお考えでしょうか。

基本的に義務化という考え方は今ないので、義務化を前提にした議論はしていないのですが、現物との違いを言うと、先ほど申し上げましたように、現物の場合は、今、目の前にあるものを要は買うことができるわけですけれども、当然ECサイトの場合は、目の前に表示されているものを消費者の方が選ぶ時期と、発送される時期には当然タイムラグがあります。それから、当然ECサイトに載せるときに当たっても、やや時間のタイムラグがございますので、そういったタイムラグの問題をどう考えるかというのが一番大きいのではないかと想像しておりますけれども、その辺りもよくお伺いをしなくてはいけないかなと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
別件で、2点お聞きしたいと思います。
一つは、福島原発からの放射能汚染を処理した水ですね、その処理水の海洋放出ですか。消費者庁は、これまで定期的に食品と放射能のリスクコミュニケーションを開催してきたりとか、リスクコミュニケーター育成に努められてきたりとか、幅広い形のアンケート調査であるとかを実施されてきました。これらは全て風評の払拭ということが目的かと思いますけれども、今回の海洋放出についてはどんな対応を、これからのことだと思いますが、どんな対応をお考えなのか、お考えあればお聞きしたいというのが一つ。
もう一つが、先週なのですが、国民生活センターが18歳から24歳までの若者の契約被害について事例を公表されました。で、その中の一つ二つが、定期購入のことが書いてあったもの、被害で詐欺的な定期購入ということなのですけれども、ずっと指摘されてきた定期購入の支払に当たって、消費者側が支払いするに当たって後払い決済サービスというのがですね、コンビニで利用される立替払いの後払い決済サービスというのがあるのですが、それが土日も利用されるということで、それを使って未成年者、高校生の女性だったのですが、未成年者がクレジットカードを持っていないということで、このサービスが簡単に与信を受けることができるということで、非常にこのサービスを使った支払方法が増加しているということが、全国消費生活相談員協会の110番であるとか、これまで今年発表されましたNACSのADRの報告書であるとかというところでも指摘されていて、今回国民生活センターは若者被害の注意喚起ということでしたが、全体的でいいんですけれども、こういう事例に対して消費者庁として何か対応があればお聞きしたいと。
要するに、この立替払いの後払い決済サービスというのは、割販法でも資金決済法でも触れられない、要するに具体的に規制が難しいということを言われてきていて、隙間事案じゃないかとずっと言われてきた部分、分野なのですけれども、今回特商法の中では特段そこの点ではないような気がします。いわゆる詐欺的定期商法ということはあるかと思いますけれども。ということがありまして、これからの議論だと思いますけれども、何かお考えがあればお聞きしたいと思います。

