伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年11月18日(水) 14:00~14:16 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)
発言要旨
まず、令和2年11月物価モニター調査結果についてお話をしたいと思います。
本日、令和2年11月の物価モニター調査結果を公表いたしました。調査期間は11月5日から9日までです。物価そのものについては特段の動きはないのですけれども、今回の意識調査では、ガスのスイッチングに関する調査を実施しておりまして、2017年4月のガス小売全面自由化以降に家庭のガスの契約を変更したかどうかということを聞いたところ、「ガス会社を変更した」と回答したモニターの割合は8.5%、「同じ事業者にて契約プランを変更した」のは3.0%であって、65.4%が「変更していない」と回答しております。
なお、令和2年3月に電気のスイッチングに関する調査をしておりまして、「電力会社を変更した」と回答したモニターの割合というのは、ガスの場合8.5%になっているところが24.2%、「同じ事業者にて契約プランのみを変更した」というのは、ガスの場合3.0%になっていますが、これが電気の場合6.9%であったことと比較すると、ガスの契約変更は電気に比べてあまり進んでいないという状況が改めて確認されたということであります。
なお、小売全面自由化以降の事業者からの勧誘や契約変更に関して、ガスの小売事業者が当庁から特定商取引法に違反して行政処分を受けた事例はありませんけれども、御案内のとおり、小売電気事業者が特定商取引法に違反して行政処分を受けた事例は発生しております。消費者におかれては、契約に当たって、その条件の説明を十分に受け、メリット・デメリットを理解した上で契約するよう、くれぐれも御注意いただきたいと思っております。
二つ目は「令和3年度消費者月間統一テーマ」の決定・公表についてです。
来年の5月の話になりますので、先の話にはなりますけれども、「令和3年度消費者月間統一テーマ」については、10月1日から1か月間、意見募集をさせていただきまして、その結果、今回テーマを「"消費"で築く新しい日常」に決定したいと思っております。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、デジタル化等が急速に進展する中、消費者被害の防止をやっていくということが一つ。もう一つは、買いだめや買占めなどの「今だけ」、「ここだけ」、「自分だけ」の消費行動を控え、社会全体のことを考えたよりよい消費行動をしていただきたい。この二つが新しい日常において消費者とともに考えていかなくてはいけないテーマであろうと思っております。まだ月間は先の話でございますので、また内容については、決まり次第随時お知らせしたいと思っております。
質疑応答
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問
NHKの秋山です。
今、御発言のあった消費者月間のことなのですが、まだちょっと先の話で、開催の形式などは今後検討かなとは思うのですが、今年、コロナの影響で開催自体がいろいろ大変だった状況あるかと思うのですけれども、来年に向けては何かアイデアだったり、今年のようなオンラインでの選択肢なども含めて検討されていくお考えなどはあるのでしょうか。 -
答
従来は、シンポジウムという格好でたくさん来ていただいて、リアルで開催するというのをやっていたのに対して、今年の取組としては動画とか、あるいはTWitterみたいなもの、SNSなどを活用した形での参加型、それぞれの人が、我々の方も発信するけれども、より個々の人に参加していただくというような形ができないかと工夫をしたところであります。この試みは結構面白かったというふうに思っておりますので、コロナの状況いかんにかかわらず、そういった個々の方々にも何らかの形で参加していただけるようなやり方がとれないかなと、このように思っています。
先ほど申し上げた消費者被害の防止と、それからエシカル消費といった発想のもの、両方特に新しい日常においてより鮮明になっているところがありますので、それぞれどうしていくかということは、これから考えていきたいと思っております。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
総務省の行政評価の結果と勧告についてです。昨日、大臣の御発言でもあったのですが、医業類似行為等の事故についての通知が消費者庁に届いていないということで、それで、通知の意義について周知徹底を図ると、周知をするということを大臣はおっしゃったのですが、総務省の勧告は消費者庁に対してもう一つあって、この通知制度、通知の枠組みの見直しをして、見直しを含む的確な対応ですか、対応方策の在り方の検討と、要するに見直しを含めてですね。ということで、通知制度の見直しについては消費者庁の方で検討体制をどうするのかということをお聞きしたいと思います。 -
答
総務省の行政評価については、医業類似行為等を対象にして、消費者事故の通知状況等について取りまとめたというものでございますが、その際、事故情報の通知元となるところからきちんと情報が吸い上げられているのかということを、端的に言うと言われたのだろうと思っております。
今の御指摘、私どもは単に通知制度があるからよろしくねというだけではなくて、具体的にそれぞれのところが、どういう格好で情報がうまく上がってきていないかということもありますので、関係省庁の方と意見交換をさせていただいて、今のような情報の流れ方が一番いいやり方なのかということについても、また併せて御相談をさせていただくということで、運用の実務において情報がきちんと来るようにするということが一番大事ですから、これを契機にして、どこで実際上うまくいっていない部分が出ているのかということについてお互いきちんと話をする。もしその情報の流れ方ではない方が良いということが仮にあれば、それを変えてもらうとか、そういったことをしていくということが今回の宿題に対する対応かなと、このように思っております。これはできるだけ早くやりたいと思っております。 -
問
昨日のお話ですと、年内の一つのめど、通知についてはですね。そのことをおっしゃっていました。
