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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年2月3日(水) 14:00~14:12 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

20歳代の若者の情報商材をめぐるトラブルについて注意喚起をしたいと思います。消費者庁は情報商材に関連して特定商取引法に違反した事業者に行政処分を行い、昨日2月2日に公表いたしました。
近年、特に20歳代の若者を狙った情報商材に関する悪質商法による消費者トラブルが増加しております。新型コロナウイルス感染症を受けて、学生の皆さんもアルバイトをすることが難しい中で、甘い誘いに乗ってしまって悪質商法に巻き込まれることがあるとも思われます。「コロナの影響で収入が減ったので、副業を探し、情報商材を購入したがだまされた」といった相談も寄せられているところです。改めて、怪しい話には要注意ということで消費者に注意を呼び掛けたいと思います。おかしいと思ったら、是非、消費者ホットライン188に御相談いただきたいと思います。
更に申し上げれば、2022年(令和4年)の4月に成年年齢が18歳に引き下げられるということになっております。こういった点からも若者を狙った悪質商法に対しては、消費者庁としても引き続き厳しく対応していきたいと思っておりますが、報道各社におかれましても、注意喚起等について御協力を賜ればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

質疑応答

NHKの秋山です。
今、御発言のあった情報商材に関してですが、例えばコロナに関連した情報商材の相談件数などというのは、今、把握されていたりするのでしょうか。

コロナ×情報商材というわけではなくて、むしろコロナ禍で、要は収入が減っている中で、結果的に見ると、すぐに安易にもうかるといったものにつかまると、こういう話でございますので、直接コロナというよりは、コロナの影響下で厳しい状況に置かれているということが背景にあり、かつ、割と友達などにも相談する機会が少ないと思われますので、余計にそういう状況に置かれるのではないかということで、私どもとしては大変心配しているということであります。

ワクチン接種が間もなくというような報道もされる中で、不審な電話などが相次いでいるという報道もされておりますけれども、消費生活センターなどに寄せられている相談の件数や具体的な内容など、今、把握されているものがあれば教えていただけないでしょうか。

ワクチン接種をかたる消費生活相談は、消費者庁において確認した限りでは、現時点でまだ全国で数件程度、たくさん増えているという状況ではございません。内容としては、既に報道されているかもしれませんが、「コロナウイルスワクチンが接種できる。後日全額返金されるので10万円を振り込むように」といった、お金を要求するものと、もう一つのパターンは、新型コロナウイルスの予防接種を優先的に打てるといったようなメールが来て、それにURLが付いていて、恐らくそれをクリックさせることで個人情報をだまし取ろうとする、こういう2種類がどうも見られるようだと見ております。
昨年の特別定額給付金のときも詐欺等を疑われる電話があったということもございまして、先週、厚生労働省等とも連携してSNSで注意喚起を実施し、また私どもの井上大臣からも注意を呼び掛けていただいているところであります。引き続き相談状況を分析して、また違うパターンとか、いろいろございましたら、関係省庁とも連携して適時適切なタイミングで注意喚起を行うなど必要な対策を打ちたいと思っております。
市区町村等がワクチン接種のために金銭とか個人情報を電話でお尋ねするとか、あるいはそういうメールでお尋ねするといったようなことはないと聞いております。消費者におかれては、不審な電話などを受けた場合には一人で悩まずに、消費者ホットライン188に御相談いただきたいと思っております。

朝日新聞の前田です。
冒頭の情報商材をめぐるトラブル、5年で10倍と、ものすごく増えているなと思ったのですが、背景の分析というか、何かあるのでしょうか。

背景そのものは直ちには分からないのですが、若い人は、昨年の消費者白書でも、美容系と、それからやはり金銭というか、もうかる話というのが消費生活相談の上位に上がってきておりますので、こういった傾向が強まっているのだろうなと思っております。
いろいろな社会的背景があろうかと思いますが、我々としてはこういった情報商材というものをツールにして、悪質に消費者をだますという人を、とにかく根絶するような気持ちで一生懸命やっていきたいと、こういうことに尽きます。

