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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年3月24日(水) 14:04~14:14 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

私からは2点、申し上げたいと思います。
1点目は「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会」についてです。昨年6月に成立した「公益通報者保護法の一部を改正する法律」によって、事業者に対し内部通報対応体制の整備が義務付けられることとなりまして、具体的な内容を指針で定めることとなりました。消費者庁では、昨年10月に、学識経験者、関係団体等から成る検討会を設置し御議論いただいてきましたが、3月22日に報告書についておおむね合意が得られたものと理解しております。報告書については、現在、最終的な文言の調整を行っておりまして、今月中をめどに公表する予定です。消費者庁では、報告書の内容を踏まえ、4月以降、パブリックコメントや消費者委員会からの意見聴取など、指針の策定等に向けた取組を進めていきたいと思っております。
また、本日、消費者庁において、公益通報者保護に関する一元的な相談窓口の運用を開始いたしました。これは、現在の公益通報者保護制度相談ダイヤルの機能を拡充し、どの行政機関に通報すればよいか分からないといったような、通報先に関する御相談等に対応するために新たに設置するものであります。これは、法改正に関して示された消費者委員会答申で、一元的な相談窓口の設置についても言及されておりまして、これに対応するものであります。
このほか、公益通報者保護制度に関連して申し上げることがあります。一昨年2月から内部通報制度認証の運用を開始しておりますが、同認証への登録事業者が今月100社となりました。消費者庁としては、法改正のみならず、こういった改正法や指針についての広報周知、それから、これに関連する取組も通じて、制度の実効性の向上に向けた取組を進めていきたいと考えております。これが1点目です。
2点目は、各省庁による生活者・消費者向けの教育・情報提供リンク集の公表についてです。消費者教育の推進に当たっては、「だまされない」という視点に加え、より良い社会の実現に向け積極的に参画する「自分で考える」消費者を育成するという視点も重要であり、狭い意味での消費者教育にとどまらず、金融から環境、食育まで、大変その対象は幅広いと考えております。それぞれの省庁でいろいろなことをやっているわけですが、関係省庁の取組に横ぐしを刺し、効果的な情報発信を強化するという観点から、昨年11月に開催した課長級の「生活者・消費者教育に関する関係府省庁連携推進会議」の成果として、これまで各省庁が個別に提供していた、生活者・消費者に向けた啓発や教材の情報を一覧化したサイトを先週公表いたしました。消費者教育ポータルサイトから御覧いただけるので、教育現場の方とか、あるいは生活者・消費者のそれぞれのお立場の皆様が活用いただければと思っております。

質疑応答

フリーの木村です。
先日、トクホの疾病リスク低減の検討会が取りまとめを行ったんですけども、その取りまとめの内容について、長官の受け止めをまずお聞かせください。

先日開催した、第3回「特定保健用食品制度に関する検討会」では、これまで頂いた御意見を踏まえて「今後の運用の方向性(案)」について御議論をいただきました。その結果、今後の対応として消費者庁において、むし歯に係る疾病リスク低減表示及び許可文言の柔軟性について速やかに具体的な対応を進めること、それから、併せて必要な情報を収集しつつ、トクホ制度全般について検討すること、ということが「今後の運用の方向性」において盛り込まれたと承知しております。
まず、速やかにといったものについては、できるだけ早くやりたいと思っておりますし、また、今後全般という話については、やや大きな話もございますので、しっかりと受け止めて議論していきたいと、このように思っております。

その全般論なんですけども、ちょっと漠然としていて、トクホ全般を見直すといってもかなり幅広過ぎて、もう少し何か方向性とか、分かるように何か説明していただければありがたいのですけれども。

有識者による報告書で、そういう整理になったということでございますが、私の方の感想を申し上げさせていただければ、かねてより申し上げているとおり、健康食品全体についてどういうふうに考えていくかということは大変大事なことだと思っておりまして、その中でトクホ制度をどう考えていくかという視点も大事なのだろうと思っておりますので、そういうことも含めて全体を議論するという受け止めを、私としてはさせていただいているということであります。

朝日新聞の兼田です。
昨日公表されましたVISIONに関する行政処分についての質問です。昨日の話も改めて踏まえますと、前回、前々回の行政処分を逃れる形で営業を続けて、こういうふうな事実上の被害と言っていいと思うのですが、拡大してしまったと。これは事実上、その行政処分の中身である業務停止命令とか、そういったものが有名無実化しているということになってしまうと感じるのですが、その辺どうお考えでしょうか。

WILLも含めて、後継会社であるVISIONということを入れると3回の行政処分を行ったということでございますので、大変悪質な事案であって、大変残念なことだと思っております。これ自体については、私ども、法と証拠に基づいてしっかりと対応させていただいたということだとは思っておりますが、もともと特商法でやらせていただいていますけれども、案件としてはいわゆる販売預託の考え方で、それが今の法律上は政令指定の間をすり抜けているというような事案であったかなというふうに思っておりまして、こういうことも踏まえて、今回、特商法、預託法についての改正を出させていただいたところでありますので、こういったことが起きないようにしっかりとやらせていただきたいと。もとより、一つ一つの特商法に違反する行為があった場合は、法と証拠に基づいて厳正に対処するということは変わりありませんけれども、その法改正に至ったものの一つの、こういった事案などを法律改正も含めてやっていく必要があろうと思っております。

そうしますと、今回の例に限らずですね、こういうかなり悪質な事業者もいるので、そういった穴をふさぐ意味でも今回の法改正に至っているというようなお話と理解していいのでしょうか。

はい。これはいわゆる販売して預託をするという意味においては販売預託という類型になると思いますが、今は政令で限定列挙をされておりますので、その間を要はすり抜けた格好になっていくということでありますので、こういうのは常に追いかけていっても追いかけていっても、ということになるので、そういったことについて全面的に対応できるように、今回、原則禁止という方向を打ち出したということだと思います。
この事案については、もちろんしっかりと個別事案として対応させていただいたということでありますけれども、こういった類例が起きないようにということにおいては、法改正といった形で対応させていただくということも大事かなと思っております。

逆の聞き方になってしまうのですが、そうすると、現行法でもう対処できることは全てやって今に至っているというような理解でいいでしょうか。というのはですね、やはり1年半くらい前に財対室が注意喚起を安全法に基づいてして、せっかくああいう形で事業者名も公表したんですけども、昨日の発表によりますと、その後くらいから670億円くらい事業者の側に渡っちゃっていると。これをどう捉えればいいのかというところが言いたかったのですが。

御指摘のとおり、1年半前に、これについては注意喚起をさせていただいて、関係者にも、こういったことを注意喚起したということをお伝えしたということはございますが、残念ながら今のような状況に至ったということはございますので、我々としてはできる限りのことをしたつもりでありますけれども、もっとほかに情報提供の仕方など、やることがないかについては、また一回振り返って考えてはみたいと、このように思っております。