気になっているのは、この通知の制度について不承知、つまり知らないという回答をした機関が結構あって、ちょっと唖然としたのですけれども、消費者委員会の方で5、6年前に、幼児の施設においての事故が報告されていないのではないかということで調べたところ、やっぱり制度自体を知らないという回答があったということで、あのときも問題化はされたのですけれども、今回も知らないことによる通知がないということが出てきております。
だから、その周知ということなのでしょうけれども、消費者安全法自体が消費者庁ができてからですから、その安全管轄官庁の職員が知らないということになってくると、とても周知という一言だけでは済まないような、つまり、根幹を揺るがすようなものがあるので、そういうところを踏まえた上での何か検討ということがあるのかなと思っているのですが。
それと、もう一つは通知制度自体の在り方といいますか、見直しを含むということを書いてありましたので、そうすると、例えば今の消費者安全法に基づいた自治体等の、あるいはその関係省庁の長がその事故を知った場合は、たしかあれは直ちに通知するということで、この発表の仕方を見ていると、事故の発生日というと、その通知された日というのは、1年であったり、数年後であったり、半年後であったり。つまりは、もう一つの消費者安全法に基づいた通報というものとは、また情報の質、内容が違うような気がしますので、そういうものを含めて、知った日はいつかとか、そういうのはもう公表するべきだとかというのは、この通知制度の中の見直しなりは含まれているんじゃないかなと思ったのですけれども、そこまでは今は恐らくですが制度は改正しないと。制度じゃなくて、お互いのヒアリングとか何か話合いの中で運用の在り方を周知していきたいということでしたので、そういうことですよね。 -
答
制度そのものを触る前に、まずどういう情報の流れ方をして、どこで要は目詰まりを起こしているのかということを確認しないと、幾ら制度を触っても実態は変わらないのではないかということです。
具体的に言いますと、当然、消費者行政担当課長会議で消費者事故等の通知制度について等説明するとか、いろいろなことは当然やるわけですが、例えばその都道府県内等の部内において、どういう形の通知でどういうふうに情報が流れているのかとか、関係省庁それぞれのところで、どういうところで情報が上がっていて、どこの人は知っていて、どこの人はあまり分かってないのかとか、そういった辺りのところを関係省庁と一度よく御相談をしてみたいと思っております。そういうことを踏まえた上で今の情報の流れ方を整理して、まず、どういうふうに情報が流れているかをよく確認しないといけないのだろうと思っておりますし、また制度そのものの持っている意義自体も恐らくきちんと伝わっていないがために、知らないという議論に当然なるのだろうと思っておりますので、そこも改めましてきちんと説明していくと。まず第一義的にはそれをやらないと始まらないのかなと。その上で更にいろいろなことをやらなくてはいけないかどうかというのは、それをちょっとやってみてから考えたいと、こういう意味でございます。 -
問
NHKの秋山です。
今のに少し関連するのですが、今回のテーマ設定は総務省側が設定しているので、いわゆる医業類似行為等というトラブルに、ある程度絞られていると思うのですが、ただ、指摘されている通知の目詰まりの状況というのは、いわゆる医業類似行為等に限らないものなのではないかというような受け止めもしておりまして、確かに保健部門と消費者部門というと、医業関係には限られてしまうのかもしれないのですが、今回のその目詰まりの確認の作業の中では、医業類似行為等にもう完全に絞ってというふうに考えているのか、もう少し都道府県からの上がり方っていう、もう少し広くというか、医業類似行為に限らない通知のことも考えていくのか、その辺りいかがですか。 -
答
私どもの方でも比較的情報が集まりやすいものと、正に医業類似行為等、割と情報が上がってきにくいのではないかと気にしている部分がございますので、そういうところによって当然力の入れ方は違うと思いますが、まず宿題は医業類似行為がメインですから、まずそれをやりたいと思いますけれども、ほかのことも併せてやる必要があれば議論していきたいと思っております。
- 問 先週金曜日に、地方行政の概要というか、発表されて、大臣の御発言もあったと思いますが、改めて長官も今回の発表の受け止め、特に相談員の数が減っていることなどについては、どのように考えていらっしゃるかというのをお聞かせいただけないでしょうか。
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答
相談員さんの確保と、それから環境改善というのは非常に大事な問題だと思っておりまして、相談員の確保については、正に予算で資格を取るための支援というのを令和2年度の予算から始めさせていただいたところですから、令和3年度についても増額要求を今既にさせていただいているところであります。
また、相談員さん自体の処遇そのものに関しては、給与に関して御報告をさせていただいたとおりでございますが、条例を受けてなので、なかなか直ちには難しいところもあるとは思いますけれども、これは粘り強く私どもが地方消費者行政強化キャラバンの中でも、後退しているようなところに関しては、首長にもそういう点が非常に気になっているということは伝えていく必要があるだろうと思っておりますので、これも引き続きやりたいと思っています。
そのほか、環境整備のところでは、研修の機会をもっと増やすとか、あるいはPIO-NETの改修等々において、実際上の現場の負担軽減、これも広い意味の環境整備だと思っておりまして、こういうこともしていく必要があろうかと思っています。
消費生活相談員自体が非常に大事な仕事で、かつ、やりがいのある仕事であるということについては、パンフレットとか、あるいはこの間お見せしたような動画も作成しているところでありまして、これもいろいろな機会を通じて地方公共団体に活用を呼び掛けたいと思っております。
処遇改善を含めての環境整備をどう考えていくかということと、消費生活相談自体の意義というものを幅広く知ってもらうこと、この両面から私どもが働き掛けをすることによって、相談員の減少に歯止めを是非掛けていきたいと思っています。何分にも、時間は掛かると思っていますので、これは粘り強く対応させていただきたいと思っております。