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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年3月10日(水) 14:00~14:11 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

明日3月11日で東日本大震災の発災から10年の節目を迎えます。震災の犠牲となられた方々に改めて追悼の意を表するとともに、被災地の復興をお祈り申し上げたいと思います。それに関連いたしまして、私からは二つお話をしたいと思います。
一つ目は、食品中の放射性物質等に関する理解増進についてです。先日2月26日に既に大臣から、「風評被害に関する消費者意識の実態調査」を紹介させていただいておりますが、福島県産の物の購入をためらう人について、大幅に減っているとはいうものの、いまだ1割弱の方が「購入をためらう」と回答されている状態にあります。被災地等で栽培された農産物については、関係者の御努力によって、近年、食品中の放射性物質の基準値を超過するものは見られない、きちんと栽培管理されているものには見られないというような状況となっております。
消費者庁といたしましては、食品中の放射性物質や被災地の現状等について消費者の理解増進を図るため、引き続きリスクコミュニケーションの取組を推進することとしておりまして、3月初めから食品中の放射性物質に関する説明動画をウェブサイトで公開しておりますし、3月23日に福島県下でオンライン形式の意見交換会を開催することにしております。
なお、被災地に限らず、全国にきちんとそれを知ってもらうことがもちろん大事なことでございますので、本年5月の消費者月間の中で、エシカル消費の一環として被災地産品をPRすべく、動画等の作成も今進めているところであります。今後とも、被災地の復興に資するよう、被災地産品の風評払拭に向けた取組を進めていきたいと思っております。
二つ目は、保険金が使えるという住宅修理サービスのトラブルに関連する注意喚起についてです。地震等の自然災害の発災後は、災害に便乗して住宅の修繕費用の補償に係る保険金に絡んだ悪質な勧誘を行う事例が度々発生しておりまして、消費生活相談に関しましては、保険金が使えるという住宅修理サービスに関する消費生活相談は、昨年度の同じ時期に比べますと2倍くらいになっているという状況で、非常に増えている状況にあります。これまで消費者庁においては、数次にわたって注意を呼び掛けてまいりましたが、こうしたことを踏まえまして、改めて「保険を使って無料で修理をします」といった勧誘について、関係の業界団体と連携して注意喚起資料を作成いたしましたので御覧いただければと思っております。不審・不安に思われたら、注意喚起資料に記載してあるように、消費者ホットライン188や、保険に関係することは各保険会社等に御相談いただきたいと思っております。

質疑応答

NHKの秋山です。
冒頭でありました、保険金が使えるというところなのですが、もし現時点で分析など、何かありましたら教えていただけないでしょうか。

保険金が使えるという住宅修理サービスに関する消費生活相談は、前年同期の約2倍くらいになっておりまして、一方で、2019年度と2020年度を見ると、2020年度が殊更災害が多かったかと、要は住宅の補修を必要とするような災害が多かったかというと、逆の状況にあります。
あと、もう一つは、相談の状況が割と全国に広がっているという特徴も実はございまして、2019年度に大きな被害が各地で起こりましたので、こうしたことでいろいろとそういう商法が、また2020年度に全国で広がったのではないかと私どもとしては見ているところであります。そういう意味で、今回こういう形で改めて注意喚起をさせていただきたいと思っているところであります。
損害保険協会の資料も出しているところですが、自己負担がゼロですとか、あるいは強引な契約ですとか、うその理由での請求ですとか、そういったものも見られるということでございまして、これは御自身も結果的に見ると詐欺に該当するようなことに加担するということになることもございますし、それから当然、金銭的な被害を受けられるということもあるということでございますので、十分に御注意いただきたいと思っております。

読売新聞の加藤です。
コロナの予防接種に関してのホットラインの相談件数なんかがあれば教えてください。

ワクチンの件ですが、PIO-NETの3月9日までの登録分で、新型コロナ関連のワクチン接種に関する相談件数は、少なくとも32件になっております。上記以外の新型コロナ関連のワクチンに関する相談件数は、30件超という状況になっております。内容としては、やはり従来からありますように、4,000円のところ400円で接種できると言ったり、あるいは、予約は始まったので、メールでいろいろ情報を取ろうとする、このようなものがあります。要は飽くまでもこれは無料でやるということと、それからそんないたずらに個人情報を求めるようなものにはなっておりませんので、その点には皆さん十分注意をしていただいた上で、御心配なことがあれば、0120-797-188(なくな、いやや)に御相談いただければと思っております。

NHKの秋山です。
冒頭であった風評被害の件なのですが、3月1日から動画というか、ウェブ上でシンポジウムを配信されていて、確か先週で意見募集の期間は締め切られたと理解しているのですけれども、今の時点でどの程度意見が集まってきているかなど、もし分かれば。

(消費者安全課)今、結果については集計中でございます。申し訳ございません。

分かりました。意見の募集についても公表されるということで?

(消費者安全課)頂いた意見、質問については、こちらの方で回答を付けて公表させていただく予定です。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
今の風評被害の件なのですが、ちょっと今定かではないのですが、調査の発表のときに、基準値について受け入れられるというアンケート結果が50%くらいで、情報がないのでちょっと難しい、受け入れられない、というよりも明確な回答ができないというのが30%で、これは確かあれからずっと続いているような、要するにそんなに変化がないような、そういうグラフだったと思うのですが、これに対してはリスクコミュニケーションの徹底であるとか、周知をするということが確か書いてあると思ったのですけれども、このようにその基準値が今ちょっと話題になっているのですが、この辺について何か受け止めがあるかどうかということです。

御指摘のものは、基準値以内であれば放射性物質のリスクを受け入れられると回答した人の割合が50%で、余り変わっていないという状況のことをおっしゃっているのだと思います。基準値の議論につきましては、私どもというよりも別の場でいろいろ議論がされるというふうに承知しておりますので、またそれを見ながら必要な調査があればやっていきたいと思っております。

もう一点なのですが、本日だったと思います、消費者庁の方で公表されましたOECDの消費者安全勧告でしたっけ、あの仮訳の。OECDの方でCCPが去年提案したものを、OECDの方で理事会が決定したということについて。

すみませんが、ちょっと手元にないので、調べて、また個別に御報告をさせていただきたいと思います。

朝日新聞の兼田です。
冒頭の保険金のことでもう少し教えていただきたいのですが、通常は、実際に災害が発生したエリアの周辺に飛び込み営業のような形で行って、それらしい家を見付けて多分勧誘しているかと思うのですけど、それが全国に広がっているとなると、何も発生していない地域でどういう家を狙って行っているのかというのはイメージが湧きにくいのですが、その辺り何か情報はありますか。

恐らく、大きな災害ではなくても、風だとか、それから雨漏りの類いとか、そういったものはあると思いますので、そういったものが使えるというようなことで、要は絡めていくというのですかね、そういうような例も見られるとは聞いております。今の分析まではちょっとできていないのですが、個別の地域で苦情や相談が多いというのではなく、比較的全国に散らばっているという傾向がやや気になるなと思って申し上げているということでございます。これについてはまた我々の方も分析してみたいと思います。