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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年2月24日(水) 13:30~13:46 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)

発言要旨

まず、食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会の開催についてお伝えしたいと思います。食品添加物の不使用表示については、令和2年3月に取りまとめられた「食品添加物表示制度に関する検討会報告書」において、消費者の誤認を招く無添加表示が存在する一方、具体的な表示禁止事項の解釈を示す通知が不明確であるということがございまして、食品表示基準の表示禁止事項を明確にするため、「無添加表示」に関するガイドラインを策定することが提案されております。これを踏まえまして、3月4日に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会」を開催することといたしましたので、お知らせいたします。この検討会はおおよそ一年をかけて検討を行いまして、来年度末をめどに、ガイドライン案の取りまとめを行っていただく予定としております。

質疑応答

NHKの秋山です。
ガイドラインについてですが、添加物の不使用表示に関する議論も、かなり時間をかけてじっくり議論をされていた印象があるのですけれども、ガイドライン策定が必要だという声も当時強く聞いていて、一年経ってしまって立ち上がったというのは、どういった事情があったからなのでしょうか。

いろいろな事例があるということでございましたので、関係の業界などからいろいろ御意見をお伺いして、メンバー選定をしなくてはいけなかったので、それにやや時間を要したということです。やはり食品添加物の不使用表示については結構商品選択の参考にされている方が、平成29年度の消費者意向調査によれば、調査対象である1万人の消費者のうち5割以上がそうだという一方で、その中身の正確な意味がよく伝わっていないとか、どういう場合が該当するかということがやや分かりにくいという状態になっておりました。これについて整理する必要があり、具体的にどういうものがあるのかなどを調査していたために時間を要したということであります。できるだけ早く整理をしたいと思っております。

長官としてもこのガイドラインの重要性というか、今、アンケートでもあったみたいに、すごい、消費者としてニーズは高いけれども、理解されている方がまだ十分ではない点があるというところだと思いますが、その力の入れ具合というか、長官としての思いみたいなのは、どういうふうに感じていらっしゃいますか。

何が不使用と言っていいか、悪いかということを明らかにしないと、消費者が思われている不使用とか無添加のイメージと実態がずれているという状態があるようですので、それを、こういう場合はいいけどこういう場合は悪いということを明確にしていくことが食品表示の制度にとって非常に大事なことだと思っておりますので、それはきっちり私どもの解釈としてやらせていただきたいと思っております。

朝日新聞の兼田です。
今日昼に、消費者団体を中心に、特定商取引法と預託法における書面交付のデジタル化に反対するという、オンライン院内集会と題したイベントがありまして、私も見たのですが、やはり多くの懸念の声が上がっていました。ちょっと最初からおさらいさせてほしいのですが、このデジタル化の動きというのは、かなり急に出てきたというような理解でいるのですけれども、どういう経緯で去年の秋口くらいから庁内で検討が進んでいたのかというところを、ちょっとお尋ねしてもよろしいですか。

ちょっと詳細資料を持ってきていないので、不正確だったら後で訂正させていただきたいのですが、デジタル化、これは政府全体で、いろいろな民間との手続等に関して、書面交付等々を義務付けているものについて調査をした結果、幾らか残っているものがあったということだと思います。それで、残っているものについて、今の紙だけのやり方だと消費者の利便性に欠ける部分があるのではないかという話があったということだと思います。そうした中において、では、一括法でやるかどうかという議論になったときに、やはり消費者保護という観点があるので、一括でやるというよりは、より丁寧なことをやっていく必要があるだろうと我々も思ったことと、特定商取引法等の改正が現にあるということもございましたので、そのために今回、一括法ではなく特定商取引法等の中で整理をするというふうにしたということです。政府全体のデジタル化の流れの中で出てきたということでございますので、特商法、預託法の議論をしていたときには俎上に載っていなかったということです。
その中で、消費者委員会の建議が出たところです。その際に消費者保護の観点から、より厳格な運用をするようにということを御指摘いただいております。
要は、消費者が実際は承諾していないのに承諾しているようなことになってはいけない、それを悪質事業者に利用されることがあってはならないといった観点からの御指摘だと思っておりまして、今回、事業者が契約書面等を交付するに当たっては、では、具体的に言うと、どういう形だったら、きちんと消費者の承諾を得たことになるのか、逆に言えば、どういう場合はならないのかということについては、施行までの間に、もし法律を通していただければということではございますが、きちんと整理をしたいと思います。これは消費者委員会からもいろいろな御指摘をいただいているので、それに応えるべくやっていこうと、こういうふうに思っているということであります。
なお、併せてクーリング・オフの話は、むしろ消費者の方からもやってほしいといった話もあると、これは消費者委員会の中でも話がございましたので、これは消費者側からみて、クーリング・オフという機会、手段が増えるということなので、併せてそれを措置したいということで検討を進めたということです。
政府全体でのデジタル化の中で出てきたということにおいては、8月の検討委員会のときにはなかったのは事実です。

確認になりますが、秋口に規制改革会議で、確かオンラインの英会話の事業者さんからの要望が発端だったと承知しているのですが、その対面取引もひっくるめて今回一括で対応しようということになったという部分の経緯については、どういう議論があったのでしょうか。

それについては私どもの中で、それ以外も消費者からすると、むしろメールでやれる方が便利だというニーズもありますので、紙のみに限定する必要性があるだろうかと。
もちろん消費者が承諾していない場合は論外ですけれども、消費者がむしろそれを望むのであれば、それがその手段としてあることは、決して消費者保護の観点からは問題ないのではないかということで、そういう整理をさせていただいたということであります。