明日、消費者委員会の本会議がありまして、特商法の改正に係る契約書面のデジタル交付についての建議が予定されています。建議自体は明日にならないともちろん分からないと思いますが、建議が出るということで御対応というか、今後の消費者庁の動きみたいなものに何かお考えがあれば教えてください。

明日2月4日に開催される消費者委員会本会議において、御指摘の建議案が議論される予定であることは承知しておりますが、まだ消費者委員会において御議論されている段階ですので、現時点でコメントをすることは差し控えたいと思っています。デジタル化の流れと、一方で消費者保護がきちんと図られると、両方が大事だと我々としては思っています。消費者委員会の方でいろいろな懸念を示されたということも承知しておりますので、建議に対してしっかりと対応していきたいと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
大臣会見の中で、デジタル時代の消費者問題についてOECDの中で検討をすると。日本の方でもリードしていきたいということでお話がありました。オンライン消費者被害への対応ということだと思いますけれども、これに関連してなのですが、この中のイメージをちょっとお聞きしたいということ。
あと、先ほどお話ししていました特商法の改正骨子、報告書の中でもそうでしたけれども、海外との連携というのがありまして、今回の骨子案の中で海外当局への情報提供制度の創設というか、導入とか、そういう中で書かれていて、それとの関連というのはOECDの今回のあれはあるのかどうかということ。
それと、徳島で国際消費者政策研究センターというのが設置されていますが、大臣会見の中で行動経済学という言葉が出てきていましたので、こういうのは徳島の戦略本部で検討されるのかというのがお聞きしたい点です。まあ、イメージですよね。

国際研究プロジェクトですが、これはデジタル時代の消費者の脆弱性と、それからオンライン上の悪質商法といったものを中心にOECD側と議論をしているところであります。デジタル時代の消費者の脆弱性ということに関しましては、この間のG20のサイドイベントでも、一時的にデジタル時代には消費者が脆弱になる可能性があるといったような議論があったわけなのですけれども、オンライン上でいつ、どのような消費者が、どういうふうに脆弱になっているのかというようなことを具体的に分析して、脆弱な消費者をどのように保護するのかといった方策等について検討したいと思っております。
また、今御指摘のありましたオンライン上の悪質商法ということでございますが、これは定期購入や消費者に不利な利用規約への同意など、オンライン事業者によるウェブサイトやアプリ設計等により、消費者に自らにとって不利ないし意図せざる決定をさせる手法というのが結構あるということが明らかになっているので、このパターンを特定するということと、それから消費者への影響を分析するというようなことをイメージしているということです。
今、OECD側と議論をしているところですので、2月以降、具体的な検討を開始して、4月のOECDの消費者政策委員会の議論、それから承認を得てプロジェクトの概要を決定して始めるということで、今年中に1次報告書を取りまとめることを想定して動かしていきたいと思っております。
二つ目の特商法等のお話でございますが、今回の海外との執行協力の話とは直には関係ないにしても、こういったいろいろな手法が当然分かれば、今回提出をしようとしている法案の施行などに関しても、オンライン上の悪質商法、それから広告表示と消費者の行動との関係を行動経済学の観点からも検証していただくということもありますので、施行までの期間にその研究が進んで、そこでいろいろと取り入れて注意喚起していける部分があれば是非役立てていきたいと思っております。
それから、センター長の依田先生は行動経済学が御専門でございますので、今、消費者庁の消費者政策課国際室が中心になって進めているところでありますが、適宜、徳島とも連携していくということになろうかとは思っております。

読売新聞の加藤です。
分かればで結構なのですが、この情報商材の件、今年の2558件、これって学生さんはどれぐらいだとかは分かりますか。

PIO-NETのデータなので、すみませんが担当に聞いていただきたいと思います。