まず初めは、昨日の関係閣僚会議で、福島第一原発の処理水の処分について、海洋放出により処分するという基本方針が決定されたということに対する風評の影響に対しての、消費者庁としての取組という御質問だと思います。先ほどお話いただいたとおり、消費者庁ではリスクコミュニケーションということでずっと調査をしていて、風評被害に関する消費者意識の実態調査ということで、2月26日にそれは公表していますけれども、東日本大震災から10年を経て、減少傾向にあるけれども、食品の購入をためらう産地として、いまだ1割弱の方が福島県と回答されているという実態があり、やはり風評というのは、なかなか難しいものだなと思っております。
今回のことにつきましても、そういった風評に対する影響についてどうするかということは、政府一丸として取り組む必要があろうかと思いますが、当然消費者庁としても、そういったリスクコミュニケーション、今までやってきておりますので、そういった今までの取組を生かしながら、うまく関係省庁と連携して、これをしっかりとやっていくということだと思います。
現時点で、直ちに、具体的にこれをどうするというところまで、実際に放出されるまで時間もまだあろうかと思いますが、それはこれから関係省庁とよく情報共有をして、食品の安全性に対する正しい理解が広がるようにしっかりと対応していきたいと、このように思っております。
それから、二つ目の若者と定期購入という御質問でございます。これは幾つかのことをおっしゃったのだと思いますが、まず、定期購入自体の話については、今回の特定商取引法の改正において、定期購入であるか否かということはきちんと分かるようにすると。そうじゃないと困るよということを、かなりしっかりとやっていくという法改正を出させていただいているというのが一つ目です。
それから、もう一つは成年年齢の引下げに伴う話として、未成年者、今の18歳、19歳の方々等、特に若い人について、だまされないように、ということをしっかりとやっていく必要があると。これは4月の初めにも、新生活のスタートに当たっての話として私からも申し上げさせていただいたところでありますが、関係省庁と連携して消費者教育をしっかりしていくということも、4省庁の大臣等にも御出席いただいてやっているところでありますので、これもしっかりやっていくということだと思います。
三つ目が、恐らく後払い決済サービスそのものの話なのだというふうに思います。これについては確かに御指摘のとおり、いろいろな制度の隙間のところはあろうかと思いますが、まず、やはり先ほど申し上げた1番目と2番目を、その決済サービスそのものの仕組みというよりは、定期購入そのものというのがきちんと分かってやるということと、それから、それに対してだまされないようにしっかりとやるということがまず大事なのだろうと思います。
御指摘の、その後払い決済サービス自体について何ができるかについては、宿題としてまた考えさせていただきたいと思います。

朝日新聞の前田です。
風評被害の関連でいろいろと調査もこれまでされてきていますけれども、消費者庁としては、風評被害というのはどのような被害だというふうに考えているのでしょうか。

科学的な知見に基づいて判断されていないということなのだと思います。だから、もちろん科学的な知見に基づいてきちんと情報発信をして、御理解をいただくということが大事で、誤った情報で行動をされないようにと。正にそれがリスクコミュニケーションということだと思っておりますので、こういったことをしっかりしていく。非常に不安だという気持ちも一方でよく分かるのですが、それについては、エビデンスを持ってきちんと御説明していくことが大事なのだろうと思っております。

NHKの秋山です。
昨日、衆議院消費者特委の方で取引デジタルプラットフォーマーの法案の方が成立して、恐らく本会議の方で間もなくなのかなと思うのですが、幾つか附則の議論もあったかと思うのですけれども、まだ参議院も残していますが、今の時点でその受け止めなどを伺えたらと思います。

衆議院の委員会の審議が終わって、まだ本会議もこれからということなので、余り具体的なことは申し上げるような時期ではないと思いますけれども、あのときの検討会でも御指摘いただいた幾つかの宿題について、幅広く附帯決議、あるいはその委員会の質疑の中でも頂いたと思っておりますので、これはこれから法案、きちんと成立したらということになりますけれども、しっかりと官民協議会なりを含め、実態をきちんと把握をして対応させていただきたいと、このように思っております。

ここ数日、報道でこども庁の話題がかなり出ているかと思います。消費者庁の所管でも、安全法で、子供の窒息事故ですとか、転落事故ですとか、事故調も含めてかなり子供をテーマにしたものも取り扱っていることが多いと思うのですが、まだ与党内議論がまとまっていない段階で長官に聞くのも恐縮ではあるのですが、このこども庁と今の消費者庁の関係性とかっていうので、何か今、方向性、話が進んでいるものとかっていうのはあったりするのでしょうか。

まだ政府というか、党などの中で議論が始められたところだと思いますので、具体的に消費者庁のこの部分がどうだとかいうことは、今のところまだお伺いしていないものですから、そうした議論があればまた考えたいと思います。

すみません。前田さんの先ほどの風評についての質問で、ちょっと補足させていただくと、科学的に根拠に基づくということと、きちんと情報発信を要はするということと、双方向のコミュニケーションであるということがすごく大事だと思いますので、その点を補足させていただきたいと思います。