そういった利便性と、今回こういったものを導入することによって起こり得る弊害というようなものがあるとした場合に、弊害の方が結構大きいのではないかというのが消費者団体などの主張だと思うのですが、そういう反対の声が多い中で、このままやはり法案に盛り込むということに変わりはないのでしょうか。

御懸念は、むしろ先ほどの、承諾の取り方とかが本当に悪用されないのかということだと思います。そういう御懸念があるからこそ消費者委員会が建議をしていただいたというふうに私どもは認識しておりまして、そういった建議にも従いますし、当然、実質やるに当たっては、どういうやり方ならいいのかということを考えていくということではないかと思います。
デジタル化の流れ自体は、対応する必要があることもたくさんあるわけですが、そのときに、入口で駄目だと言うのか、入口は入れるのだけれども、そのときにどう消費者保護に欠けないようにしていくかということが選択肢としてはあると思うのですが、今回そういう意味では、消費者保護に欠けないような形で是非やりたいと思っておりますので、どういう点が、本当に具体的に問題になりそうかということについて、じっくりお話をお伺いして対応させていただきたいと思っております。

今回、進め方について、取り分けやはり疑問の声が上がっているのですが、拙速だという指摘に対してはどのようにお考えでしょうか。

ちょっと話題が出たときには、どうしても後半だったというところはあるとは思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり消費者委員会からも建議を頂いていますので、それから、当然、法案が通ったらということでございますが、施行するまでの間、時間がございますので、どういうやり方ならいいのかということについて様々な御意見をお伺いして丁寧にやりたいと思っております。

朝日新聞の前田です。
今の点に関連してですが、長官のお話は、消費者からするとメールでやれる方がいいというニーズがあると、消費者が望むのであればというお話だったのですけれども、対面取引もひっくるめて契約書面がデジタル交付化されるという議論の中で、いつ消費者からのそのニーズを消費者庁は受けたのでしょうか。

全部がデジタル化になるというふうな誤解のあるようなお尋ねの仕方は是非やめていただきたいと思いますが、原則書面交付で、消費者が望まれるのであればメール等で対応できるというふうにしたいと思っておりまして、メール等で行うに当たっても、やはりそうは言っても悪用されるおそれがあるのではないかということがあるので、その点をきちんとやりますということであります。
具体的に何かの御要望を頂いているということがあるわけではないのですが、若い人の中ではそういうことがあった方がいいのではないかという意見もあるのではないかということで、私どもの中でそういう議論があったということであります。具体的に何か紙で要望を頂いているとか、そういうことではございません。

であるならば、さっきのそのお話ぶりもちょっと誤解を与えるのかなというふうには思ったのですけれども。消費者からするとあった方がいいのではないかというのは、想像なわけですよね。

私どもの職員も、私どもそのものも消費者ですから、そのときに紙でないと絶対駄目かと言われると、むしろメールなんかの方が後々の記録が保存されていいとか、そういうことについてどうだろうかという議論を中でさせていただきました。
ただ、御指摘のとおり、具体的に紙で要望書を頂いたかとか、そういうことについてはなかったので、その点誤解を招いたのであれば訂正をさせていただきたいと思います。

NHKの秋山です。
今日の大臣発言で、対応マニュアルを作成されたという発言があって、コロナで心理的な影響が大きい現場があるというところで、かなり大臣、肝煎りでやっていらっしゃったようには受け止めたのですが、やはり足場となっている相談現場を支えるというのは、なかなかマニュアルだけで事済むわけではないような気はするのですけれども、改めて長官としては、現場の支援だったり、現場のコロナ禍での大変さをどう補っていくかみたいなことは、今はどのように考えていらっしゃいますか。

対応困難者の話については、実は緊急事態宣言下においてもそういう議論があって、皆さんどうしても緊急時になったときには通常とはちょっと違うお気持ちになられるということもあって、現場で非常に厳しい物の言い方をされる例があったりということは報道などでもあったかと思います。
その際、私どもの方からも、新しい日常の中の行為として伝えていただくときには、是非一呼吸置いてお伝えいただきたいということも、意見の伝え方としてお知らせをしたところでございますし、また、併せて1月13日の消費者教育推進会議で、消費者側の方での伝え方等々についても、緊急時における消費者行動についてということで、きちんと伝わるような物の言い方をしましょうと、意見を伝える際の適切な使い方や行き過ぎた言動の例などを示すなどして、消費者に対する注意を促すなど、そういったことをまず消費者側の方はさせていただきました。
その一方で、対応困難者の相談を受ける側について、どこまで丁寧に対応したらいいかというのが非常に分かりにくいという現場のお悩みがあるということでございましたので、大臣の御指示もありまして、対応困難者の相談対応マニュアルというのを作成させていただいたということであります。
もちろん現場の方はこれだけではなくて、かねてより申し上げておりますようなPIO-NETのデジタル化なども含めて、現場の方の負担を軽減することを考えていく必要があろうかと思っておりまして、これも引き続き非常に大事な話なので、しっかりとやらせていただきたいと思っております。

ワクチンのホットライン、約1週間経ったかと思いますが、現状の状況を教えていただけないでしょうか。

新型コロナ関連のワクチン接種に関する相談件数ですが、全体で少なくとも19件、ワクチン接種ではないことも含めて、ワクチンに関する相談件数はそれ以外に約20件、22件くらいあるという状況でございます。
新型コロナワクチンを今すぐ接種できるのでお金を払うようにといった電話があったとか、テレビ局を名乗った電話があって、ワクチン接種に関するアンケートと言われて個人情報を伝えてしまったとか、このようなものがあったという報告を受けております。